ぶらりドリブルの旅

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TV観戦 2019YBCルヴァンカップ ノックアウトステージ決勝 北海道コンサドーレ札幌vs川崎フロンターレ

2019-10-28 11:22:57 | サッカー視聴記(2020年以前)

文字通りの死闘。

それも120分+PK戦(サドンデス)を戦い抜いて長かった、というだけでは無く。
「勝利に近づいた」瞬間が二転三転するという慌ただしい内容だったのが、一層死闘ぶりを強くしていました。

後半43分の川崎・小林の勝ち越しゴールで、そのままアディショナルタイムに突入した際は、9割方川崎勝利という決着になると思わされました。
しかし最後のワンプレーで札幌が同点に追い付き、延長戦で勝ち越し。
しかも川崎・谷口が退場で数的優位にもなり、札幌勝利の針にググッと振れた延長前半。
それでも決着はならず、延長後半に同点に追い付いた川崎。

そしてPK戦。
5人目を迎える段階で札幌リード、再び、いや最も勝利に接近した札幌。
しかし5人目・石川のシュートはGK新井に止められ、サドンデス突入。
そして6人目、川崎・長谷川が決めたのに対し、札幌・進藤のキックをGK新井が再び止めて決着。

まあ川崎側が「勝利に近づいた」であろう時は厳密には一度だけだったのですが。

話を試合開始時に戻すと、この日自分はTV観戦。
いつも記事にするときはDAZNで、映像を巻き戻しながら観戦するのですが、TVのLIVE中継ではそういう訳にもいかず。

立ち上がりは札幌ペース。
いきなりFWジェイがスルーパスに反応し抜け出すという開幕で、川崎側はたまらず反則(山村)。
これでフリーキック(福森直接シュートも壁に当たる)→コーナーキック(福森クロスもクリア)と立て続けに押し込み、川崎に冷や汗をかかせる事に成功。
しかし川崎側も、前半5分に脇坂がシュート(DFに当たりGKクソンユンキャッチ)、7分に右サイドから脇坂の中へのパスを受けた登里がシュート(GKクソンユンセーブ)と応戦体制を見せます。

好ゲームの予感を漂わせつつあった前半10分、試合が動きます。
後方から右サイドへロングパス(出したのは福森?)が送られ、白井が受けて奥に進入してクロス。
川崎DFに当たり流れた所に、フリーで菅がボレーシュート。
思い切り良く放たれたシュートはゴールバー内側を叩き、GK新井に当たりながらゴールインとなり、先制点は札幌が叩き出しました。

以降、暫くは札幌ペース→徐々に川崎ペースも札幌がカウンター狙いという絵を描いていった前半戦。
先制点を挙げた菅が、14分にもジェイクロス→チャナティップ落としを受けてシュートを放つ(DFがブロック)という具合に、勢いを感じさせる場面を作った札幌。
ビハインドの川崎は反撃に出たい所でしたが、18分には札幌のカウンターが炸裂。
チャナティップのスルーパスで鈴木が抜け出し、ドリブルでエリア内に進入してシュート。
絶好機でしたが、シュートはゴール右に外れてしまいました。
これを境に、ポゼッションの川崎・カウンターの札幌という流れになっていきます。

リーグ戦でこそ、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督(以下ミシャ)による「攻撃的・ポゼッションサッカー」をベースに上位争いを繰り広げている札幌。
その一方で、ルヴァンカップでは最高と言っても良い結果こそ挙げているものの、「ロングパス一本によるカウンター」で相手を仕留める試合も目立ちました。
自分が観に行った試合では予選第3節・湘南戦が顕著で、何度も湘南DFの裏を突くパスで好機を演出し、FW鈴木が止めを刺すというパターンを炸裂させ大勝。
準決勝・ガンバ戦でも、決勝ゴールを生み出したのはカウンターからでした。

これはターンオーバーを敷いている事に起因しており、サブメンバーないしはサブにも入れないメンバーのみでスタメンを組む事が茶飯事となっているのがカップ戦予選での戦い。
札幌は1・2節こそ完全ターンオーバーで挑みましたが、そこでの内容は芳しくないものであり、相手にペースを握られ続けながらも2戦とも引き分け(1節マリノス戦1-1・2節長崎戦0-0)。
それと並行して、リーグ戦も出足が悪かったのもあったのか、3節・湘南戦では半数近くレギュラー陣を起用して4-1の勝利。
4節でも同様の起用法で長崎に大勝(6-3)、この時点で予選突破は濃厚になりました。(しかしそれでも最終6節で辛うじて通過という結果でしたが)

レギュラー組が皆無、つまり「スタメン全とっかえ」の状況では、「ミシャ式」と呼ばれるサッカーが全く機能しない。
それを露呈させた1・2節であり、それは前年からJ2・甲府に完敗するなど既に露わになっていた現象でありましたが、それを改めたのが3節以降の戦いぶり。
レギュラー組と一緒にプレーさせる事でサブ組の能力を発揮させるとともに、普段のリーグ戦のような別段難しいプレーはあまり要求しない。(具体的には「ミシャ式」のビルドアップに余り拘らず、縦パス・ロングボールでの繋ぎを許容)
もちろんそんな起用法ではリーグ戦で使い物になるかどうかは不明ですが、まずは結果・勝利の味を覚えさせる事も一つの成長法。
そこからこの日スタメンの白井も、新人の檀崎も、特別指定の金子も活躍を魅せる様になり一定の成長を果たしたといえるでしょう。

「リーグ戦では出番が無い選手が活躍するチャンス」といっても、機能不全に陥っているチーム内に放り込まれるという起用法では、起用される側もそこに成長を見出すのは難しい。
そんな事を考えさせられる今季の札幌の予選からの戦いぶり。

さて試合の方は、川崎が攻撃のイニシアティブを握るものの、最後の段階で運気に欠けるシーンが多々。
20分、ショートパスの連続で中央突破し、阿部のエリア内左からのクロスをレアンドロ・ダミアンが仕上げ。
しかし決まったかと思われたシュートは右ゴールポストを叩き、同点とはならず。
44分にも家長のクロスからの、脇坂のヘディングシュートがポストを叩き、こぼれ球を繋いで阿部がシュートするも枠外に。

唯でさえ過去の決勝での敗退ぶり(4度とも無得点)がトラウマになってしまっている(であろう)川崎。
この日もその「運の無さ」で、二の足(二どころでは無いけど)を踏んでしまう危惧が苛まれつつあった前半アディショナルタイム。
苦しい時のセットプレーとはよく言ったもので、キッカー脇坂のクロスを、中央でダミアンが頭で合わせにいきます。
落としだったのか単にミートしなかったかは不明ですが、ボールはダミアンの頭を触ってファーに流れ、そこでフリーになっていた阿部が受けてシュート。
前半ながら起死回生ともいえる同点弾が生まれ、1-1で前半終了。
このゴールが無かったら、多分川崎側はズルズル負けのパターンに入ってしまっていたと思います。

後半も川崎がボールを握り、札幌はカウンター狙いという図式は変わらず。
特に札幌はビルドアップをしようとしても、川崎のプレスに苦しみ奪われてヒヤリとするシーンも作ってしまいます。
しかし決定機を作っても、後半13分・14分と立て続けに脇坂がシュートを外してしまうなど、再びゴールを破れない状況に陥る川崎。

ACL参戦組であり、ルヴァン杯はノックアウトステージからの登場となった川崎。
縁があって(?)その試合を観れた自分ですが、その時の試合内容はこの日とは違う様相でした。
相手がハイライン・ポゼッションスタイルの名古屋(現在は監督交代もあり異なりますが)だったため、意外にも裏狙いの縦に速い攻撃を連発していたあの時の川崎。

そして準決勝・鹿島戦では対照的に、圧倒的にシュート数・ボール支配率を高め、ゲームを支配するという言葉が相応しい内容で突破。
相手に合わせてのサッカーを敢行したうえで勝ち抜くという、目下Jリーグ2連覇のクラブの名に恥じぬ戦いで決勝にコマを進めました。
1戦目はシュート数16対4(3-1)、2戦目は18対3(0-0)と、1失点以外は文字通り何もさせていないかの如き試合運び。
その1戦目で馬渡和彰の負傷退場→長期離脱というアクシデントはあったものの、決勝で大島が復帰・売り出し中の田中もチームに合流と、層を厚くして挑む事にも成功しています。

後半も半ばになり、その層の厚さを見せつける展開に。
決定機逸が目立ってきた脇坂に代えて、長らくチームの支柱となってきた中村を投入(19分)。
28分にはダミアンに代えて小林を投入と、勝負所で2人のベテランの力を加える采配。

しかし中村投入からややペースダウンしたのか、札幌もこの日の持ち味であるカウンターで好機を演出。
22分、自陣でのインターセプトからチャナティップ→鈴木と渡り、アンデルソン・ロペス(ジェイと交代で出場)へとスルーパス。
受けたロペスはエリア内右からシュートを放ちますが、枠の右へと外してしまいます。

交代出場のロペスにシュートを狙わせる展開を何度か作り、27分にはルーカス・フェルナンデスも投入する(白井と交代)など、こちらも勝負手を打った札幌。
しかしロペスの精度も今一つで、逆にロペスが鈴木に縦パスを送るも、強すぎて繋がらないという場面も。
そんな隙を突かんと、川崎は38分にコーナーキックから決定機。
キッカー中村のクロスが跳ね返された後、拾った大島のロビングをファーで阿部が折り返し、谷口がヘディングシュート。
しかしGKクソンユンのセーブに阻まれ勝ち越しはならず、試合は佳境へと移っていく事に。

その後の両チームの激闘ぶりは、自分が語るまでも無い事だと思うので割愛します。
強いて言うならば、札幌3点目の福森の直接フリーキックは、蹴る前から入る気しかしなかったですね。
距離が近いのもありましたが。

そして優勝の座に辿り着いた川崎。
3度目ならぬ、5度目の正直。

2000年では、準決勝での京都戦で「お前らそんな事やっている場合か対決」(共に後にリーグ戦で降格決定したため)と揶揄されていたのが印象的でした。
J2降格→再昇格(2005年)を経て決勝に挑んだ2007年、初のACL参加とも相成って、Jの強豪としての地位を歩み始めた年でした。(決勝はガンバに敗戦)
その2年後の2009年は多摩川クラシコのライバル・FC東京との対決で、敗戦の悔しさが表彰式での蛮行となってしまいニュースにもなりました。
2017年もセレッソに敗退したものの、その悔しさは今度は初のリーグ優勝という形に繋がり、ようやく無冠の座を脱した歴史的な年になりました。

そうした苦労が報われた……とは、既にリーグ戦で2連覇を達成し「王者」と呼ばれているクラブには似つかわしくないと思いますが、ともかくおめでとうと言いたいです。


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