DALAI_KUMA

いかに楽しく人生を過ごすか、これが生きるうえで、もっとも大切なことです。ただし、人に迷惑をかけないこと。

生きる(49)

2015-05-29 16:47:23 | ButsuButsu


「一路」という本が面白い。

浅田次郎の作である。

内容は読んでもらえればわかる。

浅田らしい話の展開が、なんとも言えない。

「横着は不忠にござる」

と一路が和尚に言う。

とたんに和尚は、長い問答をおえたようにニッコリと笑った。

「ご名答だ」

「忠義」が「忠」の狭義であり、

「忠」の正しい意味は、中(うち)なる心、すなわち「真心」であり「真実」なのである。

この本の中に一貫して流れる主張は

横着は不忠であり、間違っていると言っている。

学者風に言えば、「怠惰は真実を損なう」のである。

徳川300年の末期にあたり、世の中には横着が闊歩し、なんでも適当にしている。

そこに「真実」はないと言う。

翻って、今の世の中を見るに、確かに「横着」がはびこっている。

正しいことを正しいと言えない。

組織を守るために、平気で嘘をつく。

やりもしないことを、やったと言う。

出来もしないことを、できると言う。

ひたむきに努力することを、僕たちは忘れているのかもしれない。

この本、一読されることをお薦めする。