2015年 04月 15日 23:53 JST ロイター
[フランクフルト 15日 ロイター] 欧州中央銀行(ECB)は、主要政策金利であるリファイナンス金利を0.05%に据え置いた。
金利据え置きは予想どおり。上限金利の限界貸出金利も0.30%に、下限金利の中銀預金金利もマイナス0.20%に据え置いた。
理事会後に開かれた会見でのドラギECB総裁の発言要旨は以下の通り。
<ギリシャの債務不履行>
その可能性について検討したくもない。ギリシャ政府首脳らの発言に基づけば、この選択肢はギリシャ側も検討していない。従って、そうした事態が起こる可能性について話し合う用意はない。
<債券市場バブル裏付ける兆候なく>
今のところバブル発生を裏付ける兆候は見られない。金融の不均衡が発生しつつあるかを評価する場合、不均衡の拡大を多少食い止められる程度に、(金融システムの混乱が経済全体に深刻な影響をもたらすリスクを抑制する)マクロプルデンシャルな政策手段を活用することが当然、第一防衛線となる。
<量的緩和目的の預金金利引き下げ行わず>
(マイナス金利で取引される債券が増えるというシナリオに直面すれば、中銀預金金利を引き下げる可能性について検討するかとの質問に)ノーだ。
<ギリシャの銀行向け緊急流動性支援>
(ギリシャ銀向け緊急流動性支援の終了時期はあるのかとの質問に対し)時期は決まっていない。存在する諸条件による。緊急流動性支援(ELA)や追加実行に関するこれら疑問への答えは、ギリシャ政府が握るほか、ギリシャとユーロ圏諸国が進める交渉に委ねられる。
<購入対象の債券が不足>
ECBの国債買い入れプログラムの購入対象となる政府・ソブリン債が不足しているとの懸念はやや行き過ぎだ。われわれはそのような問題は確認しておらず、直接・間接的な証拠、および市場のフィードバックは、何ら問題がないことを示している。また、ECBの買い入れプログラムには状況の変化に対応していくための十分な柔軟性がある。
<ギリシャへの緊急流動性支援はどの程度まで延長可能かとの質問に対し>
その答えはギリシャ政府の手中にある。ECBはギリシャへの緊急流動性支援(ELA)を承認した。ギリシャ国内銀に支払い能力があり、適切な担保を有する限り、ELAを延長していく。ECBはこれまでも、今後も、規則に基づき問題に対処する機関であり続ける。
<融資の伸び>
2015年4月の銀行融資に関する調査は、融資状況の改善を確認した。融資状況の改善は、とりわけ企業融資の一段の回復を支える。
<インフレ見通し>
入手可能な情報や現在の原油先物価格に基づくと、欧州連合(EU)基準消費者物価指数(HICP)の前年比の伸びは今後数カ月間、非常に低い水準かマイナスにとどまる見通しだ。総需要に働きかける金融政策措置の好影響や、ユーロ安、向こう数年間の原油価格の小幅上昇などで、インフレ率は年内に上昇、2016━17年に一段と上向く見通しだ。
<経済見通しリスクは以前より均衡>
ユーロ圏の経済見通しには引き続き、下振れリスクが存在するが、最近の金融政策決定や原油・ユーロ安によって、以前より均衡した。
<原油・ユーロ安の影響>
原油価格の下落は引き続き、家計の実質可処分所得や企業利益を下支え、個人消費や投資への追い風ともなるだろう。
さらに、ユーロ圏輸出に対する需要も、価格競争力向上の恩恵を受ける。
ただ、多くのセクターで求められているバランスシートの調整や緩慢なペースで進められている構造改革が引き続き、ユーロ圏回復への重しとなる公算が大きい。
<経済見通し>
3月までの経済指標は、ユーロ圏経済が2014年末以降さらに加速していることを示唆している。今後、緩やかなペースで景気回復の裾野が広がり、弾みをつけていくと予想する。
<インフレ目標への回帰>
先行きを展望すると、われわれが注視すべきは、金融政策措置の完全実施だ。これらの措置を通じて、経済見通しの一段の改善や、経済のスラック(需給の緩み)縮小、金融・信用の伸び回復に寄与していく。
こうした進展により、インフレは中期で2%に近いが下回る水準へと持続的に上昇する。中・長期のインフレ期待の安定化を下支えする。
<QEは奏功している>
資産買い入れプログラムの実施は円滑に進んでおり、証券の買い入れ規模もすでに発表している月額600億ユーロに沿った水準だ。
これ加え、実施している金融政策措置が効果的である明確な証拠が存在する。過去数カ月に金融市場の状況、民間セクターの資金調達コストは著しく緩和され、企業や家計の借り入れ条件も、信用への需要持ち直しとともに顕著に改善した。
<量的緩和の完全実施>
先行きを展望すると、われわれが注視すべきは、金融政策措置の完全実施だ。これらの措置を通じて、経済見通しの一段の改善や、経済のスラック(需給の緩み)縮小、金融・信用の伸び回復に寄与していく。
[フランクフルト 15日 ロイター] 欧州中央銀行(ECB)は、主要政策金利であるリファイナンス金利を0.05%に据え置いた。
金利据え置きは予想どおり。上限金利の限界貸出金利も0.30%に、下限金利の中銀預金金利もマイナス0.20%に据え置いた。
理事会後に開かれた会見でのドラギECB総裁の発言要旨は以下の通り。
<ギリシャの債務不履行>
その可能性について検討したくもない。ギリシャ政府首脳らの発言に基づけば、この選択肢はギリシャ側も検討していない。従って、そうした事態が起こる可能性について話し合う用意はない。
<債券市場バブル裏付ける兆候なく>
今のところバブル発生を裏付ける兆候は見られない。金融の不均衡が発生しつつあるかを評価する場合、不均衡の拡大を多少食い止められる程度に、(金融システムの混乱が経済全体に深刻な影響をもたらすリスクを抑制する)マクロプルデンシャルな政策手段を活用することが当然、第一防衛線となる。
<量的緩和目的の預金金利引き下げ行わず>
(マイナス金利で取引される債券が増えるというシナリオに直面すれば、中銀預金金利を引き下げる可能性について検討するかとの質問に)ノーだ。
<ギリシャの銀行向け緊急流動性支援>
(ギリシャ銀向け緊急流動性支援の終了時期はあるのかとの質問に対し)時期は決まっていない。存在する諸条件による。緊急流動性支援(ELA)や追加実行に関するこれら疑問への答えは、ギリシャ政府が握るほか、ギリシャとユーロ圏諸国が進める交渉に委ねられる。
<購入対象の債券が不足>
ECBの国債買い入れプログラムの購入対象となる政府・ソブリン債が不足しているとの懸念はやや行き過ぎだ。われわれはそのような問題は確認しておらず、直接・間接的な証拠、および市場のフィードバックは、何ら問題がないことを示している。また、ECBの買い入れプログラムには状況の変化に対応していくための十分な柔軟性がある。
<ギリシャへの緊急流動性支援はどの程度まで延長可能かとの質問に対し>
その答えはギリシャ政府の手中にある。ECBはギリシャへの緊急流動性支援(ELA)を承認した。ギリシャ国内銀に支払い能力があり、適切な担保を有する限り、ELAを延長していく。ECBはこれまでも、今後も、規則に基づき問題に対処する機関であり続ける。
<融資の伸び>
2015年4月の銀行融資に関する調査は、融資状況の改善を確認した。融資状況の改善は、とりわけ企業融資の一段の回復を支える。
<インフレ見通し>
入手可能な情報や現在の原油先物価格に基づくと、欧州連合(EU)基準消費者物価指数(HICP)の前年比の伸びは今後数カ月間、非常に低い水準かマイナスにとどまる見通しだ。総需要に働きかける金融政策措置の好影響や、ユーロ安、向こう数年間の原油価格の小幅上昇などで、インフレ率は年内に上昇、2016━17年に一段と上向く見通しだ。
<経済見通しリスクは以前より均衡>
ユーロ圏の経済見通しには引き続き、下振れリスクが存在するが、最近の金融政策決定や原油・ユーロ安によって、以前より均衡した。
<原油・ユーロ安の影響>
原油価格の下落は引き続き、家計の実質可処分所得や企業利益を下支え、個人消費や投資への追い風ともなるだろう。
さらに、ユーロ圏輸出に対する需要も、価格競争力向上の恩恵を受ける。
ただ、多くのセクターで求められているバランスシートの調整や緩慢なペースで進められている構造改革が引き続き、ユーロ圏回復への重しとなる公算が大きい。
<経済見通し>
3月までの経済指標は、ユーロ圏経済が2014年末以降さらに加速していることを示唆している。今後、緩やかなペースで景気回復の裾野が広がり、弾みをつけていくと予想する。
<インフレ目標への回帰>
先行きを展望すると、われわれが注視すべきは、金融政策措置の完全実施だ。これらの措置を通じて、経済見通しの一段の改善や、経済のスラック(需給の緩み)縮小、金融・信用の伸び回復に寄与していく。
こうした進展により、インフレは中期で2%に近いが下回る水準へと持続的に上昇する。中・長期のインフレ期待の安定化を下支えする。
<QEは奏功している>
資産買い入れプログラムの実施は円滑に進んでおり、証券の買い入れ規模もすでに発表している月額600億ユーロに沿った水準だ。
これ加え、実施している金融政策措置が効果的である明確な証拠が存在する。過去数カ月に金融市場の状況、民間セクターの資金調達コストは著しく緩和され、企業や家計の借り入れ条件も、信用への需要持ち直しとともに顕著に改善した。
<量的緩和の完全実施>
先行きを展望すると、われわれが注視すべきは、金融政策措置の完全実施だ。これらの措置を通じて、経済見通しの一段の改善や、経済のスラック(需給の緩み)縮小、金融・信用の伸び回復に寄与していく。