※前回の甲府の記事はこちら(12節・山形戦、2-2)
※前回の新潟の記事はこちら(14節・町田戦、1-2)
前節は琉球との上位対決を制した新潟。(2-1)
その前に首位の座を京都に明け渡しており、「胸すく首位攻防戦」とはならなかったのが玉にキズでしたが、勝利によって再度首位に立つ事に成功しました。
第一の山を越えたと思ったら、次なる相手は甲府。
新潟・琉球が失速気味となってきた現状で、虎視眈々と上位を狙うクラブの一つである甲府、6戦無敗で5位に着けています。
メンバーを入れ替えながら戦う事に定評のある伊藤彰監督も、そんな好調なチームの中にあって「動かさないのがベスト」という方向に傾倒していったのか、この日で5戦連続の同一スタメン。
開幕前の故障が懸念された泉澤も、新人の長谷川元希・関口(といっても前年既に特別指定でしたが)もその中に加わっており、ベストメンバーの構想も決まりつつあるようです。
前半1分、新潟・高のトラップミスからウィリアン・リラが拾ってドリブルから好機。(左サイドに展開され泉澤クロス→ブロックされて荒木が再度クロスもクリア)
新潟も固定メンバーでの戦いが中心で、町田戦(14節)で鈴木が1トップに復帰してからは、三戸・谷口を使い分けているぐらいのスタメン。
しかしこの日はミスが絡む、先行き不安な入りとなりました。
気を取り直し、その後はいつものようにボールを握っての攻撃を展開する新潟。
4分右サイドで縦パス→戻しを繰り返しつつボールを動かし、藤原のスルーパスに走り込んだ高木のクロスが入ると、ファーサイドで鈴木がヘディングシュート。(ゴール上へ外れる)
パス数を重ねていくスタイルを基本としつつ、相手の隙を伺うのを怠らず。
10分には千葉の左へのパスを堀米がダイレクトで中央へロブ、島田が繋いだのち拾った高木がドリブルからミドルシュート。(GK岡西キャッチ)
緩急をふんだんに使い、堅守を誇る甲府を攻略せんとしていきます。
順風が吹いてきたかに見えた新潟ですが、再度怪しい兆候が見られたのが17分。
千葉の左サイドへのパスが強くなり堀米は受けきれず、関口に奪われて甲府の攻撃になると、関口の右サイドのドリブルから野津田のミドルシュート(枠外)に繋げた甲府。
再びミスから危うい場面を作ってしまいます。
それでも18分にはボランチの島田が、パスワークが行われている間に前に出て縦パスを受け好機を作る場面が。(その後本間に繋がるも甲府・新井に反則気味に倒され撃てず)
序盤はビルドアップで可変が足りなかったという印象の新潟でしたが、ここに来てポジションを動かして一つ良い流れを生み出しました。
このプレーからコーナーキックが2度続き、押し込んでいく新潟。
しかし21分に三度ミスが発生すると、今度はダイレクトで失点に直結。
自陣左サイドで堀米がボールを持ち、中央へ戻したもののこれが短くなってしまい、甲府・泉澤が走り込んでシュート。
僅かワンタッチでゴールされるという屈辱的なシーンとなってしまい、甲府がリードを奪う展開となります。
同時に飲水タイムに突入したのは幸いだったでしょうか。
首位チームらしくない第1クールとなってしまった新潟ですが、以降は落ち着きを取り戻し。
甲府ボールになっても、巧くパスを遮断して相手に攻撃権を渡す事無く、自らはポゼッションスタイルを前面に押し出していく持ち味を発揮していきます。
それでもパスを繋ぐだけというシーンが長かったですが、33分。
左サイドでパスワークののち、戻されて今度は右サイドで繋ぎ、舞行龍ジェームズと本間がパス交換を繰り返す形に。
そして舞行龍から縦パスが入ると、先程と同様に前に出ていた島田が受け、すかさず送られた彼のエリア内へのスルーパスに谷口が走り込んでシュート。(GK岡西キャッチ)
島田の巧みな動きでボールを引き出し、好機に繋げる新潟。
そして35分、好循環を結果に結び付けます。
ここも右サイドで縦パスも交えつつボールを動かしたのち、逆の左サイドに展開し攻撃、左からの堀米のクロスがクリアされるも島田が拾って継続。
今度は右サイドで高木がドリブルで奥へ進入、彼の戻しから高が低いクロスを入れると、ニアサイドで鈴木がスルー。
そして中央の谷口へと渡り、胸でトラップして甲府・浦上をかわしてシュート。
長いパスワークによる攻撃を技術の高さで仕上げた谷口、新潟らしさを発揮して同点に追い付きました。
今までリードしていた事で受けに回っていた感があった甲府。
裏目に出てしまった事を反省したか、以降は攻撃の手を緩めず。
新潟のボール保持が目立つ試合でしたが、甲府もパスを繋いでの攻撃を基本とするチームで、以降はボールの握り合いという展開に。
しかし好機に結び付いていたのは甲府で、39分には中央⇔右サイドで細かくパスを繋ぎつつ、時には縦パスを入れてボールを動かしていくという新潟のお株を奪う攻め。
そして中央で新井がドリブルで前進ののち、関口の右からのクロスが上がるとファーサイドで泉澤が収め、エリア内で切り返しを続けた後シュートするもブロックをかわせず。
43分には再度中盤でパスを繋いだのち、野津田が左サイドへスルーパス、走り込んだ泉澤のクロスがファーサイドへ。
そして関口が折り返すと、中央でリラがシュートするもこれもブロックに阻まれます。
新潟ディフェンス陣も、甲府の特徴とストロングポイントを抑えたうえで、最後の場面ではやらせず。
序盤から両サイド裏へのロングパスを抑制、中盤以降は泉澤の単独突破を阻み。
そしてこの終盤の場面で、「左からのクロス→ファーで右ウイングバックの関口が合わせる」という持ち技を見せた甲府でしたが、ここでも対処されて得点ならずという前半になりました。
1-1で前半を折り返し、共に交代は無く後半のキックオフ。
新潟が前線でのボール奪取による好機を作ったりもしましたが、その一方で鈴木が痛み倒れ込むシーンも生まれてしまうなど、今一つリズムに乗れない入りに。
しかし徐々に中身が濃い攻撃を展開できるようになり、後半10分には左サイドで前進したのち、中央へ展開されて本間がミドルシュート。(ブロック)
直後には甲府も新井がミドルシュートを放つ(ブロック)など、ミドルの応酬のような絵図が見られ。
新潟が若干押し気味も、どちらに転ぶのかという流れを予感させた所で、その直後の11分。
高木が敵陣右サイドでボールカットして攻撃権を得た新潟、そのまま前進した高木が中央へパス、そして受けた谷口がシュート。
甲府・新井の股を抜いたゴール右へのシュート、GK岡西は止めきれずネットに突き刺さり。
勝ち越しに成功し、後半序盤の攻防を制したのは新潟という結果に。
尚も15分に右サイドのスローインから、高木エリア内へパス→本間スルー→高シュート(枠外)というシーンを作った新潟でしたが、以降は甲府の反撃の流れに。
パスワークによる分厚い攻撃を敢行して押し込み、CKも数多得るなど激しく新潟ゴールに迫っていきます。
しかし、泉澤のミドルシュートが味方の野津田に当たってしまう(19分)など、モノにする事は無く。
23分にメンデスが、新潟・高木へのアフターチャージで反則・警告を受けた所で飲水タイムとなり、同時に甲府は流れを失う事となりました。
明けた際(正確には明ける前から準備していたが)に、鈴木→星への交代を敢行した新潟。(谷口がFWへシフト)
星の入った右サイドを中心にパスワーク、ボールを動かしつつ甲府の気勢を削ぐような流れに入ります。
反撃したい甲府ですが、その新潟の振る舞いにより中々攻撃権を掴めず。
30分にGK岡西の左サイドへのロングフィード(というより跳び出してのクリアか?)に三平が走り込み、GK阿部が跳び出すも処理を誤り裏で受けたのが最大の好機でしたが、結局それもモノに出来ず。
33分に泉澤が新潟・高木に反則を受け、左サイドでのフリーキックとなった所で、ベンチは3枚替えを敢行。
泉澤・長谷川元・野津田→有田・鳥海・中村へと交代します。
このFKでシュートを放てなかった甲府、直後に新潟も高木→田上に交代。(堀米が左サイドバック→中盤にシフト・36分)
これにより、2列目の流動性を見せる新潟の攻撃に翻弄され、反撃の糸口が掴めない状況に追い込まれた甲府。
星・本間・堀米の3人が、どのサイドに位置するのか傍らからでも不透明であり、掴まえられずに守備に奔走される事となってしまいます。
3枚替えにより、3-5-2気味へとフォーメーションを移した事も裏目に出たでしょうか。
成す術が無くなった甲府ですが、41分に最後の交代カードを使用。
山田→山本へと交代し、大ベテラン・山本の経験と精神性で建て直しを図りに来たという判り易い策となりました。
それに対抗するべく、43分に新潟は堀米→早川へと交代。
こちらも3-4-2-1へとシフトし、5バックシステムで守り切る判り易い策。
最終局面に入ったと思われた刹那、その最初の好機で試合が動く事に。
44分に甲府の左サイドからスローイン、エリアから遠い位置でしたが、荒木がロングスローを敢行する形振り構わないスタイルへと傾倒。
荒木によってエリア内に投げ込まれたボールはクリアされますが、再び荒木が拾って二次攻撃。
山本の左への展開から鳥海→荒木と渡ってクロスが上がり、新潟はクリアしきれずファーサイドでメンデスが収め。
ディフェンスに遭いこぼれた所を、再度メンデスがシュートを放ち、ネットを揺らす事に成功。
どんな形でも……という執念が勝った甲府、土壇場でスコアを振り出しに戻しました。
こうなると甲府サイドが精神面で上回り、押せ押せの展開になるのは明白で、その通りにアディショナルタイムでも猛攻を仕掛けます。(以降新潟は、藤原が右サイドハーフに上がり4-2-3-1へと戻したっぽい)
左サイドだけでなく、右サイドでも荒木がロングスローを入れる体制を取り、逆転ゴールを奪わんと圧を掛ける甲府。
有効なのはクロス攻撃のみという状況でしたが、とにかくエリア内へとボールを入れる、不格好ながらも相手方にとってはやって欲しくないであろうスタイル。
特にメンデスという強力なターゲットが控えているのならば尚更だったでしょう。
しかし何度も思い通りにはいかないもので、やはり決定的に時間が足りず。
惜しい局面は作るものの、フィニッシュまでは辿り着けなかった甲府、同点のままタイムアップを告げる笛が鳴り響き。
2-2で引き分けとなり、勝ち点1を分け合う結果となりました。
前節(京都戦・0-0)から上位を脅かしにかかった甲府でしたが、共に引き分けという悪くない結果ながら、物足りなさも残る事となり。
コンスタントに昇格争いに加わっている近年ですが、もう一歩上に行く事は出来ていないという側面もあり。
勝利によってその壁を打ち破る起爆剤としたい連戦、次節は同じく上を行く磐田相手なので、気を取り直して勝利したい所でしょう。