DALAI_KUMA

いかに楽しく人生を過ごすか、これが生きるうえで、もっとも大切なことです。ただし、人に迷惑をかけないこと。

生きる(44)

2015-05-24 11:01:53 | ButsuButsu


びわ湖トラストの理事長である山田能裕さんが、天台宗の擬講(ぎこう)に選ばれた。

御年84歳の高齢だが、とてもそうは見えない。

沖島清掃の時に船から軽やかに下船する姿は、60歳といってもわからないだろう。

めでたいことだ。

だが、そもそも擬講って何なのだ。

「平安時代以降、三会(さんえ)の講師に任じられる僧。講師に擬された者の意。」

三会って?

「諸仏が衆生を救うために法を説く三大説法会のこと。「さんね」とも読む。」

講師に擬される、というのが天台宗らしい表現だ。

***

同宗の高僧は、毎年8月の戸津説法を終えて「望擬講(ぼうぎこう)」の階級となり、その中から選ばれた一人が「擬講」に上がる。

さらに、学識と信仰を試す別請豎義を経て「已講(いこう)」、「探題(たんだい)」へと昇任する仕組みとなっている。

探題は天台座主をはじめ複数いる。」

***

つまり、擬講とは天台宗の中で第3位の経歴法階とされる。

教学上の最高階級「探題」に昇任するためには、4年に1度の口頭試問「別請豎義(べっしょうりゅうぎ)」をうけなければならない。

延暦寺の薄暗い堂内で問答が繰り返さる。

探題の一人が論題を与え、已講が「門者(もんじゃ)」として問いを発し、擬講が「豎者(りっしゃ)」として答える。

こうして順送りに位階があがるしくみだ。

1000年以上続く古式でもある。

いずれ山田理事長も位階が上がり、天台座主になられることだろう。

そうなると、びわ湖トラストの理事長は続けられない。

嬉しいやら、悲しいやら、複雑な気持ちだ。

ただ、こうやって山田能裕師に出会えたことによって、天台宗という仏教の仕組みを少し学ぶことは楽しいことだ。

これからも元気で活躍してほしい。