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白鳥のブログ - 日々の世界を徒然と

アクセル・ワールド 第13巻 『水際の号火』 感想

2013-02-09 20:30:55 | SAO/AW
いやー、面白かった!
さすがですね、川原礫は!
相変わらずのアップ・アンド・ダウンを繰り返す展開。
この人、本当に極上のストーリーテラーだなぁ。

で、以下は、ネタバレもあるので、未読の人はそこをわかった上でお願いします。
































話の流れ的には、前巻の幕切れから当然のごとく、アクア・カレント(カレン)がネガ・ネビュラに復帰するところから始まる。
この復帰は意外とあっさりと行われてしまい、いきなり、カレンは領土戦にも参加して活躍する。

でもさ、何で誰もカレンを、メイデンの時と同じように、無限EKから救おうという話をしないの?と途中まで疑問に思いつつも、でも、またあの《帝城》攻略をするのか、また、四神と戦うのか、これ、簡単にはいかないよな、また、それを《災禍の鎧》編のようにやったらあと何巻必要になるんだ、物語的にもたるいよなぁ。。。

・・・と思っていたのだが、まさかの裏技的w偶然的w、つまりは超ご都合主義的展開なのだけどw,強力な助っ人が参戦し、彼らとともに、さらにはISSキッドの本体まで倒しに行く・・・・なんて展開になるとはね。

で、その助っ人が、プロミのニコとパドさん。
しかも、どうやら話の流れ的には、パドさんの親がカレンらしい。
そりゃ、キャラ、かぶってはずだわな、とね。

実は、中盤の領土戦が前巻のショコラのところのように、これ、意味あるのかな、と思っていたのだけど、ちゃんと、ニコがハルユキに急接近するところに繋げるところも上手い。

ついでに言ってしまえば、アッシュさんがやばい事態になって、いわばその救出のために、ネガ・ネビュラス+ニコ/パドが、カレン救出とメタトロン攻略に出向くことになってしまったのだけど、この展開も、針の穴を指すように、一応、今までの設定の裏の裏をついてくる「出口なし」的展開を経てのものなので。

AWにしてもSAOにしても、川原礫という作者の手法は、細部の展開が徹底的にゲーム的、つまり、作品世界の設定を理詰めで押していくとそのルートを選択せざるを得ない、というふうに持ち込むところが凄い。そこが他のラノベと全く異なるところ。

多くのラノベは、お約束の展開と萌え要素をつないで、途中に学園ラブコメないしハーレム的要素を入れて、適当に冒険を終わらせる。設定もあるにはあるけど、その多くは背景でしかない。

でも、川原礫は、設定の組み合わせをきちんと理詰めに検証して、その選択肢の浮上と、物語の流れの間に、うまいこと、整合性をつける。

いやー、ホント、驚くよ。

実は、ちょっと前に《災禍の鎧》編の6-9巻を再読したのだけど、その時も、初読の時には見過ごしていた伏線や設定の照応にかなり驚いていた。ちょっとしたフレーズが後になってちゃんと現れる。

だから、無駄になるような記述が一切ない。
細部が、計算されて書き込まれている。
そういうところが、とてもゲーム的。

11巻から始まった、作者いうところの《メタトロン攻略編》も既に3巻となり、作者は次の14巻で完結させると、あとがきで言ってるのだけど、単純にメタトロンをやっつけるところまでは確かに終えて、その過程でカレンとアッシュさんを救出する、というミッションは完結させそうだけど、物語的には、加速世界の秘密や狙い、黒雪姫と実姉との因縁、加速研究会の真意、など、大きな流れができてしまっているので、もはや「XXXX編」と括ることにも、それほど意味がなくなってきている。

もう本編が完結するまでは、ずっと「つづく」が続く感じw

だって、どう考えても、《帝城》に再度臨むならトリリードが再登場するに決まってるだろうし、メタトロンを攻略するなら、緑の王のグリーングランデやアイアンパウンドが物語に絡んできてもおかしくない。あるいは、青の王やマンガン姉妹とか。

ブレインバースト(BB)は格ゲーかもしれないけど、AWの物語は、もはやSAOのようにBBの世界=ゲームマスターを攻略する方向に言ってるから、レギオンはSAOのギルドのように、互いに協力してBBのGMに挑む、という感じになってきてると思うんだよね。

で、今回の最後で、ネガ・ネビュラスにニコ/パドが参加するところが、物語的に、世界の秘密に肉薄していく方に急旋回したことを表していると思える。

あと、今回、ニコがハルを名前で「ハルユキ」と呼び捨てにするようになったエピソードのあたりで、ハルユキがこのAWの世界で担っている「光」の役割が、間接的にではあるけれど、明らかになってきた気がする。

それも、今後の物語の収束に向けて、大きな意味をもつのだろうな、と。

実は、このニコのエピソードの部分は、やべ、ニコ、死亡フラグ立ててるよ、だから表紙飾っちゃったのかよ?とヒヤヒヤしながら読んだのだけど、それが、どうやらそうではなく、最後の、オールキャスト参戦を準備するものと思えて、ホッとしたのだった。

さすがに、ニコ、が全損してBBから退場はないだろう、でも、この作者は、結構マゾっ気があるから、ヤバイかなー、とね。

いや、まだ、次巻以降に、ニコまさかの退場、って展開もありそうなんだけど。

まぁ、そういう先行きのヒヤヒヤ感を醸し出すところも、この作者ならではのところで。

だから、ステーリーテリングの名手なんだよね。

・・・ということで、思いついたら、また多分書くと思うけど、読後直後の感想としてはこんなところで。

いやー、ホント、上手いなー。

よくよく考えるとご都合主義的展開ばかりなんだけど、それをそれと気づかせない筋の運び方には驚かされる。

次巻が楽しみだな。
でも、多分6月とか7月だよなー。
うーん、長いなー。
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