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ぶらりドリブルの旅

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DAZN観戦 2025年J2リーグ第4節 愛媛FCvsFC今治

2025-03-11 16:01:01 | サッカー視聴記(J2)

<愛媛スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • 前節までは4バックだったが、この日はダービー故か相手と同一の3-3-2-2(3-1-4-2)へシフト。
  • ヴィアナがブラジル・クルゼイロECからレンタルで加入し、前節(水戸戦、1-1)から登録されて即ベンチ入り。
  • スカルゼが中国・山東泰山FCから完全移籍で加入し、今節から登録されて即ベンチ入り。
  • 開幕直前に、GK牧口がJ1・セレッソへレンタル移籍となる。
  • 来季加入内定の武藤(中京大)が特別指定選手となり、開幕節から登録される。
  • ユース所属の島が2種登録選手となり(以下同文)

<今治スタメン>

  • 前節(鳥栖戦、4-1)出場停止の新井がベンチに復帰。
  • 梶浦の負傷が発表され、2/5に発生して2/18に手術実施。(治癒期間は未発表)

前節待望のJ2初勝利、それも元J1クラブ(鳥栖)相手に大勝と勢いを得た今治。
一方で前年からの未勝利を引き継いでしまい、その数14と膨れ上がった愛媛。

状態がどうであれ、一度決戦となれば血眼になってぶつかり合うのみ。
そんな気概が露わとなるダービーマッチ、通称「伊予決戦」。
2年前J3で行われたのを遠い昔とするべく(もちろん、当時の激戦の内容を忘れる訳にはいかない)、J2での恒例行事として定着できるかどうか。

その意気込みを采配で示したのは愛媛の方で、開幕から貫いてきた4バックのフォーメーションを放棄。
今治と同一の3-3-2-2(3-1-4-2)へと変更し、増やしたセンターバックの一角に、新人の金沢を起用と大胆な手を打ってきました。
今治への対抗心か、はたまた純粋にチーム低迷を受けての転換かは不明ですが、こうして特別な一戦に向けた舞台を整え。

同一フォーメーションなものの、3-4-2-1同士とは違い前線vs最終ラインでかみ合いのズレが発生するのでミラーゲームとはいえない対戦に。
そのため、ラフなボールの蹴り合いで始まった対戦も、それを活かすべくの保持で落ち着く時間を高めなければ消耗しっぱなしの一戦となる危惧は想像に難くなく。

先にその意思を見せたのは今治で、前半7分に近藤が左サイドを切り込むも戻して作り直しを選択。
対する愛媛サイドはハイプレスでダービー故の対抗心を露わにするも、すかさず弓場のロングパスでその背後を突きに掛かり。
再び近藤が左奥で受けてクロス(合わせにいった笹が反則で終了)と、相手を引き付けて崩すという思考のジャブを見せ。

しかし、ちょっとやそっとの事では前向き姿勢を崩さない愛媛。
直後の8分に谷岡の反則気味なアタックで奪取すると、森山が裏へ送ったミドルパスがディフェンスを掠めエリア内を突くボールに。
そして抜け出した田口がシュートに行かんとするも、GK立川を勢い余ってチャージ+オフサイドの笛と、二重の反則(取られたのはオフサイドのみ)を犯すに至ってしまい。
熱くなるのは必至なダービー、の負の側面が露わになる格好に。

試合はおおむね、球際勝負の色合いを強めながら、2トップへ当てるロングボール中心のビルドアップ。
但し今治が前述のように、プレス回避の姿勢からのロングパスという意識が高く。
対する愛媛はプレスをいなしきれないうちにロングパス、と逃げの側面が強く。
そして2トップも強力な助っ人を要しているため、このぶつかり合いでは今治有利の感は拭えません。

それをカバーしたのが、今節スタメン抜擢された金沢。
その手段は類まれなパワーと、それを活かしてのロングスローという、この日の愛媛のサッカーにピタリとマッチしたものであり。
2トップ(主に村上)に当てるロングパスで、こぼれ球を含めて何とか確保する愛媛。
クリアでスローインとなれば、多少の距離があっても金沢が放り込んで無理矢理好機に持ち込むという手法で攻撃機会を重ねます。
このパワーを守備面でも活かす金沢、キーマンのヴィニシウスに対しても、フィジカルを押し出したチェックで仕事をさせず。
難儀するヴィニシウス、それを嫌がるかのように次第に自陣にまで降りてポストワークをする状況が目立ち始めます。

それでも組み立ての面では上回る今治、21分に再び最終ラインでプレスを引き付けたのち、右ワイドから弓場が裏へのロングパスでタンキを走らせ。
クリアが小さくなった所を拾った笹が右奥からクロス、そしてタンキがヘディングシュート(枠外)と、ターゲットを存分に活かしたビルドアップの脅威を見せ付け。

アバウトさが目立つ愛媛も、徐々に最終ラインで落ち着けながら、右サイドに甲田が降りて福島を高い位置に張らせるという可変など戦術勝負の色を出し始め。
その姿勢も中々巧くいかず時間を費やしますが、33分にカウンターになりかけた所を、石浦が山田に倒されて反則。
これにカードが出なかった事で、ホーム(ニンジニアスタジアム)のスタンドが騒然となり。
ヘイトを溜めかねない場面ながら、それを上回る一体感を得れたでしょうか。

そして35分、果敢なプレッシングが奏功して敵陣で森山がボール奪取に成功。
こぼれ球を拾った田口が加藤潤に倒されるも、村上が拾った事でアドバンテージ(のちに警告)となり、すかさず右ポケットへ送られるスルーパスに走り込んだ福島がグラウンダーでクロス。
前へのベクトル全開での攻めを甲田がニアに走り込んで合わせて仕上げ、またもGK立川と交錯という絵図が生まれながらもゴールにねじ入れます。
ホームも味方に付けながら、初シュートを見事先制点に結び付けた愛媛。

これで余裕を得た愛媛は、自身も保持のシーンを膨らませ。
今治は、守備面ではヴィニシウス・タンキの助っ人2トップが仇になる感じで、2人の間を通すパスを頻発させて巧く組み立て。
39分には最終ライン⇔深澤によるそのパス交換を経て、GK辻への戻しを経て再度前進ののち金沢が裏へロングパス。
今治のお株を奪うようなロングボールを活かすビルドアップを見せましたが、ここはセカンドボールを拾った村上が左ポケットで奪われてフィニッシュには繋がらず。

押し気味ながら先に失点してしまった今治、動揺は少なからずあったでしょうか。
笹を一列下げてドイスボランチの布陣にする(それでも2トップは止めなかったため3-4-1-2か?)と、終盤にようやく落ち着いたか、再度最終ラインからの保持で活路を見出しに掛かり。
前述のように2トップの弱点が出かかったのもあり、42分にはヴィニシウスが降りてポストプレイ・タンキが左ワイドに張り出して溜めを作るという具合に囮に。
そして近藤のクロスをニアで合わせたのは加藤潤と、異なる手法でゴールを狙いましたがこのループヘッドは惜しくもゴール右へと外れ。
アディショナルタイムにも、左からのクロスに加藤潤がニアで合わせにいくシーンが生まれましたが(競り合いでこぼれ)、ゴールには届かず。
1-0のまま前半終了となりました。

終盤に布陣を弄ったためか、ハーフタイムで今治は笹に代えて本職ボランチの新井を投入。
微調整の繰り返しといった采配で後半に臨みます。

迎えた後半。
戦術の調整という側面はありましたが、メインはやはりダービーに相応しい、頻発するデュエルによる球際勝負。
好機より先に、後半2分に空中戦で村上が大森の腕を受けて倒れるシーンが目立つ入りとなりました。

結局は前半と変わり無く、という状況になれば、前半終盤良い流れに持ち込んでいた今治に針が傾き。
3分またも最終ラインから、地上での前進のなか右ワイドにタンキ・ヴィニシウスが張り出して溜めを作るというその攻撃を貫き。
そして戻しからのパスワークで逆サイドへ展開し、加藤徹とのパス交換を経ての近藤のクロスにニアで合わせにいく加藤潤と、全く同じ絵図を披露。
見事に奏功し、加藤潤がフリックした(意図的かは不明)奥で跳び込んだヴィニシウスがヘディングシュートを放ち、ゴール右へ突き刺します。
本命は2トップながら、それを補強したのはサイドという点は見逃せず。

組織力の強化が果たされた今治。
3-4-1-2の布陣は継続されましたが、守備時は無理に5-3-2のブロックとはならず、加藤潤が左に張り出して5-2-3に近い形に。
積極性を見せなければならないダービー故に、やや歪ながらも理に適っているようでした。

押し返したい愛媛、基本に立ち返りロングボールの供給により敵陣へと運び。
そして5~9分の間に金沢のロングスローという局面は4本(そのうちフェイントで短く入れたのが2本)と、肉弾戦の色を強めて対抗します。
それでもロングスロー・ラフなクロスからは運が良くなければ(orターゲットが競り勝てなければ)フィニッシュは生まれないもので、未だ得点の場面の1本のみ。

逆に今治は同点弾を切欠に、羽を伸ばすかのように攻め上がり。
12分、再びプレッシャーを呼び込んでGK立川のロングフィードからの攻めと、こちらも前半立ち上がりの手法を取り入れ。
タンキ狙いのボールで、セカンドボールを拾うと右からの攻めへと切り替え、弓場が奥では無く中央へと切り込み。
そして託された新井がミドルシュート(GK辻キャッチ)と、攻め手を広げに掛かり。
15分に決定機が訪れ、新井のボールカットから1タッチでの繋ぎで敵陣で確保に成功し、右から弓場のクロスに持ち込み。
この中央に上がったボールを加藤潤が合わせヘディングシュート、GK辻がセーブするも左ポケットへのこぼれ球を近藤が折り返し。
そしてヴィニシウスの足下に転がり、混戦のなか撃ちにいきましたがGK辻が前に出て防ぎ勝ち越しならず。
相手との肉弾戦も、シュートの局面での発生ならば「やるかやられるか」という印象が強まる事で好感触であり。(個人の見解です)

ここで愛媛ベンチは動き、田口→細谷へと交代。
FWを削ってボランチを入れる采配の通り、3-4-2-1へとシフトします。
ドイスボランチにする事で、今治のシステム変更によるミスマッチ感を正しに掛かったでしょうか。(といっても今治は未だ2トップ色が強いですが)

それでも、こちらから仕掛けるのはアバウトな攻撃主体なのは変わらず。
17分に裏へのロングパスに抜け出さんとした村上を大森が倒してしまい反則・警告。
得たフリーキックは中盤からの位置でしたが放り込みを選択(キッカーは石浦)し、金沢のスローインと悪魔合体するかのようにその体制を色濃くし。

一方今治も20分にベンチが動き、加藤潤→持井へと交代。
第3のターゲットとなっていた加藤潤が退いた事で、地上で攻めるという意思を強めに掛かったか。
早速の21分その持井にチャンスが訪れ、一度は加藤徹の縦パスを収められず奪われるも、すかさず自ら奪い返した持井。
そのままミドルシュートを放ちましたが山原のブロックに阻まれ。

しかしミラーゲームの色が強まった事で、愛媛にも勝つチャンスが生まれたか。
それを活かすように、23分甲田が敵陣でボール奪取してすかさずショートカウンター、深澤のスルーパスが左ポケットへ。
走り込んだのは石浦で、最奥でクロスに辿り着いたものの市原がブロック、コーナーキックを得たものの石浦は痛んで倒れ込み。
無理な体勢でクロスを上げたのが拙かったらしく、何とか継続するもその痛がり具合からとてもキッカーを務められる状況では無くなります。
しかしこの左CK、代わりに上げた深澤のクロスから、ファーで放たれた山原のヘディングシュート。
これがゴールネットを揺らし、2本目のシュートで2点目とまさかの展開を演出するに至りました。

再び前に出た愛媛ですが、直後再度倒れ込んだ石浦が交代となり。
2枚替えを選択し、石浦・村上→鶴野・ヴィアナへと交代。
同時に今治も、弓場→梅木へ交代します。

これが初出場となったヴィアナですが、典型的な「守備面で使い辛い助っ人FW」の域を出ないという印象。
ボールホルダーにプレッシャーを掛けるだけとなり、この日の愛媛のハイプレスから勢いを奪わせる要因となってしまいます。
それを突くように、最終ラインでのパスワークで組み立てる今治。
29分にはそこから市原のロングパスで一気に右奥を突くと、走り込んだ梅木のマイナスのクロスをエリア外で持井が合わせシュート。
ゴール右へ外れたものの、ここから展開は今治の一方的なものへと変貌するに至り。
労せずファーストディフェンスを外し、敵陣に進入を続ける今治という絵図に。

それでもゴール前で必死に凌ぎ続ける愛媛。
36分、ハイボールの競り合いでタンキが金沢と交錯して倒れ込み、未だ金沢のパワーは健在。
そんな事を考えていた刹那、GK辻のフィード(ミスキック気味)が高く上がると突然タンキが起き上がってそれを拾い。
プレーが止まると思っていた愛媛サイドの隙を突くように攻めを継続する今治、右奥からのタンキのクロスは防ぐも右CKで継続となり。
そしてキッカー新井のクロスの跳ね返りを、近藤が狙いすましてボレーシュートで合わせ。
ブロックでコースが変わったのもあり、GK辻の逆を突いてゴールネットを揺らします。
マリーシアも絡め、再び追い付いた今治。

これで攻める余力は既に残っていない、というような愛媛は窮地に。(2-1になってから攻撃機会は2度のみ)
フィジカルを発揮する金沢も、その後ヴィニシウスにも危険なチャージを犯す(38分、こぼれ球をそのまま空中で繋げてエリア内に)など危なさが色濃くなり。

それらを踏まえ、40分に最後のカードを切った石丸清隆監督。
金沢・甲田→スカルゼ・ダンカンへと2枚替え、先日獲得したばかりの助っ人も併せて3人が揃い踏みとなります。
しかし今治はここでも狡猾ぶりを発揮、ドロップボールでの再開を利用してすかさず新井がクロスという手法。(ヴィニシウス落とし→近藤も撃てず)

そして42分、再度今治の地上での前進vs愛媛のプレスという局面を迎えると、右への展開ののち梅木が森山を剥がしドリブルに持ち込んでの完全勝利。
新井のスルーパスで奥へ走り込んだ梅木からのクロスを、ヴィニシウスがヘディングシュート。
文字通り激闘にケリを付けるフィニッシュで、ゴールに突き刺します。
多少の苦難はあっても、主役はヴィニシウスという事を再確認する勝ち越し弾ともなり得ました。

キックオフ前に今治も最後のカードを使い、山田・タンキ→藤岡・日野へと2枚替え。
持井がボランチに降り、藤岡が下がり目でハッキリとした3-4-2-1にシフトしたでしょうか。

ビハインドとなった事で、シュート2本のみという現実に襲われる愛媛はもはや取れる手段も少なく、ヴィアナを前線に上げて3人の助っ人によるパワープレイの体制に入り。
しかし付け焼刃の感しか無く、目安5分のATも無駄に時間を浪費するばかりに。

終盤にようやく、その3人では無く鶴野の落としからという逆説で好機が生まれ、右から福島のクロスがブロックされCKに。
GK辻も前線に上がり、10人がボックス内という大人数で勝負を賭けたものの実る事は無く。
最後は二次攻撃での、森山のクロスがGK立川にキャッチされて万事休すとなりました。

2-3で試合終了となり、J2初の伊予決戦を制したのは今治。
現状の成績でも愛媛に大きく差を付ける勝利となりましたが、愛媛がそうであるように維持の方が大変なのが上位カテゴリであり。
それでも上昇のターンが続く限りは高い位置となった方が有利なのは言うまでも無く、今治の「本当のスタートライン」は何処になるでしょうか。

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DAZN観戦 2025年J2リーグ第3節 いわきFCvs徳島ヴォルティス

2025-03-05 16:49:48 | サッカー視聴記(J2)

<いわきスタメン> ※()内は前節のスタメン

  • 開幕戦(千葉戦、0-2)は4-4-2で、前節(大分戦、0-0)は木吹がアンカーの3-3-2-2(3-1-4-2)と、1戦毎に微妙に変更。
  • 白井の負傷が発表され、発生日不明で全治約2ヶ月との事。
  • 来季加入内定の久永(桐蔭横浜大)が特別指定選手となり、開幕から登録される。

<徳島スタメン>

  • ユース所属の福田・宮村・永村が2種登録となり、今節から登録される。
  • 開幕前の負傷者の発表は、永木(1/22、全治約8週間)、トニー・アンデルソン(1/24、全治約8週間)、高田優(1/28、全治約10週間)、岩尾(2/1、全治約6週間)の4人。

今季もフィジカル系クラブとしての存在感を、J2で示す戦いが始まったいわき。
しかしその船出は、開幕戦でシュート18本を放ちながら無得点というチグハグさを披露する格好に。
相手の千葉を内容で圧倒しながらも、少ない好機でキッチリ2点取られての敗戦は、度重なる決定機を逃した側としてはくる物があり。
この日のような、パワーを前面に押し出して縦に速い攻撃を繰り返すのみで果たして良いのかどうか。そしてそうした試合を「あとは決めるだけ」で片付けて良いのか
長いシーズンの中で、早々に自問自答すべき時が訪れた感じでしょうか。

そのパワーサッカーのスタイルも、(秋田がJ2昇格した2021年以降)目新しいものでは無くなってきている現状。
今季で言うならばこの日の相手である徳島で、本来のボール保持・ポゼッションサッカーをある程度投げうって、守備重視のスタイルを浸透させ。
切り替えの早さ・ハイプレスとリトリートの使い分け・デュエルで負けない姿勢と、一通りの能力を高めた結果の開幕2連勝。
そんな堅守に、スピード豊かなヴィクトルがカウンターの矛としてフィットするというおまけも付き、前年とは打って変わって順調なスタートを切りました。

前年の後半昇格争いに加わらんという所で、致命傷となる3連敗。
しかもいずれも(ドウグラス・タンキのパワーを押し出す)清水・いわき・秋田というパワーサッカーに屈する形での敗戦と、相当堪えた感があり。
ある意味当然といった転換劇で、そしてこの日いわきへリベンジする時が訪れた……とは言い過ぎか。
いわきサイドもそれに応えるかのように、ミラーゲームの布陣(3-4-2-1)へと微調整して臨みました。

お互いロングボールを蹴り合う、類似するスタイル故に当然という入りを描き。
先にどちらが、何処で主体的な攻撃へと転換するかに注目が集まる展開ですが、意外にもボール保持の姿勢を見せたのはいわき。
前半3分過ぎ辺りから、早くも最終ラインから地上で繋ぎ始め。
保持といえば以前の徳島のイメージが強く、この日も先にその色を見せると思っていただけに意外なものとなり。

それを徳島自身も感じてしまったでしょうか。
いわきのビルドアップは、最終ラインから一列前へ遊びのパス→戻しでハイプレスを誘発→すかさずロングパス、という単純明快な狙い。
しかしそれに簡単に引っ掛かり、疑似カウンターのように好機を作られてしまう事数多。
激しく上下動を強いられ、とても攻めの事を考える余裕は無く攻撃機会を全く得られない状況に。

迎えた8分、徳島のスローインからの空中戦でボールの右往左往を経て敵陣で確保するいわき。
右ハーフレーンで大西が拾ったすぐそこにバイタルエリア、という状況で躊躇わずに中央からの崩しを選択すると、谷村のフリックでエリア内を突いたボールをカットした山田奈。
しかしパスワークの間に最前線に出て、死角から奪い返しに掛かった大西を後ろから倒してしまう形となってしまい、反則の笛が鳴りあろう事かPK献上の形に。
これに渡を中心に猛抗議する徳島、それはチャージそのものでは無く谷村のパスがオフサイドという事を主張するものであり。
谷村のフリックは加藤大を狙ってのものでしたが、繋がらなかった(加藤大は触れていない)+山田奈が触れる前に大西がオフサイドポジションから反応したという絵図が原因でした。
しかし判定は覆らず、このPKを蹴るのは鵜木。
今季初得点が賭かった重大なキックでしたが、冷静にGK田中の逆を突いてゴール左へと突き刺します。
リードの状況を作り、湧き上がるいわきのホーム・ハワイアンズスタジアムいわき。

追う立場となった事で、徳島もボール保持の姿勢を見せなければならず。
前年通りの4バックへの可変で、青木が左サイドバック化して高木を高い位置に上げるというシステム。
しかしいわきのマンツーマンでの守備の前に、GK田中を交えたリスクあるパスワークを成功させなければ前進を果たせない状態に。

清涼な前進の流れを作り出せないと、当然多発するのはいわきのボールゲインによるショートカウンター。
18分に縦パスがズレた所を石田が直接ミドルパスを送り返すという形で、一気にエリア内でシュートチャンスを迎えた加藤大。
そしてボレーシュートにいった所、GK田中が前に出てブロックの形で何とか防ぎ。
28分にも、縦パスに対し石田が縦パスを送り返すという同じパターンで、受けた加藤大が左ポケットを突き。
そして近くに居た谷村がスイッチ気味にスルーし、前進を止めなかった加藤大のシュートが放たれるも鹿沼がブロック。

いわきが矢印を反転させての、縦に速い攻撃が炸裂するという流れに苦渋の表情を隠せない徳島。
しかし救いは、裏へのボールに対しても安易にクリアを選択しなかった事でしょうか。
セーフティな姿勢を見せれば、待ち構えるのはロングスローというのがこの手のクラブの定石ですが、自陣深めでボール確保しゲーゲンプレスを受ける状況となっても我慢する徳島最終ライン。

一向に好循環を得れない攻撃で、31分にようやく地上でいわきのプレスを剥がしての好機。
児玉が柴田に倒されながらもパスを繋ぐ(アドバンテージ→のちに柴田に警告)絵図を経て、ヴィクトルがスピードを生かして持ち運ぶ状況を作り。
そしてミドルシュートが放たれ、石田のブロックを掠めて枠内を襲ったもののGK早坂がセーブ。
ギリギリでの剥がしだったものの、これで勇気を持てたでしょうか。
34分には右スローインから、投げ込まれたボールを渡が中央付近で受けるという変化から、プレスを受けてこぼされるも杉本が拾って左へ展開して前進。
高木のアーリークロスがグラウンダーで入ると、大外まで流れた所走り込んだヴィクトルが折り返すもシュートまではいけず。
36分にも、GK田中の間を通す縦パスを受けた渡が喰い付いた生駒を剥がしてドリブル→スルーパスと、「相手を引き付けて崩す」ポゼッションの文化を要所で発揮。
ヴィクトルが右ポケットへ切り込んで中央へ送った横パスを、児玉と杉本が連続スルーでファーの高木に託すも、放たれたシュートは鵜木のブロックに阻まれ同点ならず。

しかしいわきの寄せに難儀する状況は全体変わらず。
こうした展開では中盤でのパスの起点となる児玉も、プレッシャーを嫌がってか自身が裏に抜け出すシーンが多くありました。
そして止むを得ず多用するロングボールでの攻撃も、渡はターゲットタイプとは成り得ないので今一つ。
裏抜け以外は、高い位置を取った高木に当てるか、スピードタイプのヴィクトルに無理矢理収めさせるかという手法でした。

いわきも危機を何度か招いた(アディショナルタイムにはヴィクトルへのロングボールから、渡のミドルシュートがゴールバー直撃)事で、アバウトな縦への運びを強いられたため思うように好機は膨らまず。
得にサイドの突破力が、加瀬・高岸がウイングバックに控える前年から大きく落ちていた感があり。
結局1-0のまま前半を折り返す事となりました。

共に交代は無く迎えた後半。
先制したものの、相手の保持に対する守備がメインだった感のある前半のいわき。
それを払拭せんと、早速の後半1分に左スローイン→加藤大の力強いキープから好機を生み出し。
山下優から受け直した加藤大がワイドから強引にカットイン、左ポケットへ切り込んでマイナスのクロス。
クリアが小さくなった所を谷村が拾い、さらに左ポケットを突いてクロス→ファーで鵜木が折り返しとゴール前で右往左往するボール。
結局シュートは撃てずも、ゴール前でのプレーの時間が長くなればそれだけビハインドの側にとって辛いものであり。

勝利に向け視界良好となったかに見えたいわきですが、それを再度塞ぐかのようにアクシデントが多発。
2分、空中戦の際に鹿沼がブワニカに押し潰されるように倒され、激しく痛む事態が発生したのがその先駆けとなり。
いわきの激しい寄せに対し、ピッチ脇の徳島・増田功作監督の激しい異議も頻繁に飛ぶ試合絵図に。(鹿沼は2分程で起き上がりピッチ外→復帰)

すると9分、徳島陣内で大西が反則を犯すと、素早くリスタートした児玉のキックを妨害しブロックしてしまう大西。
たまらず警告が突き出されるも、これにヒートアップした児玉に対し大西が手を出すという一触即発の事態を招いてしまいます。
ピッチ上もベンチサイドも騒然となりましたが、結局2枚目のカードは出ずに手打ち。
そしていち早く抗議の姿勢を見せたGK田中が警告と、徳島にとっては何の利も無い乱闘劇と化してしまい。

気まずい空気なのは言うに及ばずで、直後に動く徳島ベンチ。(12分)
エウシーニョ・ヴィクトル→柳澤・バルセロスへと2枚替えを敢行します。
運動量補填とともに、ラフプレーが多発しかねない状況でエウシーニョを傷付けられないという側面もあったでしょうか。

しかし同点を狙いにいくという事は、後ろが疎かになりかねない。
18分、ここまでいわきに与えていなかった右サイド深めでのスローインをついに献上し、五十嵐がこの日初のロングスローを投げ込み。
そして跳ね返りを拾いにいった五十嵐がバルセロスに倒され反則、今度はFKとセットプレーで押し込むいわき得意の流れに。

一向に反撃ムードが高まらない徳島、まずは裏へのボールで深さを取る攻撃の色を強め。
ヴィクトルに比べターゲット能力に優れたバルセロスを盾としながら、左サイド奥へロングパスを届けるという多少強引な手法でリズムを作り。
(25分に高木・杉本→高田颯・杉森へと2枚替え)

そしてその強引さが吉と出たでしょうか。
26分、空中戦を経て左サイドで拾った高田颯、そのまま中央裏へとアバウトなロングボールを送り。
走り込むバルセロスがここでその身体能力=スピードを発揮し、いわきセンターバック2人を追い抜いた末にエリア内からシュート。
ゴール右へと突き刺さり、まさかの縦ポン1本により同点に追い付いた徳島。
いわきサイドは、ヴィクトルと対照的な感の強いバルセロス=スピードが無いと思い込んでしまった、スカウティングのミスが色濃い失点のようでした。

これで勝利には得点が必須となったいわき、キックオフの前に鵜木→山田裕へと交代。
彼が右CBに入り、五十嵐が右WBへシフト。

徳島はこの得点により、一層アバウトな攻めに舵が振られたでしょうか。
30分にもカウンターの局面で、渡の(右からの)斜めのロングパスを入れ替わって収めたバルセロス(山田裕とのデュエルも制し)による好機。
エリア手前で溜めを作ったのち、児玉→渡と経由して放たれるミドルシュート。
山田裕がブロックして防ぐも、バルセロスの未知の脅威に晒された感が強まるいわき。

巻き直したいいわきも、前半見せた遊びのパス→戻し→ロングパスを駆使しながら、ブワニカのフリックも多用し手アタッキングサードへ運び。
ともにロングボール重視となった事で、必然的にデュエルも激しくなり。
33分の徳島の攻撃、再び裏への(青木の)ロングパスにバルセロスが走り込む局面を迎えましたが、生駒のチャージを受けた事で繋がらず反則も無し。
40分のいわきは敵陣でのボールゲインから好機、右奥へのスルーパスに走り込むブワニカでしたが、これもカイケ(渡と交代で出場・37分、青木と高田颯が一列ずつ上がる)のチャージを受けて繋がらず。
「欧州基準の判定」も悪目立ちしかねない、球際勝負の展開となり。

いわきも35分に加藤大→石渡へ、43分に大西→木吹へ交代して3回の交代を終え。
これにより木吹アンカー、谷村・ブワニカが2トップの3-3-2-2(3-1-4-2)で最終盤の戦いへ。

しかしその絵図は、先程と同様に醜いものとなってしまったでしょうか。
45分にいわきのスローインの際、ポイントを巡って激しく異議を飛ばした増田監督が警告を受ける事態に。(テクニカルエリアを飛び出したためとの事)
AT突入して直後、空中戦でカイケが石渡のチャージで頭部を痛めてしまい倒れ込み。
前述の鹿沼同様にそのまま治療を受ける事態となり、出血も生まれるという具合にとうとう激しいバトルの末に……となってしまい。(カイケはピッチ外→復帰)
その後鹿沼と石田が頭部同士激突するシーンも生まれるなど、サッカー以外の事象で気をもむ絵図は枚挙にいとまが無く。

最後は高田颯がドリブルで中央へ持ち運んだ所、木吹に倒されて反則となり徳島の直接FKに。
ややハーフレーン寄りという位置で、キッカー児玉が入れたクロスを山越が合わせましたが、枠外となり。
そして試合終了の笛が鳴り、引き分けで幕を閉じました。

パワーサッカーのぶつかり合い、その一言で済まされそうな内容でしたが、それだけに勝ち点3を得れなかったのは両者とも痛い。
形振り構わないという印象は徳島の方が強く、成績面でも「とにかく結果を出す」意識を優先している感がありますが、この姿勢は実を結ぶかどうか。

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DAZN観戦 2025年J2リーグ第3節 V・ファーレン長崎vsジュビロ磐田

2025-03-04 16:01:12 | サッカー視聴記(J2)

<長崎スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • 開幕前の負傷者の発表は、中村慶太(前年の負傷の再手術)・安部(1/27に手術、全治約3ヶ月)の2人。

<磐田スタメン>

  • ベンチメンバーは1人削られて8人に。アクシデントで無いのなら、遠征ならではの経費節減か?
  • 松本がJ1・岡山へ完全移籍となり、今節をもって登録抹消。
  • 来季加入内定の吉村(関西大)が特別指定選手となり、開幕から登録される。

前評判で優勝候補と謳われるクラブ同士の、序盤でのぶつかり合い。
好ゲームにならない訳が無い対戦で、それを彩るのが前年完成した長崎の新ホーム・PEACE STADIUM Connected by SoftBank。

もう一つが、月並みですが審判団のジャッジだったでしょうか。
この日は今季から取り入れられた「世界基準の判定」が、変に持ち込まれる事は殆ど無く。
腕を使ったチャージにはきちんと反則の笛が鳴り、アフターチャージ・カウンター阻止にはしっかりとイエローカードが出る。
VARが無い故にストレスが溜まりやすいといわれるJ2以下でのゲームでしたが、そんな姿勢が奏功してほぼ清涼なものと成り得ていました。(主審は高崎航地氏)
こうした試合が量産される事で改まれば良いが……と余計な思想を考えさせられる程に。

それはさておき、開幕前の評判に相応しく、無敗同士でぶつかった長崎と磐田。
ともに3トップの布陣で挑んでいるという具合にあらゆる点で似通っており。(ただし磐田の4-2-1-3は4-2-3-1と見られる事もあり)

先制攻撃は長崎で前半2分、左から高畑が(笠柳との)ワンツーで前進ののちのクロスがファーサイドの増山に収まり。
ディフェンスに遭いこぼれた所を山口がシュート、これをGK川島がキャッチ。
試合前の好試合の予感を現実にさせるような、元代表選手同士のせめぎ合いが発生します。

その後は磐田の最終ラインでのボール保持と、長崎の前線の守備のぶつかり合いの時間が長くなり。
磐田はマイボールになっても、サイドバックが殆ど高い位置を取らずに4バック+ドイスボランチの立ち位置を保つビルドアップ。
クルークス・倍井と強力なサイドハーフが控えているだけに、奪われない事を重視して後ろに人数を掛けるような立ち回り。
それに対する長崎の守備も、2トップ(守備時、名倉が一列前に上がる)とウイングの4人が磐田最終ラインに立ちふさがるも、積極的にボールには詰めず。
ボランチを切りながらプレッシャーを与えるという、下平隆宏監督曰く「ハイプレスでは無くハイブロック」の意味を十分理解させるに至ります。

そんな守備組織に対抗する磐田、7分に川口が裏へのロングパスを選択し、受けたクルークスが溜めたのちマイナスのカットインからのクロス。
これを上がってきた松原がファーサイドで収め、シュートを放つも関口のブロックに阻まれ、網を掻い潜った末のゴールは生まれません。
またSBの上がりの抑制をカバーするかのように、センターバックのグラッサが前に出てのパスカットから、自ら上がるシーンを膨らませ。
12分には相手クリアを拾ったのち、そのまま上がってミドルシュートに持ち込む(枠外)など攻撃性を発揮します。

個の力はどちらも盤石で、どちらが優れているかを示す勝負。
13分、長崎はゴールキックでロングフィードを送る際、ジェズスが降りてターゲットになるかと見せかけてその頭を越えるボール。
これを増山が抜け出して受けるというトリックプレーで、搦め手を使うのも厭わずで決定機になりかけたものの、松原のディフェンスで倒されて(反則無し)実りません。
15分に長崎は笠柳が左からカットインシュート(GK川島キャッチ)、磐田も直後の16分に倍井が左からカットインシュート(枠外)、同じ両翼の武器もぶつけ合い。
長崎のコーナーキックの際、キッカーを務める高畑に対し古巣の磐田サポーターのブーイングが発生するなど、場外でもその節が見られ。

長崎のボール保持に対する磐田は、長崎とは違い時にはGKまで詰めにいくハイプレスを敢行。
21分の長崎、GK後藤から右へ展開し関口縦パス→ジェズスポストプレイで剥がさんとするも、執拗に球際に付いてくる磐田ディフェンス。
こぼれ球を繋いで左の高畑に展開した事で脱し、敵陣に持ち込んだもののジェズスのボールキープが奪われて攻撃終了。
ここからクルークスの持ち運びでカウンターになりかけましたが、クルークスはキープで遅攻に切り替えた所を奪われると、今度は長崎のカウンター(増山がエリア内で決定機を迎えるも撃てず)と慌ただしい展開。
激しい主導権の入れ替わりのなか、23分にペイショットのポストプレイを後ろから倒してしまった照山が反則・警告となり、「ラフなプレーは許さない」この日のジャッジの基本姿勢が示されます。

磐田の保持時の意識としては、長崎の「ハイブロック」により、ドイスボランチが2トップ+相手ボランチにサンドされ易い状況に。
それを飛ばすべくペイショットへの縦パスを多用し、彼のポストプレイを利用して強力なSHへ展開する手法で好機に持ち込まんとします。
これにより30分以降、攻撃機会を重ねていくものの決定機は生まれずに推移。

43分、敵陣深めでの(ペイショットの)ボール奪取が切欠となり、エリア手前でサイドを移しつつのパスワークを経てクルークスが右からクロス。
ファーで跳んだ佐藤の手前でGK後藤がパンチング、こぼれ球を拾った倍井が左ポケットでのキープを経てカットインシュート(関口がブロック)と、エリア内での攻防に持ち込み。
やはりボールゲインからのショートカウンターの方が効率良い、という印象を残して前半は打ち止めに。

長崎サイドも、磐田の押し込みを受けるにつれ、全体ラインを下げてジェズス中心のカウンターに持ち込む意識が強まったでしょうか。
アディショナルタイムには、GK後藤のロングフィードの跳ね返りを名倉が落としてジェズスに繋げるという、こちらも効率重視の形で好機。
スルーパスを受けた笠柳が(左から)カットインを経てチャンスを迎えるも、戻った江﨑のカバーで撃つ前に防がれ。
結局スコアレスのまま前半終了となります。

緊迫した展開が示すように、ともにハーフタイムでの交代無しとベンチも辛抱を重ね。
それ故に後半の入りも変わらず、最初の磐田の好機はグラッサ縦パス→ペイショットポストプレイと同様の手段を経て、(佐藤を経由し)倍井が左サイドを推進。
ここはキープを選択し、上原とのパス交換ののちサイドチェンジでクルークスに託すと、カットインからクロスと見せかけてのシュートを放つクルークス。
これをキャッチしたGK後藤から、素早くジェズスへとパスを繋ぐ長崎とこちらも前半と意識は同じ。
単騎突撃を経てシュートを放ったジェズスですが江﨑がブロックと、意地の張り合いが尚も続く予感を孕ませ。

ボール保持の面では上回る磐田。
それが示す通りに攻撃機会を重ねていくも、アタッキングサードでのパスが乱れて終了というシーンが目立ち始め。
長崎はそれを突くかのように、5分に中盤でパスカットした山田が中央突破を経てスルーパス、受けた笠柳が左ポケットへ切り込みシュート。(GK川島セーブ)
カウンター中心に優勢ぶりをアピールすると、7分にも照山のラフなロングパスでジェズスが抜け出すというカウンター。
そしてそのままエリア内へ進入し、後追いを強いられたグラッサに押されながらもシュートしましたが、これもGK川島のセーブに阻まれます。
グラッサの反則をアピールするジェズスですが変わる事は無く、「倒れてないから反則では無い」という解釈の下、これがこの試合で最も納得できないジャッジとなったでしょうか。

こぼれ球を尚も繋いだ長崎ですが、グラッサのパスカットを切欠に今度は磐田のカウンター。
倍井の持ち運びからペイショット経由で右のクルークスに渡し、そのまま右ポケットへ切り込みグラウンダーでクロスを入れるクルークス。
ニアで走り込んだ佐藤はディフェンスに遭い撃てずも、さらに倍井が詰めにいく絶好機となりましたが、抑えにいったGK後藤と交錯し結局撃てずに終わり。(反則も無し)
そんな激しい攻防が原因となったか、直後に川口がボールと無関係な位置で倒れ込んでしまい。
筋肉系トラブルも疑われる痛み方で、やはり続行不能で先に動く事を強いられる磐田。

同ポジションで植村を投入すると、ここから磐田はやり口をマイナーチェンジ。
即ち、クルークスを追い越す動きをしばしば見せる植村により、抑制していたSBの上がりを絡め始めます。
このシステム変更?で、度々サイド奥を取る植村によって再度磐田の好機が膨らむ展開に。

しかし好循環が止まったのはやはりパスミスからで、15分に後方から繋ぎ直しを図った所グラッサが増山に奪われ、抜け出さんとした所を反則で止めた江﨑が警告を受け。
ここから長崎の反撃にタジタジとなり、17分にはまたもパスミスを高畑に拾われてショートカウンター、名倉のスルーパスが中央へ走り込む増山に。
そして放たれたシュートをGK川島がセーブと、ベテラン守護神の好守に何とか救われ続ける嫌な展開。

それを切る事が出来ず、迎えた18分。
果敢に攻め続ける長崎、途切れるも照山のボール奪取で二次攻撃に入ると、右ワイドからエリア内をパスワークで伺い。
これは遮断されるも山口が拾うと、中央でパスを受けた笠柳は切り込まずそのままエリア外から果敢にシュート。
GK川島を掠めてゴール右へと突き刺さり、手を緩めぬまま待望の先制点に辿り着いた長崎。
既に交代準備が行われており、キックオフ前にそのまま退く運びとなった笠柳、大仕事を達成した形でお役御免となりました。(笠柳・増山→松澤・ギリェルメへと2枚替え)

これで余裕が生まれた長崎。
21分にギリェルメのドリブルにより持ち込んだカウンターでは、サイドチェンジを経て戻して作り直しを選択するという具合に、無理攻めはしない立ち回りに。
守備意識を高めながら、24分のCKでのエドゥアルドのヘディングシュート(ゴール上へ外れる)など、あわよくばの追加点を狙いに掛かります。

対照的に余裕の無い磐田、27分にさらにベンチが動き佐藤・倍井→渡邉・川﨑へと2枚替え。
攻撃法も、ひたすらクルークスに仕掛けさせる色が強まり。
それにより得た右CKではクルークスがキッカーとなりますが、これもニアに走り込む川﨑のフリックを狙う手法を多用。
33分には低いボールを足下でフリックした川﨑、右奥へこぼれたボールを江﨑が折り返し(GK後藤がブロック)と紛れが生まれるも、苦しさは拭えません。
(長崎は30分に高畑→米田へと交代)

焦りも見られる相手の、隙を突く流れを徹底する長崎。
36分に左サイドでの攻防から山田が奪取、こぼれ球を山口落とし→ジェズスポストプレイで素早く運び。
そして名倉が左ポケットへ切り込んでシュート、またもGK川島のセーブに阻まれたものの跳ね返りをギリェルメが詰め。
ゴールネットを揺らしその目論見通りに追加点、と思われた刹那オフサイドを告げる笛が鳴り、無念のノーゴールとなりました。
直後に磐田は最後の交代、松原・中村駿→為田・金子へと2枚替え。

依然として「ハイブロック」を保つ長崎により、磐田はどうにかして第1ラインを突破しに掛かる展開に。
金子の投入でアンカーの色がやや強まるものの、基本部分は変えない中で相手のプレッシングにどう立ち向かうかが、この試合のみでなく今後上位維持のカギともなり得るでしょうか。
38分にギリェルメが中央寄りとなったのを見るや、GK川島が左の為田へフィードを通して突破。
そしてペイショットのスルーパスで一気に裏を突きに掛かりましたが、走り込む渡邉には惜しくも繋がらず終わり。

それでも裏狙いは一定の効果を齎し、40分にはロングパスに抜け出さんとしたクルークスを倒した米田が反則・警告。
これで得たFKからの二次攻撃で、川﨑が左からカットインでエリア内中央まで切り込んでシュート(エドゥアルドがブロック)と、ゴールの匂いは感じられた磐田。
意地を貫くものの、長崎はそれを跳ね除けるように44分に最後の交代。
名倉・ジェズス→澤田・エジガルへ2枚替えと、最後の締めには勿体無いという層の厚さを見せるカード。

そして目安7分のATに突入後は、その入れ替わった長崎の前線がひたすら時間を使う展開に持ち込み。
磐田は生命線の最後方からのビルドアップも乱れ始め、簡単に長崎にボールを渡してしまいノーチャンスに陥る破目となります。
その隙を突いて、左ワイドからエジガルが強引なカットインを見せ、果敢にシュートを放つ(GK川島キャッチ)など最後まで攻撃力を見せる長崎。
先制点の笠柳然り、激しく入れ替わる序列により個々のモチベーションも盤石ぶりを感じさせて試合を締め。

そして1-0のまま笛が鳴り、無敗を保った長崎。
まだ3試合消化ながら、その前評判に違わぬ実力と成績を見せ付け。
このまま突っ走るのか、はたまたこれを止めるクラブが現れるのか。

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DAZN観戦 2025年J2リーグ第3節 藤枝MYFCvsブラウブリッツ秋田

2025-03-03 16:01:14 | サッカー視聴記(J2)

<藤枝スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • 2/26~27に集団食中毒が発生。具体的な選手名は挙げられていない(当然)ので、大幅に入れ替わったメンバーを見て察する。
  • 梶川の負傷が発表され、2/1に発生して全治約5週間との事。
  • 河本の負傷が発表され、2/14に発生して全治約10週間との事。

<秋田スタメン>

  • 佐藤の負傷が発表され、2/9に発生して全治約8週間との事。
  • 中村の負傷が発表され、開幕節(今治戦、1-0)に発生して全治約8週間との事。

前年のこのカードは、お互いに本来の持ち味をある程度封印するように戦っていたという印象。
つまりは、藤枝はボール保持を前面に押し出し、秋田は逆に縦に速い攻め一辺倒というスタイル。
これが、藤枝は中々パスで繋げずにサイドアタッカー頼みの色が強くなり、秋田はボランチの位置でのボールキープで隙を伺うという絵図が目立ち。
お互いの信念がぶつかり合った結果、こうなったと言うべきでしょうか。

今季もそんな、本来の意思とは裏腹に信念を曲げざるを得ない戦いが見られる。
しかし試合前に、その予想どころでは無い事態が発生してしまい。
ホームの藤枝に集団食中毒が起こってしまい、その影響を感じさせずにはいられない、前節から大幅なスタメンの変更。
ベンチメンバーも7人しか入れられずと、何処をどう見ても逆境での試合開催を強いられました。

そんな訳で、とても本来のスタイルを貫く状況ではない藤枝。
開幕節(徳島戦、0-2)では、ミラーゲームかつ徳島の想像以上に激しい寄せに難儀してボールを繋げなかったという印象でしたが、こうした相手云々の事を考える余裕はあったかどうか。
1トップで起用されたディアマンカ狙いのロングボールが第一、という立ち回りが中心となりました。

しかし相手の秋田が、そのスタイルに面食らった感があり。
大幅なメンバー変更、とくに初見のディアマンカ(といっても過去2試合途中出場)への対応は難しく。
ロングボールやスローインから、幾度もポストプレイを許してしまい危機を招きます。
前半7分には敵陣深めで左スローイン→ディアマンカエリア内でフリックから、クリアされたボールを金子がミドルシュート(枠外)とシンプルな手法でフィニッシュに繋げ。

まずは新たな矛(ディアマンカ)を突き付け敵を委縮させる事に成功した藤枝。
しかし次なる武器も今季初出場の永田の左サイドアタックと、データの無い選手を躍動させに掛かり。
状況を憂慮してか、過去2試合スタメンのシマブクはジョーカーでの温存となった結果起用された永田。
当初は良く効いたものの、次第に対応されたか目立たなくなります。

そうした藤枝の姿勢により、普段の攻撃機会の多さを発揮できない状態を強いられる秋田。
相手が自分達と同じ、パワーサッカー紛いのスタイルを取った際の対応に難があるのは前年(36節・大分戦、0-2)からで、今季もその改善は難しくあったでしょうか。
その苛立ちからか、18分にはGK北村のパントキックを小松がブロックした事で一悶着を招くなど悪目立ち。

スコアが動いたのは、ともにパワーを前面に押し出す展開に相応しい絵図からでした。
25分にハイボールの競り合いで才藤が(千葉に)反則を受けた事で、秋田が中盤でのフリーキックから放り込み。
才藤が痛んだ(無事に起き上がる)事でインターバルとともに落ち着きを得て、キッカー長井の放り込みからさらにコーナーキックに繋がる、いかにも秋田らしい好機の継続。
そしてこの左CKから、キッカー水谷ニアにクロス→梶谷フリック→ファーで小松ヘディングシュートと、綺麗すぎる流れで仕留めます。
シュートはGK北村の居た左へと飛んでしまうも、ゴールネットを揺らし先制点を叩き出した小松、これで3戦4発と好調ぶりを維持。

喜びも束の間、そのパワーサッカーのぶつかり合いを象徴するように、28分に松木・才藤がまたもハイボールの競り合いで激突し両者痛む事態に。
ともにピッチ外を経て復帰したものの、この展開を続ける事は得かどうか。
ビハインドとなった藤枝は自問自答を強いられたでしょうか。

30分、秋田の攻めを切ったのち自陣深めでのボール保持という厳しい局面を強いられますが、エリア内右(秋田から見て左)で前田が巧みにパスを散らしてゲーゲンプレスを剥がしに掛かり。
そこから前進に入り、実るかと思われた矢先浅倉→松木へのパスが梶谷にカットされるも、見応えある攻防。
これを機に、本来の繋ぐスタイルへの道筋も作り上げられる予感を膨らませ。
36分の攻めは右サイドからの前進で、千葉が秋田ディフェンスに囲まれ奪われかけましたが、中川創が拾い素早く左へ展開して継続。(永田の突破と見せかけて戻し→鈴木翔太のアーリークロス)
それでも、直後のスローインでは左ポケットに直接投げ入れたボールが誰も触れずにバウンド(これをディアマンカが収めるも撃てず)と、秋田はアバウトな攻めの方が対応に難儀している風でもあり。

38分の秋田、井上のクリアボールが直接前線に送られ、梶谷スルー→小松ポストプレイを経て受け直した梶谷が抜け出す好機。
そのまま左ポケットを突き、尚もゴール眼前まで迫った末にシュートを放ちましたが、ゴールポストを勢い良く叩いて跳ね返るボール。
追加点はならなかったものの、この甲高い音が目を覚ます号砲となったか、藤枝の姿勢に困惑する時間から覚め。(ちなみに先制点の場面がこの日のファーストシュート)
以降、藤枝の攻撃を浴びながらも自軍のターンでは勢いをもって攻め上がり。

迎えた44分、左サイドでの前進を経て相手クリアを中盤の底で村松が拾うと、直接エリア内へミドルパスを送り。
そこに待ち受けていたのは小松で、ワントラップからシュートを放ちましたがGK北村がセーブ。
GKのファインセーブという形でしたが、ここでは1点リードしていた事もあり、そのまま(前年最終節の同カードのように)中盤でキープの姿勢を見せても良かった。
結果論の節がありますが、この姿勢が終盤の局面で尚もスコアが動く要因と成り得。

アディショナルタイム突入後も果敢に何度も攻め込む秋田。
しかし長井の裏へのロングパスに走り込んだ小松が、前田に倒されて受けられずという絵図になりましたが、「世界基準の判定」の例に漏れず鳴らない笛に阻まれ。
そして反転させた藤枝が敵陣でボール保持の局面に入ると、半円のパスワークを経て右からの攻めを選択。
安易なクロスは選ばず、地上からワイド→ハーフレーンへと繋ぐと、浅倉が入れ替わって中央を向いた末に果敢にミドルシュート。
グラウンダーの軌道でギリギリの所を突いたボールが、左ポスト内側を叩いてゴールネットを揺らします。
最後は地上での攻撃と、本来の手法により同点に追い付きました。

松木と才藤の治療で、長くなったATの目安。(4分)
それを利用し最後に攻撃機会を得たのは藤枝でしたが、ここはロングフィード→ディアマンカフリックで金子抜け出しと直線的な攻め。
これを警告付きの反則で止めた井上により直接FKを得ましたが決められず(金子蹴り出し→千葉シュートと変化を付けるも枠外)、1-1で折り返します。

ともにハーフタイムでの交代は無く。
コンディション面が心配な藤枝も、少数精鋭という意識の下スタメンを出来るだけ引っ張りに掛かったでしょうか。

その後半、藤枝がどちらのスタイルで入るか注目しましたが、直線的なものが中心となり。
つまりはターゲットのディアマンカと、永田の突破力を前面に出すもの。
後半6分のGK北村のロングフィードは、千葉がターゲット役となりフリック、これにディアマンカが抜け出す逆パターンとなったもののクリアされて実らず。

この際秋田にアクシデントが発生し、(ボールとは無関係な所で)長井が足を痛めてしまい続行不可能に。
これに伴いベンチが動き、長井・畑→諸岡・吉岡へと2枚替えを敢行します。

相手の想定外に突け込みたかった藤枝ですが、直後の8分に秋田がカウンターを発動し攻め上がり。
右サイドを縦に素早く攻め、奥へ切り込んだ吉岡がクロスに辿り着いた末に(ニアでの小野原のスルーを経て)諸岡が合わせシュート。(GK北村キャッチ)
これを境にペースを取り戻す秋田、再び自慢の圧力で攻撃機会の量産に入ります。
ちょっとやそっとのアクシデントではビクともしない「秋田一体」の力を発揮しに掛かり。

前半は藤枝の保持に対し様子見が多かった前線の守備も、ハイプレスに切り替える積極性を押し出し始め。
最終ラインで鈴木翔太にパスが出された際に果敢に詰めにいくスタイルで、10分にはその絵図の通り吉岡が彼からボール奪取。
そしてそのまま右ポケットへ切り込みグラウンダーのクロスと、ボールゲインから決定機が作り出されましたが、中央で合わせた小松はミートしきれず逃してしまいます。

秋田の圧に屈しかねない流れの藤枝。
13分にも秋田の攻めを浴び、左→中央→右への繋ぎを経て上がったクロスは跳ね返すも、逆サイドから二次攻撃。
今度はクロスでは無く、梶谷がカットインを経てポケットからシュートを放ち。
この強烈なボールを浅倉が身を挺して頭部でブロックし、痛んで倒れ込む(1分程で起き上がり続行)という具合に、失点はせずも無傷では済まない凌ぎ。

攻撃では前半とは打って変わって、永田は良い所が消される格好となり、それに伴い一向に巡って来ない好機。
19分にはよりによってその永田が左奥で奪われてからのカウンター(その過程もポケットへスローイン→ディアマンカのレイオフと前半と変わらず)、右サイドから前進するも梶谷の突破が阻まれたのを機に中央へと切り替え。
諸岡のスルーパスで抜け出した水谷がエリア内へ切り込みシュート(GK北村キャッチ)と被決定機に繋がってしまいます。
痺れを切らしたベンチ、21分に動き鈴木翔太・松木→世瀬・シマブクへと2枚替え。
前田とともに本職では無い左右のセンターバックと、苦しさを滲ませる布陣となり。

23分にシマブクを活かして右から前進の末に、上がってきた前田がクロス。
本来のレギュラーによる流れの反転かと思われた刹那、先程ブロックした浅倉が倒れ込んでしまい。
脳震盪の発生なのは明らかで、殆ど間を置かず再度の交代を強いられます。(杉田を投入)
他方、これにより交代枠が追加されるのを想定した秋田も同時に動き、水谷・小松→長谷川・鈴木翔大へと2枚替え。(吉岡が左サイドハーフに回る)

投入されたシマブクは流石に強く、27分にサイドチェンジを受けたのち前進を経て縦パスを打ち込むと、千葉が巧みなワントラップで右ポケットに入り込んでシュート。(ゴール左へ外れる)
永田が消えかけていただけに、逆サイドでの跳梁は命綱と成り得ましたが、劣勢ぶりを変えるには至りません。
それでも秋田も得点源の小松が退き、ラフなクロスに頼る事が多くなり。
肝心のフィニッシュが膨らまず、1-1のまま時計が進んでいきます。
(秋田は35分に梶谷→佐川に交代、藤枝は40分に中川風→アンデルソンに交代)

そんな展開故に、攻め手もラフなものになって来たでしょうか。
41分に藤枝の後方からのスルーパスを井上がカットすると、跳ね返りが左サイドのスペースへ転がり、拾った佐川により秋田の好機に。
すかさず入れられたクロスを中央で鈴木翔大が合わせにいくも、GK北村がパンチングで掻き出し。

そして直後の42分、跳ね返し合戦で右往左往するボールを経て、前田がラフに直接エリア内へロングパス。
これにディアマンカが走り込むと、秋田ディフェンスもセーフティなクリアを選択せざるを得なくなり、右CKで継続。
キッカー金子のクロスは跳ね返されるも、後方から前田が果敢にミドルシュート。
これも低い弾道で狭い所を突いた末に、ゴール左へと突き刺さります。
勝負を分けたのは、精度よりも積極性といった逆転弾に。

キックオフでの再開前に、藤枝は金子→岡澤へと交代。
一方追う立場の秋田も小野原→藤山と、6枚目の交代を敢行します。

それでも普段のスタイル上(そうでなくてもか)、パワープレイに頼らざるを得ない秋田。
既にATに突入し、流れの中で井上・才藤が前線中央に上がるという形でターゲットを増やし。
右からの長谷川のクロスをファーで折り返し、そして中央の鈴木翔大が合わせるという決定機が生まれかけるも、鈴木翔大のヘディングはミートしきれず不発に終わります。

尚も時間は進んでいき、千葉の(諸岡への)反則により中盤からのFK。
GKラドティッチも前線に上がり、望みを賭ける秋田。
(キッカー諸岡により)エリア手前左へ放り込まれたボールを、そのラドティッチが足下で折り返すという珍しい一幕が生まれましたが、フィニッシュには繋げられません。

そして試合終了の時を迎え、2-1で藤枝が勝利。
盤石な状態とはかけ離れたメンバーで、内容も決して良くは無かったものの、それが奏功した部分もあり。
苦境の中で得た勝ち点3が、文字通り最良の薬と成り得るでしょうか。

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DAZN観戦 2025年J2リーグ第2節 水戸ホーリーホックvsモンテディオ山形

2025-02-26 16:00:40 | サッカー視聴記(J2)

<水戸スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • 森村(阪南大)の加入が決定。スピードが特徴のMFという事でサイドアタッカーか。
  • 齋藤はU-20代表に参加のため離脱中。
  • 大崎の負傷が発表され、2/4に発生したとの事で全治は未発表。
  • 村田の負傷が発表され、2・5に発生(以下同文)
  • 来季加入内定の嵯峨(立教大)が特別指定選手となり、開幕節から登録される。
  • 開幕前の負傷者の発表は、芦部の1人。

<山形スタメン>

  • 川井は前年からの持越し(PO準決勝で暴力行為による退場)で3試合出場停止の2試合目。
  • 開幕前の負傷者の発表は、南(1/22、全治約8~10週間)の1人。

厳しい残留争いを制し、今季もJ2に生き残った水戸。
岡山がJ1昇格を果たした事で、唯一の「J2のみ経験のクラブ」とも化し。
その殆どがボトムハーフに終始しているという成績もあり、残留力を盾としながら浮上のチャンスを伺う立場。

前年途中に就任した森直樹監督が、開幕から指揮を執る今季。
システム変更も駆使しながらチームを建て直し、「監督交代は成功だった」と無事に大団円を迎えた昨季。
しかし降格した3クラブ(群馬・鹿児島・栃木)はいずれも監督交代を行ったクラブであり、そういった評論は単なる生存者バイアスな気がしないでも無く。
自分としても、前年ホームで観戦したクラブなだけに今後が気になる所ですが、今季は4-4-2の布陣で新たなスタートを切り。

前年は9人の新人のうち、スタメンは長尾1人。
その後2節からスタメン定着した牛澤をはじめ、徐々に序列を上げた選手が生き残りを果たしたという編成上の印象。(途中でレンタルされ、出戻った内田は例外)
そして今季は7人(開幕直前に森村が加わる)のうち、板倉・川上・山本の3名が開幕スタメン。(といっても山本は特別指定の前年で11試合出場)
着実にウェイトが上がっているその状況は、スカウト能力の向上か、あるいは排出スピードを上げないと上位カテゴリないしは海外の食指に掛かるが故の危機感か。
ともかく、早期に陣容を固める事で今季こそ成績面でも成功という結果を出したい所でしょう。

冬季のオフを経て、やや放牧的な状態に見受けられたケーズデンキスタジアム水戸のピッチ。
その影響か地上で繋ぐスタイルの山形に乱れが生じ(おまけに前半は向かい風)、前半2分に西村のGKへのバックパスが短くなった所に渡邉新太が走り込む絵図に。
前に出たGK長谷川が先んじて振れるも、こぼれ球を左奥で山本が拾い継続(その後中央への戻しがカットされる)と、いきなり冷や汗を掻く事となった山形。

逆に水戸は、これにより前向きとなり相手の弱みに突け込む姿勢を徹底。
次に標的としたのは、今季初スタメンとなった大ベテラン・山田だったでしょうか。
前年の快進撃を左サイドバックとして支えるも、プレーオフでは岡山の屈強なプレッシングと球際に屈する形で、ボールロストで弱点となっていた山田。
それをスカウティングしていたのか、彼と相対する津久井が果敢に仕掛ける事で山形ディフェンスの押し込みを図った全体となりました。

一方その形まで繋げるという段階ですが、山形はパスミスでのロストが目立ち、水戸がビルドアップを考えるまでも無く敵陣での攻撃スタートが多かった立ち上がり。
敵陣でのポゼッションは、左の山本が突破をチラつかせたうえでの半円でのパスワークで、山形ディフェンスを右へと寄せた末に津久井に届ける攻め手を徹底。
津久井への対応に難儀する山田とともに、全体劣勢と化する事となった山形。
その攻勢に入る前に、津久井自身も5分の右コーナーキックで(キッカー大森のクロスから)ヘディングシュートで決定機を作った(GK長谷川がセーブ)事により高揚感を得たのも幸いした感があり。

ビルドアップの失敗の連続により閉塞感に包まれる山形。
14分には最終ラインからの縦パスを川上が前に出てカットし、すかさずエリア内へスルーパスとショートカウンターを招き。(左ポケットで受けた山本がシュート、西村がブロック)
止むを得ずロングボール中心の配球に切り替えるも、水戸のプレッシングを避ける以上の効果は得られず。
それに伴い、水戸のボール保持の時間が長くなり。
山形は16分、敵陣左サイドでのパスカットからの戻しでようやく保持らしい保持の絵図を作りますが、ここも高江が1タッチでロングパスをラフに裏に送るというアバウトな前進。
しかしこれをイサカがエリア右角で受け、ボールキープからの戻しを経て後方から國分がミドルシュート。(板倉がブロック)

これを切欠に糸口を掴みたかったものの、以降水戸のビルドアップを阻めない事で萎んでいき。
最終ラインからのパスワークの最中、山本が降りて出口役を務めるという定番の前進法が主でしたが、立ち上がりに押し込まれた影響か連動性を欠くプレッシング。
それ故彼を掴まえる事はままならず、益々前述のような右に寄って左が開く状態を許してしまいます。

26分までに8本ものCKを獲得と、水戸優勢は明らかな流れ。
その後左から山本中心に前進の姿勢→戻しを経て対角線のパスを津久井に通す、という手法で止めが刺されます。
28分に板倉のロングパスを受けた津久井、そのまま右奥からカットインでポケットを取りグラウンダーでクロス。
クリアされるも再度拾って保持を続ける水戸、またも山﨑がミドルパスを津久井に通すと、今度は飯田とのワンツーで奥を取りに掛かり。
パスコースに山田が立ちふさがるも、反応良くその手前で触れる事で無効化した津久井、そのままカットインを経て果敢にシュート。
GK長谷川のセーブを弾き、強烈にゴールネットを揺らしました。
ものの見事に、当初の狙いを徹底した成果が齎された水戸。

一方殆ど流れを得られないまま、追う展開を余儀なくされた山形。
性根入れてポゼッションを高めに掛かりましたが、どうにも巧くいかないビルドアップ。
前節(大宮戦、1-2)から最終ラインの顔が変わり、かつ両ウイングの位置が入れ替わった影響は小さくなかったでしょうか。
山田のスタメンとイサカの右サイドへの転換により、左肩上がりの形へとシフトした事で、折角良い味を出していた野嶽が上がる機会が少なくなり。

水戸のプレッシングは、アンカーに位置する中村を2トップが切る布陣の下、その後方でドイスボランチが山形の縦パスを牽制する形。(ハイプレスはバックパスが選択された際に掛ける)
新加入の中村が動かない事が、逆に流動性の欠如に繋がってしまい。
他方片割れの高江が動き回り、ワイドで受けたり最終ラインに降りたりしたものの、改善には至りませんでした。
結局31~34分までの間、山形が保持するも好機には至らずという絵図が続き。

その後は水戸をインスパイアするかのように、左での繋ぎを経て対角線のロングパスを右のイサカに届けるという手法で何度かアタッキングサードを突き。
中心選手の土居も、ポジションチェンジを絡めて間でパスを受け続けるものの、コンパクトな水戸ディフェンスに風穴を開けるには至りません。
そのまま、ビハインドになって以降フィニッシュを放つ事無く前半を終えました。

山形にとって巻き返したい後半、選手交代は無いものの、前半からの調整は必須であり。
水戸のキックオフで始まり、山本が浮かせてからロビングという変わり種の初手を見せるも、直ぐに断ち切って反撃。
といってもこちらも高江のラフなロビング→ディサロフリックという手法で、そのまま勢いをもって前進して右奥でスルーパスを受けたイサカ。
これにより右CKを得ると、ショートコーナーから角度を付けた高江のクロスをファーサイドで山田が合わせ。(枠外)

立ち上がりはこうした、アバウトな攻撃の応酬という感じで推移。
山形は(野嶽の)ロングスローを使い始め、水戸は山形のパスのズレをダイレクトで前へ送り返すという縦に速い攻撃法が中心に。
その中で水戸は後半6分、右スローインから川上がポケットに推進する状況を作りクロス。
クリアされるも逆サイドで拾った大森、左ハーフレーンの位置からシュートとも取れるクロスをグラウンダーで送ると、中央で草野が合わせコースを変えたもののGK長谷川がキャッチし何とか防いだ山形。

そんな攻防が落ち着くと、追い掛ける山形が保持するという定番の局面に移り。
微調整の結果か、中村が広範囲に動くシーンが多くなり。
前半は中央の中村を通し、その周囲で動く高江を経由し前線に渡すという意図だった(想像)ものの、その逆のパターンで繋ぐ絵図を膨らませ。
しかし最後は、イサカに届けて右サイド奥を突かせるものでしか無く。
結局前半と同様、フィニッシュに繋げられない時間が続きます。

それでも、前半から守備での集中に事欠かなかった水戸の方が先に交代カードに手を付け。
19分に山﨑・草野→長尾・久保へと2枚替え、縦パスのコースを執拗に切る役割を担ったボランチ(山﨑)を交代させるという、消耗が伺える采配となり。

山形が攻めあぐねるなか、隙を見て追加点を狙う水戸。
22分、GK長谷川のフィードを牛澤がヘッドで跳ね返し、そのボールを浮き球のままダイレクトで前に運んでの好機。
渡邉新がスルーパスを左奥へ送り、走り込んだ山本のクロスがニアに上がると、入り込んだ久保がヘディングシュート。
GK長谷川が何とかセーブするも、これを機にカウンターともとれる水戸の鋭い攻めに手を焼く展開へ突入したでしょうか。

それを防ぐべくベンチも動き、24分に3枚替えを敢行した渡邉晋監督。
山田・土居・ディサロ→岡本・高橋・藤本へと交代し、開幕前は「山形史上最強」と噂された程の選手層を活かさんと采配を振るいます。

それでも、開幕戦に敗れ、この日もここまでビハインドという現実に襲われている状況。
無理矢理でも1点が欲しい所で、左サイドでも岡本のロングスローを活用と形振り構わない手段を取り。
そしてそれが事件を招き、その岡本が投げ入れたボールが跳ね返されると、深めで保持する水戸に対し左(水戸から見て右)へ追い込んだ末に安部が渡邉新から反則気味にボール奪取。
ここまでは「新基準だし……」で片づけられる絵図ですが、ここからパスを受けたイサカがカットインでエリア内へ切り込んだ所で、取り返さんとした渡邉新に引っかかる形で倒れてしまい。
しかし笛は鳴らず、両軍こぼれ球を確保せんとした所、今度は拾った安部が川上に倒される絵図が生まれましたがこれも反則無しに終わります。
すると山形サイドは反則ならびにPKを総出でアピールする事態になり、対する水戸サイドもGK松原が「最初の安部のチャージが反則」という意図の下いきり立ち。
かくして両軍から抗議を受ける状況となってしまった主審(山下良美氏)も大変だな……といった傍らからの感想ですが、今季から取り入れられた「新基準」をどうにかしなければ……という思いは今後も付き纏う事でしょう。
PKか否かの部分は従来通りの悩ましいジャッジですが、安部のボール奪取があった故に埋め合わせのように笛を吹かないという選択が採られた可能性が大きく。

双方ともヒートアップしたまま山形の左CKで再開するも、得点どころか水戸のカウンターを招くという具合に冷静さの欠如は明白となり。
そして水戸が敵陣深めでの左スローインを得る(30分)と、今度はこぼれ球を拾った山本がカットインでエリア内を突かんとする所を野嶽に倒され。
しかし反則の笛は鳴らず、逆に倒れてボールを抱え込む格好となった事でハンド、それによりまたも猛抗議を余儀なくされた水戸サイド。
納得出来ない心境は理解できるものの、逃げきる側故に落ち着きたい所であり、ベンチはすかさず交代カードを切って(山本・渡邉新→沖田・奥田、津久井が左サイドハーフに回る)それを果たさんとします。
一方山形も33分に2枚替えを敢行、両WGを揃って入れ替え(イサカ・國分→氣田・坂本)てカードを使い果たし。

ここからは冷静さを取り戻した側が勝つ、という判り易い展開となったでしょうか。
再び水戸の敵陣深めでの左スローインで再開し、久保の胸での落としを受けた津久井が左ポケットに入り込んでボールキープ。
ここは奪われるも、その後も山形の攻撃を跳ね返し続けたのち、深めへと持ち込んでスローイン攻勢と相手の時間と余裕を奪いに掛かり。
40分に自陣で沖田のボール奪取からカウンター気味に運び、津久井が左ハーフレーンを直進してミドルシュート。
ブロックされるもクリアボールを川上が拾うと、そのまま左コーナーまで持ち込んでボールキープと、逃げきりの意思を高めます。
直後に奮闘してきた津久井が足を攣らせた事で、最後のカードを使い。
鷹啄を投入し、彼を中央センターバックに配置した5バックシステム(3-4-2-1)へシフト。

これを境に、山形がひたすら攻勢を掛ける展開へと移りましたが、時間との勝負なのは明らかであり。
これまで貫いてきたポゼッションの意思も時にはかなぐり捨てる事が求められ、41分には高江が直接エリア内へのロングパスを送り、藤本を走らせた事でCKをゲット。

最大の好機は42分の右スローインからで、野嶽がロングスローと見せかけ短く入れ、リターンパスをフリーで受けたのちクロスを入れる絶好機に。
低い弾道で入ったこのボールを、キャッチにいったGK松原が弾いてしまい、すかさず中村が詰めてゴールを奪わんとします。
松原を掠めるもその後方で板倉が掻き出し、それをさらに右ポケットで野嶽折り返し→高橋シュートと繋ぎ。
完全に決まったというこのフィニッシュも、板倉のブロックで寸での所で防がれてしまいます。
方や大ピンチを凌いだ水戸、今季初勝利は目前という状態に。

アディショナルタイムに入ると、西村を前線に上げパワープレイに賭けるしか無くなる山形。(中村も前線に位置取り)
エリア内左へと上がった高江のロビングを、西村が競り合いこぼれた所を中村がヒールで前に送り、藤本がそのままダイレクトでシュート。
しかしこれも水戸ディフェンスの壁に阻まれ、万事休すとなりました。

1-0で試合終了となり、無事逃げきりを果たした水戸。
クラブの入れ替わりが激しくなった中、J2の大ベテランともいえる経験を活かし、早期に安全圏確保といくでしょうか。

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