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Happyday of LUCKY

日々の気付きと感謝を忘れないように綴るページ

スナップか、セットアップか

2015年05月19日 | Photography
スナップ写真とはなにか? と問われれば、「その人の知らないうちに瞬時に写すこと、またはその写真」と定義することができる。
その反対の撮り方として、撮影する人がいろいろ指示したり形を整えたりしながら写すことをセットアップという。写真館などで写す家族写真や肖像写真はまさにセットアップである。

わたしが学校アルバムの仕事で撮っている写真などは、スナップっぽく演出してはいるけど、そのほとんどがセットアップの写真だし、ファッションや広告の写真だってすべてそうである。
また、近ごろ観光地などで目にする自撮り棒にスマホを取りつけて写している写真も、自分で自分たちを撮るセットアップだといえると思う。

そう考えると、わたしたちがふだん目にする写真のほとんどがセットアップされたものではないか。一度、自分の部屋の中をぐるっと見回してほしい。
だとすれば、純粋なスナップ写真なんて撮影者が隠し撮りでもしないかぎり、なかなか撮れないものだし、ふつうの人はそんな写真を撮ろうとも思わないだろう。
ここにスナップ写真のおもしろさが存在するように思う。



昨夜、ニコンが主催するフォトカルチャーウィーク「CROSSING」に参加して、写真家の瀬戸正人さんのお話「スナップの魔法」を聞いた。
彼の話は非常におもしろく、まさにスナップ写真の本質というか核心にふれるもので、写真家としての姿勢や態度、そして写真家がやるべき仕事を語ってくれた。
印象的だったのは「みなさん、もっと街に出てスナップ写真を撮りましょう。でないと、100年後に『21世紀初頭の写真家はなにも写真を残さなかった』といわれますよ」ということばだ。

「スナップっぽい」写真ばかり撮っている者には、耳の痛い話でもあった。でも勇気をもらったなあ。

「問う」を問う

2015年03月01日 | Photography
写真茶話会RR展はおわった。
「人にはたらく」写真展という意味では、おおむね成功だったのではないか。
会期中、いろいろな出会いや再会があり、出品者それぞれに達成感のある展覧会になったと思う。

ただ、たくさんの人が見に来てくれたというだけでは、本当の成功とはいえない。
人さまに写真を見せるかぎり、その写真で自分のいいたいことが見る人に伝わり、さらに見る人のこころを動かすところまでいかなければダメだ。
それは写真にかぎらず、芸術あるいは表現とよばれるものすべてにいえることだろう。そういう前提で自分の作品を見たとき、はたして今回のわたしの作品はどうであったのか。



わたしが写真に求めているものは現実感すなわちリアリティだ。
「えっ、この写真のどこにリアリティがあるの?」「むしろ逆でしょ?」と感じた人がいるかもしれない。
そう感じてもらえたら成功で、現実の風景を写したのに写真になると現実感がなくなる、その違和感こそがわたしの表現したいことである。
非現実に見える写真がデジタル合成ではなく、「ある瞬間」を切り取ったものであるならば、鑑賞者はやはりその写真の中に現実を見ようとするだろう。そのとき見る人の頭の中であたらしい風景が再構築されるわけである。
その再構築されるイメージがリアルであればあるほど、ことばにできない気持ち悪さが生まれるのだと思う。

つまり現実の風景が写真を通して一度非現実になり、さらに鑑賞者の頭の中で現実になるということだ。
ややこしいことを言っているのではない。そもそも写真というメディアは多かれ少なかれこのような経路をたどって見る人の認識に至るものである。ただ写真に置き換わったときに、現実離れしていない(ホンモノっぽく写っている)写真は、そのまま見る人の記憶や経験とかんたんに重なってイメージされるので、再構築しているにもかかわらずそれを意識することがないだけだ。

わたしはあえて「これ本当の風景なの?」と感じさせるような写真を撮ることで、「写真とはなにか」「現実とはなにか」を問うている。なので今回の展覧会でのわたしのタイトルが「問う」になったというお話。

RR展の搬入完了

2015年02月23日 | Photography
昨夜のうちに雨はやみ、2月にしては暖かい朝を迎える。
きょうは午後から「写真茶話会RR展」の搬入だ。いよいよあしたからはじまる。
午前中、愛犬アルタを病院へ連れていき、椎間板ヘルニアと疑わしき症状を軽減する注射を打ってもらう。
そのあとかるく7キロほどランニング。



15時に海岸通ギャラリーCASOに着くと、すでにBさんとCさんが入口のまえで待っていた。
さっそく作品や道具をスペースYに運びこみ、展示の準備をする。
まずは大型プリントの裏に用意した角材を貼っていく。本来は木製のパネルもしくはロの字になった木枠を貼るのだけれど、今回は予算と時間を削減するためにタテに2本だけ、下駄のような形にして両面テープで貼りつける。
角材の上の木口にはあらかじめ穴をあけてあり、そこにヒートンをねじこんでおく。このヒートンにクギを引っかけるのである。



今回の展覧会は、7年まえに「SIGNの写真茶話会」としてはじまった自主研究の写真サークルの発展形として、去年生まれかわった「写真茶話会RR」に集う仲間たちによるはじめての作品展である。
長くおつきあいのある人もいるし、比較的最近メンバーに加わった人もいるが、主宰者のSIGN氏の人望のおかげで、みんなわだかまりのない和気あいあいとした雰囲気で毎回の茶話会をたのしんできた。

そういうメンバーなので、作業は一人の人の作品をみんなで手伝い、それが済んだらまたつぎの人の作品をみんなで取りかかるという感じで展示がすすんでいく。
作品自体が大きくてどうしても一人では展示できないので、自然とみんなで一つの会場をつくりあげていく雰囲気になった。

19時すぎにようやく展示はおわり、会場を見わたすと予想以上におもしろい空間でできあがっている。
よくある写真サークルなら指導する先生の撮る写真にみんな似てくるのだけど、今回はひとり一人の作品がとても個性的で、だれ一人似たような写真がない。
でも個性的だがバラバラな印象ではなく、それぞれの作品と作品とが有機的につながったような、空間としての調和、まとまり感もある。
全体像を俯瞰して組み立ててきたSIGN氏の思惑どおりの仕上がりだと思う。



わたしの作品は900×1350ミリが1枚、600×900ミリが4枚で、大きな壁面を一人でぜいたくに使わせてもらっている。これまで個展やグループ展をいろいろやってきたけど、こんな展示ははじめてだ。大きいって気持ちいい!
個展とはまたちがった、グループ展ならではのおもしろさを味わえる展覧会です。
お近くの方は、ぜひご高覧ください。

会期:会期:2015年2月24日(火)~3月1日(日)
会場:海岸通ギャラリーCASO(11:00~19:00 最終日は17:00まで)
   大阪市港区海岸通2-7-23 TEL 06-6576-3633
   地下鉄中央線「大阪港」駅徒歩7分

モノがうまれる瞬間

2015年02月11日 | Photography
スマホやタブレットで写真を見たり見せたりするのが今どきのやり方であるが、展覧会で見せる場合はそうはいかない。
額装する方法が一般的だが、最もかんたんなのは写真をそのまま壁に直貼りする方法だ。ちょうどその中間的な方法としてパネルに貼るというのがある。
昔は木製のパネルに水張りという方法で貼ったけど、今では発泡パネルにのりが付いていて、ウラの紙を剥がすとすぐに写真が貼れる便利なものがある。「ハレパネ」とか「のりパネ」という商品名で売っていて、大きさも種類も豊富にあります。



今月末に開催する写真茶話会RR展では全員の作品をこの発泡パネルに貼って展示することになっている。
貼り方はかんたんだが、ちょっとしたコツというか手順が必要なので、やったことのないメンバーにわたしが教えることになった。
まずWさんが自分の作品を持ってわたしの家に来た。練習用に2枚と本番用に1枚、手際よく(?)貼って完成。これから仕事の資料作成にも使える、と満足げにパネル貼りした写真を持ってかえった。



そのあとカッターマットや作業手袋をもって、今度はXさんの家へむかう。きょうはある用事でYさんが来ることになっている。そのYさんの写真にこれから発泡パネルを貼るのだ。
彼女はA3ノビサイズのプリントを17枚も出品するので、貼るだけでも半日仕事である。そのたいへんさを彼女はまだ知らない。
作業をはじめていきなりトラブル発生。Yさんの用意した発泡パネルのサイズでは全部のプリントを貼ることができないことが判明する。つまりパネルがぜんぜん足りないということ。とりあえず貼れるだけ貼って、あとはまた自分で貼ることにする。

ところで、わたしは写真は大きいほどおもしろいと思っている。今までL判やキャビネ判でしか見ていなかった人が、たとえばA3ノビサイズで自分の写真を見るとちょっとした驚きがあるだろう。さらに発泡パネルに貼って、それを手にすると一種の感動があると思う。
これは、ただの紙切れである写真をパネルに貼ることで物質感が上がるからだ。写真の上に透明のアクリル板を貼ったり、額装するのはこの物質感をさらに高める作業でもある。
その意味ではスマホで見る写真はただの電気信号であって物質ではない。

結局、発泡パネルに8枚貼り、そのうち3枚だけ四辺を断ち切って完成した。のこりは自分でがんばって仕上げてね。

人にはたらくRR展

2015年01月24日 | Photography
きょうは午後から海岸通ギャラリー・CASOで写真茶話会RR展の現地打ち合わせ。



14時5分まえに大阪港駅に着く。CASOをめざして歩いていると、メンバーのPさん、Qさん、Rさんを発見。はや足で追いかける。
現地に着くと、すでにSさんが待っていた。彼はメンバーでは一番遠方になる長野からはるばるやって来ている。
ほかの人たちもけっこう遠くからやってくる。よく考えると、大阪在住はわたしだけか。
ほどなくして奈良組のメンバーも到着。



はじめにCASOのディレクターの説明を受け、そのあと展示会場へいく。予想どおり広い。
まだなにも展示されていないまっ白な空間に立つと、なにか身が引きしまるような緊張感がある。神聖な空間というか。
SIGN氏が展示場所の原案を発表し、それに基づいてそれぞれの作品の配置を決めていく。ただ作品の点数がはっきりしていない人もいるので、厳密な場所決めは搬入当日にやることになる。
自分の作品があの壁にかかるのを想像するとわくわくしてしまう。そしてほかの人の作品とどのように響き合うのか、グループ展ならではのおもしろさやたのしみもある。

おおよその場所決めのあと、2階の談話スペースで今後のこまかい打ち合わせをする。
さらに作品がまだ煮詰まっていない人は、いつもの茶話会のように写真をならべてSIGN氏といっしょに構成を考える。
わたしは本番プリントの大きさや面質、加工方法など、じっさいの発注のとりまとめを数人のメンバーとする。
搬入までにいろいろクリアしなければならないことがあり、来月は忙しくなりそうだ。



18時すぎに打ち合わせをおえ解散。そのあとSさんと大正へ沖縄料理をたべにいく。
彼はこの写真茶話会に参加して、仕事で撮る写真も変わってきたという。いま地元の若者たちといっしょにやろうとしていることをアツく語ってくれた。
いろんな意味で、このRR展は人にはたらいているようだ。