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「命を守る・人が死なない!防災士-尾崎洋二のブログ」生活の安心は災害への万全な備えがあってこそ。命と生活の安全保障を!

防災の第一目的は命を守ること。「あの人を助けなくては」との思いが行動の引き金となります。人の命を守るために最善の行動を!

地球という一つの命-目に見えない相手に向き合う中で、人間の真価が問われる。意識を変えるのは今! 気象予報士・森田正光さん

2020年05月27日 08時33分09秒 | 温暖化対策
地球という一つの命-目に見えない相手に向き合う中で、人間の真価が問われる。意識を変えるのは今!-
お天気キャスターとしておなじみの気象予報士・森田正光さん。近年の異常気象や地球温暖化に象徴される気候変動について、私たちはどう捉えて暮らしていけばいいか。今の社会状況を踏まえ、語ってもらいました。

もりた・まさみつ 1950年、愛知県名古屋市生まれ。気象予報士。日本気象協会を経て、92年、日本初のフリーランスのお天気キャスターに。独自の視点とユニークな解説で人気を集め、テレビやラジオに多数出演。自ら設立した民間気象会社ウェザーマップで会長を務める。
聖教新聞5月26日2020年 要点箇条書き抜粋

尾崎 洋二 コメント:全世界で、第二波、第三波もありうるコロナ禍の危機を、なんとかポジティブに捉えなおすことはできないだろうか?私はこの数年、日本における甚大なる台風・豪雨・洪水被害への根本的な解決策は、地球温暖化対策と思っています。この対策はまさにコロナ対策と同じく、世界との連帯においてしか解決できません。私はぜひコロナ禍危機を温暖化防止へと世界連帯へのチャンスにして欲しいと願います。森田さんの「目に見えない相手に向き合う中で、人間の真価が問われる。意識を変えるのは今!」との言葉はまさに「温暖化、コロナ」対策に言えることかと思いました。

Q1-最近、「気候変動」という言葉をよく耳にします。長年のご経験の上からも、最近の気象は尋常ではないと感じられますか?

A1-近年は特に、これまでとは次元の違う量の雨が降っています。日本全国で観測された全ての雨を集めても、かつては3万ミリや5万ミリが一番多かった。ところが2015年(平成27年)の鬼怒川水害では13万3000ミリ、18年(同30年)の西日本豪雨では観測史上最大となる20万8000ミリ、昨年の台風19号は12万5000ミリでした。
A2-昔は、防波堤や防潮堤が整備されていないことで大勢の人が亡くなりましたが、今はそうしたインフラが整っていても、それを凌駕する大きな災害に見舞われている。想定外のことが起きています。
A3- オーストラリアでは昨年、乾燥状態が続き、山火事が収まらなかった。ところが半年も続いていた火事が、1回の大雨で鎮火しました。つまり人間が対処できないほど、気象が“極端”になっているのです。


Q2-こうした気候変動には人間の活動が影響しているのでしょうか? 
   
A1-本当にその通りです。しかも、その結果、起きている変動の速度が速過ぎる。今回のコロナの感染拡大もそうですが、スピードが速いからついていけない。ゆっくりだったら、その分、対応ができる。ゆえに私たちは、変動を少しでもゆっくりにさせて、その間に準備をしなければならないのです。
A2-自然は本来、バランスを求め、常に“中間”“真ん中”へ向かおうとします。アンバランスを嫌いますから、変動・反動が起こるわけです。
 例えば、太陽が出ると、どんどん地面が熱くなる。すると地面から水蒸気が立ち上り、雷雲が生まれ、その雨が地面を冷やす。そうして均衡が保たれます。
 季節もそうですよね。冬、冷たい空気がどっと入ってきても、だんだん太陽の位置が変わり、南風が吹き、大陸が暖まる。
A3-今、夏が極端に暑くなったり、反対に冷夏になったりするということは、人間の活動によって崩された自然のバランスを、元に戻そうとする働きといえるのです。近代以降、自然が嫌う極端なことをやってきたのは、人間の側です。私たちは、今こそ自然や環境に対して、「正しく恐れる」謙虚さを持つべきだと思います。

Q3-気象解説をする中で、新型コロナウイルスの影響を感じることはありますか?
   
A1-空を見上げてみてください。皮肉なことですが、空気がきれいになっています。
A2-大気中のオゾンやPM2・5などの数値を分析した「大気汚染の少なさを表す指数」(ウェザーニュース)によると、その指数が、昨年と比べて明らかに高くなっています。今年の方が、鮮やかな青空なんです。
 衛星画像を見ても、これまでガスなどで覆われていた都市部の空気が澄んでいるのが分かります。移動や生産活動が制限され、自動車や航空機の排気ガス、工場の排煙などによる有害ガス(二酸化窒素等)の濃度が低下したことが大きな要因でしょう。
A3-経済活動が縮小しているということは、CO2(二酸化炭素)の排出量も減少しているということです。それは、化石燃料である原油の(需要が減り、)価格が下落していることにも端的に表れています。
A4-CO2の増加と地球温暖化の傾向は見事に一致しています。IPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)が指摘する通り、現在の温暖化は人間によってもたらされた可能性が非常に高い。温暖化に異議を唱える人もいますが、長期的に見れば、温暖化は疑いようのない事実です。人類が今までのような経済活動を続けるならば、CO2は増え、温暖化は続くこととなるでしょう。
A5-新たな社会状況のもと、経済活動と自然環境への配慮のバランスをいかに保っていくか。持続可能な開発をいかに進めていくかが大事だと思います。それが、地球温暖化を防ぐ道になるのです。
 
Q4-持続可能な開発は「平和の文化」の大事な柱です。その上で、現実の自分自身の生活に結び付けるには、どのような視点が必要でしょうか?

A1-この感染拡大への対応が、いみじくも解答を示しています。
 例えば、マスク一つをとってもそうです。私もなかなか手に入らないので、実は、何回か洗って使っていました(笑い)。捨てればなくなってしまうけど、使い回すことができた。近頃は手作りマスクをしている人も増えていますよね。まさに「もったいない精神」です。
 そのように、一人一人が意識を変え、行動に移していくことが、自然環境への負荷の低減につながります。
A2-また例えば、水を見てどう思うか。人が蛇口からバーッと水を出していると、もったいないと感じますよね。水ってエネルギーの塊です。日本の水道水はとても上質で、本当によくできている。水を、自然の恵みであると同時に、人々の英知と努力の結晶だと考えると、感謝が湧きます。
 目の前の現象だけを見るのではなく、ちょっと見方を変えることで、違う世界が見えてくる。ものごとをどう捉えるかが大切です。
A3-意識と行動を変えるのは「今」です。 エネルギーについても同じです。これからは新しい蓄電技術をはじめ、さらに効率のいいものが増えていくでしょう。
私は、温暖化への対処は、コロナという危機をきっかけに、むしろ加速することを願います。今のピンチをピンチのままで終わらせず、“ピンチはチャンス”と発想を変える。そうすれば新しい道が開けてくる。歴史とは、こうして進んでいくのではないでしょうか。
A4-今、ものすごい勢いで世の中が変わっていて、私たち自身がどう変わっていくかが問われています。とにかく変化についていくこと。そして、できるだけ変化に対応しながらも、ぎすぎすした社会はつくらない。咳をしただけで厳しい視線にさらされることのないように、仲良くありたい。
A5-今回の新型コロナウイルスの流行が収まったとしても、また数年後、十数年後には、新しい感染症が現れるわけですよね。目に見えない相手に向き合う中で、人間の真価が問われるのだと思います。
 

地球温暖化に伴い、将来的な雨量の増加も指摘されているなかで、 水害に強い日本の構築は?鼎 信次郎 教授

2019年12月04日 10時20分29秒 | 温暖化対策

地球温暖化に伴い、将来的な雨量の増加も指摘されているなかで、

水害に強い日本の構築は?

東京工業大学 鼎 信次郎 教授に聞く 

尾崎 洋二 コメント:鼎さんの指摘にある「天気予報のように、5日先までの河川洪水の

予測を公表できる、“洪水予測センター”」をぜひ日本にも設置して欲しいと思いました。

車で移動中における死亡割合が3割から5割という今回の台風災害において、やはり「傘

をさして歩ける」という安全な時に自宅や避難所に移動するには、早めの移動しかありませ

ん。そのためにも“洪水予測センター”は必須かと思います。

 また1-低コストで設置できる簡易型の水位計を日本中に積極的に設置、2-現在の河川の

治水計画には温暖化の影響が入っていないので、きちんと考慮された治水画が必要、3-総

合治水という考え方からの、 町全体が雨水を吸収しやすい“スポンジシティー”の構築など

の4つの提案は貴重でした。

-----以下 公明新聞 11月30日2019年-要点抜粋箇条書き-----

 

Q1-今回各地で記録的な水害が発生した要因は?

A 今年の台風19号の特徴は「超巨大台風」と称されるように、非常に広範囲にわたって大

雨をもたらしたことだ。

 その結果、河川の本流で水位が上昇し、それに伴い支流の水位も増加して川が逆流するよ

うな現象「バックウォーター」が発生したことが水害の要因の一つだ。

本流と比べて河川の整備が進んでいない支流の中小河川で氾濫した。

 

Q2-温暖化による影響も指摘されているが。

A 気象庁の気象研究所によると、昨年の西日本豪雨では、総雨量のうち6~7%が温暖化

の影響だと分析されている。

  今回も少なくとも5~10%は温暖化の影響があると見ていいだろう。

  つまり、仮に総雨量が500ミリだった場合に、温暖化の影響によって25~50ミリ

程度の雨量が増えているということだ。

  温暖化はこれからも進む。

  将来的には温暖化の影響の割合が10~15%になることも予想されるので、ますます

雨量は増加していく恐れがある。

 

Q3-バックウォーター対策で大事な点は?

A  今回の台風災害では、バックウォーターの危険性があらためて浮き彫りとなった。

  この対策の中心となるのが、支流の中小河川の整備だ。

  本流河川は、国が戦後、相当な時間と労力をかけて堤防などの整備を進めてきており、

これからは支流河川の整備が急務だ。

  その多くが都道府県や市町村が管理しているが、整備が滞ることがないよう、国がリー

ドすべきだ。 同時に河川の状態把握に向けた水位計の設置も、今後ますます重要になる。

  特に上流を中心に多くの観測データーが得られれば、洪水予想の精度も上げられる。

  低コストで設置できる簡易型の水位計はポテンシャル(データー活用の可能性)が高い。

  日本中に積極的に設置してもらいたい。

 

Q4-ほかには?

A 現在の河川の治水計画には温暖化の影響が入っておらず、きちんと考慮された治水計画

が求められる。

  温暖化で海面も上昇するので、河川と海沿いの両方を含めた治水計画が必要だ。

  ダムの運用についても、発電は農業用水に利用する関係者と調整し、大雨時には、事前

 に水位を下げておける仕組みを検討することが大事だ。

 

Q5-水害に強いまちづくりに向けて必要なことは?

A 求められるのは「総合治水」という考え方で、まちの至る所に調整池や、水を地下に浸

透させる施設などを数多く造っていくことだ。

  町全体が雨水を吸収しやすい“スポンジシティー”の構築と言える。これが効果の高い水

害対策となる。 

具体化には、法整備も必要だ。東日本大震災を受けて、津波対策を講じたまちづくりを

進める総合的な法律ができている。

  水害対策でも法整備が必要だ。

  河川氾濫に備えて、川沿いにある本堤とは別に、住宅地側に第2の堤防を造る「二線堤」

の整備も重要だ。 本堤が破られた場合、被害の拡大を防げるよう、「二線堤」をまちの中

に組み込むことが求められている。 最初の“守備”だけではなく、万一に備えた二つ目の

対策の準備も大切だ。

 

Q6-河川情報発信のあり方については?

  住民に最適な情報を伝える洪水予測システムの確立が課題だ。

  例えばイギリスでは、全土を覆った2007年の大洪水を受けて設立された洪水予測セ

ンターが、いわば天気予報の河川版として、5日先までの予測を公表している。

  日本においても、この地域の河川は洪水の危険性が高いということを、数日前から、あ

らかじめ住民に分かりやすく伝える仕組みが作れるのではないか。

 

Q7-住民側の意識改革では?

  マイ・タイムライン(自分の防災行動計画)を準備しておくことは非常に重要だ。

  人間は準備していること以上の行動はできない。

  自治体作成のハザードマップ(災害予測地図)で、どの場所が浸水しやすいかを事前に

確認しておくといい。

  今回、被害が出なかった所も、運よく出なかっただけだ。

  ハザードマップに色が付いていない場所でも決して安心しないでほしい。

  自治体もハザードマップの更新を行うことは当然だが、凝り過ぎる必要はない。

  あくまで「一つの目安」として示すことが大事であり、ハザードマップが未整備の河

川を早急になくしていくべきだ。

  「避難」の意識改革も被害を少なくする対策の一つと言える。

  避難所に行くことばかりが避難ではない。移動中に負傷・死亡することも少なくない。

  大雨の際、頑丈な建物の上階にいる場合には、外に出ないこと自体が避難になる。

 

 


防災の課題-「国土学」からの提案 インフラ整備なしに生命・財産は守れず- 台風19号がわれわれに突き付けたこと:大石久和氏

2019年11月08日 11時13分13秒 | 温暖化対策

防災の課題-「国土学」からの提案 インフラ整備なしに生命・財産は守れず-

台風19号がわれわれに突き付けたこと。

大石 久和 国土学総合研究所長:著書「国土と日本人」「国土学始め」など。


19号被害の概要(共同通信 10月27日まで)

死者 87人(災害関連死を含む)。 行方不明者 8人。避難所での生活者 4077人。 断水 5県の4915戸。全壊 16都県の3719棟。床上浸水 17都県の3万5802棟。土砂災害 20都県の667件。堤防決壊 7県の71河川140カ所。

 

尾崎洋二コメント:温暖化の影響で、日本列島における台風豪雨の激しさは衰えることはなく、さらに増していくのではと思います。

私たちは「自らの命は自らで守る」ということを基本にしつつも、さらに国土と対話していく姿勢のなかで、「国土強靭化」の長期計画の実施を要望し、実現していく必要性を感じました。

この計画が各地域で明確になっていけば、施設計画が地域計画に変わっていき、さらに地域防災計画へと連動していくのではないでしょうか。

 -----以下 公明新聞月日2019年10月30日-要点抜粋箇条書き------

 

気象の凶暴化-治水施設の不十分さを突き付けた台風19号     

Q1-今回の台風被害で河川の氾濫が広域で発生した。これまでの治水対策に問題があったのか。それとも想定外の豪雨だったのか。

A-   台風19号による豪雨が予想以上に広範囲であり豪雨特性も強かったことは間違ない同時に、私は“気象の凶暴化”と呼んでいるが、それへの対応が十分でなかった。

  それを処理するための治水施設が不十分だったことも事実。

  これらが相まって、破堤だけで130カ所という被害になった。

 

 ここ30年くらいを見ると、雨の降り方が変わってきた。

 1時間に100ミリメートルという見ているだけで恐怖心がわくほどの雨や、道路がたちまち川になるような雨の発生頻度がほぼ2倍になってきた。

 

 それにもかかわらず、日本は1995年当時に比べ、国民の生命・財産を守るための防災を含むインフラ整備を半減レベルに落としてきた。

 先進国でこのような対応をした国は一国もない。

 インフラへの投資は国内で消化されて国民の財産となる。投資したお金が日本から出ていくわけではない。

 

Q2-今回の台風で機能した防災インフラはあったか?

 

A-    東京周辺ではあまり被害が出なかった。

それは首都圏外郭放水路、渡良瀬遊水地などの荒川や利根川の遊水地群が見事に機能したからだ。また、八ッ場(やんば)ダムもギリギリ間に合った。

 鶴見川多目的遊水池も働いたし、伊豆半島の狩野川放水路も役割を果たした。

 

 このようにインフラは人の生命・財産を守る。

 “気象の凶暴化”に対抗する用意をしておかないといけない。

 それが不十分だったことを台風19号はわれわれに突き付けた。

 

 地球温暖化に何も手を打たなければ、気温が4度上昇すると言われている。

 それを2度に抑えても、国交省の資産では降雨量は、1.1倍、河川流量は1.2倍、洪水発生頻度は2倍になる。 

 

非常に脆弱な国土 インフラ整備なしに生命・財産は守れず  

Q3-国土学から見た防災の課題は?

A-    国土学とは、「国土に働きかけることによって国土は恵みを返してくれる」と考えることだ。

日本は世界の中でも特別級の非常に「脆弱な国土」の上にある。

 

国土の脆弱性が端的に現れているのが、北海道から九州まで縦貫している脊梁(せきりょう)山脈だ。その脊梁山脈から川が流れているため、全ての川が非常に短く、しかも数が多い。一級河川だけで109もある。

 

利根川や信濃川など日本一の一級河川の平均的な流域面積は、2300平方キロメートルと、ものすごく狭い。

そのため、上流で降雨があるときは下流でも降っている。しかも急流が多い。

 

日本人はこの脆弱な国土のことをよく理解して、これを克服するための努力をはるか昔から懸命に続けてきた。

しかし、この二十数年間は、防災を含めインフラ整備という面が軽んじられてきたのではないか。 

 

Q4-各国のインフラ整備の取り組みは?

A-    例えば、米国はこの25年間でインフラ整備を2倍にした。

英国とカナダは3倍、フランスは1.5倍、ドイツも1.4倍だ。 

防災インフラだけでなく道路など交通インフラも整備している。

道路網が広がっていれば、災害時の避難経路や支援物資の輸送に選択肢が増える。

 

強靭化への課題 長期的で大規模な新たな計画が必要 

Q5-現在、国土強靭化基本法の下で、大規模自然災害に備えた国造りが進んでいる。

  今回、どのような教訓を引き出すべきか?

A-「防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策」(昨年12月閣議決定)が動いている。非常に時宜を得た政策判断だと思う。 

  河川整備だけでなく、避難のための道路ネットワークを充実させるといった事業まで入っている。 

  問題は、わずか3年ではこの脆弱な国土を強靭化できないことだ。

  それほど甘い国土ではない。

  やはり、五か年計画を策定して、それを数字にわたって繰り返す努力が必要だ。

  国土強靭化計画の長期化と大規模化が必要だ。

 

  一部に、災害から身を守るには、行政頼みは限界だとか、「自らの命は自らで守る意識を持つべき」という提言もある。

  しかし、近年の災害で改めて判明したように、個人の努力ではどうしようもないことも多いのだ。

 

 堤防にしても橋梁にしても、「どうか堤防を造らせてください」「どうか橋脚を支えてください」という国土に対する謙虚な働きかけによって生命・財産を守ることができる。

 

 国土と対話をして、国土にお願いをして暮らしが成り立っている。

 今回は、治水という意味で国土を慈しんできたのか、国土に働きかけてきたのか、と問われているのだ。

  

Q6-長期計画で期待できることは何か?

A-    人材が失われた地方の建設業の立て直しにつながる。

さらに、インフラ整備の将来像が明確になれば、民間企業なら「あそこに物流倉庫を建てよう」とか、地方自治体なら「福祉施設を整備しよう」と計画的な行動がしやすくなる。

 

こうなると、施設計画が地域計画に変わる。ここがものすごく大事だ。

 

そのためには、強靭化五か年計画の中で防災だけでなく、道路、港湾などの計画を集約させる必要がある。

 

今回の災害を契機に、国土との対話を深めたい。


台風19号-近年ない雨量が直撃:田代 喬(たかし)名古屋大学減災連携研究センター特任教授

2019年10月29日 09時54分44秒 | 温暖化対策

台風19号-近年ない雨量が直撃:同時多発で大河川が氾濫

-自助・共助で安全確保を-有効」な「タイムライン」作成

田代 喬(たかし)名古屋大学減災連携研究センター特任教授

 

尾崎 洋二コメント:地球温暖化がとまらない限り、今後大型台風の日本通過は避けられないと思います。それにともなっての豪雨・洪水はいままで以上に大きな災害を私たちにもたらしてきます。

最近の台風による豪雨・洪水などの災害現場において、車で移動中に死亡される方が多いのが気になります。早め早めの避難が必要かと思います。

家族で地震対策を話しあっていると思いますが、同じように台風・豪雨・洪対策においては、ぜひ「マイ・タイムライン」を皆さんのご家庭で作成することをお勧めします。

 -----以下 公明新聞10月26日2019年-要点抜粋箇条書き-----


 Q1-台風19号の被害をどう見るか?

A-    非常に広域で、短時間に記録的な大雨が降ったのがポイントだ。

(71河川で140カ所の堤防が決壊した:25日現在)

これだけ多くの河川で、より短時間に集中して起きたという点では、西日本豪雨よりもインパクトは大きかった。

  

Q2-台風上陸前に気象庁からは、1200人以上の犠牲者が出た1958年の「狩野川台風」 

に匹敵するとの言及もあった。

A-    19号は風が予想よりも強くならず、高潮や高波はそれほど顕著ではなかったのが不幸中の幸いだった。

一方、13都道府県で大雨警報が出されたことからもわかる通り、一つの台風がもたらす雨としては非常に大量であり、雨域の広さという点では近年ない状況だった。

  

Q3-我が国の風水害への対策は、60年前の「伊勢湾台風」が基準となっているそうだが?

A-    その通りだ。

59年の伊勢湾台風は死者・行方不明5000人以上という、台風災害としては明治以降で最悪の人的被害を出した。

その一因として、役所間で円滑な情報共有ができず、対応が後手に回る場面が多々あった。

その教訓から61年に災害対策基本法が制定され、国や地方自治体などは災害時には相互に協力することが明記された。

また、国は防災基本計画を、地方自治体は地域防災計画をそれぞれ策定して対策を進めるという、今に至る防災行政の分岐点となった。

  

Q4-この60年間の防災対策をどう評価するか?

A-    ハード面では国や自治体は、「伊勢湾」クラスの台風襲来に備え、高潮・高波対策として防波堤や防潮堤を系統的に整備してきた。

ただ、かつての地下水の過剰なくみ上げに伴って地盤沈下が進行してことにより、「海抜ゼロメートル」は当時より広がっている。

また、防波堤などの建造物の老朽化も懸念されており、ここ10年ほどでメンテナンスや改修が行われているところだ。

 

ソフト面では、早め早めの警戒を呼び掛けるようになった。

  

Q5-今後、「スーパー台風」の発生も懸念されている。

A-    日本では明確な定義はないが、米国では風速が毎秒65メートル以上の台風を「スーパー台風」と呼んでいる。

今回の19号も、諸外国では発達速度や気圧低下の状況などからスーパー台風とみられていた。

近年、温暖化の影響で台風エネルギー源である海水温が上昇している。

台風が育ちやすい条件が整っているのは間違いない。

  

Q6-災害発生に備え、時系列で自身や家族の防災行動を整理する「マイ・タイムライン」が普及しつつある。

A-    天気予報や警報、注意報を判断材料にしながらマイ・タイムライン」を作成することは非常に有効だ。

 例えば大きな台風が接近している場合、天候は崩れていても風が段々と強まるといった変化を感じる。

その後、仮に風速20メートルを超える台風が上陸したとして、支援を必要とする高齢者や障がい者が安全に避難することは難しい面もある。

上陸の1日前か2日前、可能であればそれ以前に、それぞれの判断で自主的に避難、または安全を確保する行動を取ることが大事だ。

 浸水して孤立したとしても、警察や消防、自衛隊などの救助が来るが、事前に避難していれば、そこに割いている公共の人員を復旧・復興に向けることもできる。

自助・共助によって安全を確保する対策をどう進めていくのか。社会全体で考える必要がある。

  

Q7-豪雨災害が相次いでいる。国が進めている対策は?

A-    2015年の関東・東北豪雨を踏まえ、国交省は「水防災意識社会再構築ビジョン」を策定した。

具体的には、越水が発生した場合でも決壊までの時間を少しでも引き延ばすよう、“粘り強い”構造の堤防を整備したり、想定最大規模の災害発生の可能性などを住民にも分かりやすく書き込んだハザードマップ(災害予測地図)の作成や、家屋倒壊の危険がある区域の公表が行われている。

タイムライン策定もその一環だ。

 

Q8-住民に求められる視点は何か?

A-    住民一人ひとりが、自身が住む地域で過去にどのような災害があったのか、先人はどう対処してきたのかを知ることが防災意識を高めるきっかけになる。

 

 

 

 

 

 


気候非常事態宣言-欧米1000自治体が表明:山本良一 東京大学名誉教授

2019年09月18日 11時59分47秒 | 温暖化対策

気候非常事態宣言-欧米1000自治体が表明

-世界で急拡大(相次ぐ異常気象に危機感):山本良一 東京大学名誉教授

尾崎 洋二コメント:ぜひ日本全国の自治体はSDGs(エスディージーズ:国連の持続可能な開発目標)の先進自治体を目指して欲しいし、この流れの中で、「気候非常事態宣言」へ進んで欲しいと思います。

 台風対策、土砂災害対策、洪水対策においてインフラ対策や日々の防災活動も必要ですが、抜本的な温暖化対策を取らない限り、次世代の子どもたちに負担を遺したままになるのではないでしょうか。

------以下公明新聞9月14日2019年-要点抜粋箇条書き----

 

止まらぬ気温上昇

2018年の世界の気温は過去4番目に高く、15年から4年連続で高温が続いている。(世界気象機関 WMO 報告書)

推進700㍍までの海水温も観測データーのある1955年以降最高を記録した。

 

洪水などの極端な気象により、6200万人が影響を受け、熱波による経済的被害は米国だけで240億ドルにも達した。

 

産業革命前に比べて世界の平均気温上昇が2度に抑えられた場合でも、日本国内の猛暑日の発生回数は現在の1.8倍に増えると推定。

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Q1-気候非常事態宣言とは?

 地方の6議会などの議決を経て成立。

環境・気候が非常事態にあることを自治体が宣言し、温暖化対策に社会の総力を挙げて取り組む姿勢を示すもの。

 

英国は2019年7月だけで100近い自治体が宣言した。

 

さらに2019年5月~7月、英国とアイルランド、ポルトガル、カナダ、フランス

アルゼンチンの6カ国が国家として宣言した。

 

Q2-広がった背景は?

  

    パリ協定(2016年:国際的な温暖化対策の枠組み)は産業革命前と比べて世界の平均気温の上昇を2度未満、できれば1.5度未満に抑える目標を掲げている。

 

  2019年夏、猛烈な熱波が欧州各地を襲い、パリでは7月に観測史上最高の42.6度を記録。

  

  グリーンランドでは8月の、ある一日だけで125億㌧という記録的な量の氷が溶けた。

 

  温暖化防止へ直ちに行動を起こさなければ、取り返しのつかない事態に陥り、人類の存在が脅かされるという危機感が、後押している。 

 

Q3-国や自治体以外にも広がりを見せているか? 

  

  欧米では市民社会の大きな運動になりつつある。

  大学機関や文化芸術団体、民間企業にも広がっている。

 

  気候非常事態宣言を求め、子どもや若者を中心とした気候ストライキが活発化している。

  3月15日に世界各地で実施されたストには150万人、次いで5月24日のストに180万人が参加した。 

 

Q4-気候非常事態宣言の効果は?

  

   自治体は宣言した以上、取り組みを具体化させなければならない。

  温室効果ガスの排出を実質ゼロにするための目標や政策を盛り込りこんだ「気候動員計画」を策定し、実施することになる。

  

  ロンドン市の計画は「20年に全家庭と中小企業に、電力の使用量が分かるスマートメーを設置」「温室効果ガス排出の多い軽自動車の課税強化」などの施策を明記。

  50年までに温室効果ガスの排出ゼロをめざす方針。

 

  ニューヨーク市は4月に気候動員法を制定。

  高層ビルなどから大量に排出される温室効果ガスを、05年比で50年までに8割削減する規制を盛り込んでいる。

 

  非常事態宣言をした自治体は、その国の温暖化対策をリードする牽引役となる。

 

Q5-日本国内の動きは?

   日本では気候非常事態宣言した自治体はない。

   ただ、ようやく一部自治体で検討が始まった。

   SDGs(エスディージーズ:国連の持続可能な開発目標)の先進自治体に選ばれている長崎県壱岐市では、9月議会に宣言が提案されており、可決が期待されている。

   同じくSDGsに取り組む鎌倉市でも超党派の議員が、宣言を検討している。