小さな旅、大きな旅の写真物語(Virtual trips/travels)

京都や東京を本拠地として、自然の中や町を歩きながら、撮った写真をどんどん掲載します。いっしょに歩いているように。

アート考察 2023年公募展への挑戦  

2023-06-30 21:17:14 | 写真日記
アート考察 2023年公募展への挑戦  
2023-7-1

まずはいつもの陶芸財団展。これで3回目。今年はたった一枚の陶絵画を出展しました。
入選<会員推挙>という連絡を受けました。なぜか今年は国立新美術館でなく、大宮の陶芸会館で展示会が行われました。


陶絵画 <蝶の飛跡>

高速連写した色々な蝶の飛び姿写真を元にしました。当方の蝶は架空の蝶で合致する実在の蝶はいません。



大雨の中、大宮まで展示場を見に行くと確かに会員推挙の札がありました。来年も大宮でこの展示会は開かれるとのことでした。なんで国立新美術館から撤退したのかわかりませんが、コロナ禍で出展が少なくなり国立新美術館での開催が財政的に難しくなったのかもしれません?

陶芸を盛り上げようという陶芸財団の設立趣旨がここのところどんどん希薄になり、 斬新な作品が集まらずに、この会はネガティブな回転に入っている気がします。当方の最初の応募作品40kgの大きな陶絵画に対してもうこんな大きな作品は出してくれるななどといわれ、仕方なく作品をどんどん小さくしてきました。 小さくしたのに何度頼んでも陶絵画を壁につるしてくれません。 せっかくポジティシブな回転に陶芸界を引っ張り込もうとした当方の意図など全く通じないようです。でもせっかく会員にしてくれたので、来年もう一度だけポジティシブな回転に陶芸界を引っ張り込むような作品を出してみましょう。



以下の4点は、良くも悪くもなんとか斬新な作品をという意図が感じられるので載せました。










陶芸財団展がどうしても陶絵画を壁につるしてくれないので、つるしてくれそうな他の公募展を探し回りました。 当然もっと気の合う展示会を探すという意味もありました。 結論として、現展(現代美術家協会展)、アート未来展、ZEN展の3つを選んだのです。今年は現展とアート未来展に出展してみました。 

3つも出すのですから大変だったのです。昨年の10月から何度も言う難題の発生で、作品作り開始が今年の1月となり、およそ3か月で3か所へ出展したのですから、我ながらよくやったと思います。

結果はいずれも入選、現展では何の抵抗もなく陶絵画を壁につるしてくれました。アート未来展では何の抵抗もなくガラス工芸と陶芸のハイブリッド作品を受け入れてくれたばかりでなく<奨励賞>までいただきました。ところ変われば、評価も変わる。昨年、展示会を探し回ったかいがありました。




陶絵画<水の流れのように>

現展に出した当方の作品、陶絵画<水の流れのように>。これは実際の水面の写真から引き出した抽象的写真を陶絵画に投影したものです。当方の窯で焼けるぎりぎりの大きさである40cm弱四方の陶板に陶器でつくったパーツを張り付け、ガラスを流したものです。現展では平板が一辺54cm以上という条件があるために、陶製の額パーツを大きくとって条件を満たしました。色々なアイデアで5種の陶板作品を並行して作成したのですが、途中で割れたり、いろいろなトラブルでやっとこの一枚だけが生き残って出展できたのです。

以下がもとになった写真です。当方は写真家(写真家といわれるより、アーティストとかクリエーターとか言われることを目指しているつもりなのですが)としては<水面写真家>を自称しています。お前は陶芸より写真の方がいいという人がいますが、写真イコール自然ですから、自然の方が優れている、あたりまえのことです。現展に今回は<工芸>部門で出展していますが、来年は<工芸>と<写真>両部門で出展してみましょう(冗談です)? 

 <自然から抽象を抽出して、アートに落とし込む>この大方針を現実のものとしようと、じりじりと進んでいるのです。 他人がどう言おうが知ったことではありません、神様が作った自然に手を合わせ、首を垂れながらただ進むだけです。





3年目にしてやっと陶絵画を吊るしてくれる展示会に出くわしました。次にのべるアート未来展でもあたりまえのように陶板を吊るしており、むしろ陶芸財団展が異常だったのです。



いざ壁につるされてみると、自分では決して周囲の絵画に負けているとは思わないのですが、しかし観客は当方の作品の前で全く立ち止まってくれない。観客はこの作品が陶製であることに気が付かない、というよりは気が付く前にじっと見る人がいない。

5種のアイデアのうち最も安全運転のこの作品だけが生き残ったので受けが悪いのは仕方ないのですが。陶製であることはその重さから大きくすることに大きな困難が伴い、自由に色を出すことが難しい、途中で塗り替えることが出来ないなどで色々なハンディを負っているのです。やっと壁につるしてもらえたのに、かえって他の絵画に埋没してしまった。一難去ってまた一難。

今年は、ここに飾ってもらえただけでもありがたいと思い、来年はこの数倍の大きさの派手な色使いの陶絵画を出展して、陶絵画とはいかなるものであるかを知らしめよう。もう次の作品の構想を練り始めました。

現展とは現代美術家協会の展示会です。絵画が中心ですが色々なジャンルのアート作品を受け入れています。いくつか載せましょう

















以下<写真部門>から水面ものを2点。





アートの協会の会員になるには、申し込んで会費を払えばいいのかと思っていたら、現展では会友、準会員、会員と3段階あって、それぞれ推薦を受けないとそのステータスを得られないようなのです。陶芸財団は3年で会員に推挙されたのですが、現展の会員になるにはこれからが大変な道のりがありそうです。

最後はアート未来展。





これは一応、国際公募となっています。

ここにはガラス工芸と陶芸のハイブリッド作品を出展しました。このハイブリッドも陶芸財団展には出せないので、出すところを探しまくったのです。

ガラス部分はいずれもHALI’S Glass Art Studio作ったパート・ド・ヴェールです。その時のハイブリッドにおける陶器部分だけを新調して、3つの作品ハイブリッドと作り、さらにその3つを組にして出しました。<渚にて~波と貝と魚と~>というタイトルです。

古い人は<渚にて>という映画を覚えているでしょう。



内容はこんな美しい話ではなく、恐ろしい話なのです。



潜水艇タイタンの沈没事故で、海底から生存者の出す音がするというニュースが流れた時に、<渚にて>における、原爆で死滅した北半球からのモースル信号を調査に行くくだりを真っ先に思い出しました。 結局、ロールカーテンに吊るされたコカ・コーラの空き瓶が、風の力で自動的に打鍵する仕組みにより断続的に電波を発信していたモースル信号だったというショッキングなくだりなのです。そして南半球も死滅し、だれもいなくなり、しずかな海だけが残る。

<渚にて~波と貝と魚と~>との後ろの~にこの映画の意味が込められているか、いないか。当方としてはそんな深いことは考えていません。しかし、<渚にて>という言葉はどうしても海と人間のサガの接点を漂わせるのです。



3つのパートはそれぞれガラスと陶器のパーツからなるので、全部で6つのパーツの集合体です。









3つの展示会に出展するのですから、最後のアート未来展に出すこの作品はギリギリまでやり直し、修正の連続で、とうとう6つのパーツの連動を十分とることが出来ませんでした。

最後まで悩んだのはガラスを透過光で照らす装置です。結局はよいランプを手に入れることが出来ず、黒のランプが目立って絶望的でした。時間切れで、もう自分の作品を見るのも嫌な状態で出展することになったのです。


展覧会の前日に会員と業者によりセッティングが行われるのですが、当方の作品のセッティングは複雑なので、セッティングを手伝に来いということで、セッティングに参加しました。展覧会の写真より、セッティングの写真の方が面白いので、そちらを載せましょう。



<工芸>部門のコーナーに当方の作品をセッティング。控えめなライティングです。



左となりのステンドグラス。なかなか魅力的作品。注目したのは、とても重そうな作品で、自分でスタンドを作っているという気の入れようです。



これは右となりの作品。いかにも工芸を続けている女性の作品です。作者の女性といっしょに飾り付けをしましたが、なかなか良い作品と思います。ただ当方はこのような色を排した立体作品に反旗をひるがえしていることをお忘れなく。



この作者のおばさんは午前中数時間をかけて、あれやこれや形を調整していました。その集中力は鬼気迫るものがありました。



これは平面の作品と吊るした作品がいずれも同じ作家さんのもの。平面の作品は金属の葉っぱが自由に散らかしてあるので、吊るすわけにはゆきません。陶板と彫金のハイブリッドと言いましょうか、七宝の拡大版といいましょうか、よくわかりません。当方の方向とよく似ている気がします。モチーフを自然にとり、陶板をベースとすること。壁につるす絵画的作品も作るということ。





このように、さまざまな形態、趣旨の作品をアート未来展は当然のことのように受け入れ、セッティングしてゆくことに感動しています。



これは隣の部屋、<彫刻>部門です。


この展示会のメインはやはり絵画で、吊るす前のセッティング状態はなかなか面白い光景です。









セッティングは作家にとって一番面白い時間かもしれません。

アート未来展の趣旨です。




以下は本番の時の当方の作品。<工芸>部門の取りまとめの先生がこの3つの作品のマッチングにご満悦でした。左のステンドグラスのライティングが効果的。当方の未熟さが目立ちます。





彫刻部門の新人賞


絵画部門の風景

現展に比べると、アート未来展は新しく、展示点数は少なく、家内に言わせるとどこがアート未来なのかという批判はあるものの、内容的には一生懸命な作品が多く、結構グレードがそろっているという印象を受けました。今回は出展しませんが、大きな陶絵画を作っているといったら、<工芸>部門の取りまとめの先生が<そうかそれなら来年は新人賞だ>と言われたので、引っ込みがつかなくなりました。来年も3つの展示会を目指して今から作品作りに励まなければなりません。このアート未来の先生方はなにやら、皆さん面白い。権威だの既得権だの、伝統だのは知ったことではではないとチャランポロンのようで、おさえる所はおさえる、何か気の合いそうな連中でした。






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