QT Lab.品質・技術研究室

技術者のための品質工学、品質管理、統計学、機械設計、信号処理を
解説します。

第22回品質管理検定が実施されます!

2016-08-10 19:52:49 | 品質管理検定

今年もこの季節がやってきました。

私が品質管理検定の存在を知り、受験したのが2009年3月でした。
4級と3級を併願し合格することができました。そして、同年9月に2級と1級を受験し、
こちらも合格することができました。7年前の今頃は夏休み返上で一生懸命受験の
ための勉強をしていました。

その結果として1級に合格できたときの喜びは、一生の思い出になりました。

第22回QC検定の受験日まで1ヶ月をきりました。受験される方々は酷暑のなか、
勉強に励んでいることでしょう。最後まであきらめないでがんばってください!

品質管理検定の3級、2級では、手法編を苦手としている方が多いことでしょう。
SQCは統計学をもとにしているため、数学や統計学になじみのない方にとっては
かなりの重荷になってしまいます。

品質管理検定受験の支援をされている方のなかには、数理が理解できないならば
それを理解しようとして深堀するよりも、最初から手をださないでその他に時間と
力をさいて合格をめざすべき、と指導されていることもあります。一理あります。
 しかし、品質管理検定は、『検定』です。検定とは、検定の対象に対して自身が
どの程度の知識と応用力があるのか?を公正に知るためのものです。

せっかく受験のために勉強するのであれば、合格をめざすのは当然ですが、
学習した知識を仕事や生活に活用できるようにするべきだ、と私は思います。
さらに、統計数理を理解すれば理解していないほかの受験生に対して、とても
大きなアドバンテージになり、合格圏に大きく近づくことができます。

残念ながら現実として、品質管理検定の受験対策の書籍を読んでも、
統計数理についての解説がほとんどないので、数式を暗記することで
受験対策としている方がほとんどでしょう。しかし、QCに使われている
統計数理を理解すれば、試験問題に対する対処、対応能力が大幅に
上がるだけでなく、ふだんの仕事や生活で絶対に役にたつはずです。

私の勤めている会社では、品質管理検定はまったく重要視されていません。
しかし、私は品質管理の手法と実践はすべての技術者にとって絶対に
必要なものだと確信しています。そのため、自分の近くにいる同僚に受験を勧め、
学習を支援してきました。
その結果、1級1名、2級7名、3級多数の合格に微力ながら協力することができました。


その支援のなかでのきづきです。

QCで統計数理にふれて多くの方が面食らうのは主につぎのものです。

1.なぜ、平均だけでなく標準偏差や分散などばらつきもあわせて
  考えなければいけないか?

2.なぜ、ばらつきを分散という特性値の2乗で計算し、さらにその平方根をとって
  標準偏差という特性値と同じ次元にもどすのか?

3.なぜ、分散の計算で『偏差平方和』をデータ数ではなく(データ数-1)で
  割るのか?

4.なぜ、正規分布にしたがうデータ群を標準正規分布に変換するのか?

5.相関係数:rの計算式はどのようにして導き出されたのか?

その他にも多くの疑問や疑念があることでしょう。


前述のように、QC検定受験対策の書籍には統計数理のくわしい解説はありません。
ましてや、上記3項の理由や七つ道具の『管理図』の原理となっている『中心極限定理』は
一切説明されていません。

『中心極限定理』はくわしい統計数理の書籍を読んでも、ほとんど実感が
ともなわない不思議でおどろくべき統計学上の性質です。しかも、多くの
統計数理の源泉になっている定理です。残念ながらこれを知識として
修得するには、この性質を実体験するしかありません。

過去、私は「バーチャル実験で体得する実践・品質工学」、
試して究める!品質工学 MTシステム解析法入門」、
めざせ!最適設計 実践・公差解析」という書籍をいずれも日刊工業新聞社から
出版していただきました。
これらにはそれぞれに必要となる統計数理も解説してきました。
そして、先月末「今度こそ納得!難しくない品質工学」(日刊工業新聞)という書籍を
上梓しました。



この書籍は「品質工学」の思想や原理、そして数理と活用方法などを解説した
ものですが、品質工学の数理を理解するには統計学の数理は必要不可欠です。
そのため、かなりの紙面を割いて統計数理を解説しています。当然、これらは
QCの数理にも直接結びつくものです。本文254ページ中64ページを使い、

・サンプリング ・平均 ・Σという記号の性質  ・偏差平方和 ・分散と標準偏差
・ヒストグラム ・正規分布と標準正規分布  ・基本統計量をイメージする 
・『中心極限定理』 ・分散計算の疑問の解決 ・散布図 ・相関と相関係数 
・回帰分析と寄与率 ・F検定 ・分散分析 などを解説しています。
解説は概念をイメージとしてとらえられるような事例を使ったものと、純粋な
数学による解説の両輪を用意しています。社内での受験支援で作成した
テキストにさらにくわしく加筆した内容となっています。


また、本を読んだだけではほとんど理解と修得にいたらないであろう
『中心極限定理』を実体験できるMicrosoft社のExcelで制作した
『中心極限定理シミュレータ』を無償でダウンロードできます。これを試して
いただければ、
「中心極限定理って、こういうことか!」と理解していただけるはずです。

本来は『品質工学』をわかりやすく解説するために執筆したものですが、
品質管理検定の手法編を理解、活用するために必要な多くの統計数理の
知識を得ることができるはずです。

また、品質管理という管理の対象である『品質』という特性の本質はなにか?
も十分解説していますので、きっとこの「品質」の解説も参考になるものと思います。

QC検定1級には『品質工学』も出題されます。将来1級を受験される方にとっても
いずれ、お役にたつはずです。

夏休みを利用して拙書で3日間集中して学習していただければ、
きっと2級、3級のQC検定に合格できる統計数理を修得できると思います。
価格は3024円とかなり高額ですが、QC検定に必要な統計数理を
真剣に学びたい方には自信をもっておすすめします。

そして、本書に目をとめていただいた技術セミナーを主催されている
企業様から、品質技術に活用する統計学セミナーの講師を依頼されました。
書籍の解説がわかりやすい、というご評価をいただいたためです。

先日、私が懇意にさせていただいています『(有)増田技術事務所』
増田所長のブログで拙書を紹介していただきました。リンク
このブログ、とってもおもしろい記事が満載です。私は毎日チェックしています。


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