Boise on my mind

ウェブサイト「Boise on the Web アイダホ州ボイジー地域情報」の作者短信、運営裏話など

「ボイジー~成田ノンストップ便就航へ!」補注(その2)

2005-05-27 | ウェブサイト運営裏話
元記事はこちら

--------
デルタ航空営業部の広報担当者は、「当社の国際線戦略において、成田は最も重要な拠点のひとつ。第2滑走路供用開始は、他社に後れをとっている日本路線で巻き返しを図る絶好のチャンスだ。ソルトレークシティ冬季オリンピックに間に合わなかったのは残念だが、日本と韓国でのサッカーワールドカップもあり、日本路線の充実は今後ますます重要になるだろう」と話し、成田への新規路線開設の意義を強調した。
--------
これは大嘘です(^^;)。アメリカから成田への路線は、「以遠権」(日本~アジア各地の区間だけの乗客を乗せることができる、日米間の航空協定上の特権)を持っているユナイテッド航空とノースウェスト航空の2社が牛耳っていて、デルタ航空が「巻き返しを図る」余地はありません。デルタ航空はむしろ、同じアライアンス(スカイチーム)のメンバーである大韓航空との提携を重視しているため、デルタ航空にとっての「重要な拠点」は成田ではなくソウル(インチョン)のはずです。

--------
「ボイジー空港は空軍の飛行場として造られただけあって、設備は申し分なく、滑走路の長さもMD11型機が日本に向けて離陸するのに十分余裕がある。…」
--------
現在のボイジー空港が空軍の飛行場(B-29爆撃機の出撃基地)として戦時中に建設され、そのために滑走路が長いことは事実です。燃料満載のMD11の離陸滑走距離を満たすかどうかまでは検証していませんが、さすがに、これが明らかに不可能なら、私もこのネタ自体をあきらめるか、あるいは、滑走路延長工事をストーリーに組み込まなければなりません(笑)。

--------
ボイジーでヒューレット・パッカード社との共同開発に携わるキヤノンの社員は、「仕事で日本とボイジーを頻繁に行き来する私たちにとって、成田ノンストップ便は大助かり。今まではサンフランシスコかシアトルで乗り継いでいたが、今後は迷わずノンストップ便を利用するだろう。早くデイリー運航になってほしい」と話した。
--------
このネタに現実味を持たせるためには、日本人在住者へのインタビューは欠かせないでしょう(笑)。それで、HP・キヤノン関係に着目したわけです。

--------
他の航空会社の反応は冷ややかである。…
--------
そりゃそうでしょう(笑)。冷静に考えたら、この計画が無茶なのは明らかですから。

--------
一方、ユナイテッド航空を中心とする航空連合「スターアライアンス」の一員である全日空の関係者は、「ハイテク産業を通じたアイダホ州と日本との結びつきには当社も注目している」と話し、デルタ航空の新規路線への対抗策として、ユナイテッド航空運航便に全日空の便名を付与する「コードシェア」の対象にサンフランシスコ~ボイジー線を加えるよう、ユナイテッド航空に申し入れていることを明らかにした。
--------
これはもちろん作り話なのですが、「このぐらいの施策なら実現してもおかしくない」というつもりで、ちょっと願望をこめて書いてみました。実際、アメリカ東海岸のローカル線(USエアウェイズ運航便)には、ANAコードシェア便が多数設定されています。

--------
「成田へのノンストップ便就航は、私たちにとって願ってもいないチャンス。成田空港の出発案内にニューヨークやロサンゼルスと並んで『ボイジー』の文字が現れるのは画期的なことだ。
(中略)
まずは、6月のボイジーリバーフェスティバルに向けて、日本人向けの観光キャンペーンを積極的に行い、ボイジー・アイダホ州の魅力をアピールしたい」と語り、日本からの観光客の誘致に意欲を示した。
--------
このコメントはなかなか振るっているでしょう(笑)。書いた私自身も気に入っています(自画自賛)。

…と、ここまでで、めいっぱい「夢を膨らませる」ストーリーを語っておいて、最後に
--------
日本語でボイジーの観光情報を提供する唯一のWebサイトである「Boise on the Web アイダホ州ボイジー地域情報」の作者には、早くも観光局からキャンペーンへの協力を求めるメールが寄せられている。
--------
と、オチをつけたわけです(笑)。ここまで読んで騙されかけた人も、この一文を読んで気づいてくれる、と期待したんですけどね…

「ボイジー~成田ノンストップ便就航へ!」補注(その1)

2005-05-27 | ウェブサイト運営裏話
細かいことですが、「直行便」でなく「ノンストップ便」という言葉で統一します。航空業界の用語では、「直行便」は「便名は変わらないが途中着陸する」場合を含むことがあるので。

元記事はこちら

記事全体の文体は、新聞や雑誌の記事風にしてみました。

--------
デルタ航空は4月1日、日本行き国際線の新規路線として、ソルトレークシティ~ボイジー~成田線の開設に向けて準備を進めていることを明らかにした。これによって、ボイジーから成田空港へ、ノンストップの国際線フライトで行けるようになる。
--------
日付はもちろん「4月1日」です。
ユナイテッドやノースウェストでなく「デルタ航空」を選んだのは、マイナーな航空会社のほうが現実味があるかもしれない、ということもありますが、何より「ソルトレークシティをハブにしている」という理由が最も大きいです。これについては後述。

--------
運航開始日は未定だが、成田空港の第2滑走路が供用開始される4月18日以後、できるだけ早く運航を始めたいとしている。
(中略)
しかし、ソルトレークシティ冬季オリンピック前後から需要が回復しつつあり、また、4月18日に成田空港の第2滑走路が供用開始されて発着枠が増えることから、同社はアメリカ西部から成田への新規路線を開設することにした。
--------
このネタを思いついたきっかけのひとつが、2002年4月18日の成田空港第2滑走路供用開始でした。これと、ソルトレークシティ冬季オリンピック、日本・韓国サッカーワールドカップ(後述)がちょうど重なったので、ネタとして盛り込みました。

--------
機材は同社がソルトレークシティ空港に保有しているMD11型機を使用する。客席はビジネス・エコノミーの2クラスで、座席数はおよそ300席。
--------
デルタ航空が保有している国際線機材の機種は調べて書きました。座席数までは調べなかったので、「およそ300席」というのはあてずっぽうです(^^;)。

--------
所要時間はボイジーから成田へは11時間程度、成田からボイジーへは9時間程度になるとみられ、
--------
成田~サンフランシスコ便などの所要時間をもとに想像して書きましたが、ちょっと見積もりが甘かった(短すぎた)かもしれません。

--------
当初は、同社の主要なハブ空港であるソルトレークシティから成田へのノンストップ便を計画したが、ソルトレークシティ単独では集客面で不安があることから、アメリカ北西部のいずれかの空港に寄港して乗客を集める案が浮上した。そこで、航路上の寄港地として、ハイテク産業の拠点として急速な経済発展を遂げていて、しかも日本とのつながりが近年ますます強まっているボイジーに白羽の矢が立った。
--------
デルタ航空を選んだ最大の理由がここにあります。ボイジー~成田ノンストップ便が「もしも」実現するとしたら… という可能性を(無理を承知で)考えるなら、それはやはり「他空港発着の便の寄港地になる」ことだろう、と思ったのです。それで、成田への航路上にボイジーが位置するような出発地として、自然に思いつくのはソルトレークシティ、そうなると運航会社はデルタ航空! となるわけです。
もっとも、ハブ空港発着の長距離国際便がハブでない空港に寄港するのは、どう考えても不合理で、航空会社の路線戦略上あり得ません(笑)。

--------
現在、ボイジー空港ターミナルは拡張工事が進められているが、国際線就航の計画を受けて、新ターミナル1階の到着口にCIQ(税関・入国審査・検疫)の施設を整備するための設計変更に着手した。新ターミナルが完成するまでの間は、現在のターミナル1階の手荷物受取所付近を改装し、CIQの施設を設置して対応するとしている。
--------
これに関連して、ちょっと気になるのは、ボイジー空港ターミナルの1階があまりにも広々と設計されていて、特にレンタカー会社カウンター付近はガラガラだということ。将来の拡張を見越しているのでしょうが、あのあたりを改装すれば、CIQ施設ぐらいは楽に増設できそうです(笑)。
CIQの問題を簡単にクリアするために、ソルトレークシティ→成田のみボイジー経由にして、成田→ソルトレークシティはノンストップにする、というストーリーも考えられるのですが(アメリカは基本的に出国時のパスポートコントロールを行わない)、それでは面白くないので、CIQ体制作りもストーリーに組み込みました。

--------
CIQの要員については、現在ボイジー市と関係省庁との間で協議が行われている。当面は週3便の運航にとどまることから、運航日に限ってポートランドまたはソルトレークシティから派遣する案が有力であるが、将来のデイリー運航に向けて、空港内に常設の事務所を設置する案も検討されている。
--------
これは、あまり根拠はありません(^^;)。ソウルから週3便の定期便が乗り入れている米子空港では、入国審査官が運航日に限って鳥取から派遣されているので、それからの連想です。

長くなるので、続きは次の記事で。

「ボイジー~成田ノンストップ便就航へ!」補注(説明)

2005-05-27 | ウェブサイト運営裏話
3年前(2002年)のエイプリルフールネタとして、Boise on the Web に「ボイジー~成田ノンストップ便就航へ!」という表題の「お楽しみ記事」を載せました。
もっとも、これは「エイプリルフールで読者を騙して楽しむ」という意図ではなく、「もしも…」の話として、99%のジョークと1%の願望をこめた「夢物語」として綴ったもので、むしろ、「何バカなこと言ってんだ」と笑って読んでもらうことを想定していました。
ところが、これを載せた直後に、少なくとも1名の読者がコロッと騙されたことが判明。最初から騙す意図であれば「してやったり!」と喜ぶところですが、私としては想定外の反応だったので、「あらら、困ったなあ」というのが正直な感想でした。

さらに、3年もたった今になって、新たに騙された人がいたことが判明しました。こうなると、騙した張本人の私も、さすがに「責任」を感じてしまいます(^^;)。

それで、少々「言い訳がましい」ことを承知で、あえて「ボイジー~成田ノンストップ便就航へ!」の「種明かし」を試みます。騙す意図はなかったとはいえ、「もしや…」と思わせる仕掛けをいくつか盛り込んでいるので、それを明らかにする、という意味で、元記事への「補注」として書くことにします。

長くなると思うので、「補注」そのものは次の記事で。