パンセ(みたいなものを目指して)

好きなものはモーツァルト、ブルックナーとポール・マッカートニー、ヘッセ、サッカー。あとは面倒くさいことを考えること

思い通りにはいかない、、、

2020年02月13日 18時05分08秒 | 子どもたちのこと

木曜日午後三時からは、外国人にルーツをもつ子どもたちの
勉強の手伝いボランティアで自分の担当は6年生の3人
毎回、勉強モードになるのが難しいが
今日はちょっとしたアイデアを持って
少し期待して子どもたちが来るのを待った

用意したのはA4用紙に、好きなものいろいろ(思いついたものを書いてください)
と但し書きをして、場所、お菓子(和洋)、食べ物(お菓子以外)本(マンガ)
タレントさん、映画、キャラクター、ゲーム、音楽(曲)を書き込めるようにした

「いくつでも良いから、思いついたものを書き入れて!」
まさかここでつまずくとは思わなかったが、子どもたちの関心は思い切り低い
女の子のAちゃんは直ぐに色々思い浮かべながら書き始めたが
男の二人組、GくんもNくんも全く気乗りしない様子
でも書いてもらわないと予定している事ができない
「さ、早く書いて!」と催促をするとGくんは
お菓子、本(マンガ)キャラクター、ゲーム、音楽の欄に一つだけ書いた
Nくんは全く気乗りしないで映画の欄に3つばかり書き込んだ

とりあえず書き終わった時点で、これからすることを説明した
「これから二人に自分が選んだものがどんなに良いか説明してもらう
 例えばお菓子、それぞれがどんなに美味しいかとかを説明してもらう
 言葉だけでも良いし、ジェスチャーを使っても良い(ジェスチャーって何?の声)
 説明が終わった後、どちらのほうが食べたいと思ったかを判定する
 審判役は僕とそれから手伝ってくれてるSさん、それに余っている君たち
 3人いるから必ずどちらかが勝ちか結論が出るよ」
(つまりはプレゼンの戦いだ)

ここからスタートするまでが一悶着、なかなか始まらない
しびれを切らしてAちゃんとNくんの好きな映画のいいところを
説明してもらうことから始まった
最初はAちゃん
「オタ恋はオタクの男の子と女の子の話で、会うとそれぞれのオタクの話ばっかりしていて
 会話が成立しない、そういう中での恋愛の話、最後はハッピーエンドになるみたい」
「出演者は?」(審判役のSさんから質問がでる)
「◯◯!」(自分は知らない人だった)

次にNくんの説明する番、記入したのはアベンジャーズだったが好きな映画として
プレゼンしたのは「ハクソー・リッジ」だった
子供の頃喧嘩をして友達に大怪我させた主人公は金輪際人を傷つけることはしたくない
と思っていたが、かれは第二次世界大戦の沖縄戦に招集された
人を傷つけたくない彼は救護班の役割をしたが、アメリカ人だけでなく
傷ついた日本人も助けた  そういう彼は仲間から批難を浴びたが、、って話

「さ、今まで聞いてどっちが見てみたい映画だと思った?Gくん、さあどっち?」
するとGくんは判断が突きかねているようで、いつまでも悩むばかり
「じゃあ、僕からね、僕はハクソー・リッジのNくん、僕はこの映画を見ていないけど
 見てみたいと思ったよ。次にSさんに聞いてみるね」
「わたしはオタ恋のAちゃん方」
Dくんが「どうして?」と聞く
「出演しているタレントさんが私も好きな人なので見たいと思った」

「さあ、こうなると決めるのはGくんの一言、、さあどっち?」
このときのGくんの表情が面白かった  本当に困っているかのよう
彼の頭の中にはいろんな思いが浮かんでは消えていたのだろう
「さあ、どっち?君が決めれば結果が出るよ」
彼は悩む(何に?)
何か言いかけようとしても思い切ることができない

そんなことが数回続いた後、彼が絞り出した答えは
その知恵に驚くものだった
「面白そうなのはNくんのハクソー・リッジだったけど、
 見たいと思ったのはAちゃんのオタ恋」

何だ、それでは結論が出ないじゃないかと不満よりも、Gくんの二人を
傷つけない気配りが、、少しうれしくなって、「Gくん偉い!」
と言って無理やり結論を出すのは止めた

次はAちゃんとGくんの好きな歌のプレゼン競争
Gくんが「絆」を取り上げて
「子供の声じゃなくて、、大人の歌で、聞いてると元気だ出るみたいで、、」
と少しばかりたどたどしく言う
Aちゃんは「三代目」(?)を推薦して、「声も姿もめちゃかっこいい」
と少し興奮気味に話す

「さあ、どっち?僕から言うね。僕はGくんの方、前向きになれるってとこが気に入った」
次は子どもの審判役のNくん
もったいぶっていたが答える
「俺はAちゃん」
「さあこれで、今度ははっきり結論が出るよ、Sさんはどうかな?」
Sさんが答える
「私はGくん」

Gくんは驚いたようで、そこからでてきた言葉がまたもや面白いものだった
GくんはSさんに向かって
「本当のこと言って!本当のこと言って!」
と繰り返す
「Gくん、そういうことを聞くとは自分では負けたと思っていたのかい?」
「うん」
Sさんがフォローする
「本当にそう思ったよ、子どもじゃなくて進歩した大人の歌と
 言ったところが良かったよ」

でもGくんは自分では納得していない様子だった

と、こんな風に進んだが、決して順調に進んだわけではない
話はあちこちにそれて落ち着かず、予定した企画は
むしろ失敗に近い試みだったと言えるかもしれない

でも個人的には収穫はあったと感じている
それはGくんの性格、穏やかな人を傷つけたくない心持ち、変に同情されるのが嫌い
と言ったものが垣間見れたからだ(話しっぷりは勇ましいが)
この子は子供らしい、いい子だ、、態度に表すことはできなかったり
下手だったりするけど、根っこのところは愛すべき人物だ、、ということが見えた
こういう姿を見ると、少しでも彼らの役に立てれれば、、と思ったりするが
現実の彼らの落ち着きの無さを見ると、、、、
う~~ん、世の中甘くないとも感じたりする

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