クリス・エバートとナブロチロワの番組をBSで偶然見ました。新聞の番組欄には内容が載っていなかったのでノー・マークでしたが、ちょうど番組が始まったところでしたね!二人が現役時代からお互いを認め合ってる、というのは知っていましたが、引退後はさらに友情も深まって良き友人なのですねえ。二人の当時のプレーなど見ていると、自分が始めて買ったヘッドのアルミ・ラケット、次に買ったスノウワートのウッドなど思い出していました(ミッドからラージへと買い変えてきましたが、ウイルソン・プロスタッフ・ミッドが一番好きでしたね。初めて買ったテニス・シューズは白で柔らかい皮の、アーサー・アッシュ・モデル。これも好きでした)。
アメリカにいる時、休日にはテニスをやろうということになり(公営のコートが至る所にあり、無料、予約の必要もなし)、当時売り出していたヘッドのアルミを買ったのでした(確か50ドルくらい?)。
ちょうどウッドからメタル素材へ、ヘッドサイズも大きくなりつつある転換期でしたね。ボーグの台頭もあってトップスピンが注目を集め始めた頃で、TVではヴィック・ブレーデンが毎週レッスンを放送していました。それを参考にしながらたちまちのめり込んで、週末はテニス漬けでした。
ボーグ、コナーズ、ヴィラス、少し後にマッケンロー、と顔ぶれも良い時代でした。当時は練習の仕方もよく分からず、ひたすらガンガン打ちまくっていたのですが、今思うと非効率的でしたね。フォームのチェックポイントもよく分からずやっていたので調子の波も激しく、お陰でバックハンドは暫くの間苦手でした(フォームのポイントを知ってからは安定したので、かなり回り道をしていたのでした)。
そんな、テニスに夢中になっている頃のある日、いつものコートがどこも塞がっていたので、あまりきれいではないが、まあ、できる所でプレイした時の事です。間もなく日が暮れそうな時間でした。最後にラリーを少しして、、と打っている内に、いわゆる「無」の状態になったのです。フォアもバックハンドもビシバシ的確に返して、永遠に続けられるのでは、と思うようなストロークをしていたのです。いつもなら良いボールを打ち返せば、「良し!」とか何らか、心の中で思うのでしょうが、このときはただ淡々と、、それこそ「無」の境地で打っていて、同時に自分のフォームもしっかり分かっていたのです(1球1球全て、ではありませんが。今でもその時の膝の折れ具合、バックスイングの時の腕の形などはっきり覚えているのです)
間もなくボールが見えにくくなって終了したのですが、終えてからも暫くは殆ど口を開かず、心も静かな状態でいました。
こんな経験は後にも先にもこれ一度ですが、後年「ゾーン」(ピーク・パフォーマンス)という言葉を聞いたときに「あ、あれだ!」と思い出したのでした。
もう一度あの感覚を体験できたら、と思うのですが、、。