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DAZN観戦 2024年J2リーグ第34節 栃木SCvs愛媛FC

2024-10-09 18:08:40 | サッカー視聴記(J2)

※前回の栃木の記事はこちら(31節・水戸戦、2-3)
※前回の愛媛の記事はこちら(30節・横浜FC戦、1-4)
※前回の両クラブの対戦はこちら(17節、愛媛 0-0 栃木)

<栃木スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • 長期離脱していた佐藤祥が32節(鹿児島戦、2-1)で復帰し途中出場、前節(いわき戦、0-0)スタメン復帰。

<愛媛スタメン>

  • 夏に加入した今野が32節(山形戦、1-3)で初出場、以降スタメンに定着。

この日と、前回のホーム(32節)での2試合は、栃木県グリーンスタジアムでの開催となった栃木。
言わずと知れた、現在のホーム・カンセキスタジアムとちぎ(以下カンセキ)が会場するまでの本拠地で、専用スタジアム→競技場への移転は訝しく思えたものです。

カンセキの開場は2020年の終盤の事で、その前年に残留争いの戦いの場となったこの地。
残り4試合で降格圏の21位に位置し、20位との勝ち点差6という厳しい状況に追い込まれたものの、その後3勝1分の成績で逆転を果たして残留に成功。
そして今季も、17位との勝ち点差6とほぼ同じシチュエーションで「ファイナル5」を迎えていますが、縁起の良い(そもそも低迷していたためこう言うのは憚られるが)このスタジアムで再現の足掛かりを作る事が出来るでしょうか。

相手の愛媛も、目下5連敗中でその争いに巻き込まれかねない位置にまで下降を余儀なくされているクラブ。
そのためお互いロングボール主体の入りが一層顕著となり、リスクを掛けずに敵陣へ運ぶ事に趣が置かれるものとなりました。
デュエルも当然激しくなるなか、反則により愛媛がフリーキック中心のセットプレー攻勢という流れで推移。
それでも放り込みが増えるのみに終わり、逆に7分の栃木のファーストチャンスで、大森の反則気味のボール奪取からショートカウンター。
左ポケットをドリブルで突いた大島が、切り返しから巻くシュートを放ち(ゴール右へ外れる)ファーストシュートに結び付け。

以降栃木はまた停滞を余儀なくされ、愛媛のセットプレー中心の攻撃が続き。
本来は地上からの組み立ても出来る栃木ですが、相手の出方を観察し、アバウトな手法が主体と見るやそれに付き合う形に。
あえてそうしている感が強く、何処でその意識から切り替えに掛かるかが注目される事となり。

愛媛はパクゴヌが3試合ぶりにスタメン復帰とあり、彼が上下動する事で可変するお馴染みの「攻撃時4バック・守備時3バック」というシステム。
連敗中のためか両サイドバックを中心にスタメンも色々変節を見せている事もあり、練度の面での不安からアバウトな立ち回りを選択した風に見えました。
その中で、肝となるパクゴヌは裏へのボールにひたすら走り込むなどこの日も献身的に動き回り。

そんな試合の様相が変わったのが22分で、栃木が裏へのロングパスに、2.5列目から青島が抜け出すという意表を突く仕掛け。
これに追いすがった小川が彼を倒してしまうも、反則の笛は鳴らずホームのスタンドがどよめきます。
しかし流れを変える効果はあったか、以降対角線のロングパスを多用する組み立てで愛媛ディフェンスを揺さぶり。
ボランチの位置で佐藤祥がそのフィード力を駆使し、片割れの青島が先程のシーンのように浮遊していくという関係性も明確になり。

大きな展開で逆サイドを突いてのクロス攻勢、というパターンで綺麗にペースを掴んだ栃木。
巻き返したい愛媛ですが、栃木のプレッシングの前にボールを運べない状態に陥り。
29分にはミドルパスで脱出せんとするも、石浦のトラップ際を突かれて佐藤祥がボール奪取。
そして中央でのスイッチから、受けた南野がミドルシュートを放ち、小川にブロックされるも左コーナーで継続。
ファーへのクロスがクリアされた所を、佐藤祥がダイレクトでシュート(枠外)と、故障の影響を微塵も感じさせない佐藤祥の活躍が目立ちます。

愛媛のシステムに合わせるように、栃木も攻撃時は、福島がSB化しての4バックとなって繋ぐ時間が長くなり。
それに伴いサイドハーフとなる森が、ワイド一辺倒とはならずに動き回る事で流動性を高め。
中々掴み辛い状況となる愛媛ディフェンス、パクゴヌも最終ラインを保ち5バックで凌ぐ絵図が増えるなど、苦戦の色が高まります。

しかし栃木も決定打は中々放てず。
プレッシングを強める愛媛に対し、宮崎狙いのロングボールでの脱出も有効性が高まったものの、フィニッシュには持ち込めず時間が過ぎていき。
一方の愛媛も、立ち上がりのアバウトな攻めからの軌道修正は難しく、保持せんとして細部でのミスが目立つ流れとなり。
そのため、慎重な流れをお互い引き摺るかのように、まるで攻撃機会が膨らまない展開と化した終盤戦。
結局スコアレスのまま、前半を終える事となりました。

全体として不完全燃焼だった前半から、どれだけ積極性を出せられるかといった後半の展望。
その入りの後半1分、ボール争いのなかプレッシャーを掛けにいった青島がボールを腕に当ててしまいハンド。
これにより左サイドからのFKと、前半同様セットプレー攻勢の様相となった愛媛。
しかし位置的に苦しいなかでキッカー茂木は直接シュートを選択(枠を大きく外す)と、シュートの意識を高めに掛かった節が見られ。

一方栃木の最初の好機は、エアバトルの最中で(松田の)反則に拠るFKとこちらもセットプレー。
右サイド浅めからキッカー南野がクロスを入れ、クリアが逆サイドにこぼれた所を宮崎が折り返してチャンスボールに。
そして平松が跳び込みヘディングシュート(GK辻キャッチ)と、枠内のフィニッシュに繋げる差異を生み出しました。

栃木の勢いが勝る格好になると、試合展開もそれに準ずるものに。
前半同様、地上での繋ぎ・宮崎狙いのロングボール双方を組み合わせてのビルドアップで、愛媛を守勢に追い込み。

そして10分、栃木は後方からのロングパスで、クリアボールを確保した愛媛に対するプレッシャーで佐藤祥がボール奪取。
敵陣で攻撃スタートとなると、森が右ハーフレーンで溜めを作り、それを追い越してポケットを取る福島に対しスルーパス。
完全な崩しを経て入れられたグラウンダーのクロスを、大外からニアに入り込んだ大島が合わせるという、これまた目線をズラしてのフィニッシュでゴールネットを揺らします。
ロングボール→拾われた所を奪取という、5年前の残留争いにおける「ストーミング」らしき手法ながら、当時と段違いな繋ぎの練度により辿り着いた先制点となりました。

これで苦しくなった愛媛。
尚も勢いを増す栃木のプレッシングの前に、ロクに組み立てられずにアバウトな手法に頼る状況は前半と変わりません。
それを尻目に栃木は13分にも決定機、右サイドでの浮き球の繋ぎを経て青島がサイドチェンジ、受けた大森は前進を経てアーリークロスを選択。
クリアされるも大森自らヘッドで入れ直すと、ファーサイドで宮崎のヘディングシュートが放たれましたが右ポストを直撃。
詰めにいった大島の前でクリアされ、惜しくも追加点は得られません。

巻き返しを図るべく、14分に2枚替えを敢行(茂木・石浦→窪田・曽根田)した愛媛・石丸清隆監督。
しかし問題なのは後方からのビルドアップという状況なので、2列目の駒を代えたのみでは変えられず。
それどころか、15分に福島のボール奪取から、宮崎が中央からのミドルシュート。(ゴール左へ外れる)
16分にも大森がパス先に対するプレッシャーでボール奪取、その刹那三原に倒されて反則・敵陣でFKゲットと、ショートカウンター主体の好機を浴び続け。

この流れで仕留めたい栃木、20分に右スローインから保持→クロス攻勢に入り。
クリアボールも拾い続け、最後はポケットへのスルーパス(森→福島)がディフェンスに遭うもCKに繋がるという具合にゲーム支配の絵図を高めます。
このCKから、クリアボールを佐藤祥がミドルシュートとフィニッシュで終わるも、これは精度を欠き大きく外れ。

一向に反撃の橋頭堡を作れない愛媛。
25分、左サイド深めからの攻撃スタートになると、今野の持ち運びに対し栃木のプレッシャーで監獄状態となりかけ。
「ここも前進出来ずか……」と思わされるこの絵図から、狭い所を縦パスで通すと、その先でも曽根田が(福島に)倒されながらのポストプレイと際どい繋ぎ。
これでプレス回避し敵陣へ運び、松田へのミドルパスはカットされるも曽根田が拾い、前進を経てそのままミドルシュート(GK丹野キャッチ)と苦しみながらもフィニッシュにまで持っていきます。
続く26分にも中盤でのボール奪取から好機、左サイドで対角線のミドルパスを受けた窪田がカットインからミドルシュート。(ブロック)
直後にベンチも再度動き、谷岡・パクゴヌ→石渡・ダンカンへと2枚替え。
これにより通称「パクゴヌシステム」(自分しか呼んでいないと思う)から、松田・ダンカンが2トップのオーソドックスな4-4-2へとシフトします。(曽根田が右SHに回る)

一匙の光明が見出されるも、28分には最終ラインでのコントロールミスで南野に奪われる(その後保持→戻して作り直し)という具合に、依然として怪しさが入り混じった状態。
そんな後方が、この直後に綺麗なビルドアップの道筋を作ってゴールに繋げるのだから分かりません。

29分、最終ライン⇔ボランチでのパス回しを続けて栃木のプレッシャーを呼び込んだのち右への素早い展開。
そのワイドで三原が、大森に詰められる前に1タッチで縦パスを送ると、ダンカンのスルーでラファエルも喰い付かせる事に成功。
松田も1タッチのスルーパスを選択し一気に右サイド裏を突く、完全に崩した末の曽根田のクロスが上がると、中央に走り込むダンカンを越えて大外で石渡がボレーで合わせ。
流れるようなパスワークで奪った、これまでの閉塞感は何だったのかという気持ちにもさせる同点ゴールとなりました。

追い付かれた栃木、どうしても勝ち点3が欲しいチーム状況なので気分的には追い掛ける側へと移り。
32分に森・大島→石田・奥田へと2枚替えを敢行し、その燃料にせんとしますが、一度崩された好循環を取り戻すのは容易では無く。
ゴールとともに流れも奪った格好の愛媛、33分には攻撃が途切れたのちのゲーゲンプレスで松田が奪い返してゴールに迫り。
ダンカン右ポケットへスルーパス→三原走り込んでクロス→窪田シュートと繋げましたが、オフサイドとなり実らず。(シュートもミートせず右へと逸れ)

35分に双方交代の絵図となり、栃木は大森→高嶋(右センターバックに入る)へと交代し、ウイングバックは右に福島・左に石田へとシフト。
愛媛は松田→尾崎へ交代と、DFを追加する事で再度?3バックへ戻す格好となりました。(尾崎は右CBで、三原が右WBに)

この采配を勝ち越しに繋げたい両チーム。
栃木は39分に敵陣で保持を続け、左からの前進を経てポケットを取った奥田がクロス。
クリアが小さく浮き上がった所を、宮崎がヘディングシュートに持っていくもGK辻がセーブ。
直後の40分に愛媛も、ダンカン狙いのロングボールの跳ね返りを繋げ、左からの前進の末にスルーパスでポケット奥を取り。
そして窪田のクロスをニアサイドでダンカンが合わせヘディングシュート、しかしGK丹野がキャッチ。
主砲のヘディングがゴールを脅かしたものの、共に決まらず。

栃木ベンチの執念は尚も続き、41分に最後の交代を敢行。
南野・宮崎→小堀・矢野へ交代するとともに、ラファエルが前線に上がって4-4-2の布陣となり(小堀は右SH)、パワープレイに近い格好で最後の勝負に出ます。

しかし同時に、これまで貫いて来た地上での繋ぎ、ならびに組織力を発揮しての攻撃を放棄する事にも繋がり。
44分にロングフィード→矢野フリック→小堀と繋がり、こぼれ球を拾ったラファエルがエリア内を突いてシュート(ゴール左へ外れる)と一定の成果は出たものの、失点前の攻勢のような「ゲーム支配」の感は生まれず。

アディショナルタイムに突入すると、石田のロングスローもこの日初めて使いましたが、結局これが打ち止めとなり。(直後に石渡のドリブルを反則で止めてカウンター阻止した石田に警告)
以降は後方から何とかロングボールを送れれば……という状態に陥り、それ以上の好機は生まれずとなりました。

結局1-1で試合終了となり。
非常に意味の分かれる勝ち点1で、愛媛は降格圏の栃木に勝ち点差(8)を詰められずに済み。
一方の栃木は、敗戦した大分との勝ち点差を1しか詰められず、依然としてあと2勝分の勝ち点が欲しいのは変わりません。
地上での繋ぎ・ロングボール攻勢の双方を巧く使っていた栃木も、残留争いも最終局面を迎え、今後どんなサッカーが顔を出すのか注目したい所です。

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