boban のんびり 株投資日記

備忘録です。ディトレードなどの短期勝負ではないので、日々の変化はあまりありません。

日銀総裁は景気判断「前進」表明、追加緩和は必要なし:識者はこうみる

2015-05-22 | 2015
2015年 05月 22日 17:53 JST ロイター


[東京 22日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は22日の金融政策決定会合後の記者会見で、会合では個人消費の改善などを背景に景気判断を「若干前進させた」と説明。経済や物価は想定通りに推移しているとして「現時点で追加緩和が必要とは考えていない」と明言した。市場関係者の見方は以下のとおり。

●強気姿勢あえてアピールした印象

<みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト 上野泰也氏>

政府と歩調を合わせて、景気判断を若干前進させた。根拠は1─3月期国内総生産(GDP)の内容とした。とくにGDPにおける個人消費、住宅投資、設備投資のプラスを評価している。GDPの1次QEをきっかけに、少し強気の姿勢をあえてアピールした感じだ。

現在の株価上昇に関しては、楽観論より、慎重論に立って見ていくべきと個人的に考えているが、現時点で資産市場や金融行動に過度の期待は観測されていないとの発言からは、金融緩和を粘り強く続けることが既定路線であって、物価2%の目標達成が至上命題という「結論ありき」という印象だ。

4月30日の展望リポート公表のときに、しばらく追加緩和をしないメッセージを出しているので、期待があまりなかった以上、為替や株式相場への影響は限られるだろう。円債市場への影響も大きなインパクトはないとみている。

●ノーサプライズ、追加緩和の目は残る

<クレディアグリコル銀行 エクゼクティブディレクター 斎藤裕司氏>

黒田日銀総裁の会見は、ノーサプライズだった。先日の展望リポートで事実上、物価目標の達成時期を後ずれさせていたし、経済見通しを引き上げるとの観測報道も出ていた。そもそもハト派的な発言は想定されておらず、円買いは限定的だろう。

ただ、必要があれば政策調整を行う姿勢に「まったく変わりがない」としている点に注目したい。経済状況の改善は認めつつも、早期に消費者物価指数(CPI)を2%近傍に上昇させるのが総裁のコミットメントだ。基調に変化があれば躊躇なく対処すると改めて繰り返している。

原油価格動向は先行き、イランへの制裁解除による供給量増加や消費国での需要減退といった事態も現実味を帯びつつある。そうなれば再び価格が下落しCPIが押し下げられるおそれがある。2%目標に近づけるかどうかはまだ予断を許さず、追加緩和の目が消えたとは言い切れない。

●バブルを否定、株式市場の安心材料に

<東海東京調査センター チーフグローバルストラテジスト 中井裕幸氏>

基本的には従来通りのことを淡々と話しており、あまりサプライズはなかった。ただイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長が米国株について全体的にかなり割高になっていると発言したのに対し、黒田総裁は東証1部の時価総額に関する質問で、現時点で資産市場や金融行動に過度の期待は観測されていないとコメントした。

黒田総裁の発言は、今の日本株の動きは決してバブルではなく、企業業績の拡大を反映したものだと表明しているととらえられる。バリュエーションの範囲内で株価が動いているということを指摘しており、株式市場としては安心材料となる。

実際、日本企業のPBR(株価純資産倍率)は欧米企業に比べ割安に放置されている。ここのところ国内ではROE(株主資本利益率)を高めようという動きが加速しているが、ROEが回復すればPBRも向上する。また足元の株高は、過少に評価されていた日本株の修正ということもできる。

日本株については、米国の利上げの方向性に加え、原油相場、ギリシャの動向次第で短期的に調整が起きる可能性もあるが、年末までに日経平均が2万2000円をつけてもおかしくはない。徐々にデフレ脱却を実感するマーケットとなっていくとみている。