美容室グレープス (飯田市) 店長&スタッフ・ブログ

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浴衣が似合うT.P.O ⑤ 涼を求めて渓谷へ

2015年08月04日 | 夏・着物でお出かけ

  撮影協力  稲垣来三郎匠 (飯田市 上郷黒田)

 

飯田の老舗味噌蔵 「稲垣来三郎匠」さんの工場、味噌蔵をバックに。

 

おなじみのお味噌、漬物のみならず、いま、「稲垣来三郎匠」さんのホット・プロダクツは、甘酒。

米と米麹からつくられる、砂糖無添加の甘酒は、健康食マニアからも熱い注目を集める発酵食品。

お味噌の老舗だけに、発酵食品の取扱は、お手の物でしょう。

また、風越山麓を源泉とする清らかな水も、美食食品の製造に一役買っていることでしょう。

この夏は、甘酒アイスも発売中。

背後にそびえる風越山 (「権現山」という別称もあります。) 山麓の東端。

地元では、野底山と呼ばれます。

 

涼を求めて、「稲垣来三郎匠」さんから、 野底山方面に歩を進めた先の地に、この橋はあります。

( 実際は車で、10分ほど山側へ上りました。)

 

野底川は、風越山の東側を源流に、飯田の旧市内と旧・上郷町との境をなぞるようにすすみ、天竜川 ※1 に流れ込みます。

 

ちなみに、前出の名水100選の「猿庫の泉」は、風越山の西側のすそ野に。

風越山を挟んで、ちょうど反対側になります。

 

「蛙橋」 意味深なネーミング。

 

橋の下は野底川の清流。

渓谷は、川水の蒸発によって、熱が放出されるため、涼を求めるのには、最適な場所なのだそうです。

 

やっぱり・・・出ました、「カエルくん」

 

全国的に大流行のご当地キャラ。でしょうか。

でも、この子は、だいぶ年季が入っています。

最近の大乱発のご当地キャラブームの前から、この地に鎮座されている模様です。

 

というより、何を隠そう、この野底山地区の上流には、日本古来の品種で、絶滅危惧種の「モリアオガエル」の生息地があり、

長野県の天然記念物に指定されているそうです。

 そういうことだったんですね。

ここの「カエル」キャラは、そんじょそこらのユルキャラなんかとは、ちょっとちがう筋金入りのご当地キャラだったんです。

 

上流にいる「モリアオガエル」さん。

そのほか、野生の猿、カモシカなどもこの地に生息しているそうです。

 

そっとしておいてあげたいものですね。

 

野底川の川岸、蛙橋のすぐ手前にある「姫宮神社」。

こちらも、意味深な名前の神社です。

 

小さな神社。

 

小さな社。

しかし、厳かで、どこかおどろおどろしい雰囲気。

太古からの歴史の繋がりを感じさせる、古木の杉。

 

「姫宮神社」は、人身御供(ひとみごくう)伝説  ※2 によりまつられた神社です。

 

「教科書では学べない歴史」の分野と言えばよいのでしょうか。

「日本むかしばなし」に登場しそうな、典型的な、アニミズムの世界。 ※3

 

この野底山地区には、ほかに「八王子神社」なる、神社もあります。

こちらは、江戸時代の山林の「入会権」 ※4 をめぐる抗争に由来する神社。

 

◆原始的な、アニミズム、山岳信仰と、実利的な山の利権抗争の血なまぐさい歴史。

この地域には、自然と人間が、野性の本能むき出しに生息してきた歴史が生々しく刻まれて。

現代の世の中では、なかなか体感できない、貴重な遺産が残っているように感じました。

 

◆渓谷の涼しさとは、ちょっと違った涼しさも感じられるんじゃないでしょうか。

霊感の強い方には、特におすすめです。

 

つづく。

 

※1 長野県最大の湖、諏訪湖。 天竜川は、ここから流れ出し、

伊那谷 (飯田も中央アルプスと南アルプスに挟まれた、伊那谷と呼ばれる盆地の一部になります。)

を縦断。静岡県に入り、浜名湖から太平洋に注ぎます。

◆諏訪湖周辺の諏訪地域も、古代のアニミズムや、記紀以前の歴史や信仰の言い伝えが多い地域です。

 

※2 豊饒の神様に、年頃の娘を生贄にささげる風習。 

姫宮の「豊饒の神」の正体は、ヒヒ。 ヒヒが退治されて伝説は完結。

 

※3 「民俗学」とか、「文化人類学」とかのむずかしい講義でしか学べないのが残念です。

◆ 「着物や髪型など」の文化・風俗の歴史や、「庶民の生活の変遷」の歴史についてのケースとよく似ています。

いずれにせよ、学ぶ機会が少ないということでは、同じですね。

学校はもとより、この分野の学者、研究者の先生方には、是非頑張っていただきたいです。

 

※4 権利の共同所有

近、現代の私有財産制へのアンチテーゼとも解釈できます。歴史の重さ。なのか、民族性を象徴する事象なのか。

入会権は、現在も社会の中で生き残っているようです。難しいテーマです。