雑記帳(新居)

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Core i7 920でお試し中

2009-09-23 03:00:00 | MyPC
久しぶりに新規マシンを構成して、どうやら安定稼働のめどが立ったので書いておく。

■CPU:i7 920 D0
■ロット:3910A635
■産地:Costa Rica
■購入日、店舗:9/21 99 12号店
■CPUFAN:KABUTO(ファンをちょっとだけ高速回転版に変更)
■熱伝導媒体:ちょっとだけ銀入りグリス
■M/B:P6T
■BIOS 未確認
■動作クロック:3800
■BCLK:190
■CPU倍率:20(Turbo Modeは切っている)
■Vcore:1.2125(BIOS)
■Vdimm: AUTO
■メモリ: PATRIOT PSD36G1600KH (2GB*3)
■メモリ倍率:2:8
■DRAM Frequency:760
■DRAM Timing: デフォルトから変更していない
■HTの有無:有
■コア温度:確認できた最大で87度
■室温:たぶん30度を少し超える

D0ステッピングのCore i7 920としては普通なのだろうか。オーバークロック猛者の報告では4GHz稼働は当たり前にある。この個体でもCPUコア電圧を大盛りにすれば(1.275~1.3Vくらい?)4GHzでの稼働も見込めそうな手応えはある。しかし、それで論理8コアフル稼働させると、瞬時にコア温度が100度近くまで上がってしまうため、冷却を根本的に変えなければ到底それで常用などできない。普通の空冷でしかもエアフローの悪い場所に設置せざるを得ないため、上記設定でも冷却がいっぱいいっぱいである。夏になったらクロックと電圧をさらに下げざるを得ないが、来年夏までこの構成のままとも思えない。
マザーボードもLGA1366の普及品でありオーバークロック向けとは言えない。特に、電源のフェーズ数がハイエンドモデルに比べると少ない。オーバークロック時には非常に大きな電力供給が必要なので、そこで無理が生じる。
考えてみればこれでも定格+40%以上であり、Core 2 Quad Q6600で3.4GHz常時稼働させたとき以来の恐ろしい設定である。

筆者のスタンスとしては、限界を追求することが目的ではなく、あくまで、お手軽に購入できてお手軽に設定できる範囲で、どの程度いけるのかである。一例として参考になれば。

Core 2 Quad (当時はCore 2 Quad Extreme)がうちの部隊に初めて投入されたのが2006年末。それ以降、G0ステッピングあるいは45nmプロセスなどのマイナーチェンジは投入されたけれども、実に3年近くにわたって世代交代をしていなかったことになる。(一方、GPUについてはこの間何回となく世代交代してきた)当初は、新登場のLGA1156 Core i7を検討したけれども、狙ってみるならむしろLGA1366でCore i7 920の方がよいという情報が多く、方針転換した。

なお、このマシンの「本名」は未定だけれども、ネットワーク上での名前は迷いなく決定された。今うちの部隊には(ネットワーク上で)Victoria (Ravva)とKasia (Skowronska)がいるので、バレー界三大美女最後のManon (Flier)である。
Manonはこのような新手のプロジェクトで戦線投入された。もしこの戦線投入が成功すれば、GPUを使うのに比べても破格のポイントを獲得できる。捕らぬ狸の皮算用もいいところだが、いつまでもCore 2 Quadのままというわけにもいかないし、世代交代の契機としてはちょうどよい。

さて、Core i7が登場してからすでに1年近く経過しているが、依然として二の足を踏んでいた。
Core 2プラットホームについてはさまざまな最適化のノウハウが蓄積されている。(注: ここで言う「最適化」はプログラムを実行する側の話で、プログラムを作る側ではない。)CPUもプラットホームも一新されれば、その最適化も一からやり直しになる。HyperthreadingありのCore i7に対して、Core 2と同じレベルで最適化できるのかどうか。上記プロジェクトはLinux(かMac OS)が前提だが、Core i7かつWindowsでそこのところの自信は全くない。しかも、LGA1366のCore i7は、性能はそれなりに上がる代わり消費電力も半端でなく多い。
Core i7において特に悩ましいのは、Hyperthreading(以下HTと略す)の使いこなしである。同時に実行する数を2倍に増やして、論理8コアを全て使うのがよいのか。あるいはあえてそれをせず、物理1コアに対して(処理の重い)タスク1つだけがよいのか。HTの効果が小さければ、むしろHTを切ったほうが、オーバークロックの限界も上がり、同じクロックなら消費電力を減らせる。しかし、そもそもHTなしでは、高額な出費をしてCore 2 QuadからCore i7に乗り換えるほどの性能向上は見込めない。

Core 2がミッドレンジからハイエンドに君臨した時代がそれほど長かった。
さて、現在では、「弩級」をもって「ド級」に当て字され、大きさや迫力が「他を圧倒している」という意味に使用されることが多いけれども、「ド級」とは本来は英海軍軍艦「ドレッドノート」に由来する。筆者は軍事には疎いため詳細はリンク先を参照されたいが、斬新な設計・技術で圧倒的な優位に立ち、それ以前の戦艦を全て陳腐な旧式の存在にしてしまったという存在である。
その本来の意味で、PCパーツの世界で、Core 2ほど「ド級」と呼ぶにふさわしい存在は近来ないと言えるだろう。Core 2の登場により、それ以前のミッドレンジからハイエンドのCPU全てが、陳腐な旧式製品になってしまった。AMDはCore 2に対抗できる性能の製品を出せなかったため、結局ハイエンドのラインアップを断念するしかなかった。そして「超ド級」に当たるCore 2 Quadがまもなく登場し、圧倒的な優位を保ち続けた。
Core i7が登場しあるいはAMDがPhenom IIで追い上げても、Core 2は電力当たりのパフォーマンスで依然として強さを見せた。「電力当たりパフォーマンス」は、分散計算で戦うなら決定的に重要である。今やハードウェアの価格は最大の問題ではなく、電力コストまたは電力の容量こそがそのまま計算能力の上限に直結する。「電力の神話」と言ってもいい時代だ。