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TV観戦 2023YBCルヴァンカップ プライムステージ決勝 アビスパ福岡vs浦和レッズ

2023-11-06 16:01:47 | サッカー視聴記(2023年その他)

<両軍スタメン>

  • U-21選手の出場義務ルールに基づいた出場は、福岡が森山・浦和が早川。

準決勝で名古屋を撃破し、とうとう初のタイトルがかかった決勝にコマを進めた福岡。
それ故に、(相手が実績十分な浦和という事もあり)個人的にこの試合どちらに肩入れするかは決まったようなものである試合。

「初タイトル」でいえば、4年前の札幌も同じ状況で決勝を迎え。
しかしあの時は相手の川崎も初のルヴァン杯制覇を賭けており、一応ながらイーブンな渇望感のぶつかり合いが織り成す激戦に。
そして惜しくもPK戦の末に敗退した札幌は、以降徐々に衰退している近況と、逃した魚の大きさを痛感させる経緯を描いています。
いくらその後もチャンスがあるとはいえ、獲れる時に獲っておきたいビッグタイトル。
同じルヴァン杯でいえば、過去の大分や湘南が「獲れた例」に当たるでしょうか。

そんな心境(推測)の福岡ですが、相手はリーグ戦でも上位に着けている浦和。
しかもチケットの事前販売で、国立競技場のキャパシティの大部分を浦和サポーターが占める状況となったが故に、いざ当日の観客席は厳しい絵柄となり。
それでも、今季自分が観戦した札幌ドームのアウェイ・札幌戦よりは、福岡サポーターの数も割合も多い。
だからこの場で屈する理由は何処にも無い、と早くもつい肩入れしてしまいたくなった試合開始前。
その反骨精神故か、普段はボランチの前が、一列上がってシャドーとしての出場となりました。
そしてその起用が見事に当たる事となり。

前半4分、規定も絡みその前に代わるようにボランチで出場の森山がチャンスメイク。
湯澤がボールカットしたこぼれ球でダイレクトでスルーパスを送った森山、そのまま前線に上がり、先で受けてキープしていた山岸のリターンをダイレクトでシュート。
浦和は岩尾がブロックで防ぐも、リーグ戦のようなソリッドな守備組織からはかけ離れた危ない対応を強いられる入りとなり。

そして続く5分。
ここもクリアしたボールを山岸ポストプレイ→前スルーパスと素早く縦に運んだ福岡、受けた紺野が右ポケットで相手サイドバック(左=荻原)と対峙する、浦和ディフェンスが慌ただしい凌ぎを強いられる状況に持ち込みます。
奥へ切り込み右足でクロスを入れた紺野、DF・GKの間を通るグラウンダーのボールに、走り込んで合わせたのは前。
ゴールネットを揺らし、堅城を早々に打ち破った事で欲しかったリードを奪いました。

「まだ実質90分もあるので(浦和は)全然判らない」という旨が放送席で語られており、実際その通り。
しかし今季の浦和は堅守を誇る反面、得点力に欠けてロースコアの接戦が続いている状況であり。
それ故に、緩い立ち上がりを崩されたショックは相当なようでした。

守備固めの意識を高める福岡に対し、当然ながらボールポゼッションを高めるしかなくなる浦和。
対する福岡は、1トップの山岸が常時岩尾をチェックする体制でその流動性を封じに掛かります。
パスを出しあぐねる最終ラインに対し、シャドーの紺野・前が果敢に出てサイドからの運びを余儀なくさせるスタイル。
早くもやれる事が限定される浦和は、10分にGK西川ロングフィード→右サイドで高橋落としという前進方法。(伊藤が拾いにいくもクリアされる)
つまりは中盤省略という、アバウトながらも一定の有効打となる手法を採った事で、以降これが橋頭堡というよりは頼みの綱といった感じに。

最終ラインで繋ぎながら、高い位置を取る右SBの酒井が走り込んでロングボールに合わせる場面を幾度も作り。
18分に酒井が中央で上がって西川のロングフィードを落とし、ボール保持に成功する浦和。
一旦戻しを経て左サイドから運ぶと、小泉がドリブルでグローリを剥がした事で好機に持ち込みます。(その後左ポケットからクロス、クリアされてコーナーに)

それでも決して良好とはいえない流れの浦和。
21分には自陣深めでパスミスを犯し、拾った紺野がすかさずクロス(クリア)と、ポゼッションサッカーに常時付きまとう危機を描いてしまい。
こうしたショートカウンターのみならず、自陣で攻撃を切った際も素早く運ぶ事で相手にプレッシャーを与えに掛かる福岡。
24分には縦パスを受ける山岸を潰しにいったショルツが反則・警告と、ビハインド故の焦りも顔を出す展開。

どうにも、2列目の高橋・早川の活かし方に悩んでいるように見える浦和の攻撃。
高橋は中央でロングパスを落とすシーンが何度か見られたので、この2人は反対のポジションの方が良かったかもしれません。
それでも36分、今度は右サイド奥で岩尾のロングパスを高橋が収めた事で好機。
上げられたクロスはGK永石が弾くも、跳ね返りを早川がボレーシュートの体勢に。
このシュートはミートせず、戻って拾ったカンテがシュート(奈良ブロック)、尚も繋いで伊藤がシュートにいく波状攻撃に持ち込みましたがカンテの戻りオフサイドで無効となります。

そして終盤、再び福岡の流れとなり。
40分、左サイドで奥を取った前がクロスを入れると、伊藤のアフターチャージを受けて倒された事で反則・一転してフリーキックに。
左CKに近い位置でのこのFK、キッカー井手口のクロスをニアサイドで宮が合わせヘディングシュート、GK西川が脚でセーブと際どいフィニッシュに。
尚も左CKとなり、再びニアへのクロスを宮がヘディングシュート(GK西川キャッチ)と、同パターンを徹底させる福岡。

冷や汗を掻いた浦和、その後は岩尾が最終ラインに降りてのビルドアップを見せる等、状況打開を図らんとするピッチ内。
しかしそれも空しく、アディショナルタイムにカウンター(ここも浦和のパスミスが契機)から再度CKに持ち込んだ福岡。
この左CKからの二次攻撃、右手前からのクロスを再度宮が合わせにいくという、あくまでターゲット・宮を使い続ける立ち回り。
これをクリアしたショルツの、宮との激突でヘアーバンドが外れてしまうというアクシデント発生を尻目にさらに攻める福岡、左から紺野のグラウンダーでのクロス。
そして今度は足下で合わせた宮、ゴールネットを揺らして貴重な追加点を齎します。
浦和はショルツが激高するも、当然ながら結果は変わらず。

そしてそのまま前半終了となり。
ハーフタイムで両ベンチが動き、福岡は森山→金森。(前がボランチに回る)
浦和は2枚替えで早川・高橋→安居・大久保と、どちらも規定に縛られていた事を暗示させるような交代となりました。(しかし森山のプレーぶりは良かった)

浦和のキックオフからの攻撃、戻しを経て岩尾ロングパス→右サイドで酒井フリックと、やり口はやはり変わらず。
しかし右奥を取ってCKに持ち込み、キッカー荻原のクロスの跳ね返りを岩尾がボレーシュート(枠外)と、先制攻撃に持ち込み風穴を開けんとします。

前半と違う所は、右サイドで大久保がワイドに張り、酒井が「偽SB」としての立ち回りを鮮明にさせた事でしょうか。
前半も中央でロングパスを合わせる等最前線にまで上がっていた酒井ですが、本職では無い高橋がサイドハーフだったので遠慮がちだった、といった所。

しかしこれも流れを変える一打になり得ず。
福岡も前半とは変わらないやり口で、浦和のパスミスを突いて敵陣に運ぶ事を繰り返し、反撃意欲を削いでいきます。
後半8分には前嶋の左サイドでのカットから、前脚でフリック→山岸中央へ流れスルーパス→紺野エリア内でシュート(ホイブラーテンがブロック)と決定機。

そして10分、グローリが自陣でパスカットするとそのまま上がっていき、紺野のスルーパスを受けて尚もドリブルで突き進み。
いかにも委縮する浦和の隙を見ての立ち回りといったグローリのこの突進は、カットインでエリア内を突かんとする所をホイブラーテンがボディコンタクトの末に、足で引っ掛けて倒してしまう絵図に繋がります。
たまらず反則の笛が鳴り、ライン近辺の際どい位置ながらPKのジャッジが下されると、VARチェックを挟んだのち正式にPKに。
逃げ切りどころか3点目の絶好機と、勝利への機運は最高潮といった福岡、このキックは山岸が務めます。
しかしこの山岸のゴール左へのシュートを、GK西川が神反応というべきセーブで、完璧にキャッチして追加点を許しません。

守護神のビッグプレーでムードを高めたい浦和、直後の14分。
ホイブラーテンの縦パスを酒井が中央で受け、左へ展開ののちカンテのパスがエリア内中央へ。
やっと「偽SB」の立ち回りを絶好機に繋げ、そこに伊藤が走り込みましたが、あろう事かカバーに入った前嶋に倒されてしまい。
しかし反則の笛は鳴らず、のちにVARも挟まれたもののやはり反則無しと、不満の残る逃し方になってしまいました。(倒れた伊藤が、同じくカバーにいった奈良を踏みつける形となってしまったのが印象悪かった感があり)
それでも歩みを止める事は許されない浦和、16分に再度2枚替えで伊藤と小泉に代え、ブライアン・リンセンと明本を投入。

この交代で、カンテ・リンセンの2トップという布陣になった浦和。
リンセンが入った事で、広範囲をポストワークで動くカンテもやり易くなった感があり。
20分にはホイブラーテン縦パス→大久保フリックのこぼれ球を酒井がエリア内へ繋ぎ、リンセンの落としを経てカンテがボレーシュート(ブロック)と2人の関係性も良好。

そして22分、その2人の威力を逆手にとった攻撃。
酒井が右からのロングパスをエリア内へ送ると、収めたのは明本でそのままシュートに持ち込み。
GK永石の股を抜いてゴールに突き刺し、とうとう1点を返します。

以降、これを反撃の狼煙としたい浦和と、その勢いを逸らしたい福岡の戦いに。
福岡はキックオフからの繋ぎで浦和のプレッシングを受けるも、GK永石フィード→井手口ポストプレイ→前→金森と繋いでそれを脱出。(その後左サイドから前進もフィニッシュには繋がらず)
これにより狙い通り浦和の攻撃機会は減る事となりましたが、その最中に紺野が足を攣らせてしまうアクシデントにも苛まれ。(25分)
担架で運ばれた紺野に代わり中村を投入、前が再度シャドーに上がる慌ただしいポジションチェンジを強いられます。

浦和は得点以降、10分以上も有効打を放てない時間が続くという嫌な展開に持ち込まれ。
しかし34分、ショルツがドリブルで持ち上がったのちカンテへロングパス、跳ね返りを拾い尚も押し込む分厚い攻撃。
左奥を突く姿勢からの戻しを経て、カンテが中央からミドルシュート、GK永石がセーブとパンチのある一撃を放ちます。

これで景色が変わり、大観衆をバックに同点へ向けて一直線の浦和という試合展開に移り。
35分に最後の交代を使い、岩尾→エカニット・パンヤへ交代したのちも、ボールポゼッションを根底とした敵陣で押し込む姿勢は崩れません。
何とか凌ぎたい福岡、37分にパスワークで敵陣に持ち込み時間を使う体勢に持ち込み。
しかしパスミスで奪われ矢印を反転させる浦和、それに対し大久保のドリブルをスライディングで倒して反則・警告を受ける中村。
カウンター阻止という苦渋の絵図ながらも、時間を使い着実に栄冠への近接を果たしていきます。

42分、明本ロングパス→酒井落としをエリア内でトラップしたリンセン。
これに対し副審が旗を上げてハンドの判定を取るも、主審が笛を鳴らさなかった事で浦和の波状攻撃という展開に。
結局ラインアウトでゴールキックとなり、何とか凌いだ福岡も、浦和同様主審に対し異議をぶつける状況を強いられました。
気を取り直しこちらも最後の交代(44分)、宮・山岸→田代・ウェリントンへ2枚替えして最終盤を迎え。

突入したAT、浦和も最早アバウトな攻めを交える他無く。
しかし空中戦では、リンセンが奈良に対し激しくぶつかってしまう事でブレイクとなる(反則無し)など、連続攻撃を仕掛けたい浦和にとってもどかしい時間も生まれてしまい。

それでも右サイド奥を突いた大久保が、田代に倒された事で得たFKの好機。
これをキッカー大久保は、前方へ合わせにいくターゲットを逆手に取り、手前へ低いボールを送ります。
しかし敵どころか味方の逆も突いてしまい、誰も合わせる事が出来ずと空回り。
時間も押し迫った事で再び悪い流れとなってしまったような浦和。
それを跳ね除けるような、カンテのミドルシュートが再び炸裂、グラウンダーでブロックをすり抜けたものの左ゴールポストを直撃とモノに出来ず。
その後の福岡の時間稼ぎに対し、判定に不服な態度(コーナーフラッグを吹っ飛ばす)を取った荻原が警告を受ける一幕もあり。

浦和最後の好機は、中盤で安居が(グローリに)反則を受けた事による、FKでの放り込み。
GK西川も中央でターゲットに加わる中、キッカー安居はエリア内右へロビングを送るも跳ね返され。
そして試合終了の笛が鳴り響き、2-1で福岡が勝利、ならびにルヴァン杯を手にする権利を獲得しました。

経営危機、「5年に一度」のジンクスなど、様々な苦難を跳ね返した末の初タイトル。
クラブに携わる者にとってその悲願は計り知れない程、重みがあるそれをついに掴んだ福岡。
歓喜の王座からの視野は、劇的に変わる事となった……とする事が出来るか、今後も目が離せません。

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