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QT Lab.品質・技術研究室

技術者のための品質工学、品質管理、統計学、機械設計、信号処理を
解説します。

正規分布の重心Ⅱ

2014-03-26 05:18:04 | 技術・エンジニア

3月21日のブログで標準正規分布の片側の形の重心は(標準偏差の倍数,確率密度)の座標で(0.79σ,0.14)になったと数値積分の結果から求まった、と紹介しました。
昨日、確認実験をしてみました。
まず、厚紙で正規分布の片側半分の形を切り抜き重心の位置に赤丸を記入します。
そして、正規分布の形のなかの適当な位置(3か所)に糸通しのリングをとりつけ、そこに糸をからげます。
糸の片側に錘をとりつけ、片側をつまんでつるすと、糸(垂線)は重心を通過するはずです。
その結果の写真を記載します。

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計算結果は正しかったことが確認できました。皆さんも安心してこの重心位置を使ってください。

 


技術への進化論の応用

2014-03-22 21:58:28 | 技術・エンジニア

HP版 『QT Lab.品質・技術研究室』 の 【品質工学】 のページで、パラメータ設計は、ダーウィンの進化論を科学・技術へ応用したものと解説しています。

http://qt-lab.sakura.ne.jp/

進化論とは遺伝子を変異させて子孫に多様性をもたせ、時間で変化し空間で異なる環境の中でほとんどの子孫が淘汰されたとしても、わずかでも環境に対応できる子孫がうまれる確率を高めることで、遺伝子の核心(永続的に伝え続けなければならない情報)を伝達するという、生物の生存戦略のことです。

この考えは開発や設計にパラメータ設計としてだけでなく利用できる戦術となります。

私は、コイルスプリングの設計に進化論を利用しています。
コイルスプリングの設計は、おもに4つの要素 (素線径、コイル平均径、ターン数、取り付け、および、作動時の長さ) を試行錯誤して自身が目的とする設計条件 (動作荷重や密着高さなど)に合致するように追い込んでいく設計手法が一般的です。

しかし、この作業がなかなか大変で私が若いころは筆算でコイルスプリングを設計には、とても時間がかかっていました。そのため、とりあえず設計条件を満たすことができる諸元がみつかるとそこで作業を終了させてしまい、図面化にとりかかることも多かったのです。

しかし、コンピュータがつかえるようになって、設計方法をかえました。まず、制約条件(設計上コイル平均径、密着高さ、荷重)をさだめ、その範囲のなかで、素線径(JISで決められている素線径の寸法)、ターン数(たとえば1/4ターンきざみ)、コイル平均径(制約条件の範囲のなかで、たとえば0.1㎜きざみ)のすべての組み合わせでスプリングをとりあえずコンピュータ上でつくってしまいます。
そして、そのなかで、製作可能、かつ、スプリングとして機能できる組み合わせだけを生存させ、それが成立しない諸元を淘汰します。

このようにして、生き残ったスプリングを1次の候補とします。つぎにこの1次の候補のスプリング群について、素線径、コイル平均径、ターン数、自由長などの公差を振って、品質工学の 【許容差設計】 や公差解析をおこない、最適な設計諸元(チャンピオン)を抽出します。
そして、モンテカルロシミュレーションをつかって生産時点での品質を確認します。

この設計戦術は非常に有効で機能・品質両面で最適化されたスプリングが設計できます。
Excel_VBA で設計シートを1度作りました。汎用的につかえるのでとても重宝しています。

Sp Sp2
     ↑1次候補                         ↑ チャンピオン諸元の検証

生き残った1次候補のなかで、ばね定数が小さいものがチャンピオンになることが多いのですが、そうではない場合もあることを蛇足ながら記しておきます。


正規分布の重心

2014-03-21 16:15:18 | 技術・エンジニア

近日中に 『QT Lab.品質・技術研究室』 の 【公差解析】 のページを更新する予定で、現在加筆中です。
追記する解説のなかで正規分布の重心をつかう必要があったため、ひさびさに筆算の定積分をしようとしたのですが、テクニックがすっかりさびついてしまっていて・・・結局、Excel を使った数値積分で解決しました。
私も初めて知ったのですが、標準正規分布の上片側の形(釣鐘型の右半分)の重心は、
(z軸座標,確率密度)とすると(0.7915σ,0.1414) になりました。

この情報は今後いろいろな統計評価で使えそうです。

クリミア半島の情勢が気になります。1939年のダンツィヒの状況に酷似していると感じるのですが・・・
早く平和的に解決してほしいものです。


ホームページ 画像挿入

2014-03-18 22:51:36 | 技術・エンジニア

ホームページ版 『QT Lab.品質・技術研究室』   はOCNさんが提供している 『PageON』 というホームページ作成ソフトウェアを使って制作しているのですが、画像が挿入できなくて困っていました。
OCNさんのサポートセンターに問い合わせたところ、即回答をメールでいただけました。

原因は、『PageON』 は、「Internet Explorer 11」 では動作を保証していないとのこと、Firefoxをインストールすることで画像アップが可能になりました。

迅速な対応をしていただいたOCNサポートセンターさん、ありがとうございました。

やはり、技術を解説するには、絵や図、表は不可欠ですから。

本日は、MTシステムのマハラノビス距離のしきい値に関する質問をいただきました。
品質工学のMT法で使うマハラノビス距離は一般的な判別分析で使うマハラノビス距離を項目数で割るのですが、項目数で割る前の単位空間を構成するメンバーデータで計算したマハラノビス距離は、項目数を自由度とするカイ2乗分布にしたがいます。そこで、項目数を自由度としたときの危険率5%のカイ2乗値をしきい値とすることを私は提案しています。

品質工学会ではなく、「日本品質管理学会第102回研究発表会」  において、しきい値にはカイ2乗値を使うのが合理的、という検証が報告されています。(URLリンクの許可がとれましたら、掲載します)

MT法については、近いうちにホームページ版 『QT Lab.品質・技術研究室』 で公開予定です。

また、単位空間メンバーのマハラノビス距離がカイ2乗分布をするExcel で作ったシミュレータを公開します。(たぶん、ブログ版より)