<両軍スタメン>
3週間ぶりのリーグ戦とあり、首位を走る神戸は入りに特に留意すべき試合といえたでしょうか。
国立競技場での開催で大観衆(53,444人)を集めた代わりに、アウェイ・鹿島の方が地理的に近いというホーム感の薄い環境もあり、出だしで躓きたくない所。
やはり慎重な立ち回りをする神戸に対し、前半2分に鹿島が空中戦を制しボールを確保して好機を作りかけ。
しかし藤井のボールキープが佐々木に倒されて途切れるなど、神戸の球際の強さが中断明けでも示されるのみとなり。
その後神戸がコーナーキックを連続で獲得(5~6分)するなど流れを掴み始めると、8分には酒井が前に出てのパスカットからのショートカウンターで、武藤が中央からミドルシュート。(ブロック)
その後もセカンドボールを拾って敵陣でポゼッションを続けるという具合に、試合前の懸念は杞憂に終わる事となりました。
「ロングボールを大迫が収める」事がストロングポイントといわれる現在の神戸。
しかしその立ち回りを続ければ当然、徹底マークに遭う大迫が次第に消耗してしまい立ち行かなくなるのが目に見えており。
そんな理由からか、取って代わるように佐々木がターゲット役を務めて浮き球を合わせにいくシーンが目立った前半。
一方の鹿島もFW鈴木へのロングボールは一つの武器ですが、その役どころを務められる選手が不在なのが大きく響き。
パスワークでの組み立ての比重が高まった結果、神戸のプレッシングに難儀するというドツボに終始嵌ったままとなりました。
大迫がサイドに開きながらボールに拘りつつ、彼とは逆サイドで好機を作る神戸。
15分に最終ラインでのパスワークによる前進から、右サイドで大迫のボールキープが潰されるも、拾った山口がすかさずサイドチェンジして左サイドを武藤が前進。
ポケットからグラウンダーでクロスを入れ、ニアサイドで井出が走り込む(クリアされて撃てず)という攻撃の組み立て。
直後の16分も右サイドで大迫が受けたのち、戻しから中央→左へ展開して前進と、徹底した狙いを感じさせたその刹那でした。
井出が左奥へ切り込み、切り返しの連続を経てクロスを送ると、中央の武藤・大外の大迫の間に居た佐々木が合わせヘディングシュート。
ゴールネットに突き刺さり、要警戒といった大迫・武藤の二枚看板を逆手に取ってのフィニッシュで先制を果たします。
首位チームの出鼻を挫く筈が、逆に追う立場を強いられた鹿島。
その後はビハインド宜しく、一言で言えば「ボールを持たされる展開」のサッカーを常時強いられる事となり。
大迫・井出の2トップ(守備時)は、ボランチへのパスコースを切りながらのプレッシングを仕掛けてくるので、最終ラインからの組み立ては非常に厳しく。
サイドに逃げては詰まるの繰り返しで、上手く誤魔化して敵陣にボールを運んでも、素早く中央を固める神戸ディフェンスの前に結局戻して何も出来ずという攻めを繰り返します。
安西が負傷(佐々木にチャージされ顔から出血、23分)で治療を余儀なくされる等、その流れは一向に良化を見せない鹿島。
その間に2点目を奪われれば致命傷、といった展開となるのは自明の理となり。
GK早川もビルドアップに加わるなど、何とか数的優位を確保して繋がんとしますが、前述の通り規制の掛け方が巧い神戸の前には全く優位さを感じず。
29分にはエリア内の早川に対し大迫がスライディングで詰めにいき、辛うじて出された縦パスをカットした井出、そのままループシュートを狙いましたが立て直した早川が何とかキャッチ。
一向に光明を見出せない鹿島、30分過ぎ辺りから、ピトゥカが最終ラインに・樋口がボランチの位置に降りるという具合に可変を見せ始め。
これにより奪われてショートカウンターという危機は減ったものの、前に運ぶ難度は変える事が出来ず。
35分に関川の自陣でパスカットからトランジションを突く形で前進、ミドルパスを収めた鈴木から左へ展開し、フリーの安西へ。
ここから左ポケットを突く状況に持ち込むも防がれ、中央から今度は逆の右ポケットへピトゥカがスルーパス。
これを受けた鈴木が切り返しからシュート(ブロック)と、ようやく初のフィニッシュに辿り着きましたが好結果は生まれず終わります。
それでもこのフィニッシュで上向きになれれば……という所でしたが、終盤再び神戸のプレッシャーが牙を向き。
42分に降りる樋口に対し前に出て規制を掛ける本多、それにより前を向けずに大迫がボール奪取。
そのまま左サイドで細かく繋いだ末に、大迫のスルーパスを受けた井出がポケット奥を取ってマイナスのクロス。
受けた武藤の前方へのパスから扇原がシュートするも枠を捉えられず。
しかし流れを切られる格好となった鹿島、文字通り色を失ってしまったようで、45分には山口の右→左への対角線のロングパスから作られる神戸の好機。
左ポケット最奥という位置で武藤が残すと、右足アウトサイドで入れられたクロスに、井出がヘディングシュートで合わせ。
GK早川のセーブも及ばず、際どく左サイドネットに突き刺さり追加点を得た神戸。
山口のパスに対しオフサイド確認のVARチェックが挟まれるも無事ゴールと、まさに紙一重の攻めでしたが、それでも結果に繋がるのが神戸が得ていた好循環故の事だったでしょうか。
結局2-0で前半を折り返し。
何とかしたい鹿島は、ハーフタイムで一挙3枚替えを敢行。
関川・広瀬・藤井→昌子・松村・仲間へと交代し、佐野が右サイドバック・樋口がボランチへシフトとなりました。
2点差となったため、早期に点を取って「危険なスコア」を意識させたい鹿島。
しかし神戸も、前半のようなハイプレスは掛けず、2トップがボランチの近くで構える体制に移行します。
上がり過ぎずというリスク管理を重視した、当然過ぎる振る舞い。
鹿島は右サイドハーフに入った松村を中心にサイドから仕掛けるも、敵陣では中央を崩されないようにする神戸にとっては屁でも無く。
クロス攻勢も、山を越えず手前でクリアされるという繰り返しで実りません。
後半9分に佐野が右サイドをドリブルで持ち上がると、クロスでは無く直接ポケットへのパスを荒木に送り。
受けた荒木が奥へ切り込みシュートするも山川ブロック→GK前川キャッチで阻まれるという具合に、チャンスエリアでも万全なシュートコースを作らせない神戸ディフェンスに苦しみます。
神戸が攻撃機会を得れない程、入りから攻勢を掛ける鹿島でしたが、上記の理由で得点に辿り着くにはまだ足りないという印象であり。
13分にはこの日初の右CKから、二次攻撃で樋口の2度目のクロスを植田が合わせヘディングシュート。(GK前川キャッチ)
一方の神戸は直後に、この日の立役者というべき結果(1ゴール1アシスト)を出していた井出が足を痛めてしまい。
担架には乗らず何とか自力でピッチ外へ出た末に、パトリッキと交代となります。(パトリッキが左ウイングに入り、武藤が右WG・佐々木がインサイドハーフにシフト)
怪我の功名のように再び前線にパワーが齎された神戸、15分に佐々木が敵陣深めでボール奪取してボックス内を突いた(シュートは撃てず)のを皮切りに追加点を狙います。
直後にクリアボールを回収したのち、山口の右手前からのクロスを大迫が合わせヘディングシュート。
GK早川がセーブし、鹿島ディフェンスが回収するもゲーゲンプレスを掛けて左CKに持ち込み。
キッカー扇原のクロスの跳ね返りを、中央から酒井がダイレクトで撃つと、コース上に居た大迫がヘッドでコースを変えてネットに突き刺します。
しかしこれはオフサイドとなりノーゴール。
鹿島はその後の攻撃も、サイドでのクロス自体がブロックされるなどで、可能性はさらに狭まり。
再び前半のような「何をやっても駄目」という時間帯に陥ります。
万策尽きたという状態で、24分に再度ベンチが動いて垣田を投入。
トップ下の荒木と交代し、これでオーソドックスな4-4-2へシフト。
ダブルポストの陣容となり、鈴木への負担が減った事でようやく光明が見えたでしょうか。
30分左サイドでの前進から、中盤中央に垣田が降りてのポストプレイを経て右へ展開。
松村のクロスが手前から入ると、上がって来た垣田が中央でスルーしてファーサイドの鈴木に収まる好機に。
そしてコントロール重視のシュートを放った鈴木でしたが、ゴール上へ僅かに外れて実りません。
33分にも松村が右からクロスを入れる状況に持ち込むと、既にボックス内に居た垣田・仲間2人の後方に上がったボールを鈴木がボレーシュートで合わせ。
しかしこれもGK前川がキャッチと、選択肢の広がりにより鈴木が撃てる展開へ持ち込んだものの、肝心の結果が得られない鹿島。(31分に鹿島は樋口→柴崎へと交代)
すると直後の神戸の攻撃(34分)、前川のロングフィードからの攻撃で、さらに本多のラフなロビングを大迫が落としたボールがパトリッキに繋がり。
そして左ポケットからシュートを放つパトリッキ、これが左ポストを直撃してGK早川の背面に当たる(ラインアウトでCKに)という際どいものとなります。
アバウトな攻撃から決定機を作られた事で、再び追加点の危機に晒される流れに持ち込まれ。(35分に本多→飯野へと交代、酒井が左SBへとシフト)
そして37分、中盤左サイドでパトリッキのパスカットから素早く攻める神戸。
大迫のスルーパスがフリーの武藤に渡り、そのままエリア内に進入してシュート。
殆ど一対一という状況ながら、前に出たGK早川がセーブして何とか凌いだ鹿島でしたが、その粘りも直後の右CKで崩されます。
キッカー扇原のニア寄りへのクロスをパトリッキがフリック気味に合わせると、またも左ポストを直撃して跳ね返るボール。
しかし今度は佐々木がダイレクトでボレーシュートを放ち、GK早川の上を抜いて右サイドネットに突き刺さります。
この際に武藤の位置が(GKを遮っての)オフサイドとしてVARチェックに掛けられ、OFRにまで持ち込まれましたが、ゴールの判定が下され。
試合を決定付ける3点目が齎されました。
長いVARチェックにより、時間は既に40分台。
意気消沈は避けられない鹿島を尻目に、44分にもカウンター気味に敵陣に運び、そこから蜂の巣のように仕掛ける神戸。
佐々木の左からのクロスが流れた所、拾った武藤シュート(ブロック)→酒井シュート(ブロック)と立て続けに撃った末に、最後はクロスの跳ね返りを扇原がボレーシュートで締めましたが枠外に。
続く45分にも右からの武藤のクロスに佐々木が合わせヘディングシュート(GK早川セーブ)と、緊迫感からの解放を感じさせるようにフィニッシュを放ち続けます。
しかしそれが若干の緩みを招いてしまったか、突入したアディショナルタイム。
鹿島は敵陣でサイドを振りながらのパスワークに持ち込むと、右ハーフレーンで受けた松村に対し数的不利となる神戸左サイド。
大外での佐野の追い越しにより意識が振られると、カットインを選択した松村がそのまま空いたバイタルからミドルシュート。
豪快にゴール左へと突き刺し、1点を返す事に成功します。
それでもあくまで神戸サイドの緩みが招いたゴールであり、以降も鹿島は攻め込むものの、締め直した神戸ディフェンスを崩しきれず。
クロスを入れ続けるも、放ったフィニッシュはCKから、キッカー柴崎の意表を突く素早いクロスでのこぼれ球を垣田が放ったボレーシュート(枠外)のみ。
右ポケットからの松村のクロスもブロックされるなど、最後までクロスに対する神戸サイドの激しい寄せは健在でした。
結局3-1のまま試合終了となり、まずは「ファイナル5」の初戦を危なげ無い内容で勝利した神戸。
ここまで来れば、後は雑音など気にせず最後まで走り抜くのみであり。
現場はそんな事は言わずとも解っていると思われますが、一体感を背に栄冠を掴めるでしょうか。
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