パンセ(みたいなものを目指して)

好きなものはモーツァルト、ブルックナーとポール・マッカートニー、ヘッセ、サッカー。あとは面倒くさいことを考えること

小木曽真&児玉桃 スペシャル・コンサート

2020年02月12日 08時49分18秒 | 見てきた、聴いてきた(展示会・映画と音楽)

「小曽根真」
その名前を知ったのはある年のラ・フォル・ジュルネだった
何かの都合で予定された出演者が出られなくなり、そのかわりに代役として登場したのが彼だった
チケットの払い戻しは可能だったが、面倒なのでそのまま替わりのプログラムを聴くことになったが
チケットの払い戻しをしなくて大正解だった
とても面白かった
何という曲を演奏したのか(そもそも曲名があるのか?)わからなかったが
聞き覚えのあるクラシックのメロディが流れたり、圧倒的なリズム感のなかで
即興的に演奏されたりして、その瞬間瞬間は確かに興奮して聴いていたことを今でも覚えている
またクラシック音楽が、今の時代感覚とか空気感と少しばかり離れているなかでは
彼の音楽は確かに「今の音楽」で、忙しいこの世の中の感覚にフィットしていた

「児玉桃」
彼女の演奏を初めて聞いたのもラ・フォル・ジュルネだった
お姉さんの児玉麻里との二人の演奏でメシアンの「アーメンの幻影」のプログラムを聴いた
メシアンは好きな作曲家だが滅多に演奏されることがないので、この機会を逃すわけには
いかず、難解な音楽を全身で浴びるように体験した

この二人、小曽根真と児玉桃の二人のピアニストによる演奏会が昨日、豊橋のプラットで行われた

プログラムは

最初はオーソドックスなクラシックの音楽
次はジャズ
後半は変則的な編成のバルトークの音楽で意欲的なプログラムだ

最初のうちは調子が出ないな
児玉桃さんの演奏を聴いていてそう感じた
マズルカはショパンの曲の中で好きな方だが、この聴きやすさの元となっている感情の流れに従った(?)
曲の構成は、少しばかりつまらないかもしれないと頭に浮かんでしまった
それは次の有名な幻想即興曲にも言えることで、もっと音と音が構築的な方が楽しめるな、、と
演奏ではなく曲自体に不満を持ってしまった
だがスケルツォになると曲が長くなった分、構成も緻密になってきて
おまけに児玉さんも調子が出てきて、感情の高ぶりと演奏が一体化した感じで
やっと楽しんで聴けた気分になった

次は小木曽真さんが登場
座って演奏しだしたのはショパンの前奏曲のなかから葬送風の音楽
でもそれは直ぐに雰囲気を変えて今の人間に直接訴えるものの多い音楽に変わった
4曲演奏したけれど、クラシック音楽のときほど演奏曲の題名には気にならない
同じ曲でもその時その時で演奏が変わりそうだから、そもそも比較の対象にならない
演奏の合間にマイクをもって話す場面があったが、彼がいみじくも発したように
「同じピアノでも奏者によって音がずいぶん違う」ことはそこで大いに実感した

児玉さんの音は憂いをもった音、しかもうちにエネルギーを秘めたような雰囲気
小木曽さんの音は自由な明るい軽やかな音
演奏するジャンルの違いが大きいが、それだけでなく個人の資質によるものなのかもしれない

昔、ドイツとオーストリアを放浪した時、教会でオルガンコンサートを聴いたことがあった
曲目は定番のバッハとかブクステフーデが多かったが、その中にインプロビゼーション(即興演奏)が
いつも組み込まれていた
これが古典を聴いているよりも感情にフィットして印象に残ったが、小木曽さんの演奏を聴いていて
不意にこのことを思い出した
あと小木曽さんの演奏の途中で、セロニアス・モンクならリズムがゴツゴツした
演奏をするだろうな、、などと想像してしまった(集中して聴いていない?)

20分の休憩を挟み、今度は変則的な編成によるバルトークの音楽
現代音楽は通常の録音媒体で聴くのは辛い
ナマの現場でしか20分以上の集中は続かない
特に苦手なバルトークではなおさらのこと
予想したとおり予想がつかない初めて聴くだけでは頭が混乱しそうな音楽
でも生だから集中して聴いていられる
作曲家は個性とか癖があるようで、曲の途中でピアノ協奏曲とか弦チェレを
思い出させるような部分があって、この音楽はバルトークだ!と実感

ということで、田舎の豊橋にはふさわしくないような凝ったプログラムの
個性的な二人の演奏会は、それなりに楽しめた、、というところ

 

 

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