紺日わん倶楽部

日々の暮らしに彩りを

お茶事とお茶会

2009-05-31 | 茶の湯
五月の下旬は立て続けてお茶事とお茶会がありました。
初風炉になってまだ浅い月日ですので、ご亭主様方はそれぞれ清々しいさわやかな趣向で、清風、雨音を意識しての空気感を感じるお席でした。

まず、お茶事は正午の茶事の進行。私の役割は半東で、お客様は業躰含め5名様でした。あいにくの雨模様でしたが定刻にはあがり露地の草木が鮮やかな緑に包まれ始まりました。お料理は懐石出張のプロに依頼。
本格的なお茶事の裏方としてお勉強させていただける立場は流れやお茶事の醍醐味が感じられ、やり終えた時に達成感みたいなものがあり、お客様として伺うのとは違った亭主側の喜びがあります。
一人で任せていただけるありがたさと機会に感謝して。
お茶事は一期一会。時の流れと炭、火合、湯合が一番肝心で気持ちを集中しておおよそ四時間事に望みます。
寄り付き→待合→挨拶→懐石→初炭→お菓子→中立ち→濃茶(後炭略)→薄茶→挨拶。
正客と亭主の状況判断しながら道具の準備、後片つけ、間合いと互いの息を合わせながら。お客様お見送りまで本当に緊張が途切れることなく疲労困憊。
終わった後しみじみと茶を味わえるようになるまで、この後、いく年月を要するのでしょうか?
業躰がお正客などの場合、御礼、御教授料やお車代などお支払いの費用も一般にお稽古茶事でする時よりもかかりますので気軽にという訳にはまいりませんが、必ずやその後のお茶に対する姿勢や心構えに違いが。と思いたい・・・

さてお茶会は気軽な薄茶席二席。山里の樹木に包まれて豊かな自然を借景に。席主は両方ともお席を初めて持たれたという事でしたがご経験豊富な物腰で緊張の中にもなごみの感じるお席でした。御道具組やお菓子お花とお心入れの数々でしたが、お運びの若いお嬢さん方のお着物などにもう少し配慮があって良かったかなと思いました。この季節にド紫の着物やきらびやかな帯は?すっきりと色数をおさえて品位を大切にさわやかさを心がけたいと思います。

これから梅雨、お茶会お茶事またお稽古にとこれからの季節ならではの趣を自分なりにまたお仲間と共に楽しんでいきたいと思います。
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銀座ギャラリー散歩

2009-05-16 | 茶の湯
今月号(5月)のなごみに東京ギャラリー散歩の特集があります。
今までギャラリーで茶道具を扱う店はちょっと敷居が高くて、いわゆる水屋道具等も置いてある茶道具屋とは違うなんか気難しさがありました。
このところ、お茶会に行く毎に、やれ箱書きやら、お好みやらと千家歴代の家元制度の中で育まれたご立派な器を見せつけられ御道具自慢とばかりの ”茶”に少し疲れておりました。

そこで、もう少し現代に添う、軽き、肩書きのないものはなかろうかと、
折角の機会なのでギンザのギャラリー店を3件はしごしてみました。
一軒目 銀座一穂堂サロン 店内に入る前、入り口から作家物を展示、ところ狭しと現代作家の茶碗、茶入、漆、茶籠、着物、帯に至るまで盛りだくさん。品良く女性の目線で。青木良太さん内田鋼一さんなどの器は、茶道具そのものとして作られたものではないけれども無駄のない洗練された形や肌あいにイマジネーションが駆り立てられ、茶室の空間の中でどんな輝きになるんだろうか、道具の組み合わせは?とわくわくどきどき感が湧き上がりました。まさしくこれぞ茶会を催す醍醐味。

2軒目はギャラリー無境
若々しい店主の塚田晴可さんのご案内で。写真でみるよりもこじんまりとした店内です。
今回は伊藤正さんの作陶展が大半。硬質の表面に丸みをおびた造形の茶碗。無機的な中にも温かさを感じる作風でお値段も5万円位で興味そそられました。
作家さん御本人も22日23日はお見えになるそうです。
暫く、ソファーでお茶とお菓子を頂戴し、塚田さんのこれまでの歩み等を伺っておりましたらもうただでは帰れない。ご本人の本がおもむろに机に置いてあって一冊購入。
サインも頂戴し、お見送りまで。茶人のはしくれですからとおっしゃってなかなかどうして。ご馳走様でした。

最後は阿曾美術。わかりづらい店はやっと人ひとり通ることができるビルの合間を入りエレベーターで5階まで。
店内ひっそり暗い。あれ?お休みかな?とそっとのぞいてみてごらん・・・
「どうぞ」と店主の阿曾一実さん。次回の企画展の準備中。茶室ではお茶のお稽古の真っ只中にもかかわらず「一服いかがですか?」とのお誘い。ビルの一室とは思えない茶室でまさしく市中の閑。御道具がまた好し。水差しは唐津の西岡良弘作(あの小十の息子さん)そろばん型。茶入れは朝鮮の時代物。
お茶のお稽古は裏千家。4ヶ月で6万円らしい。詳しくは分かりませんので直接お尋ねくださいませ。朴訥としたお人柄でなんだか、ほっと和んでしまいました。

今回尋ね歩いて一番感じたことは、どの店主のかたも一期一会の精神で客をもてなす心が感じられたことです。ただその一時の会話や空気を大事に。最後は物じゃなく人と人との交わり。初心に帰りもう少し軽やかな気持ちで茶をとらえてみようか。
次回は日本橋のギャラリーめぐりをしたいと思います。


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阿修羅展

2009-05-04 | 美術館
東京国立博物館で開催されています阿修羅展に行ってきました。
連日、昼間は長蛇の列で込み合っているので夕方が比較的空いているとの新聞情報で夕方5時30分頃行きました。
10分待ちでの案内でしたが5分くらいで中に入ることが出来ました。

全体的な展示品はいつもの展示会より少ないようでしたがやはり国宝の阿修羅様は特別仕様の部屋で一体のみの展示でした。渦を巻くようにその周りは人・人・人。
私がテレビや雑誌でいだく阿修羅像より実物の大きさは小さく華奢で全体的なイメージは、遠くを見ているしっかりとした目がはかなさや憂いをおび、心の中にすーと入り込むような静かな佇まいを感じます。また、左右の顔の表情は唇をかみしめていたり、怒りの形相に捉えられますが、それとて荒々しさや凄みといった強さよりも内に秘めた精神性の高さが感じられます。
お釈迦様の説法で心から改心している過程の表情なのでしょうか?
解釈はそれぞれ見る人にゆだねられる仏像です。百聞は一見に如かず。
他にも国宝八部衆像、十大弟子像や運慶作釈迦如来像頭部など本当にこれを見逃す手はない。

7時過ぎに観終わったので隣接の表慶館で開催中のカルティエ展に足を運びました。こちらも8時まで観覧できるのは本当にありがたいです。
雑誌penで特集が組まれている 吉岡徳仁さんの監修で見せ方も本当に凝っており、展示品をみながらその解説が映像で現れる。ちょっとしたマジックショウの感覚です。作品は装飾性豊かなティアラやネックレスから腕時計など、眩いばかりのきらめきと緻密な細工と技術で魅せられます。時の皇族や富豪たちをいかに魅了したかのまた時代の流れと共に独創的なシンプルなデザインも登場し時代の変遷も分かる仕組みになっています。
ブースの数も多く1階、2階と全室を使った見ごたえのある展示で、早足でも時間掛かりますので余裕を持ってお出かけくださいませ。

さて、二箇所も展示館を観たらほんとにくたくたでおなかもすきました。
少し足を伸ばし浅草で食事をしました。
ぐるナビで紹介されている釜飯と串焼きでおいしいと評判の 麻鳥で一杯。雷門から歩いて1分位のところにあります。
観光地だけあってお客様の中には外国のかたも多く、話す会話は英語ありフランス語あり、お値段もそこそこで3人でたらふく頂いて一万円くらいです。現金支払いのみですので要注意。 ゴールデンウイークの中日。充実の一日でした。
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