パンセ(みたいなものを目指して)

好きなものはモーツァルト、ブルックナーとポール・マッカートニー、ヘッセ、サッカー。あとは面倒くさいことを考えること

イワンの悪夢

2022年04月21日 10時07分56秒 | あれこれ考えること

ロシア(ソ連)は自分が一番最初に出かけた外国だった
目的地はドイツだったがロシア経由としたのはドストエフスキーの影響だ
「カラマーゾフの兄弟」「罪と罰」「白痴」「悪霊」「未成年」などの
濃厚な世界を生んだ現地(空気)を体験してみたいと思ったからだ

飛行機から見るロシアの大地は圧倒的なスケールで、
川はくねくねと曲がり三日月湖ができる過程のようで、
家も見当たらず人っ子一人いないその広さに百聞は一見に如かず
を実感したものだった

気の滅入るプーチンの戦争だが、プーチンのなにかに取り憑かれているような表情をみて
不意に「カラマーゾフの兄弟」の中でイワンが夢(幻視)で悪魔と会話してるシーンを思い出した
(悪魔は父親殺しの本当の犯人はイワンで、イワンは自覚していたのではないか
 と問い詰める、、実際にヒョードルを殺したのはスメルジャコフだったが)

イワンは有名な大審問官のエピソードの前に、虐げられたかわいそうな子どもの例をあげて
そのあまりの酷さに、それをも許す神の存在は受け入れられないとアリョーシャに告げる
こんな酷いことをする人間に対し、彼はアリョーシャにどうしたら良いか?と尋ねる
アリョーシャは勢いに負けて口にすべきでなない言葉を発してしまう

ロシアは全人類の苦悩を背負って生きるみたいな感覚があるらしい
それはロシアと言うよりドストエフスキーのあり方だったかもしれない
だが、その生真面目な深いところから出てくる思想を生み出すロシアの何かは
信じられるものだと思っていた

今、世界的にロシアの文化が排除されつつある
クラシックの世界では指揮者のゲルギエフの演奏会が中止されたり
チャイコフスキーコンクールが世界のコンクールのカテゴリーから外されたりしている
そして音楽プログラムもロシア作曲家の曲は変更されることが多いようだ

政治と音楽(文化)は違うと言っても、感情的にそんなに簡単に区別できないのが
人という感情を持った存在
こういう時は皆がハイテンションでその時の気分に左右されやすい
いったんこうなると元に戻すのは至難の業となる
だからこそ、このような状況を作らないことが一番肝心なこととなる

世の中が奇妙な好ましくない方向に向かうと感じた時
その兆しが見えるうちに、早めにその悪い兆しを潰さないといけないと思う
ただその兆しを感じ取る人と、そうでない人の間には
分断ができてしまっているのは問題だが、、

どうも気が滅入る(ニュースも見たくない)


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