パンセ(みたいなものを目指して)

好きなものはモーツァルト、ブルックナーとポール・マッカートニー、ヘッセ、サッカー。あとは面倒くさいことを考えること

悔しさと楽しさ

2021年08月07日 08時55分20秒 | 徒然なるままに

オリンピックもサッカーのワールドカップも4年に一度
それ故に人智で納得できない出来事、あるいは試練が人にもたらされる
その時期にピークになる人、ピークを過ぎる人
直前に怪我をする人、魔物に捉えられたように信じられないミスをする人
それらは最終的には選手個人の中で内面化されて意味を持つ

オリンピックの中で多分唯一関心をもったのがサッカー男子
先日の準決勝のスペイン戦は改めて力の差を実感し、結果は妥当なものだった

疲れているのは相手も同じだが、昨日の3位決定戦の日本は立ち上がりから冴えなかった
この時期の2試合続けての延長は疲労が影響していたのだろう
そしてまた今回も残酷な運命をボランチの遠藤航に与えた
遠藤はオーバーエイジからの助っ人で、守備の安定をもたらした人物だ
スペイン戦では少し調子を落としていたが、それでもこのチームへの貢献度は高い
その彼が、頑張っていた彼が、PKを与えるきっかけを作ってしまった
このパターンか!(頑張った人が報われないどころか過酷な運命の)
頭に浮かんだのはそのことだった
このPKはメキシコの選手が素晴らしかった
気合の入ったキーパーの谷をあざ笑うようなゆるいキック
この全体の緊張を打ち破るようなキックによるシュートは、試合全体の雰囲気をつくる
そして試合はそのままメキシコに流れが行ったままだった
しかし流れで解説されるべきものではなく、結局は力不足だったということだろう
結果は、メキシコ3−1日本

ただ試合後の遠藤のインタビューが良かった
今日は自分の責任だ、、彼は反省を口にした
チームゲームだから1人が責任というわけではないが、
そのように自ら口にできるのはなかなかできることじゃない
責任はどこにあるのかさっぱりわからない、、どこかの組織では見られない光景だった

試合後、久保は号泣していた
それは小さな子どもが試合に負けて悔しくて泣きじゃくる姿を連想させた
と同時に、この選手はまだまだ上に行くだろうな、、と実感した
上に行く選手の条件は、負けず嫌いだが、こうしたつらい経験を自らの試練として
内面化できれば、この経験も無駄ではなかったとなるかもしれない

卓球の伊藤美誠も悔しい、、と負けん気の強いところを見せた
だがその後、楽しかった  とも口にした
負けたのに楽しかった?  
それはある方面からしか物事を見ない人には不謹慎な言葉かもしれない
だが、この楽しかったという感覚は、彼女の本当の気持ちだったに違いない

試合の最中、負けてる状態で必死にあの手この手を考える
その考えに体がついていくか、、相手はどう考えているのか 何が最善か、、、
この時間はものすごく密度の濃い時間経過で
例えば将棋の藤井聡太さんと豊島さんが必死になって最善手を出し合っている光景と同じではないのか
将棋に負けた方は悔しい、、しかし、相手と会話をするような絞り出そうとする瞬間は、
おそらく勝ちの喜びよりも、生きていると言った充実感を伴うもので、
それこそが彼らが将棋に夢中になる大きな要因だろう

強い相手がいて、挑んで、必死になる
努力は報われないかもしれない
外野はあれこれ精神の問題とか、技術の問題とか、練習方法(勉強方法)に問題がある
というかもしれない
だが、強い相手、それがライバル国の人であれ、どこの国の人であれ戦う者同士は
その会話を成立させるだけのそれぞれの努力の量を身をもって感じ取るだろう
そこで生まれるのは、相手に対するリスペクトで、
一部に見られるナショナリズム一辺倒の応援は当事者同士にはえらい迷惑になったりする

結果のでるスポーツは残酷で、それ故に美しいのかもしれない
見てるだけの人にも何かを感じさせる力がある
だが、今回のオリンピックはスポーツにそれだけの力があるとしても
正しく行われているようには思えない
そもそもオリンピックの意義は何だったのか?と考えることなしに
次の大会でのメダルの数はどうだとか、前回の大会のリベンジは果たせるか、、
などとのくくり方は、絶対に間違いだと思う

それにしても、昨日の女子サッカーの決勝の結果はどうだったのかと
日本のメディアで探すのは難しい
自国オンリーの情報ではなく、もう少し他の情報も報道すべきと思うが
4年に一度、ナショナリズムの高まりをおぼえる機会だけにそれは難しいのだろうか
それだけオリンピックは政治利用されやすいのかもしれない

 


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