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「命を守る・人が死なない!防災士-尾崎洋二のブログ」生活の安心は災害への万全な備えがあってこそ。命と生活の安全保障を!

防災の第一目的は命を守ること。「あの人を助けなくては」との思いが行動の引き金となります。人の命を守るために最善の行動を!

震災に学ぶ企業の再建 -「BCP(事業継続計画)策定の教訓」を製作- テレビでは伝えられない実態も

2020年05月05日 07時05分16秒 | BCP・防災
尾崎 洋二 コメント

3.11からの復興を記録し続けた田中敦子さん。
現在の新型コロナウイルス感染の危機に復興を危惧して
います。

田中さんは、「復興」とは何かと考えた時、それには被災
地の基幹産業である水産加工業が再建し復興を果たすこと
が何より大切だと気付き、その再建、復興の姿を記録し続
けてきました。

「記録は記憶」です。この大震災を風化させないためにも
記録はどうしても必要、という田中さんの思いは、「BCP
(事業継続計画)策定の教訓」を製作することに繋がり
ます。

毎年のように起きる大型台風や集中豪雨、そして南海トラ
フ地震などの災害に対し、中小企業が生き残るために必要
なのがBCPです。

今回新型コロナウイルス禍の最中に大型台風や集中豪雨、
そして南海トラフ地震などの災害が起きたらどうなるだ
ろうか?二重災害に対するBCPはできているだろうか?
と思いました。

田中さんが、明年に完成させる「収束編」(仮題)に
このテーマがどのように組み込まれるか?私は期待し
ます。

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〈文化〉震災に学ぶ企業の再建
「BCP(事業継続計画)策定の教訓」を製作
テレビでは伝えられない実態も
聖教新聞 2020年5月5日

田中敦子:たなか・あつこ 1964年、円谷プロダクション創設時の
スタッフとして番組制作に参加。
69年、フリーに。(株)コスモ・スペース等で各局番組の制作に
携わり、2007年、(有)ソラワンを設立。東日本大震災後、被災
地の水産加工業者の撮影を続ける。
(映像製作会社「ソラワン」取締役)


中小企業庁の奨励を機に


 今年2月、DVD「東日本大震災に学ぶBCP策定の教訓」を完成させ
ました。

「BCP策定」とは、「災害に遭った時、速やかに事業を継続させる
方法を事前に想定し策定する」ことです。

昨年7月、中小企業庁がこうした企業の事業継続に対し補助金を付
け、全国の商工会や商工会議所に指導を奨励したことが製作の契
機となりました。

BCP策定の指導が奨励された背景には、毎年のように起きる大型
台風や集中豪雨などの災害に対し、中小企業が少しでも自力で
備えてほしいという行政の思いがあります。

「BCP策定の教訓」の映像は、震災直後から撮影し製作してきた
「被災地の水産加工業 経営者たちの戦いの記録」(2014年、全6巻)、
「被災地の水産加工業 あの日から5年」(17年、1巻)の中から、
中小企業が被災した際、事業の再開までには何が起きるのか、
どのような備えが必要か、事実に基づき必要箇所を抜粋し再編集
したものです。

静岡県BCPコンサルティング協同組合など、既に講習会等でも活用
されています。


被災地の基幹産業を記録


東日本大震災の翌年、国は南海トラフ地震による被害想定を発表
しましたが、それによれば、被災地域全体で犠牲者は最大32万人
に上るとされました(その後、23万人に修正)。

30年以内に70%の確率で起きるといわれる南海トラフ地震は太平
洋沿岸地域の多くの企業にも甚大な被害をもたらすことでしょう。

「経営者たちの戦いの記録」「あの日から5年」に記録された映
像は、そうした被災想定地域の企業経営者に災害への事前の備え
として役立つのではないか。

国の発表以来、そう感じていました。

そうしたなか、これらの記録映像を企業の「BCP策定」の指導に
使うセミナーや講習会が数カ所ですが、開かれるようになりました。

昨年2月、東京の蒲田、大森地区の工場経営者が主催したセミナ
ーでは「経営者たちの戦いの記録」「あの日から5年」が上映され、
10月には、南海トラフ地震の被害想定で水没地域とされる高知
市下知地区で多業種小企業の経営者らが参加し「『被災地の水産
加工業 あの日から5年』に学ぶ中小企業BCP」をテーマに上映会
が行われました。

また、会場で配布したレジュメに中小企業が災害に備えるため
に必要な事項を記録映像から抜き出して記載したところ、多く
の経営者から好評を得ました。

であれば、記録映像から代表的な事例を再編集し製作すればと、
「東日本大震災に学ぶBCP策定の教訓」を製作することになった
のです。
           ◇
私は1964年から半世紀以上、テレビ番組の制作現場に従事して
きました。

テレビ番組のほとんどは民間の制作会社で作られますが、テレ
ビ局が求めるのは視聴率であり、それを最大目的として番組は
制作されます。

重要な内容であっても視聴率につながらないものはカットされ
ます。

そうした番組制作の現場を体験してきました。

東日本大震災でもそれは同様でした。

東北の太平洋沿岸地域を襲う巨大津波の映像に驚愕し心を痛め
るとともに、この大災害から被災地は復興できるのだろうか、
被災地ではこの先どんなことが起こるのか、そもそも「復興」
とは何か――そうした疑問が湧いてきましたが、テレビやラ
ジオからは、「絆」を呼び掛ける言葉や励ましの歌が流れる
ものの、復興の姿はいつになっても見えてきませんでした。

しかし、「復興」とは何かと考えた時、それには被災地の基
幹産業である水産加工業が再建し復興を果たすことが何より
大切だと気付き、その再建、復興の姿を記録し続けてきまし
た。

「記録は記憶」です。この大震災を風化させないためにも記
録はどうしても必要でした。


感染症拡大が追い打ちを


「経営者たちの戦いの記録」は、被災した中小企業5社が震
災直後から工場が再建し稼働する間に体験した、行政と民
間での出来事を記録しました。

受給した補助金の金額から自身が背負った借金まで、経営
者自身がカメラの前で赤裸々に語っています。

「あの日から5年」は、被災企業が受給したグループ補助金
のうち、経営者負担分25%の返済が始まる5年後からの記録
です。

そこから見えてきたのは、社会変化に対応できず淘汰され
る企業と新しい発想で海外マーケットを目指す企業などの
二極化です。

いま、被災地では億単位の補助金を得て、経営者自身も多
額のローンを抱えて倒産する企業が増え続けています。

さまざまな理由から水産加工業全体の売り上げが低下して
いる現在、唯一の現金収入だったイベントでの販売が新型
コロナウイルスの感染拡大で中止を余儀なくされています。

その経緯は震災から10年を迎える明年に完成させる「収束
編」(仮題)の中で紹介していきたいと思っています。

テレビでは伝えられない被災地の実態を撮影し続けるとと
もに、「小規模企業のBCP」に役立てたいと願っています。

 
※DVDの購入方法、上映等についての問い合わせは、
㈲ソラワン=電話03(3797)7551、
メール(sora2@s3.dion.ne.jp)まで。
 

大災害から病院をどう守る- 経済性と非常時の備えは別。小林 建一氏

2019年02月20日 10時45分07秒 | BCP・防災

大災害から病院をどう守る-経済性と非常時の備えは別。入院患者の安全を最優先に
小林 建一氏 国立保健医療科学院上席主任研究官
公明新聞2月20日2019年 より要点抜粋箇条書

Q1-災害対策で病院が直面している課題は何か?
 まずは電源の確保。
 近年は診療業務だけでなく、病院内のあらゆる業務で電力への依存度が高まっている。医療機器に加え、物質調達に代表される管理業務も紙からパソコン処理に変わった。昨今の大規模災害では、停電によって業務に多大な支障を来す事態が頻発した。早急な対応が求められる。

 もう一つは物流の効率化。
 多くの病院は必要な物資や薬について、その都度調達する方式を採用し、在庫を抱えない事例が増えている。無駄な物資を減らせるので病院経営にとってはプラスだが、災害時には弱点と化す。経済性と非常時の備えは分けて考えたい。

Q2-災害時の医療では何を重視すべきか?
 災害発生時の病院は負傷した被災者の対応い追われがちになる。しかし、優先すべきは入院患者の安全をいかに確保し、適切な治療を継続していくかだ。

 日常業務に優先順位をつけながら、災害時に求められる事前対策・事後対策を想定しおくべきである。

 近年多くの病院では自力身を守ることが難しい高齢者が増えており、慢性疾患や介護でベッドから転落しない工夫や、転落してもケガを防ぐ細やかな備えが必要だ。

Q3-病院の立地場所も考慮すべきではないか?
 2018年の西日本豪雨で非常用電源や医療機器が水没した病院は、行政が作成したハザードマップ(災害予測地図)の浸水想定地域の中に位置していた。

 2011年、全国約8600病院を対象に行った調査では、回答した約6100病院のうち、3割程度の病院がハザードマップで洪水や地震、土砂災害の被害が予測される地域に立地していた。

 さらに、予測災害を想定した防災マニュアルの有無について、全ての災害を想定したマニュアルを策定している病院は2割前後にとどまった。

 多くの患者は迅速な避難が難しいだけに、病院の安全確保は不可欠非常用電源や検査機器など医療行為に欠かせない器具の設置場所にも細心の注意を払うべき。