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DAZN観戦 2021年J2リーグ第17節 ツエーゲン金沢vs大宮アルディージャ

2021-06-09 15:00:39 | サッカー視聴記(2021年J2)

※前回の金沢の記事はこちら(15節・群馬戦、1-1)
※前回の大宮の記事はこちら(15節・北九州戦、1-3)

J2の底辺付近へと沈む、過去最大の危機といえるであろう大宮の現状。
J1時代には「残留争いのプロ」などと揶揄されたものですが、今度はJ2でその地位を築くつもりなのか。
最も当事者にとっては、そんな事を言っている余裕は無さそうですが。

解任された岩瀬健氏の後を継いでいるのは佐々木則夫氏で、後任が決まるまでの暫定監督として指揮を振るう真っ只中。
女子サッカーで代表チームを栄光に導いた人物であり、男子の指導は2006年に大宮ユースで経験あり。
暫定かつクラブは降格圏に沈む危機故、戦術云々より成功体験による精神的な部分で引っ張る事を期待されての人選だったでしょうか。
従来の戦術からの一新を図ったものの、前節・千葉戦でのフォーメーションは4-1-4-1というやや変則的なものでした。
恐らくは今までのサッカーからの転換を形によって示したのでしょうが、1アンカーの弱点を突かれて0-2の敗戦。
後が無いという状況で、最近不調の金沢が相手のこの日、是が非でも勝ち点を積み上げたい所でしょう。

そんな執念は試合開始直後から発揮され、前半1分から早くもスローインで、左サイドから翁長がロングスローをエリア内に投げ入れ。
その後も敵陣深めでのスローインは全てロングスローで、翁長・馬渡と両サイドに1人ずつそれが行える選手が居れば、納得出来る手法ではありました。

いきなりその圧を受ける事となった金沢ですが、冷静にロングボール攻勢でそれをいなす事に成功。
4分には庄司ロングパス→本塚落とす→右ハーフレーンから瀬沼シュート(枠外)と、シンプルな攻撃で大宮ゴールを脅かします。

一方、「現実的なサッカー」への転換を唱えた佐々木氏による大宮も、それまでの最後尾からショートパスを繋ぐビルドアップによる攻撃を一新。
極力早くボールを前へ送るスタイルで、空中戦を経てこぼれ球になったボールをラフに蹴り込むシーンが多発。
フォーメーションは前節の4-1-4-1を改め、三門・小島のドイスボランチとしたうえで、2トップからイバと佐相を縦関係にした4-4-1-1のような感じに。
前述のスローインだけで無く、コーナーキックの際にもキッカーの位置に2人(三門と小野)を立たせ、軽く蹴り出してからのクロスを多用。
どんな形でもゴールを狙うという姿勢を前面に押し出します。

しかし前掛かりになる意識を逆手に取られると脆い。
15分の金沢、渡邊がパスカットして左サイドから縦パスを入れ、受けた瀬沼が前進する所を大宮・山田に倒されるも杉浦恭平が拾ってアドバンテージ。
そしてすかさずスルーパスが送られると、走り込んだホドルフォがシュートを放ち、ゴールを襲うもバーを直撃して間一髪。
その直後も、渡邊がホドルフォとのワンツーでエリア内左へ進入しシュート(ブロック)という好機を作られた大宮。
守備でもプレッシングで早めにボールを奪う体制を取っており、この辺は戦術がリセットされたが故の単純さが弱点となっていた節がありました。

それでも大宮は22分、左からのロングスローでイバフリック→小野収めてシュート(ブロック)と、ゴール間近でシュートする場面を作り。
0-0のまま飲水タイムが取られたのが24分。

ブレイクが明け、最初の攻撃は金沢で26分、これまで縦に速い攻めが主でしたがここでは遅攻。
後方でパスを繋いでいる間に藤村が前へ上がり、大橋の縦パスを受けるという変化を付け、そのままエリア内へスルーパスを送るという攻撃。(杉浦恭が走り込むもクリア)
ここで多彩な攻めの姿勢を見せたのが奏功したでしょうか。
29分、左サイドで渡邊の裏へのロングパスが瀬沼に渡るという、今度は一本の長いパスによる好機。
これを左エリアライン間際で瀬沼がトラップした際、ディフェンスに入った大宮・山田の腕に当たり、ハンドを取られて反則・PKに。
大宮にとっては不運な形となり、PKを瀬沼が中央やや左にシュート。
GK笠原は反応するも脇を抜かれ、無事ゴールネットを揺らし金沢が先制します。

その後はリードした金沢が、余裕をもって長短を絡めての攻撃で主導権を握ります。
大宮サイドはビハインドとなった事で、それまでの速攻主体から、最後尾からのビルドアップも余儀なくされ。
そんな意識のズレにより、中々攻撃の形を作る事が出来ず、金沢が攻撃機会を重ねる展開に。

41分、再び左サイドから渡邊の縦パスが中央へ入ると、杉浦恭がスルーして瀬沼が後ろ向きで受け。
こぼされた所を大橋がすかさず浮き球でスルーパス、そして杉浦恭が走り込んでシュートするも、僅かにオフサイド。(シュートはGK笠原がセーブ)
最初の好機以降、左サイドからの攻撃が非常に効いている金沢。
前回観た際は、左サイドのあまりの出来に柳下正明監督もご立腹といった感じの試合でしたが、これならば一安心でしょうか。(水戸戦は守備面が槍玉となっていましたが)

追い掛ける大宮は、試合が進むにつれて、三門が最終ラインに降りる「丁の字型」の形によるビルドアップを展開。
それによりサイドバックを高い位置に押し出すという、岩瀬氏時代の基本形と同じですが、やはりそこまで前の形を取っ払う時間的余裕は無かったのでしょう。
しかしリードを奪われて以降はシュートを放つ事が出来ず、1-0のまま前半終了となります。

共にハーフタイムでの交代は無く、同じメンバーでぶつかり合った後半の入り。
その結果、主導権を握ったのが金沢というのも同様でした。
後半3分、敵陣中央で松田陸がパスカットしてエリア内左へ縦パス、受けた瀬沼が切り返してシュートするもゴール右へ外れ。
4分には最終ラインの繋ぎから大橋がロングパス、クリアされるも渡邊が繋ぎ、後方から本塚がミドルシュートを放ちますがGK笠原がセーブ。

7分に大宮がロングスローから、イバのトラップ→バイシクルシュート(枠外)という流れが挟まれますが、その後も金沢の攻撃。(8分には藤村ミドルシュートもブロックされる)
9分、渡邊のボール奪取からホドルフォがドリブル、そのままエリア内左奥へと切り込んで中央へシュート気味の速いクロス。
杉浦恭の手前でGK笠原が弾き、瀬沼が詰めにいくも何とかクリアと、押し込み続ける金沢。

しかしこの直前に、左サイドで渡邊と共に良いシーンを作り続けていたホドルフォが、大宮・馬渡との接触で倒れ込むシーンがあり。(6分)
その後もプレーを続けますが、故障から明けて3試合目という要素も考慮されてか、結局13分という早めの段階でお役御免となったホドルフォ。(高安が投入され右サイドハーフに、本塚が右SH→左SHへシフト)

これ以降主導権が移り変わり、大宮が反撃体制へ。
その最中の18分に、佐相に代えてネルミン・ハスキッチを投入と、交代カードにも手を付けた佐々木監督。
恐らくはイバを中央に張らせるための佐相FW(セカンドトップ)起用だったのでしょうが、ビハインドとなって結局サイドからの攻撃しか出来ないため、イバがボールを受けにサイドに開くというシーンが多発していたこの日の大宮。

ここから期待に応え、19分には左サイドでのフリーキックから、21分にはロングスローからと立て続けにヘディングシュートを放ったハスキッチ。(両者とも枠外)
尚も勢い付けるべく、23分には小野・小島→松田詠太郎・大山と2枚替え。
それと併せ、翁長が左SHから右サイドバックに、馬渡が右SBから左SHへと位置を入れ替えます。

同時に金沢サイドも、杉浦恭→大谷へと交代。
直前に大橋が、大宮・小島のドリブルをスライディングで倒してしまい反則・警告を受けてしまうなど、大宮の圧力に押されるシーンも目立ち。
何とか押し返したい金沢は、以降FWの位置に入った大谷の裏抜けを狙ったり、右サイドから形を作ったうえで高安に同じく裏抜けをさせたりという攻撃。
ホドルフォの交代以降、左サイドに多くを期待出来なくなった故の策でしょうが、これで攻撃権を確保し五分の状況へと戻します。

両サイド交代カードを使っていく中でフィニッシュシーンは減っていき。
27分に飲水タイムが挟まれたのちも、30分に大宮がロングスローから、クリアボールを渡部がボレーシュートした(枠外)ぐらいに落ち着いていきます。

当然、リードされている大宮にとっては由々しき状況。
36分に金沢がアクシデントで交代(足を攣らせた本塚→力安)して以降、再度ペースを掴み押し込んでいきますが、ボールを繋ぐものの肝心のシュートには中々持ち込めず。
とうとう40分に最後の交代カードを切り、黒川を投入。
渡部と交代して自身は左SHへ入り、馬渡が元の右SBへと戻って翁長が左SBに回りました。

しかし流れの中からはクロスが上がってもフィニッシュには繋がらず。
期待の黒川は、セットプレーからのヘディングという、矛盾するような形で目立ちます。
40分にはロングスローから、エリア内にこぼれた所を松田詠がクロスを上げ、ヘディングシュート。(枠外)
45分もロングスローからで、ニアサイドでハスキッチのポストプレイから再度繋ぎ、馬渡のクロスに合わせヘディングシュート。(枠外)
何とか自分の得意でない形でも、得点に繋げようとした黒川ですが結果に結び付かず終わります。

それでも押し込まれる展開に金沢サイドも苛ついていたか、42分には大宮・イバを倒してしまった庄司が反則を取られると、判定に不満を露わにし。
最後はボールを地面に投げつけ、警告を受ける破目となってしまいました。

そのシーンは褒められたものでは無いですが、不満に対しガス抜きをするのも大事な要素ではあり。
試合前のインタビューで柳下監督が、チームの不調に対する原因という名の不満?を、思いきりインタビュアーにぶつけていたのが印象的だったこの試合。
何処までが本心なのかは不明ですが、溜まっていたものを出す事で、チームを覆う暗雲も取り払いたかったという側面もあったでしょうか。

そんな事を思い出させた庄司の一幕でしたが、以降も金沢は集中力を切らす事無く守り抜き。
最後は大宮が、山越・山田も前線に上げるロングボール攻勢に入ったうえで、裏をかくようなサイド攻撃も仕掛けましたが最後までシュートは放てず。
1-0のまま金沢が勝ち点3に辿り着き、実に8試合ぶりの勝利となりました。

対する大宮はこれで12戦未勝利という、迷宮にも似てきたような状況に。
それを打破するための新監督の就任もようやく決定し、前年までJ2(山口)の戦場を経験していた霜田正浩氏が、次節から指揮を執る事となりました。
山口とは資本も段違いながら、今季過去に無い程の低迷に苛まれている大宮というクラブで、どんな結果を齎すでしょうか。

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