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「命を守る・人が死なない!防災士-尾崎洋二のブログ」生活の安心は災害への万全な備えがあってこそ。命と生活の安全保障を!

防災の第一目的は命を守ること。「あの人を助けなくては」との思いが行動の引き金となります。人の命を守るために最善の行動を!

土砂災害-命を守るのは避難の判断-ハザードマップより想像力が働く工夫を

2019年09月05日 09時11分16秒 | 土砂災害

土砂災害-命を守るのは避難の判断-ハザードマップより想像力が働く工夫を

田中 淳 東京大学総合防災情報研究センター長

 

 尾崎コメント:情報は伝わってこそ、意味があります。

災害情報の場合は特に命に係わることもありますので、確実に伝へて、それが受け手の「命を守る」安全への行動につながってこそ価値があります。

 発信する側は、確実に分かりやすく受け止められて、実行に移せる情報伝達の在り方を常に工夫すべきかと思います。

 ハザードマップにおいては、「1.5メートルの浸水の場合、床上浸水します」さらに「停電します」などとコメントを付記して、イメージしやすいような発信をすべき、という田中氏の提案は貴重です。 

---------------以下、公明新聞9月5日2019年-要点抜粋箇条書き------------------

 

Q-1 水害、土砂災害対策における課題は何か?

 

  こうした災害が起きたとき、「長いこと住んでいるが、こんなことは経験したことがない」と言う人が多い。

  それは、戦後に河川改修や土砂災害が進んだことで、私たちが住む地域の安全度が高くなり、頻度の高い中小規模の災害が減っていることを意味している。

  一方、中小規模の災害が減ったことで災害経験の機会が少なくなり、被災する時はいきなり大規模災害に直面するということになる。

 

 そのことを踏まえて、防災・減災に必要な方向性は、完全にハード(設備)で封じ込めるか、自分で自分の命を守るか、どちらかしかない。

 完全にハードで封じ込めるのは、財政的な面や生活の利便性からもあり得ない。

 最後は、自分の判断で避難して、自分の命を守るしかないのだ。

 

Q-2住民は災害に備え、何を考えておくべきか?

 

 A ハザードマップを見ながら緊迫している状態を想像し、避難先の選択肢を複数用意しておくことが大切だ。

  避難所に指定される小学などはもちろん重要な場所だが、そこまで行く時間がないほど切迫している場合の避難先候補と避難経路を平時から家庭で考えておいてほしい。

 

Q-3行政が情報を発信する上で重要なことは?

A   ハザードマップを例にあげると、記載された情報を丹念に読み取らなくても済むようなものを作らないといけない。 

  想定された浸水が1.5メートルの場合、大したことないと思う人がいるかもしれないが、「1.5メートルの浸水の場合、床上浸水します」さらに「停電します」というコメントがあればイメージしやすいだろう。

  

 

 

 


土砂災害から身を守るには-正確な事前予測は困難-関谷 直也 准教授:東京大学大学院情報学環総合防災情報研究センター

2019年07月22日 10時16分41秒 | 土砂災害

土砂災害から身を守るには-正確な事前予測は困難:避難情報は行政とメディアの連携重要

-関谷 直也 准教授:東京大学大学院情報学環総合防災情報研究センター

尾崎洋二コメント:気象庁と自治体(県と市町村)そしてテレビ・ラジオなどの報道機関との緻密な連携が必要であることを痛感します。

今年6月から、大雨の際に発表される5段階の警戒レベルの運用を始めました。発表をしたばかりなので、いたしかないところがありますが、まだまだ連携不足で混乱が見られます。

まさに「人の命」がかかっています。

「レベル4」以上を発表がありましたら、その度ごとに、連携の在り方、「わかりやすい、誤解を生じない」表現の在り方を相互に意見交換し、改善点を踏まえて、進化させていただければと思います。

 

---------以下 公明新聞7月20日2019年要点抜粋箇条書き---------------- 

近年の土砂災害発生件数

1-    日本は、土砂災害の発生頻度が高い。
  国土の7割を山地と丘陵地が占め、流れの急な河川が多く、降水量が世界平均の2倍。

 

2-    昨年(2018年)の発生件数は、過去最多の、3,459件。(死者・行方不明者 161人)
2008年~2017年の10年間の平均は、1,069件。

 

土砂災害の特徴

1-    事象の推移が見えにくく、正確な事前予測が難しい。

2-    発生してから逃げることが難しい。

3-    人的被害に結び付きやすい。


土砂災害被害からの被害軽減は?

1-    潜在的に危険な区域は事前の調査である程度は把握できる。

2-    危険な区域から離れれば人的被害の軽減は期待できる。

3-    大雨が降りそうな時に、土砂災害に関する情報に注意し、いざという時に避難して身を守るソフト対策が不可欠。


全員避難の意味は?

1-    7月3日(2019年)に鹿児島市が、市全域の59万人に「レベル4」の避難指示を出した。
この判断自体は間違っておらず、住民に早めに注意を喚起して避難行動を促す点ではやむを得ない。

2-    しかし、内閣府の避難勧告などに関するガイドラインでは、土砂災害警戒区域は河川の氾濫区域に絞って勧告や指示を出すように求めている。

4-    当然、土砂災害の可能性がない平野やマンションの上層階に住む人は避難の必要がない。

5-    だが、説明が不十分だった。メディアも単に警戒レベルの文言どおり、「全員避難」と呼びかけたため過剰に反応した人もおり、避難所が収容人数を超えるなど混乱した。

6-    「全員避難」の意味を丁寧に説明するメッセージの伝え方の工夫が必要なこと、土砂災害や水害において避難勧告や指示を出す際にはエリアを限定する必要があることなど、改善の余地がある。

7-    住民への避難情報を提供する際は、政府、自治体、メディアの連携が重要なことを改めて認識する必要がある。


防災気象情報の内容は万全か?

1-「レベル4」の範囲に幅があることへの対応を考える必要がある。

2-今回の豪雨の間、各地で「レベル4」の避難勧告や指示が出されたが、状況はさまざまだった。

3-    これから被害が起きるかもしれない状況や、本当に危ない状況など、同じ「レベル4」で もいくつかフェーズ(段階)がある。これがなかなか伝わりにくい点で課題が残った。

 

住民に求められることは?

1-    住民自身、自分の住んでいる場所が土砂災害の可能性があるかを知ることが大切。

2-    緊急時に、自治体が住民一人一人へリスクを細かく知らせることは現実的に難しい。

3-    自治体は平時からこうした情報を住民に周知する努力を惜しんではならない。

4-    内閣府のガイドラインの改定で、「主体性を持って判断して避難する」という文言が強調されている。
だが、これは避難のタイミングを主体性を持って判断するという意味で、自分の住んでいる場所のリスクを主体性を持って判断しろということではない。

5-    自宅や自宅の周辺はどのような災害が発生する可能性があるかについては、ハザードマップ(災害予測地図)といった科学的な情報に基づいて、あらかじめ正しく認識し、正しい避難先を理解した上で、避難に結びつけることが重要。


土砂災害は、事前準備が肝心ということですか?
1-それでほとんどが決まるといって過言ではない。
 早めに避難しておくことしか有効な解決策がない。

 ひび割れや小石がパラパラと落ちてきたり、湧き水が止まるといった前兆現象が出てきた時には既に災害が発生し始めている状況だ。

2-土砂災害警戒情報の特性を知り、空振りは大前提と考える姿勢は欠かせない。
この特性を理解した上で早めに逃げることを繰り返し、地域でルール化しお互いに呼びかけ合って逃げることが必要。


避難先

1-    必ずしも避難所である必要はない。

2-    避難生活を送るための避難と、緊急的に難を逃れるための避難を誤解しない。

3-    緊急時の避難は災害から身を守るためのものであるから、必ずしも避難所に行く必要はない。

4-    親戚や知人の自宅が安全であればそこでもよい。これは、土砂災害だけでなく、雨の災害全般に言える。


宅地で起きる土砂災害-盛土が地滑り起こす-釜井 俊孝 防災傾斜面災害研究センター長

2019年07月19日 09時22分51秒 | 土砂災害

宅地で起きる土砂災害-盛土が地滑り起こす-経年劣化は排水の不具合で加速

釜井 俊孝(かまい としたか)防災傾斜面災害研究センター長著書「宅地崩壊」「埋もれた都の防災学」など

 

尾崎洋二コメント:まさに被害を避けるためには、業者の言うことを鵜のみにするのではなく、正確な知識を持つことが必要です。

 災害によって二重ローンなど組めない、私たちにとって住宅購入の際は、ぜひ地元のハザードマップをあらゆる可能性から調べてください。
 なお、下記のように地域特有の危険性を知らせるハザードマップを元に、業者が説明を義務づける制度が一般化すればさらに良いかと思いますが、現状の法制度においては、まずは自助努力です。

 

「浸水想定域の説明義務づけ」を提言 全国知事会、宅建業法改正で。

https://mainichi.jp/articles/20190708/k00/00m/040/270000c

 

---------聖教新聞7月19日2019年要点抜粋箇条書き-------------------

 

1-地滑りや土砂崩れは、近年、山間地域周辺だけでなく、都市部でも起きている。

 

2-1950年代後半、都心から郊外へ、起伏ある丘や台地の斜面を平らに造成し、住宅地が広がっていった。ブルドーザーで丘の尾根を削り、その土砂を使って谷を埋めて、平らな状態にする。
実はこの「谷埋め盛土(もりど)」が地滑りを引き起こす危険性が高い。

 

3-盛土したすべての場所が地滑りを起こすわけではない。しかし、盛土した場所というのは、地滑りを起こしやすいという傾向は知っておくべき。
その上で、災害による被害を免れるためにもメンテナンスが重要。

 

4-地滑り=地盤が水を含んで軟弱化→滑り面を境にして、盛土が横滑りする。

 

5-さらに、密度の軽い状況が加わる→液状化して、全体が流動しやすくなる。

 

6-近年の集中豪雨などによって地盤に水が溜まったり、地震の揺れなどで地盤が液状化すると、崩れる。

 

7-盛土は、地下水位の変化によって細かな砂が流され、経年劣化が進む。そんなすかすかになった盛土に、豪雨による雨水が溜まる。

 

8-造成した当初、排水システムがしっかりしていても、年代を経るごとに劣化していく。

 

9-場所によっては排水システムの設計と配置自体に問題があるケースもある。造成業者の手抜き工事によって、最初から地滑りを起こしやすいケースもある。

 

10-業者が逃げ得になっていることが一番の問題。
問題があっても、それが表面化するのは、数十年に一度の地震や大雨が起きたとき。
露見する可能性が低いため、安く済ませるいい加減な工事もある。

 

11-家を購入する時に、地盤のことを気にする人はどれくらいいるでしょうか?
未曽有の豪雨や大地震は、いつ起こるか分からない。
公的な対策や支援を待っていては、間に合うかどうか分からないのが現状。

 

12-住民自身が対策を行うケースも始まっている。
2004年の新潟県中越地震で地滑りが起き、被災したKさん。
液状化を防ぐため地下水位を下げようと、自宅を再建する時に多数の基礎杭を打つとともに、地下に排水管を巡らせて地下水を排除するようにした。

その結果、2007年の新潟中越沖地震では、周辺は液状化したのに、Kさんの自宅は被害を免れることができた。

 

13-被害を避けるためには、業者の言うことをうのみにするのではなく、正確な知識を持つことが大切。
リスクを知って安全に暮らせるよう気を配っていきたい。