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DAZN観戦 2019年J1リーグ第19節 湘南ベルマーレvsヴィッセル神戸

2019-07-17 17:02:42 | サッカー視聴記(2020年以前)

「走るチーム」と「走らないチーム」の対決。

そんな対極的な両チーム、今季は一般メディアに取り上げられる回数も増えていますが、その中身も対極的なのが実に趣深いです。
神戸はもはや説明不要ともいえる、2017年シーズン途中のルーカス・ポドルスキ獲得に端を発しての、海外の大物助っ人の獲得の連続。
巨大戦艦ともいえる陣容で迎えたはずの今季でしたが、成績は殆ど奮う事無く中位から下の順位を彷徨い歩いている現状。
そして前半戦だけで監督交代2度(ファン・マヌエル・リージョ氏→吉田孝行氏→トルステン・フィンク氏)と、クラブの思惑とは全く別の意味で注目を浴びる破目になり、身の丈に合わない故の反動に襲われている典型でしょう。まあこれが最も深刻なのは鳥栖でしょうが
一方の湘南は、チームメイトがバチバチとやり合う「試合後のロッカールーム」が注目を集め、元来の「走るチーム」のカラーとも相成って常に手を抜かないというイメージを植え付けつつあります。
12節・浦和戦では「世紀の大誤審」騒動に巻き込まれた中試合を制した事で、まるで「正義のチーム」のような持ち上げられ方もしましたがその直後に5連敗(天皇杯含めると6連敗)と、湘南にも別の意味で身の丈に合わない故の反動が襲いつつあったのでしょう。
正義を名乗る(もちろん当人達にそんなつもりは無いでしょうが)にはまだまだ力が足りない、そんな天の声が聞こえてきそうな最近の成績。前節・名古屋戦で連敗は止めたものの、一歩間違えば残留争いに足を踏み入れる立ち位置なのは昨年と変わっておらず。

前回は4-1で神戸の大勝で終わった同カード(5月26日・第13節)ですが、夏場に入り運動量の少ない神戸にとってはキツくなる時期。(現在平均走行距離はJ1最下位)
「意図的に体力を節約している」のか「走れない体質になってしまっている」のかは、運動量が取り柄の湘南相手で明らかになる。そんな事を考えていましたが試合後の感想は違う部分でした。

監督がフィンク氏になってから、アンドレス・イニエスタをボランチに配置し、彼のゲームメイクで攻撃の形を作っていくシステムに移行した神戸。
実際にイニエスタは美しいと思えるボールキープ・スルーパス・ロングパスと多彩な技を披露し、神戸の攻撃を活性化させていきます。
周囲のメンバーは、長身FWウェリントンに実績豊かなストライカーのダビド・ビジャ、両サイドハーフにスピードのある古橋と小川。
イニエスタのゲームメイクを生かすには十分であり、今季前半のポゼッションに拘るサッカーからは脱却している風に映りました。

しかし守備面では相変わらず強度が足りず。
ダンクレーが累積警告で出場停止だったのが痛かったのか、あるいはドイスボランチの一角にイニエスタが入る事で湘南の突破を止められなくなっているのか、はたまた正GKのキムスンギュ欠場も響いているのか。
先制はしたもののオープンな展開になり、湘南の攻撃を凌げずに被シュート数が増えていきます。
特に湘南GK・秋元のロングフィード一本からピンチを迎える場面が、前半18分~26分の間で4回もありました。
彼のフィードをFW・山崎に落とされる、あるいは跳ね返すもセカンドボールを拾われてからの攻撃に対処しきれず。

チーム全体の守備組織の話は置いておき、本来神戸というクラブは自前で優秀なセンターバックを用意できるチームだったはず。
古くは海本・土屋(生え抜きではないが一応)に始まり、坪内・北本(現タイ・シモークFC)・岩波(現浦和)といった選手の名が浮かんできます。
しかし北本が衰え岩波が移籍した昨年から守備の脆弱ぶりが顕在化(シーズン途中にはチョンウヨン移籍もありましたね)。
そのため生え抜きの宮を抜擢し10試合連続でスタメン出場させているのが現状ですが、まだ時間が掛かりそうです。

さてそんな神戸に対し、ビハインドを許して攻勢を強める湘南。
3バックであるフレイレ・大野・山根も時には攻撃参加するほどの圧力で神戸ゴールを脅かします。
38分は中盤で梅崎から左へ展開、左ウイングバックの杉岡がクロスを上げると、ボレーで合わせたのはDF大野。(GK前川がセーブ)
42分、フレイレがパスを奪われた直後自らスライディングで取り返し、そのままミドルシュート(枠外)。

前半が終わり、後半に入ってからも湘南が攻める展開に。
しかし神戸もやられっぱなしでは無く、何度かカウンターを発動させます。
後半12分、コーナーキックの跳ね返しでビジャにボールが渡りそのままバイタルエリアまでドリブル、そして小川にラストパスを送るもオフサイド。
15分、今度はウェリントンから受けた古橋がボールを運び、ビジャにラストパスを送るも精度を欠いて繋がらず。

これ以降は宮のビジャ目掛けたロングパスが繋がらなかったり(19分)、GK前川のパントキックが直接タッチを割る(20分)など、神戸は体力と集中力の低下を疑われる場面が目立ち始めます。
ところがその直後(22分)、湘南DF・フレイレのボールロストでビジャが再びドリブルでバイタルエリアに進入する絶好機。
ここでビジャは右のウェリントンを選択しパス、エリア内右からウェリントンがシュートを放ちますが惜しくもゴール左に外れます。
結果的にカウンターを1回でも決めていれば……という展開になってしまいました。

 後半24分、山崎のゴールで湘南が同点に。(右WB古林がDF山根のスルーパスで突破→グラウンダーのクロスに合わせる)
ここから堰を切ったかのように、以降湘南の攻撃が次々とゴールに結び付きます。
29分、右サイドから途中出場の鈴木冬一(古林と交代)がエリア内左へクロスを上げると、西はクリアできずに杉岡がトラップ→右足で芸術的なシュートを右サイドネットに突き刺し逆転。
33分、ここでも西の梅崎への反則が契機となり、左ハーフラインからの梅崎のフリーキック。
上がったクロスはファーサイドでフレイレが頭で合わせ、追加点となる3点目をゲット。
あっという間に勝負の行方は湘南に傾きました。
この間の31分に、神戸のフリーキックをキッカー・初瀬が直接シュートするも惜しくもゴールバー直撃という場面があり、ここでも「たられば」の要因が出来てしまいました。

結局そのまま3-1で湘南が勝利。
「走るサッカー」の勝利というべく走行距離では大差がつきましたが(湘南約114km・神戸約105km)、一方でスプリント数ではそれほど差は無く(湘南183・神戸172)。
前回対戦時も同じようなデータ、むしろスプリント数では神戸の方が多かったぐらいでした。
それにも拘わらず、シュート数は湘南23・神戸9とダブルスコアの差で、前回は神戸15・湘南9だったので見事に逆転しています。

差となった原因は神戸守備陣の脆弱さで、未だ吉田氏が指揮を執っていた前回時と比べ、撃ち合いを挑むようなサッカーになったため弱点が露になる事が多かった。
イニエスタの突破力で前半何度もチャンスを演出していた反面、相手ボールになる機会も増えたのがその要因でしょう。ダンクレー不在も影響し、湘南のパワーある攻撃を止められなくなっていた。
こうなるとポゼッションに拘っていたリーグ序盤の方が良かったとさえ思いますが(ボールキープ率が増えれば攻撃に晒される機会も少なくなるという理論)、湘南との相性というものもあったでしょう。

これで神戸の順位は15位に落ち、あと一つで降格の危機が迫る位置に。
昔の神戸(楽天が買収する前ぐらい)は毎年残留争いが平常運転となっていましたが、現状のクラブはそれに耐えうる力は持ち合わせているでしょうか。


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