美容師という職業は、しばしば「職人」という分類をされます。
昨今では、サービス業としての色合いが濃くなってきている美容室という商売ですが、
そのルーツは、間違いなく「技術」を前提にした、デザインと色彩を追求する「職人」であり「アーティスト」です。
今回は、美容室グレープスの本店・スズキ美容室(飯田市)のルーツにもつながるお話を少し。
というわけで、ここは東京です。
スズキ美容室の店主・鈴木文子のカットを担当していただいているのが、
美容室マグノリアの代表・岩上昌弘さんです。
南青山 根津美術館前。
多くの若い美容師さんにとって、港区青山は特別な場所です。
トレンド、デザイン面で特に秀でた美容室がひしめき合う激戦区であり、
多くの新人美容師が目標とする日本のTOPランクの美容師が多数在籍する
言わば聖地であるからなのです。
根津美術館。
表参道交差点方向へ向かう。
わたしたちのお店と岩上先生とのご縁は、もう約10年前、
名古屋で行われた講習会でした。
現在も当店で大活躍している高圧蒸気を発生させる超高性能スチーマーを使用したパーマの技術講習に
講師としていらっしゃいました。 ※1
日本の現代パーマの始祖ともいわれる、カリスマ美容師 Anti の小松さんの一番弟子というご経歴からも、
カラー優先のこの時代に、パーマをお店のルーツとする私たちの美容室としては、
その研ぎ澄まされたセンスと技術、そしてご本人のインテリジェンスに引き付けられずにはいられませんでした。
以来、スズキ美容室・店主は、南青山の岩上さんのお店へおしかけ、ヘアカットをお願いしています。
と同時に、最新のトレンドの「仕込」をさせていただいています。
親子ほど年の違う岩上先生にシンパシーを感じるという、スズキ美容室・店主は、
「美容師として技術の研究、研鑽を常に続ける姿勢に感動している。」と賞しています。
オープン7年目を迎えた岩上先生の美容室「マグノリア」。
この先生を目標として集結した、若くセンスあふれる優秀な美容師さんも多く在籍され、
ファッション誌から飛び出してきたかのような、キュートなお客様から、
目の肥えた、ここだわりのミセス層のお客様まで、活気あふれる店内です。
が、そんな中にも常に漂う、ピンと張りつめた空気は、
きっと、本物の美容の求道者のみが作り出せる特別なものなのでしょう。
◆どちらもパーマで作ったヘアスタイルです。パーマでできる造形の可能性って無限にあるんですよね。
★左 岩上先生
「パーマ」という引き出しの中に無数の方法論を備えもっている岩上先生。
ご自分のこのスタイルについて、
「強くかけて、半年くらいもたせるつもり、でかけました。
熱系(デジパー)ではありません。」
★右 スズキ美容室・店主
「スズキ美容室の鉄則である、髪に負担をかけない弱い薬を使用して、
美容師の技術でかけるパーマの最もわかりやすい例です。
髪の立ち上がりと、流れをつけるための緩~いコールドパーマです。
◆パーマ/金森映子(美容室グレープス) ◆ヘアカラー/佐々木京子(美容室グレープス)」
「美容師の最も効果的な広告手段は、自分の髪型である」
という鉄板のセオリーが、美容業界にあります。
一般の皆さんも、これで、よくお分かりいただけたのではないでしょうか。
◆ でも、こんな大切なこと、忘れている美容師さん、いませんか・・・
つづく。
※1 高圧蒸気のスチーマー
通称「パルッキー」。もともとクリーニング屋さんで使われていた高圧蒸気を美容室用に転用したもの。
パーマにしろ、トリートメントにしろ薬の強さを抑えたり、上質な仕上がりを求められる施術には欠かせません。
取材・文 グレープス店長