ぶらりドリブルの旅

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DAZN観戦 2020年J1リーグ第16節 ベガルタ仙台vs大分トリニータ

2020-09-16 15:57:12 | サッカー視聴記(2020年以前)

これまで仙台2勝・大分3勝という、低空飛行を余儀なくされているクラブ同士の対戦。

とりわけ仙台の方はホームで未勝利という惨状で、試行錯誤を続ける中、故障者も続出しているのが痛々しくもあり。
前年MVP級の活躍をしていたシマオ・マテが長期離脱から復帰したのは明るい材料でしょうが、彼が復帰した途端に蜂須賀・吉野に故障発生するなど、噛み合わせの悪さも降りかかりつつあります。

試合が始まると、その仙台の痛々しさが滲み出るような展開に。
大分のコーナーキック祭り(前半2分に獲得して3本続く)を経ての立ち上がり。
大分サイドは成績は上がっていないといえど、中心軸に最終ラインからのビルドアップという「基本となるサッカー」が染み渡っているチーム。
3バックをワイドに開き、ボランチ1人(この日は羽田)がセンターバックの脇に降りて来る基本形を採ってのビルドアップ。
この「ミハイロ・ペトロヴィッチ(現札幌監督)式」とも呼ばれる形を軸としつつ、ロングボールも交えて仙台の腰が据わっていない序盤からシュートを浴びせていきます。
6分岩田が左へロングパスを送り、香川が走り込み奥で受けてクロスを上げ、伊佐がヘディングシュート。(枠外)
8分は左サイドで三竿がパスカットしてドリブル、エリア手前で町田→香川と繋ぎ、香川がシュート。(仙台・金正也(キムジョンヤ)がブロック)

対する仙台も、大分と同じく、最終ラインがボールを持ってから攻撃を仕掛けんとします。
右ウイング(右サイドハーフ?)のジャーメイン良を軸として、彼にどうボールを繋げるかが狙いだったでしょうか。
右サイドに叩いてから右サイドバック・柳がロングパスを送ったり、サイドハーフ・トップ下経由でジャーメインに渡したり、が主な手法。
しかし単調な攻撃に終始し、流れを作る事が出来ず。
唯一可能性を感じたのが13分、金の縦パスを敵陣右ハーフレーンで浜崎が受けたシーンで、そこから右サイドのジャーメインに渡したのち浜崎・柳とともにパスワーク。(しかし最後に奪われて実らず)
この浜崎の受け方を軸にして、多彩な攻めを展開出来れば面白くなりそうでしたが……。

飲水タイムを経て、仙台が自分達のサッカーが出来ていないと踏んだのか、大分は更なるパスサッカーを演じて揺さぶっていきます。
一旦右サイドでパスを繋いだ後、戻してから逆の左サイドに振って切り込み(あるいはその逆)という攻撃を幾度も仕掛ける大分。

そして34分、この場面は左サイドで攻め切ります。
三竿が香川とワンツーで前進の後スルーパスを送り、受け取った町田がエリア内左へと進入、そこからさらに三竿を走らせるスルーパス。
ゴールライン際で追いついた三竿のグラウンダーのクロスを、ニアサイドに入った三平が合わせるシュート。
ほぼ完璧な崩しを経てネットを揺らし、先制に成功した大分。

一方の仙台、ビハインドとなってからも、大分のペースを崩す事すらままならず。
そんな中、40分に早くも交代カードを切り、ジャーメイン→関口へと交代。(アレクサンドレ・ゲデスがトップ下→右ウイングへシフト)
関口をトップ下とする布陣へと代え、ジャーメイン偏重の攻撃を正さんとします。
すると前半の残り時間は攻撃権が移り、仙台は石原のミドルシュート(40分)・関口のミドルシュート(42分)と攻め立てるも得点には至らず。
本格的な反撃体制は後半から、というメッセージを残しつつ前半を終えます。

これまでJ2で監督業を務めていた木山隆之氏、今季はJ1・仙台へと招聘され、初のJ1挑戦となりました。
前年まではライバルクラブ?の山形で、中断を経て選択したフォーメーションは、その時(3-4-2-1)とは一線を成す4-3-3(4-2-3-1?)という布陣。
憚らずも今季はイレギュラーな状況を受け、降格無しとなったのは「やりたい事をやる」機運に恵まれたといえるでしょう。

しかし成績的には中々結果が出ず、過密日程を強いられる状況では修正もきかず、故障者も膨れ上がり……という悪循環。
折りしも仙台のクラブの状況も、赤字を計上している所に今回のウィルスによる特例措置と、苦境を耐えるだけという状況なのが厳しい所でしょう。

一方の大分も、成績的に低迷、財政規模はかなり下の状況と似通っています。
リーグ中断を経て入りは良かった(2・3節と連勝)ものの、守備崩壊による5連敗を経て、正GKも交代となる(高木→ムンキョンゴン)など試行錯誤。
以降守備は持ち直してきたものの、そうなると逆に得点力不足が一際目立つ事に。
サッカーの土台は既に出来上がっているだけに、予算の小ささによる編成の苦しさを痛感せずにはいられない状況です。
いくら良いサッカーを展開しようとも、得点を挙げるには質の高い選手を集める資金力が必要、そんな事を実感させられます。

前節・湘南戦も、前半のみで0-2と苦境に追い込まれる試合となりましたが、そこから2得点して引き分けに。
得点力において底打ち感を得て迎えたこの日の試合でしたが、とりあえず前半は1-0という結果に表れる事となりました。

後半が始まると、仙台はいきなりキックオフからの攻撃。
金ロングパス→長沢落とす→浜崎→パラ→椎橋縦パス→関口フリックと繋いでいき、エリア内の長沢に渡りシュート。
ゴール左に外れ電光石火の同点劇とはならなかったものの、これが口火となり以降仙台の流れが到来。
大分がボールを持っても激しいプレスで対抗して相手に繋がせず、ロングボールを回収して再び攻撃、という「ずっと俺のターン」状態を続けます。

攻撃自体は、開始時に巧くいった金の縦パス・ロングパスが主体。
長沢や関口にポストプレイをさせた後にサイドに展開、という単純なものでしたが、とにかくセカンドボールを拾えたのが大きかった。
ペースを握ったまま、後半14分に仙台は2枚替えを敢行。
石原・椎橋→西村・兵藤へと交代、これを境にシュートも量産体制に。

18分、シマオのロングパスを長沢が胸トラップで収め、右に叩いたのちパスワーク。
ボールを持ったゲデスがカットイン、エリア右角辺りからシュート。(ブロック)
クリアされた後、金が展開して左サイドから攻め、パラのスルーパスを受けた西村が奥でカットインしてエリア内からシュート。(GKムンキョンゴンキャッチ)
防戦一方の内容を受け、大分も19分に3枚替えを敢行(伊佐・三平・前田→知念・渡・島川へと交代)したものの流れは変わりません。
21分には右サイドで兵藤縦パス→ゲデスフリック→柳と渡り、柳のグラウンダーのクロスを関口がポストプレイでエリア手前の長沢へ。
絶好の場面でシュートを放った長沢でしたが、シュートは浮いてしまいモノに出来ず。
その後も24分に浜崎のミドルシュート(ブロック)、25分には西村シュート(ブロック)・CKから兵藤がミドルシュート(枠外)と、主砲を連発していく仙台。

しかしこの絶好の時間帯をモノに出来ずにいると、自然と相手へと流れが移ってしまうのがスポーツの性。
先程の交代でフォーメーションを3-3-2-2へとマイナーチェンジ(島川の1ボランチ、知念・渡の2トップ)していた大分ですが、32分に町田が足を痛めて再びの交代。
町田に代わって小出が入り、右ウイングバックの田中がシャドーへと回り、再び3-4-2-1へ戻します。(渡がシャドーに落ち、羽田がシャドー→ボランチへ)
イケイケ状態が続いていたのもあり、この大分の変化に対応する事が抜け落ちていた節があった仙台。

以降ペースを取り戻した大分は35分、GKムンキョンゴンのロングフィードから決定機が。
相手の跳ね返しを小出がさらにラフに蹴り出し、これが裏に出て知念とシマオが競争となり、競り合いに勝った知念が抜け出してGKと一対一に。
エリア内に入り、GKヤクブ・スウォヴィクの右を狙ったシュートは逆を突いてゴールイン、貴重な追加点となりました。

2点差を付けられた仙台、尚も前掛かりとなり攻め上がります。
しかし、この試合度々攻撃の起点となっていた金が、攻めっ気を持ったためか前線に上がる場面が増えていきます。
その隙を見事に突かれたのが40分。
金が上がって出したパスがクリアされると、その背後で知念が拾い、右方向へ斜めにスルーパス。
田中が受けて先程と似たようなGKと一対一の状況を生み出し、再び飛び出してきたGKスウォヴィクをあざ笑うかの如きシュートを突き刺した田中。
ダメ押しとともに、大分の今季最多得点となる3点目が生まれました。

その後最後の交代機会を使い(浜崎→中原・41分)反撃の姿勢を見せる仙台でしたが、以降シュートに持ち込む事は無しと、完全に尻すぼみに。
そのままアディショナルタイムに入ると、大分は隙を突いて攻め上がり。
左→中央→右とサイドを変えた後、小出グラウンダーでクロス→小手川(羽田と交代で出場・AT)ポストプレイ→田中ゴールエリア右へ切り込み→クロスに渡走り込む(クリア)と、エリア内で流れるような攻撃を見せてCKへ。
ここから逃げ切り(鹿島り)モードに入り、右コーナーでの知念・小手川・小出のキープから仙台は脱出させられず、そのまま試合終了を迎える事となりました。

下位からの脱出を期した一戦。
下の方の戦いに相応しく……と言っては変な感じですが、底辺の土台がしっかりしていた者(大分)が3ポイントを手にしました。


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