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白鳥のブログ - 日々の世界を徒然と

青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない 感想 本当に「大学生編」は始まるのか?

2019-01-09 12:31:46 | 青ブタ
最後まで映像になったものが面白かったので、結局、原作に手を出してしまった。
久しぶりのアタリ!

で、とりあえず最新作について、の感想を

翔子編となる6巻、7巻については、追って書くつもり。
あの完成度の高さは、確かに神なので!

ということで、以下は9巻の感想。
とりあえず、スペース空けときます。






















































で、最初に問いたいのは、9巻のラストで示された大学生編は本当に始まるのか?って疑問ね。

で、いや始まらないでしょ、
これ、ランドセルガールが見せている(夢としての)「未来」じゃないの?

ってのが、あれこれ考えた結果ね。

6巻、7巻の用意周到さを考えれば、多分、これくらいの込み入った構造は、この作者なら新たに仕掛けてくるのではないか。

で、これも先に書いてしまうと、多分、この込み入った思春期症候群を引き起こしているのは、他でもない桜島麻衣であるのではないか、ということ。

それも、顔には出さないけど、牧之原翔子に思い切り嫉妬した麻衣さんね。

多分、理央が咲太にしていた、今回の現象は、2つ以上の思春期症候群が複合的に重なりあって生じたものなのではないか、という助言も、こうした見方をしてよいヒントのように思える。

なんだかんだいって、理央は、このシリーズの「物語の構造」を示唆する、メタ発言キャラであるから。結局のところ、彼女のいう「量子なんちゃら・・・」がすべての不思議事件のトリックとして示されるからね。

となると、たとえば、ランドセルガール、霧島透子、赤城郁美、の思春期症候群の3重掛け、とか、思いついてしまう。

そこで根っこにあるのは、多分、麻衣自身の翔子に対する嫉妬から生じた、翔子が咲太にとっての初恋の相手にならない世界の構築だと思うんだよね。

だって、翔子編である6巻、7巻における麻衣って、描写としては物分りがよすぎていて、彼女の内面のドロドロしたところには、一切触れられていなかったから。

あれは、物語の進め方として、徹頭徹尾、咲太の「焦り」に焦点を当てていて、周りの人物たちがどう思ったまで書いている余裕がなかったからだと思うんだよね。そこまで書いていたら、7巻のような速度で物語を進めることができなかった。

その結果、麻衣も、非常にものわかりのよい、いわば「都合の良い先輩」として描かれていた。

でもね、麻衣って、きっとそんなに聖女ではないんだよ。
もっとドロドロとしたものを抱えている。でも、それを表に出さないことを身に着けてしまった人だと思うんだよね。

そういう意味では、麻衣は、『化物語』における羽川翼のポジションに近いと思う。

登場時からあてがわれていた麻衣の女優という位置づけや、咲太よりも年上という事実は、必要以上に、麻衣を大人の「気配りのできる」女性のように、作中で描写されてもおかしくないような予断を与えているし。

さらに言えば、周りの他の女子たちが、朋美にしても、のどかにしても、理央にしても、もちろん花楓にしても、年相応に幼く、頼りなく描写されてしまっている分、麻衣の「大人っぷり」は際立ってしまうわけで。

でも、その麻衣からしても、マジで翔子には敵わないと感じたと思うんだよね、あの6巻、7巻で示された牧之原翔子の圧倒的なヒロイン力に対しては。

だって、6巻、7巻を読めば、それまでの5巻の中身が、全て6巻、7巻のための前座であったことがわかるから。ただただ、牧之原翔子編を加速した物語として完成させるために、そのための予備知識や作中内の「事実」を積み上げるべく書かれていたのが、5巻までの内容だったわけで。

その点では、桜島麻衣とて、主演の牧之原翔子の前では、ただの脇役の一人に過ぎない。

なにしろ、真ヒロインの翔子は、心臓病という難病を抱えた(咲太からみても)年下の女の子であり、にもかかわらず、咲太が最も精神的に厳しかったときに、咲太の心を支えた存在なのだから。

その上で、「未来」までわかってしまっているというチート級の能力の持ち主だったわけだから。

だから、咲太にとっての初恋相手という、翔子の特権的地位を、麻衣が心底嫉妬し、咲太と翔子の関係を根本から書き換えたいと思ってもまったくおかしくないと思うんだよね。


それから、あともう一つ、麻衣については、そもそも第1巻の、彼女が皆に「観測されなくなった」ときに、どうして咲太は、彼女の姿を見出すことができたのか、ということもあって。

というのも、7巻で、未来から過去に戻った咲太が、1巻の麻衣同様、皆から観測されない存在となってしまったけど、その咲太を「観測」してくれたのが朋美だったという事実があって。

あそこで、朋美が見つけてくれたのって、多分、2巻にあった例の「量子もつれ」としての「尻の蹴り合い」があったからだよね。

となると、似たような「蹴り合い」を1巻の時間軸以前に、咲太と麻衣の間でも行われていないと、1巻における咲太のように、麻衣をギリギリまで観測し続ける、なんてことは不可能になるように思えたんだよね。

なので、朋美との間にあったような事前の接触が、麻衣と咲太が1巻で出会う以前にあったのでないか。

そして、それも含めて、ランドセルガールとしての麻衣の「夢」なのではないか。

さらにいえば、取ってつけたように突然現れた「赤城郁美」って、わざわざ、ランドセルガールの背負っている「赤い」ランドセルとかぶる「赤城」なので、これは実は、女優の麻衣が演じている「咲太の同級生」なんじゃないのか、って思うんだよね。

で、そんな麻衣の相当こじらせてしまった思春期症候群の発症の発端となったのが、霧島透子の楽曲だった、ということではないのかな?

だから、この「霧島透子」については、咲太の未来についてのエキスパートwである翔子ちゃんでも、全く知らなかったのではないか。

なぜなら、この世界は、すでに麻衣によって、「翔子と咲太の初恋関係」という事実を書き換えるために発動した世界であるから。

なんだったら、翔子が沖縄に療養に向かい、藤沢近辺から消えてしまった、という動きですら、この世界=夢の創造主である麻衣の意向が反映された結果、と見ることもできると思う。

麻衣にとって、翔子は、端的に邪魔な存在なんだよ。

その分、徹底的に、麻衣にとって都合の良い「未来」が生み出されている。

それは、もちろん、今回、咲太が患った「思春期症候群」を完治?させるために最も活躍したのが麻衣であったからでもあるわけだけで。

だって、麻衣からのプロポーズ?によって、咲太は救われたのだから。
でも、あれは、麻衣自身が、素直に最もいいたかったことだと思うんだよね。

女優という手かせや、年上という足かせを、かなぐり捨てて、素直に一人の女の子として、咲太に自分の思いの丈を伝えたくて仕方がなかった。

実際、彼女の「お姉さまぶり」から、読者の方も、咲太と麻衣の間の会話は、咲太が常に麻衣にやり込められるものであっておかしくないと思ってしまっているけれど、でも、それが麻衣の本心かというと、実のところ、かなり怪しいと思えるわけで。

なにしろ、婚姻届という「ワイルドアイテム」を今回の物語の中に持ち込んできたのも、他でもない麻衣だったわけだし。

これ、かなり咲太との未来において強制力のある「縛り」だと思うんだよね。

で、そんな「咲太に対する麻衣の独占欲」が全面展開したのが、実は翔子編に続いて始まった8巻からの世界なのではないか、と。

なにしろ、6巻、7巻の世界では、咲太が将来、翔子と結婚する未来も示されたわけで、けれども、そんな未来を麻衣が許すわけがない。

だって、あの世界では、麻衣は、咲太の命を救うために、自らの命を差し出したくらいなのだから。

いや、麻衣さん、あなた、どんだけ咲太が大好きなの?って感じで。

だって8巻や9巻って、いくら咲太の父親の前だからって、麻衣さん、「私の咲太に対する愛情のほうが、咲太が私に対する愛情よりも、はるかに上です」なんて趣旨のことまで言ったりしてるくらいなんだから。

もう、麻衣は、咲太にベタぼれ、ってことばかりが、呆れるくらい強調されている。

とりあえず、8巻、9巻は、一見すると、花楓の解離性障害にまつわる積み残しの問題と、そんな花楓によって生じた梓川家の家庭不和の問題についての着地点を見出す話であったわけだけど、それはあくまでも表側の話でしかなくて、

その裏側では、実は、作中世界のなりたちが、いつの間にか、麻衣主導のものに書き換えられていたのだと思う。

あくまでも、そのための導入部分として、花楓と梓川家の話が、後日談的エピソードとして記されていただけで。

だって、8巻の花楓の高校進学の話なんて、ほとんど思春期症候群って関係ないわけで。
ただの登校拒否児童問題の紹介でしかないわけで。

要するに、簡単にいえば、麻衣が8巻、9巻の世界の造物主でありゲーマス。
麻衣にとっての、都合の良い世界への作り変えの序章。

そして、だからこそ、9巻の最後で、唐突に、咲太とのどかが、麻衣と同じ大学(横浜市立大学?)に入学する場面が描かれる。

しかも、麻衣は咲太の先輩ではなく、はれて「同級生」になる、という、麻衣にとっては、まさに夢のような世界が実現する。

多分、麻衣からすると、それくらい「同級生」という位置に、つまり、咲太を並んで歩ける世界を望んでいたと思うんだよね。

で、そのための麻衣の願望が、今の世界で形になったものが、咲太の中学時代の同級生(という設定)の赤城郁美なのではないか。

中学時代に、咲太の抱えていた問題を理解していたと、今更ながら主張する「赤城郁美」という存在によって、咲太の悩みは、ひとり翔子のみが知るものであった、という関係に、楔をうつことになるわけで。

まさに、翔子と咲太の「初恋関係」という絶対的関係に介入する存在が赤城郁美だから。
それこそ、麻衣が演じる中学生のキャラなんだよ。

要するに、6巻、7巻が、完全に翔子のターンであったとすれば、
8巻以降は、麻衣のターンである、ということ。

そもそも、「思春期症候群」という「病」が大学生になっても続く、というほうが、言葉の定義上、どう見てもおかしい。

だって、さすがに、大学生はもう思春期ではないよ。
思春期は、高校生とともに卒業するもの。
つまり、思春期症候群も発症するのは、高校生まで、ということ。

ということで、多分、大学生編にはならない、と思う。

となると、3重掛けの思春期症候群を、咲太がいつ、どのように気がつくのか、が問題で。

それを解く鍵は、やっぱり翔子ちゃんの再登場にあるんだろうな。

そもそも、翔子に確認すれば済みそうないくつかの疑問についても、なぜか抑圧されてしまっていることも、この世界が麻衣が作り出したものだからなのだと思う。

つまり、「犯人はあなたなんですね、麻衣さん」と、いつ咲太が麻衣に告げるのか?

そして、その指摘に、無自覚にそんなことを発動させていた自分の「嫉妬心の根深さ」に思い悩む麻衣。

きっと、そんなドロドロの世界が始まるんだよ!この先w

ということで、次巻が楽しみ。


というか、実のところ、こんなふうにでも読まないと、8巻、9巻、って、あの6巻、7巻の後では、死ぬほど退屈でしかなかったから。

8巻、9巻って、後日談というよりも単に蛇足にしか見えなかったわけで。

正直、こんな家族問題とか登校拒否問題とか、ガチで扱われても、全然おもしろくないじゃん!って思ってしまったわけで。

まぁ、『CLANNAD』とか好きな人たちには、そのノリで、8巻、9巻の、「梓川家」家族ゲームも楽しめたみたいだけど、『CLANNAD』って、個人的には全く面白いとは思えなかったから。

まぁ、この作者、全体的に左っぽいところはあるとは思うけど。
咲太に教師になることを勧めちゃうところとかね。

ともあれ、6巻、7巻の後で読むものとしては、あまりにフツーで、あれ、これ、全然盛り上がらないじゃん!って感じで。

少なくとも、こんな後日談、外伝でいいじゃん、本編の後で書くものじゃないよね、って思っていた。

だから、9巻の最後まで読むのも実は苦痛だったわけだけど、9巻の最後で唐突に大学生編らしきものが始まったところで、あれ、これもしかしたら?と思ったのだった。

で、上に書いたように、8巻、9巻が、基本的に、麻衣の描いた理想の未来の世界の物語だったら、どうなる?と思えてきて。

そこまで考えると、そもそも、翔子が、咲太でも麻衣でもない人物から心臓移植を受けることになった、という、ご都合主義的なハッピーエンドすら、麻衣の世界構築力の賜物のように思えてきてしまえるのだけど。

まぁ、そこまでいくと、むしろ、まどマギの映画の「ほむら」のようにすら思えてくるけど。
あー、麻衣さんの情念が重いわー、って感じw

でも、こんなふうに考えると、いや、もうあと2、3回、大ドンデン返しがあるかも?って気になって楽しみになってきたんだよね。

ということで、続きがとても気になる。

ほんとに、大学生編は始まるのか?

麻衣さん、そこまで咲太に対する独占欲が強いのってどうして?

謎は、むしろ、ますます深まるばかりなのだった!


しかし、ここまで書いてきて今更ながら気づいたけど、このシリーズのスゴイところは、目の前で読まされている物語のプロット自体が、登場キャラのだれかの「夢」であってもおかしくはないと思わせながら読ませる舞台装置として「思春期症候群」という仕掛けを作ったところにあるんだろうな。

量子力学、スゴイな!万能だな!
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