パンセ(みたいなものを目指して)

好きなものはモーツァルト、ブルックナーとポール・マッカートニー、ヘッセ、サッカー。あとは面倒くさいことを考えること

「は」と「を」の違い

2020年11月23日 08時32分27秒 | あれこれ考えること

先日NHKで三島由紀夫の特別番組が放送された
好きな作家ではないが、とりあえず見ておいた
その最後の部分、荒れ狂う学生運動の最中、彼は東大の講堂で
多くの学生の前で討論会を行った
その内容は詳しくは放送されなかったが、
この討論会の企画をした方の言葉が印象に残った

「諸君の熱情は信じます」
がそれだった
ところが、ある発信力のある方(ジャーナリスト)のツイッターでは
「諸君の情熱を信じます」
となっていた
「は」と「を」の違い
たった一言だがそのニュアンスはだいぶ違う

自分は言葉に精通している訳ではないが、それでもこの違いくらいは見当がつく
「は」は熱情は信じるが、他のものは信じないという雰囲気
「を」となると、熱情故に全面的に肯定的な意味合いとなる(気がする)

テレビを見ていた時は、どんな意見の相違があろうとも
その問題に対する取り組む真摯な熱情だけは信じられると理解して
三島由紀夫も(好きじゃないが)良いこと言うじゃん、、と思ったものだ
そして三島由紀夫のこういう態度こそが、今の世の中に欠けているのではないか
とも思ったりした

最近の討論は全否定の戦いだ
相手の言い分を少しでも認めることは敗北のようになっている
そして議論に勝つための戦術として人格否定も入ってくる
でも、議論は相手があって初めて成立するもの
相手の自説を説くための真摯な態度までは否定することはない

川中島の戦いでは、敵同士であっても上杉謙信は武田信玄に対しては
ある種の敬意を持っていたようだし、日清戦争だったか日露戦争だったか忘れたが
日本海軍のある行動に対して敵側もそれなりに評価していたこともあった

ところで、この「は」と「を」の違いに関しては、言葉を専門とする人(ジャーナリスト)は
もう少し敏感であってほしいと思う
「を」では言外の意味を伝えきれない、、と思えてならない

コメント
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