普段私がお金を使う方面は、大抵電気を使うものです。
しかし今回は電気を使わないものにお金をかけました。
先日鹿児島に行った際、薩摩切子の小さなお猪口を購入しました。
昨年のヨーロッパ旅行でマイセン焼きやボヘミアングラスを見て以降、ずっと「自分の気に入ったグラスを持ちたい」という思いが渦巻いていました。
そして、今月始めに鹿児島を訪れ工房を見学した際、抑えきれずに購入へと踏み切りました。
購入したのは磯工芸館という工房のお店。
昨年の大河ドラマ「篤姫」で使われた薩摩切子も作った、有名な工房です。
お猪口や花瓶はもちろん、中には二色被せという、二色のガラスを合わせたものもありました。
薩摩切子独特の幽玄さと二色のガラスの微妙な色合いとが絡み合い、見事な輝きを見せる一品です。
この色の変化が本当に綺麗で、一色のものとどちらにしようか迷いました。
しかし、二色被せのとある特徴を聞き、結局一色のものを選びました。
二色被せは、その色の変化を楽しんでもらうために、敢えて模様を簡単なものにしているらしいのです。
初めて薩摩切子を買うのであれば、折角だから醍醐味である模様を楽しみたい。
そういう理由で、模様の気に入った藍色のお猪口を選びました。
彫られた模様は本当に見事です。
手作業というのが信じられないほど、ほとんど完璧な左右対称になっていました。
模様を優先した選択は、今のところ正解だったと感じています。
普段からそれ程お酒を飲むわけでもありませんので、折角買ったこのお猪口もまだ数回しか使っていません。
それでも、色々と選んだ末に自分で気に入って購入したもの。
その感慨を噛みしめると湧き起こる「いい気分」を、存分に味わっています。
思うに、Macユーザー(と言うよりはAppleファンでしょうか)の方々は、これと近い感覚に覚えがあるのではないでしょうか。
自分が「これは」と思って購入し、お気に入りの一品として使う贅沢。
その際に覚える「いい気分」は、なんとも幸せな満足感を与えてくれます。
気に入ったものを末長く大事に使うこと。
これは、費やした金額に関係なく誰もが感じられる、贅沢な幸福なのかもしれません。
追伸:
この記事に載せている写真を含め、鹿児島に行ったときの写真をギャラリーにアップしました。
私がどんな素人臭い写真を撮るのか興味のある方は、暇つぶしにでもご覧下さい。
生活の中にこういう素敵なものがあるだけで楽しいですが、
造形作品の背後にある知識を持っておくというのも教養ですね。
ボヘミアングラスには決して見られない幽玄な輝きには、とても心惹かれました。
それにしても、私の浅い造詣に対して「教養」とまで言っていただくと、恥ずかしいやら申し訳ないやら忸怩たる思いです。
自信を持ってその言葉を受け取れるよう、精進せねばなりませんね。
たまたまではありますが、Hannah様の新着記事も「美しさ」に繋がる内容でしたね。
あちらも楽しく読ませていただきました。