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DAZN観戦 2019年J1リーグ第19節 湘南ベルマーレvsヴィッセル神戸

2019-07-17 17:02:42 | サッカー視聴記(2020年以前)

「走るチーム」と「走らないチーム」の対決。

そんな対極的な両チーム、今季は一般メディアに取り上げられる回数も増えていますが、その中身も対極的なのが実に趣深いです。
神戸はもはや説明不要ともいえる、2017年シーズン途中のルーカス・ポドルスキ獲得に端を発しての、海外の大物助っ人の獲得の連続。
巨大戦艦ともいえる陣容で迎えたはずの今季でしたが、成績は殆ど奮う事無く中位から下の順位を彷徨い歩いている現状。
そして前半戦だけで監督交代2度(ファン・マヌエル・リージョ氏→吉田孝行氏→トルステン・フィンク氏)と、クラブの思惑とは全く別の意味で注目を浴びる破目になり、身の丈に合わない故の反動に襲われている典型でしょう。まあこれが最も深刻なのは鳥栖でしょうが
一方の湘南は、チームメイトがバチバチとやり合う「試合後のロッカールーム」が注目を集め、元来の「走るチーム」のカラーとも相成って常に手を抜かないというイメージを植え付けつつあります。
12節・浦和戦では「世紀の大誤審」騒動に巻き込まれた中試合を制した事で、まるで「正義のチーム」のような持ち上げられ方もしましたがその直後に5連敗(天皇杯含めると6連敗)と、湘南にも別の意味で身の丈に合わない故の反動が襲いつつあったのでしょう。
正義を名乗る(もちろん当人達にそんなつもりは無いでしょうが)にはまだまだ力が足りない、そんな天の声が聞こえてきそうな最近の成績。前節・名古屋戦で連敗は止めたものの、一歩間違えば残留争いに足を踏み入れる立ち位置なのは昨年と変わっておらず。

前回は4-1で神戸の大勝で終わった同カード(5月26日・第13節)ですが、夏場に入り運動量の少ない神戸にとってはキツくなる時期。(現在平均走行距離はJ1最下位)
「意図的に体力を節約している」のか「走れない体質になってしまっている」のかは、運動量が取り柄の湘南相手で明らかになる。そんな事を考えていましたが試合後の感想は違う部分でした。

監督がフィンク氏になってから、アンドレス・イニエスタをボランチに配置し、彼のゲームメイクで攻撃の形を作っていくシステムに移行した神戸。
実際にイニエスタは美しいと思えるボールキープ・スルーパス・ロングパスと多彩な技を披露し、神戸の攻撃を活性化させていきます。
周囲のメンバーは、長身FWウェリントンに実績豊かなストライカーのダビド・ビジャ、両サイドハーフにスピードのある古橋と小川。
イニエスタのゲームメイクを生かすには十分であり、今季前半のポゼッションに拘るサッカーからは脱却している風に映りました。

しかし守備面では相変わらず強度が足りず。
ダンクレーが累積警告で出場停止だったのが痛かったのか、あるいはドイスボランチの一角にイニエスタが入る事で湘南の突破を止められなくなっているのか、はたまた正GKのキムスンギュ欠場も響いているのか。
先制はしたもののオープンな展開になり、湘南の攻撃を凌げずに被シュート数が増えていきます。
特に湘南GK・秋元のロングフィード一本からピンチを迎える場面が、前半18分~26分の間で4回もありました。
彼のフィードをFW・山崎に落とされる、あるいは跳ね返すもセカンドボールを拾われてからの攻撃に対処しきれず。

チーム全体の守備組織の話は置いておき、本来神戸というクラブは自前で優秀なセンターバックを用意できるチームだったはず。
古くは海本・土屋(生え抜きではないが一応)に始まり、坪内・北本(現タイ・シモークFC)・岩波(現浦和)といった選手の名が浮かんできます。
しかし北本が衰え岩波が移籍した昨年から守備の脆弱ぶりが顕在化(シーズン途中にはチョンウヨン移籍もありましたね)。
そのため生え抜きの宮を抜擢し10試合連続でスタメン出場させているのが現状ですが、まだ時間が掛かりそうです。

さてそんな神戸に対し、ビハインドを許して攻勢を強める湘南。
3バックであるフレイレ・大野・山根も時には攻撃参加するほどの圧力で神戸ゴールを脅かします。
38分は中盤で梅崎から左へ展開、左ウイングバックの杉岡がクロスを上げると、ボレーで合わせたのはDF大野。(GK前川がセーブ)
42分、フレイレがパスを奪われた直後自らスライディングで取り返し、そのままミドルシュート(枠外)。

前半が終わり、後半に入ってからも湘南が攻める展開に。
しかし神戸もやられっぱなしでは無く、何度かカウンターを発動させます。
後半12分、コーナーキックの跳ね返しでビジャにボールが渡りそのままバイタルエリアまでドリブル、そして小川にラストパスを送るもオフサイド。
15分、今度はウェリントンから受けた古橋がボールを運び、ビジャにラストパスを送るも精度を欠いて繋がらず。

これ以降は宮のビジャ目掛けたロングパスが繋がらなかったり(19分)、GK前川のパントキックが直接タッチを割る(20分)など、神戸は体力と集中力の低下を疑われる場面が目立ち始めます。
ところがその直後(22分)、湘南DF・フレイレのボールロストでビジャが再びドリブルでバイタルエリアに進入する絶好機。
ここでビジャは右のウェリントンを選択しパス、エリア内右からウェリントンがシュートを放ちますが惜しくもゴール左に外れます。
結果的にカウンターを1回でも決めていれば……という展開になってしまいました。

 後半24分、山崎のゴールで湘南が同点に。(右WB古林がDF山根のスルーパスで突破→グラウンダーのクロスに合わせる)
ここから堰を切ったかのように、以降湘南の攻撃が次々とゴールに結び付きます。
29分、右サイドから途中出場の鈴木冬一(古林と交代)がエリア内左へクロスを上げると、西はクリアできずに杉岡がトラップ→右足で芸術的なシュートを右サイドネットに突き刺し逆転。
33分、ここでも西の梅崎への反則が契機となり、左ハーフラインからの梅崎のフリーキック。
上がったクロスはファーサイドでフレイレが頭で合わせ、追加点となる3点目をゲット。
あっという間に勝負の行方は湘南に傾きました。
この間の31分に、神戸のフリーキックをキッカー・初瀬が直接シュートするも惜しくもゴールバー直撃という場面があり、ここでも「たられば」の要因が出来てしまいました。

結局そのまま3-1で湘南が勝利。
「走るサッカー」の勝利というべく走行距離では大差がつきましたが(湘南約114km・神戸約105km)、一方でスプリント数ではそれほど差は無く(湘南183・神戸172)。
前回対戦時も同じようなデータ、むしろスプリント数では神戸の方が多かったぐらいでした。
それにも拘わらず、シュート数は湘南23・神戸9とダブルスコアの差で、前回は神戸15・湘南9だったので見事に逆転しています。

差となった原因は神戸守備陣の脆弱さで、未だ吉田氏が指揮を執っていた前回時と比べ、撃ち合いを挑むようなサッカーになったため弱点が露になる事が多かった。
イニエスタの突破力で前半何度もチャンスを演出していた反面、相手ボールになる機会も増えたのがその要因でしょう。ダンクレー不在も影響し、湘南のパワーある攻撃を止められなくなっていた。
こうなるとポゼッションに拘っていたリーグ序盤の方が良かったとさえ思いますが(ボールキープ率が増えれば攻撃に晒される機会も少なくなるという理論)、湘南との相性というものもあったでしょう。

これで神戸の順位は15位に落ち、あと一つで降格の危機が迫る位置に。
昔の神戸(楽天が買収する前ぐらい)は毎年残留争いが平常運転となっていましたが、現状のクラブはそれに耐えうる力は持ち合わせているでしょうか。

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DAZN観戦 2019年J2リーグ第22節 モンテディオ山形vs京都サンガFC

2019-07-16 13:50:14 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回の山形の記事はこちら(16節・鹿児島戦)
※前回の京都の記事はこちら(17節・大宮戦)

折り返し直後の試合がいきなり首位攻防戦という、偶然の産物ながらも注目される一戦となったこのカード。
先日(7月3日)に行われた天皇杯2回戦ではともに敗退し(山形は栃木に1-2・京都は水戸に0-1)、不本意な形ながらこれからは昇格に向けての戦いに専念する事となるでしょう。

その天皇杯で去年はJ1のクラブを次々と破りベスト4まで勝ち上がった山形、今季のリーグ戦ではここまで首位をキープ。
3-4-2-1のシステムを維持しつつ、戦略はカウンター重視という非常に堅実な戦いぶりで、21戦で僅か3敗(11勝7分)と中々隙を見せません。
それは起用するメンバーからも伺え、前回言及したFWジェフェルソン・バイアーノだけでなく、DFホドルフォ、MFアルヴァロ・ロドリゲスと助っ人勢は中々出番を貰えず。
良く言えば堅実、悪く言えば夢を見ないメンバー選択といえるでしょう。
しかしいくら助っ人といえどJ2クラブ所属な以上レベルそのものに疑問符が付く場合も多々ありますが
例外としては20節・柏戦で、バイアーノ・ロドリゲスの2人が揃ってスタメン。
特にロドリゲスは1節以来となるスタメン出場だったものの、この試合は0-1で敗戦。
柏の個の力に対抗しようとしたための助っ人勢の起用と推測されますが、結果は出なかった。

そんな近況でこの試合を迎えた山形ですが、システムを若干弄り、FWにバイアーノ・阪野を並べた3-5-2(3-3-2-2か3-4-1-2?)というフォーメーションで挑みました。
相手はポゼッションに長けた京都、その対策のため前線の枚数を増やしてプレスに厚みを加えるという狙いだったでしょうか。
メンバー表を見た段階では、ホドルフォ・三鬼・山田・柳とこれまでウイングバックで起用されてきた選手が揃い踏みでどんなフォーメーションなのか描けませんでしたが、ホドルフォが3バックの左・柳が中央のMF(ボランチか井出との2CMFかは判らず)に落ち着いた模様。
最近は本田と組むドイスボランチの相方に難儀していた様相だっただけに、不思議と自然に受け入れられました。

試合が始まると山形の狙いは明白となり、京都DFのボール保持に対し、前線から圧力をかけてパスサッカーを封じにかかります。
京都は中々ゲームを作れず、ロングボール主体の攻撃にシフトしますがチャンスまで持っていく場面は微少。
前半9分の仙頭のミドルシュートぐらいのもので、山形の作戦はとりあえず成功という風に見えた立ち上がり。

しかし山形の攻撃も不発で推移。
序盤はロングボール→バイアーノの収めと、右WB三鬼を軸にした攻め。
中盤以降は左サイドからの攻撃も見せるなど多彩でしたが、クロスが山ほど上がっても決定機に結びつく場面は殆ど無く。
22分に柳の右への展開から、三鬼→阪野と渡ってのクロスに柳が頭で合わせたシュートがあったものの(枠外)、双方我慢の展開というある意味首位攻防戦らしい堅い試合に。

すると次第に京都へと流れは傾き、前半の終盤は決定機の連続。
38分、自陣での金久保のポストプレイで小屋松に渡ると、ドリブルで右サイドを突破。
クロスと見せかけて横パスを送ると、上がってきた金久保が絶妙なコントロールシュートを放ちますがGK・櫛引がファインセーブ。
44分にも金久保の収めから仙頭にボールが渡り、こぼれ球をエリア内から石櫃が地を這うシュート。直前のプレイで山形・本田が倒れた事もありファールだと思ったか、山形側はこのシュートに反応出来ず。
しかしポストを直撃し、跳ね返りを一美が詰めてシュートもあろう事かGK櫛引の正面に飛んでしまい決定機を逃した京都。
0-0のまま前半を終了します。

ハーフタイムで気を引き締め直したか、後半も立ち上がりは山形が攻める展開に。
後半2分、ホドルフォ→井出→山田と渡り左サイドへ、山田がグラウンダーでスルーパスを中に入れた所に阪野がスライディングシュートを放ちますがオフサイド。
6分、柳のヘディングでバイアーノが左サイドへ抜け出し、再び山田のクロスから阪野がヘディングシュートという流れが生まれますがシュートは枠外。

良い流れを作りつつもそれを得点に繋げられないといった立ち上がりの山形、すると京都の後半最初のチャンス。
後半8分、左サイドの小屋松がカットインからミドルシュート、これはGK櫛引がまたもナイスセーブで防ぎましたがコーナーキックに。
するとキッカー・石櫃のクロスを本多がヘディングシュート。櫛引は4度目のセーブを見せたものの、直後の一美のボレーシュートにはどうする事も出来ず、ついに均衡が破れました。

その後も京都の方に流れは傾き(13分には一美がシュートも枠外)、前からの守備も嵌らなくなり自由にボールを回される場面が目立った山形、後半20分溜まらず選手交代。
坂元をバイアーノと変え、システムも従来の3-4-2-1にシフトし反撃を試みます。
これで流れを再び戻し、京都エリア内までボールを運ぶ場面も目立つようになります。
しかしシュートまでは中々持ち込めずにいると、京都のカウンターが猛威を振るうように。
25分、山形は相手クリアからの二次攻撃を本田のミドルシュートに繋げますがこれがブロックされると、跳ね返りを一美が収めた後小屋松→一美と渡り中央からシュート。
このシュートもGK櫛引がセーブして難を逃れます。
後半32分にも山田のクロスが跳ね返された後、一美にまで繋げられてエリア内まで進入されます。
その後パスを受けた仙頭がシュートしますがGK櫛引がキャッチ。

攻め上がるものの決定機には結びつかず、逆に櫛引が居なければ何点決められたか判らないというチグハグな展開になってきた山形。
最後まで出場したホドルフォ、ドリブルで左サイドを駆け上がりエリア内まで進入した場面(後半30分)は迫力がありましたし、41分にはフリーキックのクロスからのこぼれ球をシュートする(DFがブロック)などそれなりに目立ちましたがやはり得点には結びつかず。

アディショナルタイムに突入し、逃げ切りを図る京都に対し熊本や柳がシュートを放つものの、京都GK・加藤に阻まれノーゴール。(特に熊本のは惜しかった)
最後は自陣コーナーフラッグ付近から抜け出せず、試合終了の笛を迎える事となりました。

山形から首位の座を奪う事に成功した京都。
リーグ序盤の持ち味であった「ショートパスをひたすら繋ぐポゼッションサッカー」は、この日はリードするまで殆ど見られず。
前半のサッカーは、山形の激しいプレスをかわすためのロングボールを多用していましたが、効果的な攻撃とはいえませんでした。
しかしこれはカウンター主体の山形にとって、ボールキープさせられている状態を生み出す事となり、結局山形側の攻撃は決まる事無く。

逆に先制した後は、いつものパス回しも見られるようになりました。
無理にクロスを上げる無く、徹底したボールキープで山形の守備を上下に動かす事で時間を使う。
そして山形が攻勢に出た後、相手のお株を奪うカウンター攻撃も見せプレッシャーを与えるという綺麗な試合運びでした。
欲を言えばこのカウンターで追加点が入っていれば完璧だったのでしょうが……

22節を終え、首位から5位までが勝ち点40~39の1点差という大混戦の状況なだけに、首位浮上という結果だけでは全く安堵は出来ないのも事実。
しかし前年の惨状からは想像もつかない域にまで浮上し、サポーターが毎試合掲げている弾幕の「2019年シーズンJ2優勝そしてJ1へ」という言葉が現実味を帯びてきたのは、後半戦を戦ううえで大きな力となるでしょう。

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DAZN観戦 2019年J2リーグ第21節 レノファ山口FCvsFC町田ゼルビア

2019-07-11 12:41:22 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回の山口の記事はこちら(13節・大宮戦)

前年はJ1ライセンスが無いにも拘わらずJ2優勝争いに加わった事で、J1昇格を目指すクラブはおろか、J1での残留争いに巻き込まれていたクラブからもその成績・試合結果が注目される現象を発生させた町田。
一方J2で史上初の降格を味わったクラブでもあり(2012年)、この時はJ3リーグが生まれる前だったので、JFLへと舞い戻る破目に。

現在監督を務める相馬直樹氏は、初めてJ2に参入する以前にも1年間町田の監督を務めていた経験があり(2010年)。この時もJFLで3位と成績面ではJ2参入条件を果たせたものの、ホームスタジアム・町田市立陸上競技場の規模面で基準を満たせず無念の参入断念。
その後相馬氏はこの時の成績に目をつけられたのか、翌年J1・川崎の監督に就任します。

典型的な監督の引き抜きという図式が想像でき、ここで相馬氏が川崎で結果を残していればその後の町田の運命はどうなっていたのか。
しかし現実には相馬・川崎の成績は伸び悩み、2年目序盤で監督解任の憂き目に。

2014年に再び町田の監督に就任した相馬氏。この間に町田はJ2入りを果たすも前述の通り降格し、2013年再びJFLで戦う事になるも、J3リーグ誕生とともに参入が決定し翌2014年のJ3リーグ初年度を戦うという状況でした。
ここから町田は上昇機運に乗り、相馬氏は町田の監督に籍を置いて6年になるというのだから運命の巡り合わせは誰にも解らない。

現在の町田を象徴するサッカーとして、ワンサイドアタックと呼ばれるものがあります。
守備面ではコンパクトな陣形を保ち、攻撃面ではワイドに幅と奥行きを使うというのが現代サッカーの基本的な原則です。

しかしこのワンサイドアタックでは、攻撃面でも陣形を狭く保つのが特徴で、左右どちらかのサイドに選手を集中させて攻めるのが特徴。
これにより常時選手間の距離が近くなり、攻守の切り替えを容易にし、攻撃面では速攻からのセカンドボールの回収が容易になる、守備面ではカウンター防止のプレスを掛けやすくなるといった効用が生まれるのが利点となります。
こうした特色がハッキリとしたサッカーで、前年は出色の成績を残し一躍注目を浴びた町田。
逆に選手間の距離が近すぎるためショートパスを繋いでいくのには弊害になりますが、アバウトな縦への放り込みでチャンスが掴める・仮にチャンスにならなくても守備への切り替えが容易に行えるのでデメリットは少なくて済みました。少なくとも去年は。

新規スポンサー(サイバーエージェント)も獲得し、将来のJ1昇格に向けての準備が進んでいっている町田。今季も前年と同程度かそれ以上の成績を……との期待が膨らみましたが、ここまでの成績は勝ち点25の15位と伸びず。
特に有力クラブにワンサイドアタックが対策されてしまっているな、というのが個人的な見立てでありますが、それが顕著だったのが開幕直後の3節・山形戦。
簡単に書くと、アバウトな縦へのボールが簡単に跳ね返され、それによりスローイン数が激増。
攻撃のリズムが全く掴めない試合展開となり、こうなると攻守一体の戦術を採っている町田は守備面でも崩れてしまいます。
前半で1失点、後半反撃に出た所2失点で結局0-3で敗北。

その後戦術をパワーアップさせようと相馬監督以下首脳陣・選手達は奮起しているらしいですが(繊細はこの記事)、この日はどうだったか。

前半立ち上がりの2分、山口が決定機。
山口が敵陣でボール奪取し、三幸→吉濱と繋いでからペナルティエリア右へのパス。
そこに右ウイングバックの高木が走り込みシュートを撃ちますが、ポストに直撃しノーゴール。
いきなり町田側が肝を冷やす場面に。

その後は両チームともスローインが多発。
山口は他クラブと同様に町田の縦パスを跳ね返すだけで無く、町田のセカンドボール狙いも悉く潰します。(3バックの左に入っていた菊池の活躍が目立った)
そして自身も速攻を目指すので、町田側も跳ね返し→山口のスローインが増えるという展開に。

町田側はスローイン後も狭いエリアで繋いで、同サイドでクロスを上げるのですが決定機にはなかなか結び付かず。
山口側は町田選手が同サイドに固まっているのを突き、頻繁にサイドチェンジを利用していました。

4分、右タッチラインからのスローインを受けた佐藤が左サイドへ展開→左WBの瀬川に渡りクロス(ミスキックでゴールライン割る)。
これを皮切りに、9分にも右からのスローインを山下→高井→三幸と繋いでから左サイド奥へロングパス。瀬川に渡ったものの、この場面も瀬川がクロスをミス。
20分にもスローインから空中戦を経てボールキープした三幸が右サイドへ展開(その後高木→前クロスも流れる)という様に、山口の狙いは明らかでした。

そしてその後は違う攻撃も生きてきます。
25分、センターバック楠本のロングパス一本(クリア?)でFW・山下がエリア内で収めてシュート。(町田GK増田がセーブ)
27分、左サイド奥からスローインされたボールを佐藤がダイレクトでエリア内に。このボールがこぼれてチャンスになりかけますが、高井が詰める前にクリア。

着実にダメージを受けつつある町田の守備、前半30分過ぎ辺りからはカウンターを連続で受ける事に。
33分、自陣からのクリアを受けた山下が右サイドへ展開し、ボールを受けた吉濱が中央へ。
そこから高井→山下へと繋ぎ、山下はワントラップを挟んでシュート。(DFがブロック)
何とか防いだものの、36分にも山口のカウンター。
ここでも吉濱→三幸→高井と右から左へのサイドチェンジが炸裂し、ボールを受けた高井は一気にエリア内までドリブルで進入。
町田DF・佐野をドリブルでかわしてそのままシュート、ゴールに突き刺さり山口が先制に成功。それはまさに町田守備の壁を粉砕したかのようでした。
その後の前半戦はクロスの応酬に終始し、1-0で終了。

リーグ序盤から下位でくすぶっていた山口ですが、ここに来て5戦3勝2分と好調期に突入。
その要因が3バック(3-4-2-1)へのフォーメーション変更と非常に解り易いですが、これにより選手起用にも迷いが無くなってきたという印象を受けます。

補強の目玉だったであろうFW・工藤(リーグ序盤は腕にギプス嵌めたまま出場を重ねてましたね)はこの所ベンチを温める日が続き、佐々木もベテラン・佐藤を休ませるような起用に落ち着いています。(この日は累積警告で出場停止)
田中パウロ淳一(以下パウロ)も含め補強した選手は苦境に陥っている状況ですが、やはりこのシステムだと前線にはボールが収まる選手は必須ですから仕方無い。
一方システム変更で菊池・瀬川といった選手が日の目を見て、山田→吉満というGK交代策も今の所は上手くいっている。

後半が開始し、立ち上がりペースを握ったのは町田。
サイドハーフの中島とFW・土居の位置を入れ替え(といっても町田の圧縮された陣形で初見では解りづらい)、前線の起点を増やすのが狙いだったでしょうか。ロングボールからチャンスを作る展開が目立ちました。
後半6分、奥山の左サイドへのフィードから富樫→下坂へと渡りクロス。山口GK・吉満がパンチングしたこぼれ球を奥山がミドルシュート。しかし戻った吉満に阻まれます。
10分には中島の縦パスが富樫に渡った後、左サイドで富樫→森村→下坂と繋ぎ、最後は下坂がカットインからシュート。(DFがブロック)

しかし山口もロングボールで応酬し結果を出します。
18分、ゴールキックを山下が落とし、吉濱がダイレクトで右サイド奥へパス。
受けた高木はグラウンダーで中に入れ、三幸→吉濱と渡りシュート、DFに当たって右からのコーナーキックへ。
キッカーの吉濱はニアにクロスを入れるとファーにこぼれ、ここにフリーで走り込むのは前。
シュートは町田ディフェンスのブロックを掻い潜り、GK増田が辛うじてさわるも見事にゴール右に突き刺さりました。

その後もカウンター中心に町田を脅かし続ける山口。
後半25分には瀬川のスルーパスで山下がGKと一対一の場面を作りますが、山下の町田GK・増田の横を抜くシュートはゴール左へと外れてしまい得点ならず。
一方の町田はジョンチュングン・戸高(それぞれ土居・富樫と交代)と攻撃的な選手を投入し攻勢へ。
しかし2点差なため守りを固める山口に対し、戸高のドリブルでエリア内進入を図るという「時既に遅し」な状況が目立ち、決定機は作れず。

逆に山口は後半41分、前のサイドチェンジを左サイドで受けたパウロ(吉濱と交代で出場)がクロス。
これが町田ディフェンスを越える格好で、綺麗にファーサイドの山下の頭に合わさる形に。
先程決定機を外した山下、名誉挽回のヘディングシュートで3点目、自身も3試合連続ゴールとなりました。

試合はそのまま3-0で山口の勝利。
町田側はちょっと行き詰まりを感じる敗戦となりましたが、折しもこの試合はリーグ前半の最後の試合という節目であり、新しい事を導入するには丁度良いともいえます。
ここから昨年後半の再現を果たす事は可能でしょうか。

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2019年J1リーグ第18節 北海道コンサドーレ札幌vs松本山雅FC in札幌ドーム

2019-07-09 18:55:41 | サッカー観戦記

ここの所厚別ばかりに行っていて札幌ドームへの行き方を忘れた……とまでは言いませんが、リーグ戦ならではの大観衆(1万8千人以上だったそうな)に軽いカルチャーショックを受けながらの観戦となりました。
振り返ればJ1のリーグ戦は今年初めてだったので、熱気溢れる場の雰囲気をすっかり忘れてしまっていた自分でした。(昨年のFC東京戦以来)

正午を若干過ぎた辺りで入場、早速席に就こうとすると、フィールド内ではボーイズマッチが行われていました。
コンサドーレU-15同士の試合という内輪ではありました(札幌vs旭川)が、札幌ドーム内でこうした下部組織の試合を観るのは初めてだったので非常に新鮮でした。
なお試合の方は3-0で札幌の勝利との事。

 

席で一息ついた後、スタジアムグルメを購入に。
屋外にも様々なブースが並び、厚別とは比べ物にならない充実ぶりでしたが、ドーム内で済ませる事に。ゆっくりと楽しめるのは会場(この日は11時30分)と同時の入場時でしょうな……
前回のドームではラーメンを食べたので、この日はカレーをば。

「頑固オヤジのカレー」というブースの「ほうれん草カレー」
ジャガイモ一個丸ごとが目をひき、味の方でも良いアクセントになりました。
なおこのブースでは、ラーメン同様に札幌カラーの「赤黒カレー」も売っていましたが、黒の部分がイカスミという点に抵抗を感じたので断念。(赤は福神漬け、ここは普通なのね)

この日の札幌の相手はJ1に昇格して日の浅い松本という事でしたが、そんな不安を払拭するサポーターの数。(昨年の湘南戦はかなり寂しかった、水曜という事もありましたが)

 

試合中ともなるとアウェイシートの区画はほぼ埋まり、熱い応援を続けていました。
自分自身も松本のチャントはかなり覚えてしまっていたので、この日はつい口づさむ時間が多々。
しかしアウェイの区画が狭く、「雷鳥は頂を目指す」の弾幕が隠れざるを得なくなっていた光景は何とも言い難かったです。

日本代表にも選ばれた前田大前を応援する大旗。
写真では見えないですが白地の部分には数多のメッセージが書き綴られており、彼のこれからの飛躍を予感させられずにはいられませんでした。

札幌OB・大森健作氏が解説する「スタジアムTV」のコーナー。今年聴くのは初めて。
去年から継続中であり個人的には要らないと思っていますが、去年と違い練習中と被らなくなっていたのには好感。ちょっとだけ。

この記事で、「札幌ドームには無い」と書いていたフィールド内の長細い電光掲示板ですが、札幌ドームにもあった。
ルヴァンカップだったから設置していなかっただけなのか。

ちなみにこの日座ったのはバックスタンド、やや松本側寄り。
そのため試合中常時メンバーが表示される方の電光掲示板はこんな角度でした。

スタメン発表。↑とは逆サイドの電光掲示板から拝借。

不動の正GKであるクソンユン。
そろそろ韓国代表への定着が待望される頃ではないでしょうか。セレッソ大阪・キムジンヒョンも代表引退を示唆している事ですし……

MFの荒野。
最大の弱点「決定力の無さ」は治る気配は無いですが、ボール運び・守備両面で貴重な存在で、主な働き場はボランチ。

荒野とは対極に、決定力は素晴らしいジェイ。
ゴールを狙うだけで無くポストプレイ能力の高さは1トップに相応しいですが、守備面での機動力の不安は拭えない。

 

この日のメンバー。(結果も出ているんでネタバレ注意)
チャナティップが故障中で不在なもの、左ウイングバックに白井が入った以外は意外性の無いメンバーを組んだ札幌。前線3人にタレントを並べた事が吉と出るか凶と出るか。
故障明けで、4日前の天皇杯にフル出場した宮澤と駒井もベンチ入り。
一方の松本、前線のメンバーがレアンドロ・ペレイラ、永井と欠けており苦しい状況。
代役1トップの高崎も、完全なポストプレイ要員で得点を期待できるとは言い難く。
アウェイでの試合らしく、引き分け狙いに重心を置きあわよくば勝利を……という戦いに持ち込めるかが鍵となるでしょう。
元がカウンタースタイルのチームなだけに特に。

キックオフ。予想通り札幌が試合開始からチャンスを作ります。
1トップのジェイのポストプレイも生かしつつ、開始5分で早くもコーナーキックを2本得るなど松本陣内に押し込みます。

そして前半7分、鈴木の中央のドリブルから。
そのまま突破すると見せかけて左サイドの福森にパス、そこからクロスが上がり、ジェイがヘディングシュート。これがゴールポストを直撃すると、白井が詰めてゴール。
福森のクロスが上がった後、ジェイと競り合った當間を除き中央を固めていたはずの松本ディフェンスはGK守田含めて誰も動けず、シュートがポストを直撃しても悠々と白井の追い撃ちを許してしまうという反応の鈍さが目立っていた風に映りました。

ともかく早い時間帯で先制に成功した札幌。
その後も、選手個々の力量で相手に勝る点を生かしてチャンスを作ります。
その象徴的存在である鈴木が22分に、ロペスが25分にシュートを放ちますがいずれも枠外。
24分には福森のロングパス一本でジェイが抜け出し一対一のチャンスを掴みますが、ここはGK守田がシュートを防ぎ追加点ならず。

一方の松本、先制された事で重心も前に出始め、徐々に攻撃のリズムを掴みます。
前半17分には飯田の後方からのヘディングを田中隼磨が下がってボールを受け、反転してシュートを放つも、ボールを受けた時点でのオフサイド。
19分、左からの高崎のクロスを田中隼が逆サイドで受けて折り返し、杉本がシュートを放つも札幌・進藤のブロックに阻まれます。
28分には敵陣で今井がボールを奪い、杉本に渡るとDFキムミンテをかわしてエリア内からシュートもGKクソンユンがセーブ。

だんだんと松本ペースに試合が変わっていき迎えた前半30分、ここから立て続けにコーナーキックを得る松本。
その2本目、クロスを高崎が落とすと混戦に。最初のシュート(飯田)こそブロックされたものの、クリアしきれずこぼれたボールを最後は當間が押し込んでゴール。
執念で同点に追い付き、その直後の32分にも杉本がエリア内に走り込んでボールを受けシュート。
これもGKクソンユンが防いだものの、この時間帯試合の流れは松本側に傾いていました。

前田のスピードを生かしたプレーぶりはやはり松本の中では規格外という感じでした。
後方からのラフなパスでも、十分な脅威となるその足の速さは健在。
前半45分、まさにそんなシーンで札幌DF・進藤が追い抜かれてチャンスが生まれました。(その後パスカットされてゴールならず)

そんなこんなで1-1のまま前半終了。
ハーフタイムのドーレくん、場内一周の際バックスタンド側からスタートするのは有り難い。

やはり角度が付きすぎのため、松本側のメンバーが見づらいな……

後半開始。
2分にこれまた前田の右サイドで裏を取ってからのクロスから始まった事で、後半も松本ペースのままかと思われました。
しかしここから、地力に勝る札幌側が流れを引き戻しにかかります。

後半5分、ルーカスが右サイドからクロスを上げ、鈴木が左足で合わせます。
ジェイを狙ったポストプレイでしたが、松本DFに当たったボールをGK守田がキャッチ。
8分、今度は鈴木が右サイドをドリブルで突破しクロス。
ロペスの飛び込みはシュートになりませんでしたが、流れたボールをジェイが左足でシュート、しかしゴールバーを直撃してしまい勝ち越しならず。
手前でワンバウンドしたため合わせづらくなり、シュートが浮いた分松本にとっては命拾い。

そして12分、コーナーキックのチャンスで福森のクロスから、DFのキムミンテがヘディングシュート。
これも先程のジェイのシュートと同様にゴールに向かいますが、ライン間際で松本DFのブロックに遭いゴールならず。
札幌側は松本・飯田のハンドを主張するものの判定は覆らず、それにめげずその後も攻勢を強めます。

後半19分、左WBの白井を菅に交代。
20分、左サイドから上がったクロス(深井)をロペスがトラップし、シュートを放つもブロック。
こぼれ球をルーカスがシュートするもバーの上に外れます。
22分には菅が左サイドからエリア内に進入、GK守田を引き付けてからグラウンダーでクロス。
これにジェイ・ロペスが飛び込み、ゴールライン際で選手が入り乱れる混戦に
前半松本にゴールが生まれたシチュエーションと酷似したこの場面でしたが、最後はこぼれ球をGK守田が抑え、結果はゴールならず。

2つの混戦が松本有利に働いた事で、運気的にこの日の札幌はこれ以上のゴールは望めないだろう。
松本・飯田がこのプレーによる負傷で治療を受けている間、そんな事を考えさせられました。

しかし一方の松本も後半は押し込まれっぱなしで、シュートは後半27分、遠目からの宮坂の直接フリーキックという強引なものぐらい。
運動量も落ち気味で、30分には前田を交代させる(中美in)など途中から引き分け狙いにシフトしたようでした。

その後も札幌は攻め続け、後半26分には宮澤が(深井out)、37分には駒井が(荒野out)交代で出場。
36分にはコーナーキックから、鈴木の惜しいヘディングシュートがあったものの(GK守田がファインセーブ)、結局最後まで2点目を奪う事は出来ず。
1-1のまま引き分けという結果に。

自分は引き分けの試合を観たのは初めてでしたが、やはり幾ばくか消化不良感が残ります。
それでも、席を立った後に聞こえた松本サポーターの松本山雅コールで心はやや晴れました。
この日は彼らにとってJ1残留への貴重な勝ち点1になるでしょうか。

残りの消化不良部分はビールで流します。

恐らく自分にとってはこの試合が今季のJ1リーグ生観戦の見納めになるでしょう。まさに最初で最後
ACL入りを目指しているであろう今季の札幌ですが、この試合は自分の心境以上に消化不良に終わってしまったと思われます。
ジェイの1トップに鈴木・ロペスをシャドーで並べるという布陣でしたが、攻撃面ではその力を発揮したものの、やはりバランスを欠いている印象を受けました。
前線での守備が今一つだったのが、攻撃力の低い松本に前半あれだけチャンスを作られた要因だったでしょう。
この辺りはチャナティップの復帰待ちでしょうか。

ここ3試合(仙台戦→天皇杯HondaFC戦→この日)歯車が噛み合わない試合が続いていますが、再び上昇気流に乗ることが出来るでしょうか。

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第99回天皇杯JFA日本サッカー選手権大会2回戦 北海道コンサドーレ札幌vsHonda FC in札幌厚別公園競技場

2019-07-04 17:15:15 | サッカー観戦記

札幌のホームスタジアムで行われた一戦でありますが、大会の名目上あくまでも双方中立という立場。
故にいつものような札幌のホームを象徴する演出は無く、やや無機質な環境で行われたため一抹の寂しさが残る事となりました。
といっても札幌ドームのリーグ戦のように練習の最中にも大森健作氏が喋りまくるコーナーはどうかと思いますが
そのかわりチケット代は格安で、普段(リーグ戦・ルヴァン杯)のバックスタンドの値段よりも低価格でメインスタンドで観戦できるという有り難いシステムに。

一昨年の天皇杯ではいわきFCに敗れるという失態を演じ、同クラブが一躍メディアに注目される要因を作ってしまった札幌。
前年は4回戦まで進んだものの、ワールドカップ開催のため長期中断期間に2回戦(MIOびわこ滋賀戦)・3回戦(アビスパ福岡戦)が行われるというJ1有利な日程だった(J2以下は中断無しだった)ため評価が難しい年でした。(ちなみに4回戦でジュビロ磐田に敗戦)
そして今年の札幌の初戦の相手は、本田技研工業フットボールクラブ・通称HondaFC

立場上はJFLであるHondaですが、それというのも「完全なアマチュアチーム」という立場を貫いているから。
何度もJFLのリーグ戦を制覇し、成績上はとっくにJリーグに上がっても良いにも拘わらず、腰を据えてJFLの門番として立ちはだかっている信念が感じられるクラブであります。
(とは言うものの過去にJリーグ参入の意思を表明した際に地元・浜松市の受けが悪く断念したという歴史から来ているらしい)
しかし2009年から5年連続で優勝を逃すという低迷期もあり、2014年以降は元Jリーガーを支配下選手に組み入れるなど、「完全なアマチュア」から脱皮。その成果は以降5年間で優勝4度という栄冠に見事に現れています。
現所属では、大町・山藤(ともに元金沢)・古橋(元湘南)がJリーグ経験者。

    

駆け付けたサポーターの数こそ少なかったですが、このメッセージ性が籠った弾幕の嵐。
自分はこういうストレートな言葉に弱いので、この時点でもう心を奪われていました。
選手名の弾幕も、在り来たりなものでは無く非常に特色あるデザインでとても面白かった

 

札幌の前身クラブが東芝(正確には東芝堀川町サッカー部)である事を思い出させてくれる弾幕、Honda出身の現札幌所属である早坂・阿波加を応援する弾幕も出す等粋な事も。

Honda選手が登場、練習前にスタンドに挨拶……だけでなく。
サポーターの前で円陣を組むという新鮮さも披露してくれました。

札幌のウォームアップ。
中央辺りに居るコーチが、前監督である四方田修平氏でしょうか。

Hondaの練習の一面。
単なるトリカゴ練習かと思いよく見てみると……

 

ビブスの色が3色。
どうやら同色3人のグループを複数作ったうえでのトリカゴ、いやディフェンスの数が圧倒的に多いのでトリカゴとも呼べません。
敵の数的優位の中でのパスワークの練習らしく、これに圧倒的に時間を割いていました。

 

天皇杯という枠組みには逆らえず(?)、札幌側も無機質なスタメン発表。
それでも身長だけはしっかり出します。

双方のスタメンが出揃う。
札幌は駒井・宮澤が、故障離脱後初の実戦となりました。
それにしては周囲を固める選手が、軒並みサブかそれ以下の立場なのが気がかり。
なお石川は練習中に故障でもしたのか、試合開始時に中村(24番)と入れ替わり
一方のHonda、前の試合(JFL第13節・テゲバジャーロ宮崎戦)からスタメンを6人入れ替え。
といっても松本・山藤はレギュラーのドイスボランチ、白坂・佐々木も普段から出ているレギュラーであり、この日のために前節は休養していたと思われます。
ちなみに両チームとも、DFは上から順に右・中央・左、MFは右ウイングバック・右ボランチ・左ボランチ・左ウイングバック・トップ下(orシャドー2人)という規則正しい並びになっていました。運営の方の気遣いに感謝。

一週間前に引き続き、ボールパーソンを務めた北海道科学大学高校の方々。
ただ災難な事に入場の際もピッチへの散水が止まず、水を避けながらの入場となっていました(笑)。

 

選手入場、その後整列。
そして最後尾のドーレくんが、実質札幌のホームである事を証明してくれます。

 

さてキックオフ。
立ち上がり札幌はJ1の貫禄を見せるどころか、押し込まれて何本もシュートを許す展開に。
やはり1トップのロペス・WBの菅以外はサブメンバーで挑んだ事が裏目に出たか、全くゲームを作れずに時間を消化。

そして前半10分のHondaの攻撃、エリア内で池松のパスを受けた八戸がゴールライン際で倒されると、笛が鳴り早くもPKの決定機。
これをストライカーの遠野(といってもチーム得点王は富田と児玉ですが)が決めて先制。
石川の緊急交代も影響したのか、バタバタした印象を受けた序盤の札幌。

その後14分に宮澤のスルーパスを白井が受け取りシュートを放ち(DFがブロック)、札幌ペースになるかと思われましたがそんな事は無く。
16分には八戸が、20分には佐々木がシュートを放つなど俄然Hondaペース。
そして25分、エリア内に進入した富田が倒され、何と2本目のPKに。
これは富田の左へのシュートをGK・菅野が止めます。
しかし31分、後方のスルーパスで遠野が抜け出してGKと一対一に、きっちり決めて追加点。

早くも2点差が付きましたが、これでHonda側は気が緩んだか。
33分、キャプテン鈴木のクリアがプレスを掛けていた札幌・中村にブロックされると、そのボールが直接ゴールイン。

このラッキーともいえるゴールで息を吹き返した札幌、以降はロペスの個人技を主体に攻勢。
39分のシュートはブロックされますが、45分にはフェイントでDFをかわしそのままドリブルシュートを放ちます。(惜しくも枠外)
一方Hondaも、アディショナルタイムに古橋がドリブルからシュートを撃ちますがGK・菅野に阻まれます。
そして1-2でHondaリードのまま前半終了。

 

メインスタンドでの観戦は、監督の姿も近くで観れるのが旨味。
そんな訳で、ミハイロ・ペトロヴィッチ氏(以下ミシャ)のピッチ脇に立つ姿をば。
この日のミシャ氏は、前半PKを2本も与えた事で審判にお冠だったのか、後半はHonda側が反則を犯す度に第4審判に対し怒っていました。

後半開始、の前に札幌はルーカス・フェルナンデスを投入。(岩崎と交代)
後半もHondaはパスワークで試合のペースを握りますが、札幌もルーカスーロペスのラインが出来た事で、やられっぱなしでは無くなります。
後半4分には、藤村の右サイドへの展開から白井がクロス、これをエリア内でロペスがトラップしてシュート。(DFがブロック)

そして後半10分、カウンターで2対2のチャンス。
ルーカスのパスを受けた藤村がドリブルでエリア内に持ち込みシュート、飛び出したGK・白坂を抜いて見事ゴールゲット。

同点に追い付いた事で空気も変わり、特にHondaGK・白坂はその後キックミスを連発。
17分、あろう事かルーカスの正面に蹴ってしまうと、ルーカスはドリブルで持ち込み、DFをフェイントでかわしてゴール正面からシュート。
しかしこれは僅かにバーの上に外れ、札幌サポーターの歓声が溜息に変わりました。
この直後札幌は中原に代えてキムミンテが出場。

そんな冷や汗もののシーンも束の間、このゴールキックを再び白坂がキックミス、伸びないボールをセンターサークル手前で藤村がカット。
そしてスルーパスから、今度はロペスにシュートを打たれますがこれはジャストミートせず自らキャッチ。

流れ的にも札幌が逆転する雰囲気になりつつありましたが、それを一変させたのが元プロの古橋のゴールでした。
敵陣右サイド奥深くでのスローインからボールを繋ぎ、遠野のポストプレイを受けた古橋。
斜め45度より尚鋭いぐらいの角度でしたが、そこから巻くシュートで見事サイドネットを捉えるファインゴール、再びHondaがリードを奪います。

勝利が近づいてきた事でHondaサポーターも盛り上がります。
ギャラクシーの如く、ライトを両手に持っての応援でした。

一方勝ち越された札幌、苦しい崖を登りきったと思ったら、再び突き落とされたというような展開に。
そんな状況を打破すべく3枚目のカードを使い、中村→檀崎に交代するとともに、フォーメーションも4バックにシフトする動きを見せます。

しかし失った流れは取り戻せず、その後はHondaがシュートを浴びせまくる展開に。
パスワークで崩されては決定的な位置からシュートを打たれ、枠外に助けられたりGK菅野がセーブしたりと、プロ顔負けの攻撃に冷や汗の場面が続きます。

そして後半41分のHondaのコーナーキック。
キッカーであった古橋が32分に退いた(児玉と交代)ため、誰が蹴るのか迷っていた挙句遠野が務めたキックでしたが、これがゴールに結びつくのだからわかりません。
放たれたクロスは池松が落とすと、鈴木のリターンを受けた池松がシュートを打ちゴールイン。決定的な4点目を奪いました。

そしてそのままアディショナルタイムに入り、時間を使うHonda。
児玉のコーナーフラッグ付近でのボールキープ、時間が押し迫った状況での松本→清水への交代という具合に手を打ち続け、ついに迎えた試合終了の笛。
終始パスワークが冴え渡った、JFL最強クラブに相応しい勝利を手にしました。

敗れた札幌、2年ぶりに下位カテゴリーの相手に膝を屈する事となりました。
このところ過密日程なだけにターンオーバーは仕方の無い所ですが、結局故障明けの駒井・宮澤はフル出場。試合勘を取り戻させるのにファクターを割いているかのようでした。
最近ではリーグ戦で白井・藤村が途中交代で出番を貰っており、層は徐々に厚くなっているでしょうか。

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