アメリカが今月3日、違法な犯罪に走り、イラク・バグダッド空港付近での空爆によりイランイスラム革命防衛隊ゴッツ部隊のソレイマーニー司令官とその同行者らをテロ暗殺しました。
このテロ攻撃の口実として、故ソレイマーニー司令官が在外アメリカ大使館への攻撃を企てていたという主張がなされていますが、一方で新たな証拠やアメリカ政府の幹部関係者の発言からは、「アメリカが数ヶ月前からこの問題に関して決断を下しており、その後はこの犯罪計画の実施の適切な時期をうかがっていたことが判明しています。
米NBCニュースは13日月曜、「トランプ大統領は昨年6月、即ち今から7ヶ月前に条件付でソレイマーニー司令官暗殺の実行命令を出していた」と報じました。この報道によれば、トランプ大統領はイランの対空防衛部隊によりアメリカの無人機グローバルホークが撃墜された後、イラン軍あるいはその傘下の組織による攻撃で米軍あるいは米国人が死亡した場合には、ソレイマーニー司令官をテロ暗殺せよ、との命令を発していたとされています。
こうした中、トランプ大統領は12日日曜、正当な証拠や論拠を示すことなく、「ソレイマーニー司令官を殺害した理由は、同司令官が米軍にとっての危険人物であり、また在外のアメリカ大使館4箇所への攻撃を企てていたことにある」と語りました。
同時に、トランプ大統領はこれに関する新たな表明の中で13日、恥も外聞もわきまえずに、自らが主張するところの、世界で第1級のテロリストとしてのソレイマーニー司令官のテロ暗殺をを強調するとともに、今回のテロ暗殺は20年前に実施しておくべきだった、と述べました。
ここで、次のような疑問が浮上してきます。それは、トランプ大統領は果たして、自らの主張を裏付ける証拠を提示するのか、それともこれまでにあったほかの多くの事例のように、対イラン心理戦を展開しイランに対する自らの破壊行為を正当化するため、事実無根の発言を並べ立てているだけなのか、ということです。
ここで重要なことは、トランプ政権が現在、ロシアや中国に対しても同様の方針を踏襲していることです。アメリカのポンペオ国務長官は「ソレイマーニー司令官暗殺は、アメリカの敵が引き起こす問題に対する大規模な抑止的戦略の一環であり、これは中国やロシアに対しても当てはまる」と語っています。
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<figcaption>ポンペオ国務長官</figcaption>
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同時に、トランプ大統領は「アメリカ民主党は政治的な思惑により、ソレイマーニー司令官を擁護しようとしており、この問題をアメリカにとっての不名誉の元凶だとしている」と述べました。トランプ大統領が矛先を向けているのは、トランプ大統領が虚偽の情報開示によりソレイマーニー司令官暗殺を正当化しようとしていると指摘した、アメリカ下院情報委員会のアダム・シフ委員長の立場表明です。シフ委員長は今月13日、トランプ大統領に対するフォックスニュースの最近のインタビューに触れ、「トランプ大統領の発言は、情報の交錯を招く虚言だ。トランプ大統領とその側近の行動は、ソレイマーニー司令官暗殺の理由に関する大言壮語以外の何物でもない。彼らは、自分たちの行動の正当化を狙っており、このような行動は我々を非常に危険な対イラン戦争へと駆り立てる可能性がある」と語っています。
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<figcaption>アメリカ下院情報委員会のアダム・シフ委員長</figcaption>
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トランプ政権の関係者はこれまでに何度も、「在バグダッドおよびその他の米大使館への攻撃計画に関する、差し迫った脅威に注目し、先手を打つ形でソレイマーニー司令官を暗殺した」と述べています。しかし現在では、トランプ大統領が数ヶ月前にこの陰謀の実施命令を出していたことが判明しています。
イランおよびイラクの2人の中心的司令官としてのソレイマーニー司令官とアルムハンディス副司令官の存在は、テロ組織ISISとの戦いで重要な役割を果たしており、彼らは西アジアでのアメリカの目的達成を本格的に阻止する立場をとっていました。アメリカ大統領国家安全保障チームの視点から見れば、これは逃してはならないチャンスであり、このことからアメリカは不当な攻撃により、ISISと戦う2大司令官の暗殺という大罪を引き起こしたのです。実際に、ブッシュ氏やオバマ氏などの過去のアメリカ大統領は、その重大な結果を恐れて今回の大胆な行動を踏みとどまっていましたが、予測不可能な行動癖を持つトランプ大統領は、後先も考えることなく今回の行動実施の発令に踏み切りました。
こうした中、トランプ政権はイラク領内の米軍基地への攻撃というイランの報復を受けた後、イランの軍事力を決して侮ってはならず、常にイランやその地域同盟勢力の復讐によるダメージを受けねばならないことを悟った、といえるでしょう。
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