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DAZN観戦 2025年J2リーグ第2節 ロアッソ熊本vs北海道コンサドーレ札幌

2025-02-25 16:00:45 | サッカー視聴記(J2)

<熊本スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • 従来の3-3-1-3からマイナーチェンジ。イメージ的には、前年最終節の途中から見られた3-3-2-2(3-1-4-2)が判り易い。前節(長崎戦、2-3)から小長谷⇔渡邉のポジションチェンジで、トップ下システムを絡めた3-1-4-1-1と見る。
  • 負傷者と体調不良者の影響らしく、開幕から一貫してベンチメンバーは7名のみの登録。
  • 大西の負傷が発表され、2/8に発生して全治約4週間との事。
  • 開幕前の故障の発表は、松岡(1/8、全治約4週間)・袴田(1/12、全治約4週間)・黒木(1/24、全治約4週間)の3人。↓の通り、袴田と黒木は復帰済み。

<札幌スタメン>

  • 深井の負傷が発表され、2/15に発生したとの事で全治は未発表。

J2に復帰して4年目となる熊本、率いる大木武監督も今季で6年目。
主力の大幅な引き抜きに遭っても、依然として一定の地位を保っているのは見事の一言ですが、さらに上を目指すには新機軸が欲しい状況にも見え。

そんな訳で手を付けたのがフォーメーションで、前シーズンの最終盤でも取り入れられた形を本格導入。
つまりは、従来のウイングバックがインサイドハーフと化し、アンカー上村とのトライアングルを作り。
そしてウイングが下がり目となってワイドを埋め、トップ下の小長谷が上がり目となる事で、他クラブでも使われている3-3-2-2(3-1-4-2)の布陣がイメージされやすいものとなりました。
しかし今節は小長谷が左ウイングに回り、中央の渡邉によりトップ下の色が強くなるという具合にまたもマイナーチェンジ。

ちなみに前節は、長崎の個の力に対抗するためか、アンカー上村は殆どセンターバックの位置でプレイ。
守備時は4-4-2に近い布陣となり、5バック化する時はWGの片割れが降りるという具合に可変も極まれり。
この独特の「大木スタイル」がどう炸裂するのか、傍らから観ていても高揚感しかない今季の熊本ですが、まずは今節の札幌戦。

札幌のキックオフで始まるも、すぐに攻守交替したのち大﨑玲のクリアミスも絡んでいきなり好機。
渡邉・半代のポストプレイを立て続けに受けた小長谷がエリア内へ突撃してシュート(パクミンギュがブロック)と、開始30秒足らずでフィニッシュに辿り着き。
未だ視界不良な相手を他所に、早速鋭い槍で突き刺しに掛かります。

早くも後手に回り、相手のペースを断ち切りたい状況となった札幌。
6分に熊本のパスミスを拾った近藤から、敵陣で半円でのパスワークに入ったものの、中央から馬場→近藤へのパスを岩下にカットされて熊本のカウンターに。
渡邉とのワンツーを交えて左サイドを突き進んだ岩下、グラウンダーのクロスがGKとDFの間に送られ、半代が跳び込むも僅かに合わずとここでも鋭くゴール前を脅かし。
冷や汗を掻いた札幌、落ち着くためにもボール保持に勤しむのは必然となり。

前節(大分戦、0-2)では、前監督のミハイロ・ペトロヴィッチ氏のスタイルを継承したような形でのビルドアップの体勢を取っていた札幌最終ライン。
つまりは左右のCBがともに開いた所に、ドイスボランチの片割れ(ないしは両者とも)が降りてくるという、「ミシャ式」と呼ばれる形をそのまま採る絵図が目立ちました。
しかし同じ4バックへの可変としては、前回取り上げた大宮vs甲府のような、右肩上がりないしは左肩上がりの方策を採るクラブが多くなり。
即ち既に時代遅れとなりつつあり、かつCBがともに上がるというリスクの方が大きくなる「ミシャ式」とは、監督交代とともに決別すべきものと感じられ。
それが出来なかった以上敗戦は必然だった……という事で、流石に今節変えられる事となった基本形。
そしてスタメンを6人入れ替えたのは、既存の選手では対応できない(あるいはその転換に不満が噴出したか)という判断の下と邪推します。

こうして、武器である右WBの近藤を活かすような右肩上がりのシステムが採用されたこの試合の札幌。
しかしそれに伴い、サイドバック化するのは右CBで起用された西野。
彼は単なるSBに留まらず、ワイドを張る近藤の内側を駆け上がり時には最前線にまで行ってしまうというのが、「攻撃サッカー」の継承が色濃く出たものとなっていたでしょうか。
おかげで近藤も得意の切り込みを続けるというよりは、右奥を伺いながらのパスワークで、全体としてポケットを突く立ち回りに徹していた感があり。

そんな、ボールは握るものの今一つ流れに乗れない相手を尻目に、独自の攻撃を続ける熊本。
12分には再び岩下が持ち上がる事で左サイドを前進、小長谷→渡邉と経由しポケットを突いた末に渡邉から入れられるグラウンダーのクロス。
ニアに走り込んだ半代が合わせるも枠を捉えられず。

対する札幌も保持を軸としながら、18分にようやく近藤が右奥をドリブルで突く攻撃。
そして熊本よろしく入れられたグラウンダーのクロスを、ニアで田中克がスルーしたその奥で、1トップに選ばれた中島が合わせシュート。
しかしゴール右へと外れ、暗雲を吹き飛ばすべくの先制点は生まれません。
それでも時には中島狙いのアーリークロスを交えながら、何とかリードを奪わんとする札幌。

しかし確固たるスタイルが完成しつつある熊本、相手の攻めに晒されてもその進軍にブレは無く。
24分にGKからの保持で、右サイドで豊田がプレッシングを受け、札幌の3人に囲まれる状況になるもかわしきって前進する豊田。
そして例によって左サイドに渡ると、小長谷がカットインでポケットに切り込んでシュート、馬場のブロックで防がれたのちも苛烈な二次攻撃。
三島の戻しを経て、上村が放った強烈なミドルシュートがゴールバーを直撃と、絵図的にも決壊は間近という好機に。
そして28分、今度は上村がロングパスで一気にエリア内を突くという手法で前掛かりな札幌の裏を突き、渡邉が右ポケットからまたもグラウンダーでクロス。
跳ね返りを拾った阿部が奥へ切り込んでここもグラウンダーでクロスと、徹底して貫いた末に待っていたのは、ダイアゴナルに走り込んだ小長谷のスルーを経て合わせた半代のプロ初ゴールでした。
新たな布陣と、そのために組み込まれた新人(半代・渡邉)の力が交わった末に、リードを奪う事に成功します。

またも追い掛ける展開となった札幌。
キックオフからの攻めで右奥へと送った(西野の)ロングボールにより、得た右コーナーキック。
ここからキッカー田中克の、強烈なカーブを掛けたゴールに向かうクロスが脅威と成り得。
このCKでは、誰も合わせられずにバウンドしたボールが混戦を招き、両軍入り乱れるなかGK佐藤優が何とか抑え。
以降前半終了までに得た4本のCKで、ひたすら上がる田中克のクロスに対し、GK佐藤優が何とかパンチングで掻き出すなどあわやの場面を頻発させます。

リードされて以降、近藤の切り込みを使う頻度も増えました(そのため防がれてCKへと繋がり)が、開幕前から警戒されている武器な以上相手ディフェンスを上回らなければ結果を出すのは難しく。
そして彼をサポートするべくの西野が勝手気ままに(そう見える)動く以上、後押しを得れない状況では彼一人に期待するのは酷であり。
一度、44分に近藤の反則気味のボール奪取(この試合も例によって中々鳴らない反則の笛……)から、西野ポケットへのスルーパス→走り込んだ近藤がクロスという連携を見せましたがクリアされて実らず。

そんな右サイドに比べて左が弱いため、最終ラインからの展開も右一辺倒、ないしはボランチ経由で中央から無理矢理崩しを図るものが多くなり。
また西野の事例から組織立った右肩上がりの感が無いためか、パクミンギュと田中宏が分断されたかのように映るのも流れが悪く。
2人の間にボランチを位置させなければ左から前進出来ない(ないしはロングパスを通す)、といった状況で、一週間での変節の影響がそこかしこに見られました。
結局1-0のまま前半終了となり。

このままではいけない、という事でハーフタイムに動く札幌ベンチ。
上記のような事を岩政大樹監督も感じていたのか、パクミンギュを退かせて中村を同ポジション(前節は左WBでスタメン)で投入します。

迎えた後半、キックオフの利点を生かして押し込む熊本。
後半2分に得たCK、その二次攻撃で(半代の)シュートにまで繋げる(枠外)と、守備のターンでも積極性を増し。
GK菅野から地上でのビルドアップを図る札幌ですが、3分に半代が札幌最終ラインに対してパスカットに成功。
こぼれ球がゴールラインを割ってしまい途切れるも、直後のゴールキックで菅野がロングフィードに切り替えるなど、札幌サイドの頭を悩ませ続けます。

そして4分、今度は熊本の最終ラインに対し札幌がプレッシング。
しかし豊田がロングパスを裏へ送ると、跳ね返りを拾った中村に対し半代が奪い、こぼれ球を拾った渡邉がドリブルで右ポケットを突き一気に好機を迎え。
下がりながらの対峙を強いられた大﨑玲に対し、カットインを意識させながらの右足のシュートでその逆を破りゴールを奪います。
半代に続き渡邉のプロ初ゴールと、目出度さ最高潮といった追加点に。

ここから札幌は、ビハインド時の例に漏れない「敵陣で保持を続けるも、フィニッシュに繋がらない」時間が膨らむ事に。
苦境なのは明らかですが、逆に主審の判定に対し、度々倒されても笛が鳴らないという「被害」が多くなったのは熊本の方。
ベンチの異議・スタンドのブーイングが重なる事で、盤石とはいかなくなる熊本のホーム・えがお健康スタジアム。

不本意ながらも、利用できるものは利用したい状況な札幌。
13分に田中克→中島へのスルーパスがカットされるも、すかさずゲーゲンプレスで近藤が奪い返して好機継続。
右奥からのカットインは阻まれるも、敵陣で長らくパスワークを続け、エリア内への(馬場の)ミドルパスの跳ね返りを拾った中村がシュート。(阿部がブロック)
15分には右ワイドで近藤が持つと、入れられたクロスがアウトスイングでゴール左を襲うボールに。
GK佐藤優を越えるも惜しくも左へ外れ、「フィニッシュに繋がらない」状況を必死で塗り替えに掛かります。
投入された中村も、逆サイドの西野のように激しく前に出て好機に絡むものの、結局「ミシャ式」のような両CBが前掛かりになるリスクと付き合う格好となるのが何とももどかしく。
(15分に田中宏・田中克→青木・スパチョークへと2枚替え、長谷川が左WBに回る)

判定面の不満もあり、流れを変えたい熊本。
ようやく取られた敵陣での反則(17分)で、素早いリスタートを選択する事でそれを果たさんとします。(左から小長谷がクロスもブロック)
落ち着きを取り戻すと、19分には敵陣右サイドでのポゼッションの最中、阿部が戻りながらボールキープ。
これで札幌ディフェンスを喰い付かせたのち、素早く豊田→小長谷と繋いでその裏を取ると、三島→藤井とさらに細かく繋いだ末に藤井が右ポケットからシュート。(大﨑がブロック)
リードならびに相手のベクトルの向きも利用した立ち回りを見せる、一体どちらが前年までJ1クラブだったのかと言いたくなる試合展開に。

窮地の札幌、24分に中島→サンチェスへと交代。
相手が4人交代したのを見届けると(当然ながら準備していただろうが)、熊本サイドも25分に動き渡邉・小長谷→竹本・塩浜へと2枚替え。
当初は竹本が左ワイドでしたが、のちに塩浜と入れ替わってトップ下へ。

札幌は、ポジションチェンジした長谷川を軸に左サイドからパスワークで攻める色を強め。
29分に巧く左ポケットを取り、スルーパスを受けて切り返しからシュートを放った長谷川。
しかし袴田のブロックに阻まれ、閉塞感の解消には至りません。
31分に早くも最後の交代を敢行。
西野→出間へと代え、馬場が右CBへ・青木がボランチへと五月雨的に移動が絡みます。

手は尽くした札幌ですが、以降それを嘲笑うかのように熊本がサイド奥を突くシーンが膨らみ。
そして前半と同じく際どいクロスで脅かされる事で、精神面でも擦り減らされてしまったでしょうか。
37分には最終ラインからの繋ぎのミスで竹本がボールカット、拾った半代が抜け出さんとするも中村に倒され、反則の笛は鳴らず。
しかし続く38分にも三島のパスカットから攻め立てる熊本、左ワイドからパスワークで、逆の右ポケットを突いた末に藤井がシュート。(中村がブロック)
最終ラインからの保持がままならない状況に陥り、試合も終盤へ。
(熊本は41分に藤井→ベジョンミンに交代)

それを打開すべく、42分にはパスカットしたスパチョークがそのまま自ら左ポケットまで切り込み。
そして入れられたグラウンダーのクロスを中央で出間がポストプレイ、放たれた近藤のシュート。
満を持してというフィニッシュでしたが、これも袴田のブロックで防がれ。
アディショナルタイムに突入後、今度は出間のスルーパスで近藤が右ポケットを取ってのグラウンダーのクロス。
ブロックを掠めるも中央のサンチェスに渡り、キープからの横パスを経てシュートを放ったのはまたも近藤。
先程よりも増しての決定的なフィニッシュでしたが、ゴールバーを直撃(跳ね返りを中村がヘディングシュートもGK佐藤優がキャッチ)と無情にも実りません。

すると頽れるかのように、直後の熊本の好機。
ロングボールを右サイドで収めたベジョンミンから、浮き球パスで中村の裏を取って生まれた好機。
ドリブルで右ポケットへ進入した半代の横パスに、走り込んだ塩浜が放ったシュートが、左ポスト内側を叩いてゴールネットを揺らします。
札幌にとって無慈悲なダメ押し点という他無いですが、ホームチームならびにそのスタンドの熱狂を最高潮とさせるものでもあり。

そして3-0のまま、試合終了を告げる笛が鳴り響き。
今季初勝利を挙げたのは熊本の方で、それも戦術が定まらない相手を翻弄し続けたという絵図でのもの。
今後に向けて大きな物語性を得た形となりましたが、悲願の昇格にまで辿り着けるかどうか。

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DAZN観戦 2025年J2リーグ第2節 RB大宮アルディージャvsヴァンフォーレ甲府

2025-02-24 16:01:33 | サッカー視聴記(J2)

<大宮スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • 市原はU-20代表に参加のため離脱中。
  • 前節(山形戦、2-1)負傷交代したゴンザレスはベンチ外に。
  • 開幕前に負傷が発表された選手は、中野、安光、オリオラ・サンデーの3名。(いずれも治癒期間は未発表)

<甲府スタメン>

  • ヘナト・アウグストの負傷が発表され、2/12に発生して全治約10週間との事。
  • 開幕前に負傷が発表された選手は、村上(1/26、全治約3ヶ月)・遠藤(1/24に手術、全治約2ヶ月)、柏(負傷では無く病、約3ヶ月の療養)の3名。
  • 来季加入内定の米陀(日本体育大)が特別指定選手となり、開幕から登録される。

レッドブルという、新たな力を得てJ2に舞い戻ってきた大宮。
年々先細りを余儀なくされ、前年にとうとうどん底(J3)で藻掻く状況にまで追い込まれる格好となりましたが、颯爽と現れた救世主により華麗に再浮上。
何処かの漫画のような流れですが、ともかく再びJ1を視野に入れる権利を得たと言っていいでしょう。
かくして迎えた開幕戦を劇的勝利で飾り、その視野をさらに広げる事に勤しむホーム連戦。

その救世主であるレッドブル。
外資による多大な予算の投入も、こと選手編成の面では前年から大きくは変わらず。
現実的な路線かつ、目に見えにくい所を充実させる事でクラブ規模を上げるといった立ち回りでしょうか。(参照記事
同県に選手をかき集めるタイプの赤いクラブが居るが故の反面教師か

大宮・甲府共に、攻撃時は4バックへ可変する形をとるのが特徴であった開幕戦。
大宮は左の泉・甲府は右の宮崎の攻撃力を活かすべく、その後方でそれぞれ下口・土屋がサイドバック化するのが基本となっていたビルドアップの形。
サイドは違えど、お互い考える事は同じといったクラブが相対する一戦となりました。

しかし基本布陣は3-4-2-1同士で、ミラーゲーム故に地上で繋ぐ余地は殆ど無く。
例によって空中でボールが右往左往する絵図が膨らむ事となり。
そして、強風という環境面の影響が強く出る展開を強いられます。(前半は大宮が追い風)

これを踏まえ前述の見所に繋げると、泉がチャンスエリアを突く状況を先に得た大宮。(前半3分、中央から細かなパスワークによる混戦を制して左ポケットからカットイン→ディフェンスに遭いコーナーに)
それにより地上から繋ぐ事を試みるも、対する甲府の前線がボールゲインを連発。
6分には小出のパスカットから右へ展開し宮崎に渡る状況に。
しかし遠目から中央へシュート気味の縦パスを送った宮崎、これが繋がらずに終わり。
ここは自身がサイド奥ならびにポケットへの進入を図り、チームに好循環を齎すような立ち回りをしてほしかった所。

そんな理由から、立ち上がりは若干大宮が優勢といった印象を受け。
すると12分、甲府はハイプレスを嵌めてガブリエウにロングパスを蹴らせる事に成功。
しかし風の影響か、豊川に対しノーマークという状態で悠々収めを許してしまうと大宮の好機に繋がります。
杉本の持ち運びを経て送られた左ポケットへのスルーパスに泉が走り込み、そのままクロスと見分け辛いシュートを放ち。
GK河田がセーブするも(茂木のクロスが跳ね返されたのち)二次攻撃を仕掛ける大宮、下口を経由しまたも左から泉が仕掛けてクロスと、徹底してストロングポイントを押し出し。
するとニアでの杉本のヘディングシュート、井上に当たり尚もゴールへ向かうボールをGK河田が何とか防ぐも、すかさず藤井がねじ込み。
波状攻撃をキッチリと仕上げ、先制点に辿り着きました。

自身の長所を貫けるチームは強く。
尚も14分、今度は泉がスルーパスの出し手となり、走り込んだ小島がディフェンスに遭うも左CKに。
キッカー小島のクロスはGK河田が跳ね返すも、小さくなった所を濱田がダイレクトでボレーシュート。
これが右ポストを直撃し、さらに杉本が追撃のシュートを放ちましたが、ゴール左へと外れてしまい追加点はなりません。
ともにウイングバックを活かす色が強いクラブ故に、泉が優勢となればこの展開はある意味当然であり。
お互いサイドが違う故に、泉と宮崎がかち合う状態なのも大きかったでしょうか。
22分には泉が宮崎を剥がしてのドリブルで左奥に切り込む(そのままポケットへカットインしてグラウンダーのクロス)という、その通りの絵図も生まれます。

一方で守護神に頼らざるを得ない苦境の甲府。
追い掛ける展開故に主体的な攻撃に舵を切りたい所ですが、この日は前述の可変は中々見せず、基本布陣のままの繋ぎが多くなる最終ライン。
大宮があまりハイプレスを仕掛けて来ないのもあり、ボールを握れる下地はあったもののそこからの前進に難儀します。
サイドで優位を取れないため、中央で無理矢理どうにかするという攻めも目立ち、27分には1トップ・2シャドーでの細かなパスワークでこじ開けに掛かり。
そして鳥海がエリア内へ切り込む(ディフェンスに遭い右CKに)という具合に、何とか反撃の芽を作らんとします。

中々波に乗れない宮崎に好機が訪れたのが29分。
大宮の攻めを切ってボール確保ののち、倒れながら繋いだ林田により運ぶ余地が生まれ、右ハーフレーンを推進する宮崎。
そしてそのまま強烈なミドルシュートが放たれましたが、GK笠原のセーブに遭い決められず。

今季のJリーグ全体の特徴ならびに懸念である、「反則が取られない」ジャッジはこの試合でも健在。
それとは無関係ながら、30分に空中戦で(土屋との競り合いで)痛んだ豊川が鼻から出血し、長らく治療を受ける事を強いられたのがその幕開けだったでしょうか。
38分、大宮ディフェンスに倒されながらもキープしようとした鳥海ですが、その際手に当ててしまった事でハンドを取られ。
こうしたシーンが膨らむ事で、観る側にもしこりを残すとなれば、「アクチュアリープレイングタイムを増やす」どころの話では無くなると思います。

終盤、甲府は最後方の小出のフィードにより右サイド奥にボールを送るという攻撃の流れを作り。
守勢になった大宮ですが、それを冷静に防ぎ、かつカウンターチャンスを狙うという立ち回りに移行。
しかしともに精度を欠く事で、豊川の治療で長くなったアディショナルタイム(目安4分)もフィニッシュは生まれず。
1-0のまま前半終了となりました。

得点のためにはやはりフィニッシュが必要なのは明白で、甲府サイドは宮崎のミドルシュート1本のみという点を重く見たでしょうか。
ハーフタイムで動き、レイリア→三平へと交代。
「カテゴリが上がったら通用しなくなった」という懸念と戦う立場のレイリアですが、そのために早く欲しい結果はこの日も出ずとなりました。

その甲府、後半最初の好機はやはり小出のフィードからで(後半1分)、その跳ね返りを林田がダイレクトでエリア内へ送った事でCKをゲット。
そこから、クリアボールを宮崎がミドルシュート(枠外)とファーストシュートを掴み。
5分には再び小出が右サイドへ向けロングパス、跳ね返りを拾っての前進に成功して大島がグラウンダーでクロス。
クリアされるも、拾った平塚が右からのカットインを経てミドルシュート。
GK笠原のセーブに遭うも、後半追い風を得たという要素もあり、反撃に向け上々な滑り出しを見せ。

一方の大宮、前半の好循環は影を潜め。
特に前半負傷させられた豊川は、前所属の京都時代を彷彿とさせるような、球際で止まる事が出来ないプレーを度々見せてしまい。
その度に、前述の判定面での懸念も膨らむとあってはムードが高まらないのも納得であり。
それとは無関係ですが、甲府は9分に大宮CKでのゴール前の攻防の際、茂木と交錯した事で頭部にチャージを受けてしまった三平。
これによりピッチ外で脳震盪チェックを受けるも、無事であり何とか継続。

試合の方は、12分にCKから宮崎がミドルシュート、ブロックされるも尚も繋いで二次攻撃。
そして後方から平塚が先程と似た位置でミドルシュート(ゴール左へ外れる)と、遠目からながらフィニッシュを重ねる甲府。
宮崎と平塚しか撃てていない状況でしたが、15分にベンチが動くとその両名を退かせる采配を選択。
田中・中山陸をともに同ポジションで投入します。
やや不可解な采配ですが、平塚が前職(福岡)で故障続きだった事を考慮しなければならないという苦悩も感じられ。(宮崎の方も、頭部を痛めているのかフェイスガード着用で臨んでいた)

かくして勢いを自ら削ぎ落す事を余儀なくされた甲府。
防戦一方の状況であった大宮も、甲府のボール保持に対し前に出る守備を選択し始め。
20分辺りから敵陣でボールゲインを連発し、相手に考える隙を与えない立ち回りを見せます。
22分にはシルバのボール奪取からの速攻で、右からの茂木のクロスに対しニアで合わせにいった豊川。
しかしGK河田が飛び出し、交錯しながらも撃たせず何とか防ぎ。

24分に再度動く甲府ベンチ、大島→熊倉へと交代。
これで4人目で、対する大宮がまだ交代ゼロという状態であり、この泰然自若ぶりを何とか崩したいのは言うに及ばず。

しかし25分、度々反則を犯していた豊川が(土屋への反則で)ついに警告を受けた大宮。
この隙を活かしたい甲府、続く26分に最終ライン右サイドから細かなパスワークで中央へ向かって前進。
そして三平のポストプレイを経て熊倉がエリア内へ切り込む好機が生まれましたが、放たれたシュートは下口のブロックに阻まれ。
決められれば、この試合ならびに今後にも(熊倉の一本立ちに)期待が膨らむものに成り得たでしょうが……。

そして大宮もベンチが動く段階に突入し、29分に豊川を退かせる選択を採り。
中山昴を投入しボランチに入れ、シルバが豊川の位置にシフトする弥縫策。
前への意識が強いシルバ故に納得の采配ですが、以降5-4-1ブロックの際に、右サイドを固めるシルバが甲府の上下動のパスワークに釣られて隙を作るなど穴も見られ。

しかし長所の方が勝ったでしょうか、29分に中盤でボール争いを制した大宮、そのままトランジションで勝り左奥への裏へのボールに走り込んだ杉本のクロス。
グラウンダーで入れられたボールをニアでシルバがスルー、その奥で藤井が合わせたもののミートしきれずゴール右へと外れ。
これで流れが反転したか、甲府は33分に大宮の攻めを切るも、最後方からの作り直しに対するゲーゲンプレスであわやという場面が。
バックパスを受けたGK河田が泉に詰められ、奪ったボールが直接河田に当たってゴールラインを割りCKに。
この時間帯で、反撃の基盤となる最終ラインが乱れる事は避けたい甲府ですが、その意識も虚しく以降攻勢を作り上げる事は出来ず。

大宮は再度泉の跳梁の時が訪れ、36分にシルバとのスイッチで抜け出した泉から、左サイドからパスワークでポケットを突く攻め。
小島のグラウンダーのクロスは跳ね返されるも、すかさず拾った泉がカットインを仕掛けエリア内中央からシュート。
井上がブロックした跳ね返りを杉本が追撃(ゴール右へ外れる)と、前半同様のリズムが甦ります。

最後の泉の見せ場は41分、甲府のCKからのカウンターで、左サイドを前進するなか縦パス→藤井からのスイッチで受け直しさらに推進。
そして横パスで中央へ送るも、中山昴のドリブルが大きくなってシュートでは終われず。
直後にお役御免となった泉(関口と交代)、同時に茂木・藤井→浦上・富山と計3枚替え。
浦上が最終ラインに入る(左センターバック)事で下口が泉の居た左WBに回るという具合に、逃げきりの色を強めに掛かった長澤徹監督。
システム的に最も上下動をしなければならない(ように見える)泉ですが、ここまでの働きはJ2の場でも盤石という感じに映りました。

何とか1点が欲しい甲府、それ以前の39分に最後のカードを使う(鳥海→内藤)も、然したる効果は生まれず時計の針は進んでいき。
最終盤の45分、敵陣でのポゼッションを経て右から土屋がアーリークロス、ファーの内藤の前でクリアされるも左CKに。
ショートコーナーの選択ののちクロスがファーに上がり、土屋が折り返したボールが三平に当たり乱戦が生まれます。
三平のキープをGK笠原が掻き出し、尚も土屋のクロスのこぼれから中央で小出にチャンスが訪れましたが、放たれたシュートはミートしきれずクリアされ。
その後も土屋のアーリークロスが目立ったその甲府の攻めは、ようやく本来の「土屋がSB化」の形が取れたと見るべきか、ないしは尻に火が付くという状況で表すべきか。

突入したAT、大宮は最後のカードを使いシルバ→石川へと交代。
甲府は当然諦める事無く、大宮の左スローインを前に出てカットした土屋が反則を受け、ここに来て奮闘する土屋によりFKという最後のチャンス。
キッカー荒木のクロスが中央に上がると、内藤がフリック気味に合わせたその奥で、足から跳び込んでそのボールに合わせる三平。
しかしシュートは無情にも大きく上に外れ、最後まで決める事が出来ず終わりました。

結局、序盤の得点を守りきるというスコア上の形で勝利に辿り着いた大宮。
ホーム2連戦、また同時にレッドブルスタッフの御前試合という話題性でも、連勝というこの上無い滑り出しで締められました。
正直出来過ぎの感もありますが、このV字型回復の行方は、果たして1年での昇格という高みにまで繋がるかどうか。

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