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白鳥のブログ - 日々の世界を徒然と

PSYCHO-PASS サイコパス 3 FIRST INSPECTOR 感想: 「サイコパス4」へ繋げるための手の混んだ「つなぎ」シリーズ。おかえり、常守!

2020-04-01 15:40:50 | サイコパス
弥生さんの命はどうなったの?生きてるの?という、まったくもって、いいところで終わったテレビシリーズの『サイコパス3』。

その続編としての劇場版ということだったのだけど・・・。

結論だけさきにいうと、なんか、とにかくどこをとっても中途半端な形で終わったなぁ、という感じで、どうにも不完全燃焼な印象が拭えない。

というか、カタルシスは皆無。

SFとしても、アクションものとしても、警察もの、推理もの、ホラー、サスペンス、・・・、というどのジャンル要素を見ても、中途半端だった、ということ。

特に、アクションシーンはひどくて、さぁ、ここからアクションが始まりますよー、って音楽を鳴らし始めてから、確かに銃撃戦や近接の殴り合いとかが始まるのだけど、それがどうにもヌルい。

多分、ちゃんと殺陣を考えて動かしているのだろうけど、その動きがとにかくのろい。

あれ、もう少し緩急をつけて動かすとか、できなかったのかな?

どのシーンも、アクションシーンをちょっとスローモーションにして動かしているように見えて、なんていうか、戦っているというよりも、師範が弟子に組手の稽古をつけているという感じで。

特に、炯と狡噛の殴り合いのシーンね。

てか、そもそも、なんでこの二人で殴り合わないといけないんだよ、と思うわけで、それは、物語の進行に対しても、単に遅延材料にしかならないわけで。

とにかく、全編にわたって、アクションが始まると、あー、これは尺稼ぎのためにやっているんだなぁ、とっとと終わらせて、物語を進めてくれよ!、と思わずにはいられなかった。

それくらい、とにかく鈍い。

じゃあ、そうした数々のアクションシーンを経て、ようやくたどり着いた物語の終着点はなにか、といえば、またぞろ、シビュラをどうするか?という話なのだから、やってられない。

というか、今回の敵役と思っていたビフロストが、シビュラ開発時のデバッグシステムだから、いろいろとシビュラの目をかいくぐって好き放題してこれたけど、そのシビュラも経験値を積んでシステムとして進化したから、もうお役御免ですね、じゃ、吸収しちゃいましょう、というのが、少なくとも父親らからコングレスマンの地位を継いだ法斑静火の狙いでした、とか、はぁ?、と思うわけで。

その上、法斑静火は、ビフロストの始末に貢献したということでシビュラに認められて、次のシリーズからは、霜月の上官として公安局を動かす地位につくというのだから。

同時に、その公安局に自身の身柄を預ける条件として、法斑静火は常守朱の釈放を求めるわけで。

でもさ、そもそも常守がどうして檻の中にいるのか不明なまま、今回のシリーズは始まっているから、釈放されます!とかいっても、なにそれ?ということしかならない。

釈放された常守を狡噛が出迎える、というシーンを描きたかっただけにしか見えないんだよなぁ。

ともあれ、次の「サイコパス4」では、常守が公安局に戻り、霜月のアドバイザー、というか、お目付け役になりながら、より大きな事件にかかわっていく、ということなのだろうね。

で、その際には、今回わざわざ狡噛や宜野座を所属させた外務省行動課という国際犯罪を担当にするセクションも絡めていく、ということなんだろうね。

なんだか、最後の常守の言い方だと、シビュラシステムを一般社会に公開し、正しく法の下に位置づけようとしている計画があるようだから、その際には、それこそ、アメリカやロシアや中国といった諸外国で稼働している同系統のシステムとの整合性とか共存とか、を考えていくのかな?

一応、「システム」という名がつけられているから、普通には超AIシステムのように思われているのだろうけど。

でも、それが、免罪体質の人間の脳をつないだ生体ネットワークシステムと言われたら、たまらないのだろうけど。

でも、わざわざ外務省を登場させるのだから、国益や公益を配慮しながら、国内の事案と国際的な事案との間でいかにしてシステムを開放していくのか、ということなのだろうな、と。

一応、現代の中国のソーシャルクレジットシステムとかが、仮に諸外国に開放されたらどうなるか、とかいうことを、想定しているのかもしれないけれど。

なんたって、製作委員会の筆頭がフジテレビだしね。


ともあれ、今回の第3期は、ホント、壮大な「つなぎ回」という感じしかしなかった。

こんなことをいうと身もふたもないのだけど、単にプロダクションIGを存続させるためだけに通された企画、という感じかなぁ。

だって、テレビシリーズでも映画でも、新作を作るとなれば、フジテレビを中心にプロダクションIGに制作費が振り込まれるわけじゃない。

そのために企画が作られた、という印象が強すぎる。

裏返すと、サイコパスはもはや攻殻機動隊と同様、プロダクションIGの看板シリーズってことなのだけど。

なんだろう、円谷プロがいまだにウルトラマンを作って食いつないでいるのに近い、というか。

仮面ライダーシリーズとか、でもいいけど。

なんか、とにかく、サイコパスというシリーズが古びないようにするためだけに、作られたシリーズという感じ。

だから、シリーズ存続のために、灼や炯のような新たな主人公を一応登場させて、その彼らを管理する上官として、常守に代わって公安局の課長に霜月をあてがっていただけ、という感じがするんだよね。

もっとも、常守は灼が公安に配属される前にすでに彼の免罪体質に気づいていたみたいだから、もっと根っこのところで、物語はつながっているのだろうけど。

まぁ、冲方丁らしい大風呂敷ではあるけれど。

あのいくつシリーズを続けたら、その大風呂敷はちゃんとたためるのだろう?w

そういう意味では、あのほとんどオカルトか?と思わせる灼のメンタルトレース能力も、どこかで、シビュラの「一般公開」で役立つ能力として位置づけられるのだろうか?

なんか、灼をシビュラと人びとの架け橋として使っていきたい、みたいなことも最後にはいわれていたし。。。


ともあれ、このシリーズの主人公はすっかりシビュラシステムそのものになってしまったため、灼や炯のような新キャラがでてきても、結局のところ、狂言回しにしか見えないところが、どうにもなんだかなぁ、と思うところ。

いっそのこと、次のサイコパス4では、つなぎシリーズの主人公らしく、あっさり灼は脳みそをシビュラに取り上げられ、炯はいつの間にか暗殺されている、とかいう感じで、消されてしまうとシビれるのだがw

そうして、晴れて常守と狡噛が主役を務める物語に戻していくということで。

そのファイナルシリーズでは、ぜひぜひ、虚淵の再登板を期待したいところだけど。
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