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白鳥のブログ - 日々の世界を徒然と

はたらく魔王さま! 第10巻 感想

2013-12-12 15:42:51 | はたらく魔王さま!
いやー、綺麗な「中締め」回。
よかったねー、みんな無事で!おかえりなさい! って感じ。

ということで、8巻から始まったエンテ・イスラ編にようやく終止符!
一応、ネタバレもあるので、ちょっとスペース空けときます。

















































いやー、繰り返しになるけど、ホント、綺麗な中締め。
エミリアが真奥に救出されるのは、まぁ、もはや予定調和的にわかっていたことなので、あとは、そこに至る過程をどう描くのか?ってことだけで。
そういう意味で、綺麗な締め方だった。

細かいところを言えば、前巻で体調不良に陥っていた真奥の復活のあたりが、今ひとつよく理解できなかったけど、そこは、まぁ、勢いで読めた。

補足すると、一応本文中の描写と説明を合わせるとこんな感じ。

真奥とアシエスとの融合を一旦解除することで、真奥への魔力供給が回復し、元の魔王としての力が完全復活した、ということ。
その後、魔王はアシエスと再融合して、聖剣ベターハーフを使って、完全チート復活し、三天使を超!圧倒して終わり!、って感じなんだけど、再融合の時は、アシエスがアルシエルから魔力と馴染んだイェソドの欠片を補充したから、魔力全開の魔王とも馴染んで融合できた、ってことみたい。

と、説明されてもよくわかんないよねw

まぁ、多分、このよくわかんない感じを順を追って説明していくが、11巻以降の話なのだろうな。

なので、この10巻は、予定調和のエミリア救出の流れの中で、どれだけイェソドの欠片や生命の木セフィロト、宝珠セフィラの秘密の核心に迫っていくのか、というのがポイント。なぜなら、それらが、11巻以降の伏線になるから。

しかし、そう思うと、概ね前巻の9巻の感想の時に書いた「今後の展開予想」通りの流れになってしまって、ちょっと笑ってしまった。
ある意味、わかり易すぎるほどわかり易い物語展開でw

魔王たちが不在中の笹塚でルシフェルが活躍してた、ってところまで含めてw
で、その話は11巻以降で明かされる、ってことも。

ホント、綺麗な中締め回だった。

しかし、そう思うと、このエンテ・イスラ編で最も株を上げたのは鈴乃だったな。
実質的にエンテ・イスラ世界最高の聖職者になり、しかも、オルバに代わって、勇者エミリアの仲間入り。これで、周りからも一目置かれる存在となり、晴れて悪魔大元帥を引き受けてもおかしくない存在として認められたw

ということで、ある意味で、鈴乃=クリスティア・ベルの作内位置づけの大幅引き上げ、がエンテ・イスラ編の裏テーマの一つだった、ってことで。

それにしても、まさか、最後の最後で、ミキティw降臨、とは思わなかった。
しかも、わざわざ貴重なイラストページまで使ってw

わかっていたこととはいえ、彼女が11巻以後の第二部のキーパーソンだよね。

あとは、セフィロトやセフィラだけど・・・

最後に、ミキティが対峙した、天使をも手玉に取る超・実力者が「宇宙服(のようなもの)」を着ていたのは想定外。

序盤に、天祢が示唆していた「月」を踏まえると・・・、

やっぱり、エンテ・イスラって月面にあるのかな?

となると、天使とか悪魔って、実は月面でも活動可能にするために、人間をベースにして何らかの改造?を加えた存在なのか?・・・ってなことも想像してしまう。

いきなりのトンデモ設定だが。

もっとも、魔王が笹塚でバイトしてること自体、既に十分トンデモwなわけだから、今更なわけだけど。

それにしてもねー。

ミキティのトンデモパワーで、ガブリエルも簡単に拉致できたので、まぁ、彼から、彼ら天使側が描いている計画を明らかにするのが11巻の中身なんだろうな。

そして、その上で、新生魔王軍や悪魔元帥や四天王が、つまりは、笹塚に集まった悪魔や人間や天使が協力して、その世界の危機に立ち向かう! ってのが11巻以降の展開かな。まぁ、今回の一件で、魔王と勇者の因縁はすっかり片がついてしまったわけで。

そういえば、アルシエルは、ホントに一国の王として迎えられそうだけどw

それだけに、魔王の留守中にいったい何が起こったのか、どんな事件があったために、10巻最終場面でミキティが介入するような事態になったのか。その辺りが気になるところ。

とはいえ。

9巻感想でも書いたように、こうした、みんなで世界を救う、といった話をどこまで本気でやるかによって、この作品の印象は今後、大きく変わってしまうかもしれない。

というのも、この物語の面白さは、あくまでも悪魔や天使、勇者といった異世界のプロフィールを抱えながらも、笹塚で労働に励む真奥たちが繰り広げる、時に悲哀感漂うコメディの部分にこそあるから。

だから、ミキティにしても、なにか訳知り顔の奇っ怪な存在、ぐらいで真奥たちのまわりに漂っていれば良かったぐらいの存在でなくちゃいけない。それが、今回のように、本編の話を進める鍵となるのは、ちょっとね。

もちろん、今までの記述から、ミキティや天祢の立ち位置は、一応「中立」のはずだから、必要な情報だけ渡して、その最終判断や実際の行動は魔王たちに委ねる、ってことになるのだろうけど。

と言った具合に、11巻以降は、結構、物語の展開が微妙になりそう。
それくらい、本巻10巻は、ターニングポイントの回だったってわけで。

さぁ、どうなるのか。

ただ、この手の「ファンタジーもどき」の物語が、進行上、その世界の秘密に迫った結果、ガチの「ファンタジー」に旋回してしまうと、あまりいい結末にはならないんだよね。

なぜなら、「ファンタジーもどき」の物語では、ファンタジー成分とはあくまでも背景に過ぎないはずで、その背景に手を出すと、本編の魅力まで損ねてしまうから。

その意味で、少し前から小出しにされていた、天使はもともと人間だった、というような設定は、できれば、ああそうなの?というぐらいで、極力スルー扱いして欲しいかな。

いや、だって、マジで嫌な予感しかしないじゃない。

魔族も天使も人間も、もとは一緒で、区別のないもでした、とか、
人間を操作することで生まれたのが、天使や魔族です、とか。

興ざめでしょ?

あるいは、どこかの世界にあるとしかいえない異世界=エンテ・イスラが、
実は、月面にある人工基地でした、云々、とか。

夢破れるでしょ?

ということで、次回11巻がどんな仕切り直しをしてくるのかが、とても気になる。

それは、今書いたようなエンテ・イスラという「世界」に関わるものだけでなく、確執が限りなく消失してしまった、真奥とエミリアを始めとする「登場人物」たちについても。

いや、むしろ、後者のほうが大事かもしれない。
一体どんなこだわりをもって彼らの間にドラマを生み出していくのか。

その意味では、10巻最後で、鈴乃が真奥を問い詰めていた、千穂との関係はどうするのか?千穂にはなんて答えるのか?というあたりは、結構重要な問いだよね。

真奥とエミリアの確執、エミリアの故郷や父母への愛情、鈴乃の真奥に対する疑念、千穂の真奥への思慕、梨香の芦屋への感情、あるいは、天祢はどの程度信頼できるのか、・・・、など、それぞれの登場人物の間に存在したドラマ的素材(不安要素)が、8巻からのエンテ・イスラ編で、概ね、フラットになってしまったんだよね。

前巻で、鈴乃は真奥を許してしまったように、皆、超・仲良しであることがお互いにわかってしまったから。

なので、コメディないし人間ドラマとして続けるには、実はかなりやばい状態。
一つ間違うと、マンネリのグダグダな展開になりかねない。

その意味で、11巻は、超重要。

さて、どんな形で、第二部の幕があがるのか?

とても楽しみ。
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