パンセ(みたいなものを目指して)

好きなものはモーツァルト、ブルックナーとポール・マッカートニー、ヘッセ、サッカー。あとは面倒くさいことを考えること

立原道造 「のちのおもひに」から

2015年05月02日 20時59分37秒 | 徒然なるままに

昔、図書館で偶然見つけて、初めて書き写すという行為をしたのが
立原 道造のソネット 「のちのおもいひに」

不思議なことに何故かこの詩は覚えられなかった
覚えようとするまえに、頭がこの言葉がイメージする世界に酔って
何度トライしても覚えられなかった

最初は冒頭の部分が好きだった
しかし最近、2番めの部分の

──そして私は

見て来たものを 島々を 波を 岬を 日光月光を

だれもきいてゐないと知りながら 語りつづけた……

この部分がとても切実に思えてきている
年齢を重ねたせいか、それとも性格によるものか分からないが
結局人は誰でも孤独で、誰も聞いていないと知りながら
語り続ける存在なのだと思えたりして、、

 

のちのおもひに

                       立 原 道 造

 

夢はいつもかへつて行つた 山の麓のさびしい村に
水引草に風が立ち

草ひばりのうたひやまない

しづまりかへつた午さがりの林道を

 

うららかに青い空には陽がてり 火山は眠つてゐた

──そして私は

見て来たものを 島々を 波を 岬を 日光月光を

だれもきいてゐないと知りながら 語りつづけた……

 

夢は そのさきには もうゆかない

なにもかも 忘れ果てようとおもひ

忘れつくしたことさへ 忘れてしまつたときには

 

夢は 真冬の追憶のうちに凍るであらう

そして それは戸をあけて 寂寥のなかに

星くづにてらされた道を過ぎ去るであらう

 

 

 

 

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