<熊本スタメン> 3-3-2-2?
GK 佐藤
RCB 黒木 CCB 菅田 LCB 酒井
RWB 上村 DH 河原 LWB 岩下
IH 杉山 IH ターレス
FW 高橋 FW 伊東
<鳥取スタメン> 4-2-3-1
GK 田尻
RSB 石田 CB 鈴木 CB 石井 LSB 杉井
DH 新井泰貴 DH 世瀬
RSH 秋山 CH 可児 LSH 田口
FW 石川
今季も相次いでいるシーズン途中での監督交代ですが、J3の舞台でも例外では無く。
開幕から2試合という超初期での辞任(上野山信行氏)を受けた讃岐では、前年岐阜の指揮を執っていたゼムノビッチ・ズドラウゴ氏が就任。
前年旋風を巻き起こしながら今季は序盤に低迷した今治は、リュイス・プラナグマ・ラモス氏を解任し、これまた前年J2松本で監督を務めていた布啓一郎氏が就任。
前年別のクラブの監督業を務めていた人物を招聘するという、監督側にとってはせわしなく働き場を移すという人事が目立っており。
さて鳥取ですが、前年の昇格争いから一転して低迷し、現在は最下位。
7節(八戸戦・0-2)終了後に高木理己氏が解任され、新たにその座に就いたのは金鍾成(キンジョンソン)氏。
彼も前年まで鹿児島の監督という具合に、J3全体の路線に沿った人事となりました。
しかしチーム状況は中々好転せず、前節・長野戦は1-8の大惨敗という有様で、立ち直りの切欠は何時作れるのか。
中々ポジションの判別が難しい試合となり。
鳥取はDAZNの予想フォーメーション(3-3-2-2、10節・YS横浜戦で採用)自体が間違っており、前節の4-2-3-1を継続。
一方の熊本も3-3-2-2の予想であり、その通りに最終ラインは3バック。
しかし右ウイングバック予想の上村が、中央寄りでプレーする事が目立ち、杉山が右サイドに開いてのプレーが多かった。
そのため「上村・河原がドイスボランチの3-4-2-1(杉山が右WB)」と誤解して時間の大半を過ごしていたのですが、右サイドを見ると、杉山同様にシャドー予想のターレスが左サイドに開いてプレー。
J2の甲府・泉澤が頻繁に行う動きでありそれ自体は見慣れたものでしたが、両サイドとも行っていた辺りがイレギュラーな可変に映り。
また左WBの岩下が、右でのパスワークの際に加わって来る事もあり、単なるWB以外の役割も果たしており。
以上を見るに基本は3-3-2-2で、攻撃時は3-3-4というような可変システムだったでしょうか。
そんな特異なシステムを利用し、序盤から熊本が攻勢。
前半2分に伊東・上村のパス交換での中央突破から左へ展開し、開いていたターレスがカットインからミドルシュート。(ブロック)
3分にも伊東と上村の繋ぎから、伊東の右へのパスを受けた杉山がエリア内に進入してシュート。(ミートせずに枠外)
左右の翼を活かしての攻撃が早速見られ、その後も鳥取の攻撃を凌いだ後のカウンターでターレスのスピードを活かす等、狙いは明らかでした。
一方の鳥取、金氏が監督に就いたという事で、後方からショートパスを繋ぐ事を重視したビルドアップを展開。
所謂ポゼッションスタイルのサッカーですが、要所でロングボールを1トップの石川に収めさせる手段も交えて攻め上がり。
立ち上がりは熊本に後れを取っていたものの、徐々に攻撃権を取り返していきます。
19分にはロングパスを石川が収めてからパスワーク、長らく繋いで最終ラインに戻されたのち石井が左へ展開、受けた杉井から中央へ。
そしてキャプテンの可児がエリア手前からミドルシュートを放つも、GK佐藤にセーブされてコーナーキックに。
そのCKでも、こぼれ球となったのちエリア内左からシュートする(ブロック)など、果敢に得点を狙いにいった可児。
その後22分に、熊本・岩下がミドルシュートを放った(枠外)所で、やや早めの飲水タイムが取られました。
ブレイク明けの最初に攻撃機会を得た(25分)鳥取、左CKから鈴木のヘディングシュートが生まれたものの、以降は熊本のペースに。
26分、ここも魅せたのはターレスで、左サイドでボールを持ちカットインの姿勢からクロス。
これが低い弾道でゴールに向かうものとなり、さらにニアサイドに高橋が走り込む難しい状況でしたがGK田尻が何とか抑え。
29分も左サイドでターレスがキープ、切り返しからのクロスが入ると中央で高橋がヘディングシュート。(枠外)
ターレスというストロングポイントを活かしつつ、可変させて圧を掛ける熊本の攻撃にタジタジとなる鳥取。(28分には杉山のドリブルを倒して止めた杉井に警告)
そして35分に左CKを得た熊本、キッカー河原のクロスが中央に上がると、GK田尻が跳び出してパンチングにいくも大きく弾けずエリア内右へと転がり。
待ってましたとばかりにそこに杉山が走り込み、左足を振り抜いて地を這うシュートを豪快にネットに突き刺します。
主導権を握っていた熊本が、綺麗に先制点に結び付けました。
先制された鳥取でしたが、すぐに主導権を奪い返し攻勢に。
ここからビルドアップの体制を最終ライン3枚に変え、ボランチの片割れが降りて来るスタイルを取ります。
ボールを握って主体的な攻撃を繰り広げ、迎えた終盤にフィニッシュ攻勢に持ち込み。
左サイドからのFKを得た41分、横パス→中央からロビングと変化を付けたのち、こぼれ球を拾った田口がシュート。(枠外)
43分には世瀬が左ハーフレーンをドリブルで進み、石川のポストプレイで右へ展開された所を石田がミドルシュート。(枠外)
45分には右サイドからの石田のロングパスを中央で田口が落とし、受けた石川のミドルシュート。(枠外)
立て続けに放たれたシュートはいずれもゴールを捉えられずも、前節の惨状を跳ね返すには十分な攻勢となり、前半を終えます。
しかし後半に入るとそんな鳥取ペースは一蹴され。
熊本監督・大木武氏も攻撃サッカーの志向が基本であり、受けに回っていた前半の終盤を踏まえて後半へと挑みました。
鳥取と同じくビルドアップに変化を加え、3バックの最終ラインに河原を降ろしてのパスワーク。
そして右CBの黒木がサイドに開き気味となる形を取り始めました。
前半のサイドでの個を活かした攻撃に、重厚なパスワークがプラスされた事で、一気に攻撃機会を独占する熊本の立ち上がり。
後半7分、右サイドで黒木のスルーパスから伊東→上村と渡り、右ハーフレーンから上村の無回転シュートが放たれるもGK田尻がセーブ。
それでも立ち上がりを何とか凌いだ鳥取は反撃体勢を取り始め。
12分にはCKから、こぼれ球を左から杉井を折り返して田口がシュート、ブロックされても尚杉井が詰めてシュート(枠外)と連撃を浴びせます。
お互い攻め合いの様相が匂い始める中、先にベンチが動いたのは熊本で、14分に伊東(この日が今季初スタメン)→樋口へと交代。
先に鳥取が攻撃機会を得た16分、中央で秋山ドリブルからパス→石川ポストプレイ→可児ミドルシュートと流れるように攻撃するも、GK佐藤のセーブに阻まれ。
その後奪った熊本のカウンターが炸裂し、杉山がドリブルから一気に裏へロングパスを通し、受けたターレスがシュートするもGK田尻がキャッチ。
フィニッシュからフィニッシュへと移り変わるシーンを描きました。
しかし右に杉山・左にターレスが降臨する熊本のサイドはやはり強力で、彼らにサイド奥に持ち込まれ、何とかCKに逃げるという守備面での凌ぎを強いられる鳥取。
押され気味という印象が拭えぬまま、最初の交代を用意した所で後半の飲水タイムに入り。
明ける際に可児→原田へ交代となりました。(24分)
この交代で4-4-2へとシフトしたのか、田口が前線の位置に入った事で躍動を魅せた鳥取。
27分に右サイドでの攻撃から、新井泰のスルーパスを受けてエリア内へと進入、そしてシュートを放つもゴール上へと外れ。
直後の29分、熊本・菅田のミスでエリアすぐ手前でボールを拾った田口、すかさずシュートしますがGK佐藤のセーブに阻まれ同点ならず。
熊本もあくまで追加点を狙う姿勢で、31分にCKからの二次攻撃。
右サイドでボールを繋ぎ、杉山の手前からのクロスを、ニアサイドで樋口がフリック気味にシュート。
しかしGK田尻が抑えて防ぎ、1-0のまま終盤へ。
(33分に熊本は高橋→浅川へ、鳥取は石田→小牧へ交代)
同点に追い付かんとさらにカードを切る鳥取、36分に石井・田口→藤原・谷尾へと2枚替え。
直後の37分、熊本に再びターレスの突破から際どいシーンを作られる(ターレス低いクロス→ニアで上村シュートも浅川に当たりゴールならず)も、その執念が実り終盤の攻勢へ持ち込みます。
42分にCKを得て、クリアされての二次攻撃から、原田のロビングをエリア内左で受けた杉井からクロス。
ファーサイドで石川がヘッドで合わせ、熊本ディフェンス2人に付かれながらもネットに突き刺しましたが、熊本・河原を倒したという事で反則となりノーゴール。
最も得点に近づいた瞬間だっただけに、その後萎えてしまっても仕方が無いような流れ。
しかしこの日の鳥取は諦めず、続く43分。
左ハーフレーンを杉井がドリブル、一旦止められるも新井泰の繋ぎでエリア内奥へと進入してクロス。
ブロックに当たりファーサイドへ高く上がり、GK佐藤が弾いたボールを石川が拾って再度クロスを入れると、中央で合わせたのは世瀬。
ヘディングシュートでネットを揺らし、今度こそゴールの判定となり同点に。
執念をとうとう結果に結び付けました。
その後熊本も2枚替えを敢行(酒井・杉山→小笠原・東出)し、圧を持って攻め上がったアディショナルタイム。
何度も奥深くに進入しては、CKを獲得して鳥取に攻撃をさせず。
AT3本目のCKから、左サイドでターレスの低いクロスをニアで樋口がスルー、岩下のポストプレイを受けた東出がシュート。
しかしブロックに阻まれて万事休すとなり、再度勝ち越す事は出来なかった熊本。
双方に勝ち点1を齎す、試合終了の笛が鳴り響きました。
J3も今年が8年目という事で、降格により元J2のクラブが大分膨れ上がってきたという印象。
この試合に勝てば首位(岐阜)に勝ち点で並ぶ事が出来た熊本からも、「何としてもJ2に戻る」という気概が感じられましたが、結果が出るとは限らないのが難しい所。
前年の秋田のような快進撃は中々起こらないだけに、この日のような勝ち点を逃す試合を量産してしまうのは避けなければなりません。