土砂災害-命を守るのは避難の判断-ハザードマップより想像力が働く工夫を
田中 淳 東京大学総合防災情報研究センター長
尾崎コメント:情報は伝わってこそ、意味があります。
災害情報の場合は特に命に係わることもありますので、確実に伝へて、それが受け手の「命を守る」安全への行動につながってこそ価値があります。
発信する側は、確実に分かりやすく受け止められて、実行に移せる情報伝達の在り方を常に工夫すべきかと思います。
ハザードマップにおいては、「1.5メートルの浸水の場合、床上浸水します」さらに「停電します」などとコメントを付記して、イメージしやすいような発信をすべき、という田中氏の提案は貴重です。
---------------以下、公明新聞9月5日2019年-要点抜粋箇条書き------------------
Q-1 水害、土砂災害対策における課題は何か?
A こうした災害が起きたとき、「長いこと住んでいるが、こんなことは経験したことがない」と言う人が多い。
それは、戦後に河川改修や土砂災害が進んだことで、私たちが住む地域の安全度が高くなり、頻度の高い中小規模の災害が減っていることを意味している。
一方、中小規模の災害が減ったことで災害経験の機会が少なくなり、被災する時はいきなり大規模災害に直面するということになる。
そのことを踏まえて、防災・減災に必要な方向性は、完全にハード(設備)で封じ込めるか、自分で自分の命を守るか、どちらかしかない。
完全にハードで封じ込めるのは、財政的な面や生活の利便性からもあり得ない。
最後は、自分の判断で避難して、自分の命を守るしかないのだ。
Q-2住民は災害に備え、何を考えておくべきか?
A ハザードマップを見ながら緊迫している状態を想像し、避難先の選択肢を複数用意しておくことが大切だ。
避難所に指定される小学などはもちろん重要な場所だが、そこまで行く時間がないほど切迫している場合の避難先候補と避難経路を平時から家庭で考えておいてほしい。
Q-3行政が情報を発信する上で重要なことは?
A ハザードマップを例にあげると、記載された情報を丹念に読み取らなくても済むようなものを作らないといけない。
想定された浸水が1.5メートルの場合、大したことないと思う人がいるかもしれないが、「1.5メートルの浸水の場合、床上浸水します」さらに「停電します」というコメントがあればイメージしやすいだろう。