QT Lab.品質・技術研究室

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解説します。

第18回QC検定2級 問1の解説

2014-09-23 13:57:47 | 品質管理検定

 前回のブログでも書きましたように、第18回QC検定2級の問1はあまり良い問題とは
いえません。なぜならば、本当にまじめに品質管理を行っているのであれば、この問題の
ような場面は発生しないからです。

 問題は転載禁止なので、問題の概略を書いたのちに解説をします。

《 第18回品質管理検定2級 問1》 
 ある工場で生産されている部品は設置時期が異なる2台の同じ機械で生産されいる。
1号機で生産した部品を n1=10個のサンプルをとり、その特性値として x1~x10の
データを得た。
同様に2号機で生産した部品を n2=8個のサンプルをとり、その特性値として y1~y8の
データを得た。

 両データから基本統計量を計算し、1号機生産部品の特性値の平均:mx(原本では xbar)
偏差平方和:Sx、2号機生産部品の特性値の平均:my(原本ではybar)、偏差平方和:Sy
を求めた。

 n1=10 mx=6.4 Sx=26.40  n2=8 my=5.5 Sy=18.00

 ‐問題‐
 生産機械は1号機、2号機とも同じ機械であるから、両者のデータを混合した統計量を
求めたい。
(A) 1号機のサンプルと2号機のサンプルは数がちがうので
   重平均:mw を計算する式と値を求めなさい。(重平均が正解)

(B)両者を混合したときの分散:V を計算する式と値をもとめなさい。

 という問題です。(A)はまだしも、(B)はまったくナンセンスな問題です。なぜなら、
こんな回り道をしなくても、品質管理がしっかりなされていれば、x1~x10、y1~y8の
データは記録されているので、この18個のデータから直接 V を計算すればよいからです。

 品質管理の知識や経験を問う問題ではありません。問題制作者の問題制作意識がずれて
いるように感じます。

 では解説します。
(A) 小学校で学習したように、基本的に平均と平均を使ってそれらの全体平均を計算しては
  いけません。ただし、データ数が同じ場合は計算結果は一致しますが、思考としては
  正しくありません。

  では、どのように計算するのか?ですが、平均とは複数のデータ群の中心付近を
  推定するための指標です。
  平均の計算は、データの総和をデータ数で割ります。
  この問題では、x1~x10の10個のデータの平均:mx とy1~y8の8個のデータの
  平均:myの18個のデータの平均を求めるわけですから、全データの総和を
  データ数(18個)で割ることになります。

   x1~x10の総和は:Σxi は mx=Σxi÷n1 ですから Σxi= n1 mx になります。
  同様に、y1~y8の総和:Σyi= n2 my になります。

   したがって、全体の平均:mwは ΣxiとΣyi を足したものを n1とn2 を足した値で
  割ればよいことになります。
これを式にすると、mw=(n1 mx+n2 my)/(n1+n2)になり、問題(1)はウ
  になります。
   問題(2) もウになり、その計算結果を問う問題(3)もウ(6.00)になります。

(B)問題には V を計算する式の途中までが記載されています。実はこれがクセモノです。
  その式を記載しますと

   V={Σ(xi-mw)^2+Σ(yi-mw)^2} / (n1+n2-1)
    ={Σ(xi-mx+mx-mw)^2+Σ(yi-my+my-mw)^2} / (n1+n2-1)

  となっています。そして、この式をこのまま変形させていくととんでもない時間と
  労力が必要となります。

   ここで、xi-mx をX、mx-mw をA  yi-my をY、my-mw をB とおきます。
   すると、2行目の式は

   V={Σ(X+A)^2+Σ(Y+B)^2} / (n1+n2-1)となり、分子を
  展開すると

    ={ΣX^2+2ΣAX+ΣA^2 +ΣY^2+2ΣBY+ΣB^2}
  となります。 

   ここで、ΣX^2=Σ(xi-mx)^2 ですから、xiの偏差平方和:Sxになります。
   また、ΣAX=AΣXになります。AがΣの前に出る理由は、Aは変数ではなく
  定数だからです。
   
   ΣX=Σ(xi-mx)となるのですが、データとその平均の関係で、各データから
  平均を引く、つまり、各データの平均からの距離を求め、その総和を計算すると
  ゼロになります。ご自身で確認してみてください。

   つまり、{}内の第2項はゼロになります。そして、第3項は
   ΣA^2=Σ(mx-mw)^2= n1(mx-mw)^2となります。mx、mwともに変数では
  なく定数だからです。

   第4項から第6項も同様に考えると、
   
   V={Sx+Sy+n1(mx-mw)^2+n2(my-mw)^2}/(n1+n2-1)となります。

   したがって、問題(4)はウになります。そして、問題(5)はキ、その値を
  求める問題(6)はイ(2.824)になります。

 先にも書きましたように現実問題としてこのような計算をするシチュエーションは
 まず考えられませんし、このような計算方法をとるべきではない、と私は思います。
   



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