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ぶらりドリブルの旅

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DAZN観戦 2023年J3リーグ第27節 FC琉球vs愛媛FC

2023-09-22 18:27:11 | サッカー視聴記(2023年その他)

<両軍スタメン>

順位が全く上がらない中で、とうとう今季2度目の監督交代に踏みきった琉球。
監督の回し合い的な人事が続いた結果が、前監督・喜名哲裕氏の2年連続の辞任という、事情を知らない外野からして見れば訳の分からない事態を招いてしまった感があります。

それでも地方ならびに僻地のクラブ故に、監督選択の幅は非常に狭く。
そんな状況で、元監督の金鍾成(キンジョンソン)氏が鳥取の監督を解任されてフリーになっていたのは、そこに飛び付けというサッカーの神様のメッセージとなったでしょうか。
喜名氏辞任の報と同時に金氏就任の報が発表される運びとなり、あるいは金氏の出戻りが第一で喜名氏をスケープゴートにしたとも取れる人事。
しかしこの試合には間に合わず、指揮はコーチである白井裕之氏が執る事となりました。

暫定的な指揮のため、出来る事は限られている白井裕氏。(琉球OBである白井博幸氏とは別人、念のため)
おまけに相手は首位の愛媛であり、苦戦は必至というこの日の試合。
怪鳥サダム・スレイを今季初めてスタメンに起用し、ターゲットマンとする事が第一の打開策。

当然サダムはFW起用と思われました、蓋を開けると彼は右サイドに位置し、守備時は右サイドハーフとして構え。
中央が固い愛媛ディフェンスを避けるように、ワイドに開いてターゲットとする奇策を採りました。
FWは白井陽の1トップで、トップ下ないしはセカンドトップに富所。

そしてサッカー的にも、立ち上がりはこれまでのポゼッションスタイルをかなぐり捨て、サダム狙いor白井陽の裏抜け狙いのロングボールを送り続けます。
前半3分にはそのターゲットとなったサダムが、山口のチャージを受けて反則となり、右サイド遠目からのフリーキック。
キッカー富所のファーへのクロスを牟田が合わせる(腕に当たりハンドの反則)という具合に、アバウトな攻撃+セットプレーでの一発というスタイル。

しかし変則的な起用は守備面で脆さを示し。
5分愛媛の左サイドからのパスワークでの攻めを、守備に入ったサダムが山口をアフターで倒してしまい反則。
そしてそこからのFKで、キッカー石浦のクロスを中央で小川が合わせ、ヘディングシュートをネットに突き刺します。
琉球サイドがやりたかった、セットプレーで一発という攻撃で早くも先制点を挙げた愛媛。

恐らくはロースコアでの接戦に持ち込みたかっただけに、予想外の失点となってしまった琉球。
浮足立つのは当然で、以降愛媛のペースとなる試合絵図。
右SHがサダムという事で、彼の守備力の低さを突くor高目を取らせないべく、山口を押し上げて左サイドアタックを仕掛けて主導権を握る立ち回り。
急増的な2トップ(守備時)もボランチを切るべくのポジショニングが甘く、労せずして深澤・谷本のドイスボランチを軸としたゲームメイクが行える状況となります。

かくしてこれまでの両クラブの戦いとは一転し、愛媛がボール支配を高めていく展開となり。
しかも上記の問題を抱える琉球守備陣により、難なく敵陣にボールを運んで、(GK以外)全員敵陣に進入してパスを繋ぐ攻撃に持ち込み。
琉球は富所までもが最終ライン近くにまで戻る、文字通り必死といったディフェンスを強いられます。
細かいパスワークで、ポケットを突く攻撃を連発していく愛媛ですが、そんな琉球の必死な守備の前に決定的なフィニッシュは放てず。

琉球はマイボールになっても、依然としてサダム・白井陽へのロングボール頼みという攻撃。
しっかり守ってカウンターを仕掛ける訳でも無く、本当にそれしかないという感じであり。

迎えた27分の愛媛の攻撃、ここも左サイドからアタッキングサードに進入すると、茂木のボールキープの間に山口に付いていったサダムがあろう事か転倒してしまい。
それを尻目に尚もパスを繋ぐ愛媛、クロスの跳ね返りを茂木が落とし、拾った松田がシュートにいくもミートせず右へと逸れ。
しかし木村が拾って継続するとなおも細かく繋ぎ、中央からの崩しを選択して深澤縦パス→松田ポストプレイ→深澤スルーパスという流れで、エリア内へ木村が走り込んでシュートするもオフサイドで無効となり。

醜態を晒してしまった事で、ここでたまらず白井陽と位置を入れ替え、本来のFWとなったサダム。
何とか右サイドを補填し、反撃の機運も高まったでしょうか。
34分には愛媛の繋ぎのミスを右サイドでサダムがカットし、そのまま前進から中央へ横パス。
富所を狙ったこのパスはズレたものの、後方から中野が走り込んでミドルシュート(GK辻キャッチ)と初めて有効打を放ち。
少ない好機をモノにせんとする体勢を築きます。

流れが上向いてくると、自然と本来の姿であるボールポゼッションによる攻撃シーンも増えていく琉球。
そんな中で迎えた41分、高目に位置取った右の高安へと(岡澤から)ミドルパスが送られ、カットした山口が繋ぐ姿勢を見せた隙を突き素早く奪い返す高安。
そして中央へのパスを受けた中野が、先程と同様にミドルシュートを放つと、今度はゴールネットに突き刺さります。
暗雲を振り払うべくの同点弾を挙げた琉球。

その直後に愛媛は谷本がミドルシュートを放つも枠外となり、フィニッシュはこの1本のみ。
リズムを失った愛媛はパスミスが目立つようになりましたが、琉球もそれをモノにするような正確さ・緻密さはこの日は無く。
結局前半は1-1で終える事となりました。

ハーフタイムで、琉球はサダムを諦めて柳を投入。
これにより再び白井陽がFWにシフトし、柳が右SHに入ります。
これまで途中出場オンリーだったサダム、まだコンディションは万全では無さそうであり。(16節まで出場無し)

そして始まった後半。
愛媛は最初の攻撃(後半2分)で、これまでの左サイドアタックでは無く、右SBの木村を前方に上げた右肩上がりの布陣を取り。
そしてその木村にロングパスを送る攻撃でクロスに繋げるという変節を見せます。(谷本が合わせにいくもディフェンスに遭いコーナーキックに)
代わって入った柳もターゲットになれる高さがあるとはいえ、やはり前半の攻めは露骨なサダム対策という節があったでしょうか。

そんな微調整が嵌ったと見るや、全体前掛かりになる愛媛サイド。
それをまともに受ける事となった琉球、5分に最悪の事態を招きます。
愛媛の攻撃を切ったのちプレッシングを受けて(武沢が)GKにバックパスを出すと、受けたGK田口は(愛媛サイドから見て)左からプレッシャーに来た深澤を避けるように、右へ向いてのフィード。
しかし早めに左から目線を切ったのが災いし、深澤がスピードを上げて最後はスライディングでそのキックをブロックすると、ボールはゴール内へ吸い込まれてしまいます。
客観的には思わぬ形でのゴールでしょうが、やはりGKの足下の技術は時には致命的な失点に繋がる事を実感させる絵図となりました。(右に位置するフィールダーのカバーが欲しかった所)

再度リードされた動揺を隠すかのように、直後ポゼッションを高めて攻め上がる琉球。
7分にパスを長短併せて10本繋いで右ポケットを突きにいくも、スルーパスに走り込んだ武沢の前でクリアされて実らず。

サダムが退いた以上、パスサッカーに舵を切る他無いという感じでしたが、そこを愛媛に突かれます。
続く8分、柳が谷本の反則気味のアタックで奪われると、戻しを経て再び谷本がボールを受けてドリブルに入り。
必死に戻って防がんとする柳を尻目に石浦に繋ぎ、彼のスルーパスを受けた曽根田がエリア内を突いてシュート。
ゴールに突き刺し、立て続けの連続得点で2点リードを奪った愛媛。

後半開始早々、非常に痛い2失点となった琉球。
12分に右サイドで前進する姿勢から、富所が中央裏へミドルパスを送って白井陽を走らせ。
クリアされたセカンドボールを中野が拾い、ドリブルから白井陽へラストパスを送ると、エリア内を突いた白井陽が木村をかわしてシュート。
これがゴールバーを直撃と、決定機を逃す形でこれまた痛手を負ってしまいます。
たまらず12分に、もう一人の助っ人であるケルヴィンを投入。(武沢と交代、富所がボランチにシフト)

リードを奪った後も、依然として木村を高目に置いた右肩上がりの布陣での攻撃を貫く愛媛。
パスサッカーをせざるを得ない琉球故に、そのキーマンである福村(今季出場時間チームトップ)をピン止めするような策だったでしょうか。

その所為か、右サイドから仕掛けるしかない状況の琉球。
20分にはその琉球の右サイドアタックで、ケルヴィンのポストプレイがズレたのを拾って愛媛がカウンターを仕掛け。
石浦のスルーパスは松田が収められずスピードダウンするも、尚も繋いだ末に深澤のミドルシュートに繋げます。(枠外)

反撃したい琉球、21分にケルヴィンが右から仕掛けてのカットインシュート(ブロック)でCKに持ち込み。
このタイミングで清武を投入し、岡澤と代えた事で中野がボランチに回り。
オールマイティな清武を左SHに入れ、福村へのピン止めを取り除かんとする策だったでしょうか。

27分にカウンターで決定機に持ち込む愛媛。
佐々木の推進を富所が反則気味に止めても尚も繋ぎ、スルーパスを経て最後は深堀がエリア内でGKと一対一を迎えます。
しかし果敢に前に出たGK田口によりシュートはブロックされ、さらに点差を広げる事は出来ず。

更に反撃の機運を高めんと、31分に白井→阿部へと交代した琉球。
牟田から対角線のロングパスを受けた清武から左サイドを攻め、阿部が奥へ進入した所を防がれるもCKに持ち込んだのが34分。
キッカー清武のクロスは跳ね返されるも、拾って左サイドでの繋ぎを経て今度はケルヴィンが手前からクロス。
これもクリアされますが、小さくなった所を中野が落下点にボレーで合わせると、ループ気味となったシュートに愛媛サイドも意表を突かれて反応できず。
左サイドネットへと突き刺さり、終盤を迎えるに辺り1点差へと迫ります。

ホームの雰囲気の中、さらに攻撃を激化させる琉球。
左サイドで清武という万能選手が跳梁する以上、愛媛にとってはある程度跳梁を許しつつ中央を固めるしか無く。
それを突くように39分には清武を使わずに右サイドから攻め上がり、サイドを移すパスワークを経て左で福村が持ってクロス攻勢に入り。
そして3本目の富所の右手前からのクロスに、阿部がフリックで合わせてゴールを狙ったもののGK辻がキャッチして防ぎます。

すっかり劣勢となった愛媛、40分に茂木と曽根田に代えてベン・ダンカンと佐藤を投入。
2トップ気味にして、ダンカンをターゲットとして落ち着きを齎さんとしたでしょうか。
それでも42分、琉球は再び右サイドでの繋ぎから、一気のサイドチェンジでフリーの福村に渡して好機。
戻しを経て再び富所が左へミドルパス、福村がダイレクトでエリア内へ送った所に清武が走り込み、グラウンダーでクロス。
これをニアでトラップしたケルヴィン、その流れでボレーシュートに持ち込むものの、クリアに入った森下の頭部を蹴る形となってしまい反則・警告を受けて終わってしまいました。

ポゼッションを高める事で琉球の攻撃を減らす立ち回りに入った愛媛。
しかし44分に佐々木のハンドで琉球にFKを献上し、直後に森脇を投入。(谷本と交代)
ベテランで試合をクローズするという采配でしたが、これにより琉球の攻撃のままアディショナルタイムを迎える事にもなり。

このFKは中盤からという位置で放り込みでしたが、跳ね返された後の二次攻撃を巧く繋ぎ、中野が右ポケットへ切り込み。
そしてクロスがクリアされると、今度は左からの清武のロングスロー攻勢と、ありとあらゆる手段を使う琉球。
そして左サイド奥で持ったケルヴィンが、カットインシュートをエリア内から放ったものの、ジャストミート出来ずブロックに防がれ。

既にサダムは居ないものの、ロングボールからの制空権も制して文字通り攻撃権の支配に成功する琉球。
押し込み続け、最後はFK→CKとセットプレーで攻め立てたものの、後一歩及ばず。
GK田口も前線に上がって迎えた最後のCK、清武の中央へのクロスは惜しくも合わず、流れた所で試合終了の笛が鳴り響きました。

首位固めを果たした愛媛を尻目に、下位で独自の戦いに入る今後の琉球。
次節から指揮を執る事となる金氏、クラブをJ2に導いた功労者による「夢をもう一度」という手法なのは明白であり。
その成果が出るのは翌年以降ですが、そのために今季の残りを降格せずに凌ぐ事がまず重要となるでしょう。

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DAZN観戦 2023年J3リーグ第26節 カマタマーレ讃岐vsカターレ富山

2023-09-15 18:21:11 | サッカー視聴記(2023年その他)

<両軍スタメン>

  • 讃岐のホームだが、↓とは逆のコートで前半スタート。
  • 讃岐・川西は富山からのレンタル選手なため出場不可。

首位・愛媛が独走に近い状態となって来た事で、俄然注目となりつつあるもう一つの昇格枠。
しかしその要因は、長らくその座を守ってきた富山の息切れにあり。
ここに来て3連敗、後半戦はまだ1勝のみ(1分4敗)と、既に監督交代を敢行した鹿児島に通ずるものがある失速ぶり。

そしてこの日のスタメンを見ても、20試合以上出場している主力選手が軒並みスタメン落ちとなり。
大畑・今瀬・坪川・安光・吉平そしてアルトゥール・シルバといった名前は見られず、何とか凋落を止めようと必死な采配が伺えるものとなりました。

しかしいざ試合が始まると、富山の攻撃はとにかくロングボール頼みという印象が拭えないものであり。
後方から高橋駿狙いのロングフィードを繰り返し、紛れが起きれば……といった消極的な姿勢に映りかねないスタイル。
その紛れは前半7分に発生し、下堂の裏狙いのロングパスに高橋駿が走り込み、GK今村が抑えるも味方の奈良坂と交錯してこぼれるボール。
それでもここでは詰める人物がおらずに先制ならず。

一方の讃岐も立ち上がりはロングボール中心で、中盤からのフリーキックでも放り込みを選択。
お互いにボールを蹴り合うという一重に様子見の展開が描かれるも、そんな時間もいつか終止符を打たなければならない。
そしてそれを果たした讃岐が、主導権を握る事となりました。

最終ラインから繋ぐ体勢を取り始める讃岐。
右サイドバックの川﨑が前に出る、典型的な「右肩上がり」の布陣ですが、そこから左サイドで繋いだのちのサイドチェンジが良く通り。
富山は2トップこそプレッシングを掛けるも、讃岐の布陣をまともに受ける格好となったのか、川﨑の居る左サイドがピン止めされて引き気味となった結果こちらも右肩上がりの歪な守備陣形となってしまいます。
背番号10の選手(川﨑)がSBを務める意味合いを感じさせるようなサッカーとなり。

その下がった富山左サイドを見て宗近がドリブルを仕掛ける(21分、その後の川﨑へのパスがズレる)等、やりたい放題のようになってきた讃岐の攻撃。
当然ながら富山は自発的な攻撃を仕掛ける余裕は無くなり、20分頃から松岡と椎名のポジションを入れ替える試行錯誤も見られ。

23分に左→右への対角線のロングパスから、受けた川﨑がカットインを経てミドルシュート(GK田川キャッチ)と、前述のパターンをなぞり好機を生み出す讃岐。
飲水タイム(25分)後も最初に好機を掴み、今度は下川がミドルシュートを放ちますがエリア内での林堂のブロックに阻まれ。

富山はこのままではいけないと思ったのか、ブレイク明けは地上から繋ぐスタイルを見せ始め。
しかしスタメン入れ替えによる弊害か、思うようにパスが繋がらずという連携面の不安が露呈する事となります。
最終ラインからの縦パスが悉くカットされるなど、ビルドアップは完全に機能不全のまま前半を過ごす羽目に。
そんな状態では大した好機も生まれず、35分にコーナーキックからの二次攻撃で、林堂がミドルシュートを放った(ゴール右へ外れる)のがこの日初のフィニッシュとなり。

讃岐サイドも赤星をターゲットにしたロングボールは少なくなかったものの、36分にその場面で林堂が赤星にチャージしてしまい反則となり、警告を受け。
エアバトルでも不利な条件を強いられる富山。
39分には右へ開いた赤星へとロングボールが送られ、フリックから繋ぐ讃岐。
細かいパスワークを経て下川が右からカットインシュート(GK田川キャッチ)と、右サイドアタックを援ける手段として十分機能するに至りました。

結局スコアレスのまま前半は終了。
讃岐は遠目からのFKによる放り込みをはじめロングボール攻勢も多く、決して緻密な攻めとは言えなかったものの、それがかえって富山からリズムを奪う効果も齎していた感があり。
上位争いのプレッシャーも手伝ってか、攻撃が機能しなかった富山。
アディショナルタイムには自陣でのFKを素早くリスタート、林堂が裏へロングパスを放り込むなどそれ故の焦りも見られ、建て直しは必須といえました。

そしてハーフタイムに動き、FWに大野を投入。(椎名と交代)
選んだ策はターゲット役をより強力なものにする、といった所でしょうか。

その大野へのロングボールを配給するも、実質的には前半と変わらない富山の攻撃。
それを良く防いで矢印を反転させる讃岐、後半2分に川﨑が赤星を走らせるロングパスを送ると、エリアからすぐ手前で受けた赤星が前を向く好機に。
たまらず林堂が倒してしまい反則、際どい所でPKにはならなかったものの、近距離での直接FKという絶好機を得ます。
位置は右ハーフレーン外側で、入念に壁を作る富山に対し、何処に蹴るのかの選択を迫られるキッカー江口。
そして放たれたキックは壁の右を抜けるもので、これがゴールポスト内側を叩いてゴールイン。
しっかり作られたはずの防壁の側面を破るという、ベテランらしい頭脳と精度を見せた江口のFKで先制を果たしました。

一方、リードを奪われた事で浮足立つ富山。
直後の5分には最終ラインの連係ミスを赤星に拾われ、下川へのパスを何とか遮断するもCKに。
尚もキッカー江口の仕事が続く展開で、クロスがクリアされたのち自ら拾って再度クロスを入れる江口。
赤星の折り返しを経て川﨑がボレーシュートを放ち、ブロックで防いだ富山ですがさらにCKとなり。
押し込まれ続けると、9分には讃岐の右スローインからの攻めを遮断するも、そのままゲーゲンプレスを掛けられてゴールラインに出してしまいまたもCK。
そこでの二次攻撃から、川﨑が左からのカットインシュートを放つ(GK田川セーブ)など、追加点を奪われかねない状況に持ち込まれ。
一向に自陣から抜け出せないまま時間は進んでいきます。

何とかその流れを断ち切った富山。
その後は讃岐サイドも赤星狙いのロングボールの比率を高めた結果、蹴り合いのなかセカンドボールを拾う事で攻撃機会を確保します。
夏の移籍で獲得した左SB・野口の上がりを軸に、左サイドからのクロス攻撃に活路を見出し。

しかし重苦しい状況を変えるまでには至らず。
逆に讃岐のターンになった際、そのパスワークに翻弄されてしまい反撃意識も削がれる事に。
18分に右サイドで繰り広げられた讃岐のパスワーク(最後は岩本がパスを収められず終了)はじめ、一度ポゼッションに入られると辛くなり。
讃岐のビルトアップに対し2トップがプレッシングを掛けるも、その後方の選手はプレスにいかず繋がれるなど、散々攻められたが故の消極的姿勢も露わになり。
何とも上位らしくない、勝利への執念に欠けるような絵図が目立ちました。
結局後半開始からシュートを全く放てない富山、そのまま22分に飲水タイムが挟まれて第4クォーターへ。

ブレイクが明け、流石に尻に火が付く、逆に付かなければ拙いといった富山。
26分に左サイドを野口が抉ってクロスを入れ、クリアボールを脇本が拾ってシュート。
ブロックされたこぼれ球をさらに伊藤が詰めにいくもクリアされてCKと、やっとフィニッシュに辿り着きます。
このCKをモノに出来なかった所でベンチが動き(28分)、マテウス・レイリアを投入(高橋駿と交代、同時に伊藤→安光へと交代)と、順次攻撃の切り札を切っていき。

それでも引いて守るようになった讃岐に対し、最終ラインからの繋ぎを敢行しなければ打開できない状況を強いられ。
29分には脇本のロングパスがエリア内左の大野に通るという好機が生まれ、カットインを選択した大野でしたが奪われて撃てず。
こうしたポケットを突けた際の攻撃は逃したくない所であり、30分にはレイリアのボールキープから左へ展開、野口のクロスの跳ね返りを拾った松岡が右ポケットを突き。
そのまま奥へ切り込みましたが、入れられたクロスは精度を欠いて実りません。

そんな富山に対してしっかりと守る讃岐。(31分に下川→森へと交代)
前掛かりな相手に対するプレッシャーは29分で、富山の右からのクロスをクリアすると、そのボールが直接赤星に収まり。
するとすかさず自陣からロングシュートを狙います。(枠外)
所謂カウンターへの傾倒ながら、富山の精度の低さもあり試合運びは盤石に見え。
36分に両チームともベンチが動き、讃岐は後藤→岩岸へと交代。
一方の富山は脇本・末木→碓井鉄平・佐々木へと2枚替え。

パスの精度が高まらない中、どうしてもアバウトな繋ぎに頼らざるを得ない富山。
37分、逆に讃岐が敵陣で浮き球を繋いでいき、それを収めにいった吉田に対し鍋田が反則を犯してしまい。
これで讃岐のFKとなり、クロスをクリアするもさらにCKへ移行と、讃岐がセットプレーで時間を費やす立ち回りは後半も健在かつ有効となりました。
40分の富山、GK田川ロングフィード→大野フリックから敵陣でサッカーを展開し、野口が安光とのワンツーで左ポケットへと切り込み。
ディフェンスに遭いこぼれた所をレイリアがシュートしますが、ブロックに遭うと讃岐がカウンターに持ち込みます。
吉田がドリブルする所を、自己責任とばかりに必死に戻ってディフェンスに入ったレイリアでしたが、引っ掛けて倒してしまい反則・警告。
これでまた讃岐がFKから放り込みと、何とか押し込む状況を作っても、簡単にリセットされてしまう堂々巡り。

そしてとうとうアディショナルタイムに突入。
一向に攻勢に入れない富山を尻目に、ボールを確保した讃岐は森が右奥へ持ち込んでキープに入るなど、勝利へ向けた立ち回りを開始します。
富山は一度右サイド奥まで進入してクロスを上げ、ニアでのレイリアのフリックが流れた所、野口が折り返すもシュートには繋がらず。
これが最もゴールに近い所となったでしょうか。
逆にロングパスを受けた赤星がキープする所を下堂が反則を犯し、またもセットプレーで時間を与えてしまうという具合に流れは変えられず。

そして試合終了の笛が鳴り響き、讃岐がウノゼロで勝利。
これで4連敗となり順位も4位に後退してしまった富山、内容的にも本当に上位かと思うぐらい厳しいものがあり。
特に積極性の欠如は深刻で、何とか取り戻し好転させる事が出来るかどうか。

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DAZN観戦 2023年J3リーグ第26節 愛媛FCvsアスルクラロ沼津

2023-09-13 16:45:12 | サッカー視聴記(2023年その他)

<両軍スタメン>

  • 愛媛のホームだが、↓とは逆のコートで前半スタート。

「負けないサッカー」で首位を走っている愛媛。
目下12戦無敗ながらも、そのうち引き分けが5という数字(7勝)もさる事ながら、前回(17節・富山戦、4-3)触れた「勝利は全試合1点差」を未だに継続しているのも凄まじい成績であり。
他チームから頭一つ抜きんでた成績ながら、圧倒的な実力を持って勝ち抜いている訳では無いというこの二面性。
3点取ってもキッチリ2点取られる(しかも2試合)その調整力?は喜劇的でもありますが、緊迫の昇格争いのなか、たまには一息つきたい所。

この日は可変フォーメーションに特徴ある沼津との一戦で、未だJ2ライセンスが無いながらも上位に君臨しているという、愛媛とは別の意味で二面性を持った相手。
開始早々の前半1分に、スローインからの攻撃で佐藤尚がシュート(ゴール右へ外れる)と先制攻撃を放った沼津。
難しい試合になりそうな予感がしたものの、以降はプレッシングを整理し、沼津に思うようなパスワークをさせずに試合を進めます。
キッチリとマンツーマン気味につき、可変する左サイドバックの柳に対しても曽根田が請け負い、上がったら木村に受け渡すという具合にチェックを怠らず。
沼津は止むを得ず、GK武者からのロングフィードで組み立て。
ターゲットとなり得るブラウンノアを狙ってのフィードから、巧く繋いで好機に持ち込む事でペースを掴まんとします。

そんな思考がぶつかり合った結果、立ち上がりから激しいデュエルで選手が倒れ込むシーンが続出となり。
アクチュアリータイムが途切れがちな展開に、沼津も主導権を掴めないまま混迷する事となった感がありました。

12分に沼津のロングボールを跳ね返して反撃に転じる愛媛、拾った谷本のスルーパスを受けた茂木が左ポケットへ切り込んでシュート。(藤嵜がブロック)
14分には縦パスを深澤がカットして反撃(石浦のボールキープが菅井に倒されて反則)と、地上と空中の両方で沼津の攻撃を遮断した事で、文字通りペースを奪う事に成功したでしょうか。

そして17分、ここも山口が敵陣でのパスカットから、左奥を取ってから戻したのちハーフレーンから深澤がポケットを突くスルーパス。
この中央を窺う姿勢を見せながらのパスで裏を掻き、走り込んだ茂木のグラウンダーのクロスに松田が合わせシュート。
鮮やかなボールの動かしで決めきり、先制点を奪いました。

スコアが動いたのちも、デュエル勝負の節は衰えず。
20分に松田が浮き球を収めてキープする所、菅井に倒されてボールロストするも笛は鳴らず。
逆に23分には森下が鈴木をなぎ倒しながらボールを奪い(反則無し)そこから好機に持ち込む(その後右奥から木村がクロスもシュートには繋がらず)という具合に、愛媛にとってその展開は功罪どちらも齎し。
それを象徴するかのように、鈴木が倒れ込んだまま飲水タイムに入る事となり。

再開後も、浮き球を収めにいった松田が菅井のチャージを受けると、今度は反則となり菅井に警告が付き出されます。
第1クォーターで度々反則を犯していた菅井、ツケが回ってきた格好に。

沼津は中々リズムを掴めず、特に柳が上がる事が出来ずに最終ラインに残る羽目に。
その姿は「偽SB」システムを使うチームの、マンツーマンディフェンスに対する弱点が露わになったようであり。
愛媛の攻撃でも、木村のドリブルで右サイド(愛媛から見て左サイド)を抉られる事が目立ち押し込まれる格好に。
ここでも打開を図れない沼津、逆の右サイドでは安在がハーフレーンの最前線まで上がるものの、そこにボールが渡る事は稀で好循環を齎せません。

ストロングポイントを押さえられる格好となった沼津。
パスミスも目立つようになり、それに伴い愛媛のフィニッシュ数が膨らむという悪循環に突入します。
30分にパスミスを曽根田がダイレクトで繋ぎ、石浦が中央を前進ののちミドルシュート。(GK武者キャッチ)

愛媛は反則を受けた際には、中盤近くの位置からでも放り込みを選択という割り切った姿勢。
終盤は戦況不利の沼津の反則が再び膨らむ展開となり、44分にはそこから放り込みを続けた末に松田が収めてからの(エリア手前から)反転シュート。(枠外)
アディショナルタイムにも遠目のフリーキックから、茂木ロビング→松田左から折り返し→谷本足で合わせるという具合にフィニッシュに持ち込み。

かくして1-0のまま前半が終了。
ともに交代は無く、攻撃の機能不全ぶりをどう沼津が立て直すかという観所となった後半戦。

早々の後半1分、GK武者から地上で繋ぐ攻めで、斜めの縦パスにサイドチェンジと手段を多く見せて前進する沼津。
そして右から佐藤尚の縦パスがエリア内中央へ送られるも、持井のフリックは鈴木へ繋がらず実りません。

結局ペースを掴む事はままならず。
柳が残っての3枚の最終ラインによるビルドアップが目立つなど、超攻撃的SBの片鱗は見られなくなる沼津。
そして愛媛の攻撃を受けるという具合に、思うように仕掛けられず押し込まれていきます。

それでも8分に、柳のボールキープが松田に倒されて反則・警告。
するとすかさずその松田が交代となり、深堀を同ポジションで投入した愛媛・石丸清隆監督。(当然ながら、事前に準備していたので警告が出たからという訳では無い)

何としても濱に良い形で受けさせたいという思いからか、11分にGK武者が左へとフィードを送り、収めた鈴木が逆向きでのボールキープののち追い越す濱に対してのヒールパス。
しかし濱の前進が若干遅れた事で深澤にカットされると、一気に愛媛にカウンターに持ち込まれて、石浦の右ポケットへのスルーパスから深澤がグラウンダーでクロス。
綺麗にGKとディフェンスの間に送られると、入ったばかりの深堀が脚から跳び込んで合わせ、ゴールへとねじ入れます。
沼津にとっては強引な繋ぎが完全に裏目に出た格好の、追加点が生まれました。

13分には攻撃が途切れた沼津、すかさずゲーゲンプレスを掛けて愛媛の前進を阻み。
しかし奪いきれずにこぼれ球を繋がれるシーンの連続となり、結局前線まで運ばれる(茂木のスルーパスをカットして何とか防ぐ)など、球際のクオリティの差が露わになる結果となります。
個人技のレベルに欠けるJ3リーグ、頼みの組織力が抑えられた沼津はその部分の力の差を痛感する、という印象を受け。

それをカバーせんとしたか、先日入団が決まった元日本代表・川又(前節に初出場)の投入に踏みきったのが15分。
持井と交代し、同時に佐藤尚・鈴木→森・津久井へと代える、一挙3枚替えという手段を採った中山雅史監督。
それにより川又・ブラウンノアの2トップ(4-4-2)へと微妙に変更となったでしょうか。(元から守備では4-4-2を採るチーム)

以降敵陣では川又の経験を軸とした攻め、即ち彼のポストワークを利用して何とか崩さんとします。
22分には菅井縦パス→川又ポストプレイで高目を取る安在にボールを渡す(その後左へ展開も津久井のカットインが奪われる)など、従来の戦法と組み合わせる事で何とか打開を図り。

しかし崩せないまま、前掛かりとなった隙を突かれます。
23分谷本のボール奪取で矢印を反転させる愛媛、木村のドリブルで前進ののち横パスの連続でエリア内中央を突き。
そしてフリーとなっていた茂木がダイレクトでシュートを突き刺し、ダメ押しといえる3点目を挙げました。
それと同時に飲水タイムに突入。

再開され、ここからとにかく攻めなければいけなくなった沼津。
27分、長いパスの連続を経て中央の川又に渡ると、そのままエリア内へ切り込んで左へ横パスを送り。
そしてフリーのブラウンノアがシュートを放ち、GK武者にセーブされるも再度シュートを放つブラウンノア。
しかしこれもGK武者がキャッチと、折角の連撃もモノに出来ず。

この縦パス攻勢をはじめ、シンプルに前進を図る攻めを目立たせた沼津。
その手段はサイドに開いたターゲットへのロングボールや、森のドリブル突破などで奥を突きにかかり。
押し込む姿勢がようやく出来上がり、32分にこの日初となるコーナーキック。(右サイド)
ここからファーに流れたボールを収めた森が斜め45度からシュートし、ブロックを掠めて右へと外れ再度右CK。
今度はクロスの跳ね返りを繋ぎ、藤嵜がダイレクトでミドルシュートを放つも谷本の顔面ブロックに阻まれ。(その後森もミドルシュートするもブロックされる)

フィニッシュ連発という流れを得ても、愛媛の守りを崩せず。
それにより生まれる焦りが、37分に元から存在していたデュエル勝負とも絡み合い、右サイド奥で激しく森が山口と激しくやり合い。
それにより森が反則を取られるも、尚も両者手を出し合い一触即発の状況となってしまいます。
反撃のためにも、こういった絵図に引き摺られるのは避けたい沼津。

39分に今度は愛媛が3枚替えを敢行。
曽根田・石浦・茂木→吉永・佐々木・佐藤諒と、2列目を一気に入れ替えます。

そして迎えた終盤戦。
愛媛が守備意識を高めたのもあり、ここに来てようやく柳が本来の働きを取り戻し。
最終ラインから前に出て流動的に動き回るようになり、それに伴い沼津全体もボールポゼッションを高めての攻撃に移行します。
しかし3点差という状況では、それは「ボールを握らされている状態」にも感じてしまい。

それでも45分GK武者からの繋ぎで、左を濱が上がり、安在はボランチの位置を取るという本来の形が生まれ。
安在が左へ流れながらボールを運び、濱へとスルーパスを送るもディフェンスに阻まれ左スローインに。
しかしここから、左に残っていた安在がエリア内中央へ縦パスを打ち込むと、川又がワントラップから前への落としでチャンスメイク。
前に居たブラウンノアが入れ替わってシュートを放ち、ゴールに突き刺します。
SBと川又との連携により、1点を返した沼津。

これで再び1点差に持ち込まれるのでは……という危惧となった愛媛。
ATに最後の交代枠を使い谷本→矢田と、ボランチに運動量を担保します。
なお沼津サイドは、3枚替え以外カードを切らずに試合を進め。
駒不足を痛感させる我慢の采配で、この部分でも首位との差を感じてしまい。

時間を進める愛媛に対し、既にロングボールを送り続けるしかない状況に追い込まれる沼津。
それでもブラウンノアがエリア内左からシュート、ブロックを掠めた事でCKをゲット。
ここから3本CKを続け、最後まで得点を狙ったものの、モノに出来ずに試合終了の時を迎えました。

これで今季初の2点差での勝利となった愛媛。
安堵という程では無いものの、良い首位固めとなったでしょうか。

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DAZN観戦 2023年J3リーグ第25節 鹿児島ユナイテッドFCvsFC岐阜

2023-09-09 18:12:45 | サッカー視聴記(2023年その他)

<両軍スタメン>

J3も日程が進むにつれて、顕著になって来たのが監督交代。
その全てを挙げると……

  • 琉球=倉貫一毅氏→喜名哲裕氏(5/15に解任、暫定監督を経て6/14に就任)
  • 鳥取=金鍾成氏→増本浩平氏(6/18に解任、未だ暫定監督)
  • 福島=服部年宏氏→依田光正氏(7/12に退任、暫定監督を経て7/18に就任)
  • 今治=高木理己氏→工藤直人氏(8/8に退任、暫定監督を経て8/16に就任)
  • 鹿児島=大嶽直人氏→大島康明氏(8/22に退任、同日に就任)
  • 長野=シュタルフ悠紀氏→高木理己氏(8/28に解任、8/29に就任)
  • YS横浜=星川敬氏→倉貫一毅氏(8/28に解任、8/30に就任)

8月に入ってからが過半数と、その代わりぶりが凄まじく。
YS横浜を除いては、昇格を目指している・目指していたクラブ(恐らく)であり、それに黄信号・赤信号が灯ればすかさず交代を図るという手法でしょうか。
「監督交代ブースト」という俗称があるぐらい、交代後の即効性は定番のものとなっており。
なお今節終了後に北九州も田坂和昭氏→小林伸二氏へと交代

それ故に長期的視野に欠けるきらいはありますが、今季からついに導入された降格制度故に、低迷期が長く続けば最悪の事態にも繋がりかねない。
またオフには個人昇格をはじめ大量に選手が入れ替わるため、腰を据えてじっくりチーム作りを……という事もやり辛い。
そのため視野が狭くなるのは仕方の無い事である、と言えなくも無く。

さて、前半戦は首位を争っていた鹿児島もその波に呑まれ。
後半戦に入ってから僅か1勝(1分3敗)という体たらくで、23節終了をもって監督交代に踏みきりました。

前回との差異は、五領・米澤と2019年のJ2時代を知る選手がサイドハーフに起用されている事が目を惹くものの、監督交代により序列が変わった……という訳では無いようで。
出場記録を見るに、離脱者が膨らんで来て成績も落ち込む中での微調整の結果らしく、後任の大島監督も前監督の路線を継続。
偽SB戦術も引き続き採用と、既にシーズンも後半故に新たなサッカーの構築は行わず。

試合が始まると、キックオフから岐阜がハイテンションなサッカー。
サイドから攻め上がり、前半2分に再三エリア内を突くパスワークを繰り返し押し込みに掛かります。
一方の鹿児島も、それを耐えたのちパスカットした木村のロングパスでカウンター、藤本を裏に走らせて応戦。(GK茂木が前に出てヘッドでクリア)

守備でも果敢に前から襲い掛かる岐阜ですが、宇賀神が反則を量産するなどやや空回り。
5分には柏木がエリアからすぐ外という位置で藤本に反則を犯してしまい、直接フリーキックを得た鹿児島。
左ハーフレーンという横軸の位置から、キッカー木村が直接狙うも、GK茂木が正面でキャッチ。

鹿児島は序盤、村田への対応に難儀している感があり、彼が左ワイドで溜めを作ってからのパスワークに散らされて好機を作られ。
村田自ら仕掛けるカットインは11分で、ポケット奥からのマイナスのクロスを山口がカット。
これを境に村田自身の突破は良く防ぎ、それによりペースを剥ぎ取る事に成功します。
以降の岐阜は柏木の縦パスを軸としてボックス内を脅かさんとしますが、逆にカットされてカウンターを誘発するなど効果的とはならず。

そこから反転攻勢に入る鹿児島ですが、以前よりも縦に速く攻める意識が強まり。
偽SBをはじめとするポジショナルプレーでじっくりと……という事はせず、この押し迫った状況での監督交代の影響が色濃く表れているようでした。
それでも22分、右サイドに人数を集めて縦パス→ポストプレイを繰り返したのち、端戸の裏へのミドルパスでエリア内を突き。
そして走り込んだ米澤がヘディングシュートを放つもGK茂木がセーブ、ここからコーナーキックを3本続けて押し込むも実らず。
スコアを動かせず、飲水タイムが挟まれます。

一方押し込む時間を作ったものの決定機は得れなかった岐阜。
ブレイク明けは、ドイスボランチのうち柏木がアンカーの位置に残り北が上がるという、前回観た際のスタイルを前面に押し出し。
その北は主に左へと張り出し、有効だった左サイドアタックを盤石にせんとします。

それでも主体的な攻撃では中々シュートに辿り着けない岐阜。
31分に鹿児島のパスミスを拾った柏木、スルーパスで右へと展開し、受けた窪田がカットインでポケットを突いてグラウンダーのクロス。
中央で藤岡が足で合わせましたが、ゴール上へと外れてしまい先制ならず。
相手のミスが絡めば……という所でしたが、この日の鹿児島は堅守速攻の意識が強く、そういった場面は少なかったのが勝負を分けたでしょうか。
38分には逆に岐阜サイドが縦パスをミスし、そのボールを星がダイレクトの縦パスで返してカウンターに持ち込む鹿児島。
藤本のポストプレイを経て、運んだ端戸がエリア手前からシュート。(ブロック)

終盤に入ると、再び岐阜が攻撃権を支配するも有効打を打てない時間が続き。
そして45分に得た岐阜のCKですが、クロスを直接GK松山がキャッチすると、その松山のスローからまたも鹿児島のカウンターに。
米澤が持ち運んで左へと展開し、野嶽が手前から低いクロスを入れ、跳び込むも合わなかった藤本の奥で山口が合わせ。
綺麗なシュートとはいかなかったものの、ボールはゴールに吸い込まれて欲しかった先制点がついに生まれます。

最初は藤本のゴールとアナウンスされたものの、山口のゴールへと訂正されたこの得点。
個人的にぬか喜びの格好となった藤本ですが、その直後でした。
自陣で木村がボールを確保すると、一気に裏へ送ったロングパスが右ポケットを突き、そこに猛然と走り込んでシュートする藤本。
コースは甘かったもののGK茂木が止められずにゴールに突き刺さり、今度は正真正銘の得点であっという間にリードを広げました。

終了間際に一気にスコアが動き、2-0で終えられた前半。
共にハーフタイムでの交代は無く。

そして始められた後半ですが、焦る岐阜を尻目に鹿児島が敵陣でボール奪取するシーンを頻発させ、文字通り流れを自分のものとします。
後半5分、左サイドで野嶽がドリブルで切り込んだのちカットイン、藤本のポストプレイを挟んでシュートを放つもGK茂木がセーブ。
8分には米澤のボール奪取から素早く運び、五領が右ポケットへ切り込んでシュートするもこれもGK茂木の足でのセーブに阻まれ。

何とか3点目は防いだ岐阜。
前半と同様に左サイドを軸にするも、既に鹿児島も慣れを示した後だけに有効打を放てず。
そうなると左に人数を集めたのち、逆サイドへ展開という攻めで何とか崩すしかないですが、その揺さぶりのスピードも容易に対応されて中々フィニッシュに辿り着けません。

リードしている鹿児島のベンチが先に動き、16分に五領→武へと交代。
19分にその武を走らせるロングパスから右奥で溜めを作り、星のクロスの跳ね返りを拾った木村がミドルシュート。(枠外)
しっかり守りつつ、相手の裏を突いて時間と労力を奪う立ち回りを見せ。

そして23分に飲水タイムが挟まれ、明ける際にようやく動く岐阜ベンチ。
村田・藤岡→松本歩夢・田口へと2枚替えし、窪田が左SHへとシフトします。
しかし一向にエンジンを挙げられず、25分に中盤でパスミスを犯し、拾った藤本をたまらず柏木が倒してしまい反則。
ここからのFK、キッカー木村エリア内左へロビング→戸根折り返し→中央で端戸落としでゴールを脅かし。(こぼれた所を米澤が詰めにいくもクリア)

速攻を軸としながらも、リードした後半は時間を掛けて相手の焦りを呼ぶ事もこなしていた鹿児島。
しかしその主たる要素は前述の通り相手の反則によるもので、その後も30分に端戸のボールキープを倒してしまった柏木が反則・警告。
34分には裏に抜け出そうとした武が宇賀神に倒されてこれも反則・警告と、この日は一心同体と言わんばかりに、元浦和勢の反則が目立つ試合となりました。

36分に木村→千布へと交代した鹿児島、それに併せて岐阜も柏木・ンドカ→久保田・山内へと2枚替え。
その代えた部分で試合が動き、38分で田口のドリブルが千布に倒されて反則となり、右ハーフレーンからのFKを得た岐阜。
そしてキッカー久保田のクロスを遠藤が合わせてヘディングシュート、混戦の中ながらも巧く合わせてゴールネットを揺らします。
ようやく1点を返し、鹿児島サイドにも緊迫が走る終盤戦に。

41分に最後の交代を敢行する鹿児島。
有田とロメロ・フランクを投入と、温存されていたベテランを一気に起用し逃げ切りを図ります。(藤本・端戸と交代)
同時に米澤→圓道と、一気に3枚替え。

同点を狙い攻め上がる岐阜ですが、既に崩し云々よりもクロスをどう合わせるかにウェイトが置かれ。
44分に左から窪田のクロスが上がり、田口が合わせヘディングシュートを放ちましたがゴール上へと外れ。

そして突入したアディショナルタイム、CKを得た岐阜は当然ながらGK茂木が前線に加わる総動員体制に。
そこからキッカー久保田のクロスを山内が合わせるも、ゴール左下を襲ったヘディングシュートはGK山内にセーブされて同点ならず。
尚も続くCK攻勢、GK茂木がクロスに跳び込むシーンも見られましたが、鹿児島サイドも良く守り。
結局スコアは動かせず、試合終了の時を迎えました。

これで監督交代後初勝利を挙げた鹿児島。
前半戦首位に立った事は忘れなければいけないような状況ですが、新たな意識の下逆転を果たせるでしょうか。

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TV観戦 天皇杯 第103回全日本サッカー選手権大会準々決勝 ロアッソ熊本vsヴィッセル神戸

2023-09-01 16:43:49 | サッカー視聴記(2023年その他)

<両軍スタメン>

前回の試合から中2日という、厳しい日程でこの日を迎えた熊本。
スタジアムを確保できるのが日曜ばかりというホーム(えがお健康スタジアム)特殊な事情が、牙を剥くような格好となっていますが、それでもほぼベストメンバーに近いスタメンの人選を敢行した大木武監督。

そうで無くても、リーグ戦は11戦未勝利という苦境に塗れる状況で、残留争いを強いられながらも勝ち残っている辺りが前年の覇者・甲府と被りつつあり。
勝ち進むにあたり縁起の良いジンクスともいえますが、果たしてその顛末は如何に。

さてこの日の相手は、その甲府に4回戦で快勝した神戸(4-1)で、J1でも上位の相手であり一言で言えば強敵。
そんなクラブを相手にいきなりの前半1分に、左スローインからの細かな繋ぎを経て、竹本がミドルシュートを放って(GK前川セーブ)先制攻撃を果たします。

これを幕開けとして激しく動く展開に。
これで得た熊本の右コーナーキックで、クリアした神戸が自陣左サイドで熊本のゲーゲンプレスをかわしてカウンターに持ち込み、山口のスルーパスに抜け出した佐々木。
右ポケット奥へ切り込んでグラウンダーでクロスを入れるも、ブロックに当たりGK田代が抑え。
以降神戸がボールを握る選択を採り、熊本も元来ボールを握るチームなので、落ち着くかに見えた試合でしたが意図通りにはいかず。
9分に本多が敵陣でパスカットし、拾った汰木がエリア内へループパスを送った所に、走り込んだ扇原が合わせ。
これをキャッチしたGK田代から反転して熊本のカウンター、田辺が左サイド奥へとロングパスを送り、松岡に通った事でCKをゲットと慌ただしく好機が入れ替わります。

そんな状況下で先に流れを得たのは神戸で、熊本のビルドアップへの規制が巧くいき。
汰木が中に絞って狭い局面でのプレッシングを掛ける事で、右サイドで酒井高がカットする場面を頻発させます。
15分にそこからCFの佐々木に繋がり、エリアすぐ手前からシュートが放たれましたがブロックに阻まれ。

一方の熊本も直ぐに対応し、中央から長い距離を松岡まで繋ぐパスを送ると、それに対応する酒井高の慌てが目立ち。
15分にフリーで受けた松岡がドリブルで持ち運ぶと、それを前に出て止めんとした酒井高でしたがかわされて奥への侵入を許してしまいます。(左ポケットの平川へと渡すも奪われる)
直後の16分にも、ミドルパスを受けた松岡がどフリーになっており、そのまま奥へと進入して竹本とのパス交換を経てクロス。
これをファーで藤田がボレーで合わせる決定機になりかけましたが、ミート出来ずに終わり。

しかしすかさず冷静さを取り戻す神戸。
この日は大迫・武藤共にリザーブのため、彼らに配給するべきロングボールを抑え気味にし、最終ラインから繋ぐ傾向が強く。
そのビルドアップに熊本は当然前からプレスに行くものの、攻撃とは逆に酒井高への対応にやや迷いが見られます。
20分、最終ラインから右へのパスを受けた酒井高がフリーとなっていましたが、ここでウイングの松岡は山口をマークしており。
遅れて田辺が前に出た所を縦に運ばれ、そこから酒井高へ戻したのちのサイドチェンジと、長短をくまなく使い組み立てる神戸。(シュートには繋がらず)
これで両方をケアしなければと思ったのか、その後も松岡は酒井高と山口の中間に位置取るという曖昧な守備姿勢を強いられ、神戸が右から運ぶシーンが目立ちました。

そんな熊本、25分にはプレッシングを嵌めてGKへと戻させましたが、そのGK前川のロングフィードによる前進を防げず。
佐々木のフリックで繋がれて危機を招きます。(パトリッキにスルーパスが出るも手前でカットされる)
ロングボールも有効打と見るや、その後パトリッキが中央へと絞って佐々木とのダブルターゲットとなる等、強豪クラブらしい相手の心理を突く立ち回りを徹底していた前半の神戸。
そして28分、トゥーレルのロングパスを右サイドで佐々木が足下でポストプレイ、拾った酒井高のスルーパスは通らずも拾い直して左へ展開。
受けた川﨑がカットインで中央へ切り込み、ペナルティアークからシュートを放ちましたが江﨑が頭でブロックして防ぎ。

長短の攻めを防げずと、厳しい状況を強いられる熊本。
その中途半端な立ち位置を改め、以降は松岡が最終ライン、つまりトゥーレルにまで詰めていく姿勢を取るようになり。
酒井高には田辺が出て、数的不利となる神戸の中盤に対しては上村が前に出てカバーし、何とか嵌める体勢を作り上げます。

それでも上位カテゴリ故の強度に苦しみ、37分には逆にプレッシングを受けて川﨑がボールカット、こぼれ球を山口がダイレクトで縦パスを送った事で危機に。
そして細かな繋ぎを経て、エリア内でのパトリッキのポストプレイから山口のミドルシュートが放たれ。(枠外)
37分は本多から左サイド裏へのロングパスが一気に汰木へ通り、そこからのクロスは逆サイドへ流れるも今度は右から攻めと気を休められない熊本。
山口がダイレクトでポケットへ送り、パトリッキのスルーパスに走り込んだ酒井高からクロス、そしてファーサイドで川﨑がヘディングシュート。
見事にゴールネットを揺らしたものの、オフサイドを取られてしまい、先制点とはいきません。

かくして非常に厳しい展開となった熊本の前半。
自慢のパスワークで神戸ディフェンスを振り回すシーンはあれど、フィニッシュは22分の竹本のミドルシュート(GK前川キャッチ)以降皆無に終わり。
それでも判定にも助けられ(前述のオフサイドの場面は非常に際どいものだった)、スコアレスのまま前半終了を迎えました。

ハーフタイムで両者動き、熊本は藤田→大本に交代。
松岡の左に比べて右での仕掛けの足りなさを埋める采配を取った大木監督。
一方の神戸は、大迫の投入に踏みきり、川崎と交代して佐々木を一列降ろしてインサイドハーフに。
熊本の日程面を考慮して、体力勝ちを狙いに早めに動いた格好だったでしょうか。

目下J1得点ランクトップという大迫(19点)の投入で、綺麗にリードを奪いたい神戸。
しかし、大迫の居ない前半に曲がりなりにもペースを握っていたのが拙かった感があり。
立ち上がりこそ前半のペースを維持し、後半4分に大迫を使わずのパスワークで攻め上がり、右からのクロスが流れるも逆サイドで汰木が拾い継続。
そして扇原の手前からのクロスをファーサイドで佐々木が合わせヘディングシュート(GK田代セーブ)と決定機を生み出し。
下位カテゴリの相手の決壊を待つ流れを作りに掛かります。

しかしその目論見は甘く、熊本は右サイドに投入された大本の突破力を盾としての攻めでペースを握ります。
8分にスルーパスを受けた大本が右ポケットへ切り込んでクロス、ブロックされるも神戸のクリアミスが絡み、そのボールを田辺が左足アウトでダイレクトシュートしましたがゴール左へ惜しくも外れ。
10分に今度は左サイドで、田辺の縦パスに入れ替わった竹本がポケットを突いてシュート(GK前川セーブ)と、立て続けにゴールを脅かし。

神戸は12分に武藤を投入(汰木と交代、パトリッキが左WGへ回る)するも、尚も続く熊本の攻勢。
13分にも左サイドからパスワークで攻め上がり、奥を取ったのち田辺がカットイン、ディフェンスに倒されかかるも踏ん張ってそのままシュート。(GK前川セーブ)
神戸自慢の2トップをもってしても堰き止められない流れで、そのまま迎えた15分。
江﨑が前に出てのパスカットから右へ展開して今度は大本の突破による攻撃、カットインでハーフレーンを突いてエリア内へとスルーパス。
絶妙な抜け出しで受け、そのままシュートを左サイドネットに突き刺した平川。
一瞬オフサイドを疑う空気となったものの、ゴールが認められて見事に先制点まで攻めきりました。

スコアが動いた事で、ビハインドを強いられる神戸は焦りとの戦いに突入。
熊本にボールを握られ、その細かなパスワークに振り回される絵図が目立ちます。
皮肉にも大迫・武藤の投入で、良い流れであった前半とは異なるサッカーを強いられる形になってしまったでしょうか。
たまらず再度動く吉田孝行監督、佐々木・扇原→飯野・大﨑へと交代し、パトリッキがIHへ、武藤が左WGへシフト。

それでも流れを変えられず、度々熊本にボールを握られると、前掛かりを突かれての早い攻めも受ける事に。(24分に熊本は松岡・竹本→東山・粟飯原へと2枚替え)
まさに窮地といった状態のなか、攻撃でも苦し紛れにGK前川が直接大迫へロングボールを送るぐらいしか出来ずに、尚も拍車を掛けます。
そのボールを大迫がフリックして繋ぐも、好機は生まれず。(31分にトゥーレル→山川へと交代)

攻めあぐむ神戸を尻目に、35分過ぎから再び攻勢を強める熊本。
28分に田辺→豊田へと交代しており、ハーフレーンの位置を取るその豊田からのパス出しが絶妙で、幾度も好機を作り。
J1クラブの猛攻を受けるどころか、勝利を確実なものにするような立ち回りを貫き、「個の力に組織力で対抗し互角以上に渡り合う」という観る者の心を打ち易い絵図を作ります。
36分には敵陣でのパスワークを経て粟飯原が右ハーフレーンからミドルシュートを放ちましたが、ブロックを掠めてゴール左へと外れ。
39分に最後の交代を使い、島村→道脇へと交代。(粟飯原が右WGへ回る)

何とか追い付きたい神戸ですが、大迫狙いのロングボールという姿勢は変わらず。
しかし時間とともに熊本も強度が落ちて来たか、39分にセカンドボールが繋がって武藤のミドルシュートに持ち込み。(ブロック)

そして42分ここも山川が大迫を狙ってロングパスを送り、大迫が落とすと未だ戻りきれない熊本ディフェンスを尻目にパトリッキが拾って攻撃開始。
そして前進から中央→右へと送り、右手前から酒井高が低いクロス、中央で武藤がボレーで合わせにいき。
江﨑のブロックに遭いボールは上空へと上がり、すかさず反応したのはパトリッキで、GK田代が飛び出すもそのヘディングシュートを防げない熊本。
ゴール前で上村がブロックするも掻き出せず、ボールはゴール上部へと突き刺さり。
決して綺麗な得点では無かったもののパワーで勝る格好で、終盤で同点となります。

こうなると神戸は息を吹き返し、スタミナ切れも露わになってきた熊本相手に敵陣で振り回す展開を作ります。
43分に大迫のシュート(黒木がブロック)、44分に山口がミドルシュート(ブロックを掠めて枠外)、さらにCKからパトリッキがヘディングシュート(枠外)とフィニッシュの連続。
一気に窮地に陥った熊本、アディショナルタイムに左からのクロスに道脇が合わせヘディングシュートを放ち(枠外)、何とかファイティングポーズを取り。
ともに勝ち越しを狙いにいく姿勢は変わらずも、全体的に大人しめのAT(目安5分)となり。
最後は熊本が右CKを得るもモノに出来ず、1-1のまま後半が終了。
勝負は延長戦へと持ち越されます。

その延長戦、神戸は武藤とパトリッキの位置が入れ替わり、武藤がIH・パトリッキが左WGとなって挑み。
そして早速の延長前半1分、裏へのボールにパトリッキが走り込んで奥からラフにクロス、ニアに入った低いボールに大迫が跳び込んで足で合わせ。(ゴール左へ外れる)
疲労困憊ななか、マンパワーを活かして攻め上がります。
3分にもGK前川のロングフィードからの攻撃で、右手前からのクロスを大迫がフリック気味のヘディングシュート。(ゴール左へ外れる)

早くも劣勢を強いられる熊本、4分に追加の交代カードを切り。
江崎→酒井匠に交代と、不足している高さを補充する手を打ちます。(酒井匠が左センターバックに入り、中央に黒木、右に阿部)

押し気味の神戸も、パトリッキが足を痛めてしまうと失速気味に。
気丈にプレーを続けたパトリッキでしたが、11分に交代の措置が採られます。(井出へと交代、再度武藤が左WGに)

しかしそのアクシデントの空気が、熊本サイドにも襲い掛かり。
15分再びロングパスのセカンドボールからの攻めで、右サイドからスルーパスの連続でエリア内を突き、中央で走り込む大迫。
その手前でカットした熊本でしたが、この際にあろう事か、荒れた芝生に足を取られた酒井匠が痛んでしまい続行不能という事態に見舞われます。
当然ながら交代はもう出来ず、酒井匠が担架で運ばれて数的不利での戦いへ突入する事に。
誰を空いたCBに入れるかという状況で、選ばれたのは粟飯原で左CBへそのまま入ります。
これで5-3-1という布陣を採る熊本。

当然それを突かんとする神戸、残り少ない時間で、酒井高がその粟飯原の背後である右ポケットへスルーパス。
しかし走り込む飯野に対し蓋をして無事に対応した粟飯原、破綻はさせず。

そして突入した延長後半、既に守勢に回る事しか出来ない熊本に対し、神戸がどう崩して勝ち越すかが焦点となります。

しかしアクシデントを司る?神の悪戯は止まず。
早々に右CKを得た神戸、キッカー初瀬のクロスに大迫がヘディングで合わせ。(枠外)
フィニッシュにより期待感を高めたはずの神戸でしたが、あろう事かキッカーの位置で初瀬が足を攣らせて動けなくなってしまいます。
プレー続行を選択するも、以降初瀬が前線に回り、空いたサイドバックに飯野が降りる弥縫策を採り。(酒井が左に回り、飯野が右)

そして意外にも、その初瀬にパスを送っては好機を作らんとする神戸。
ボールを蹴る度に苦悶の表情を浮かべる初瀬ですが、数的優位を捨てるにはもったいないという思惑なのも頷けなくは無く。
終盤の延長後半14分には右からクロスを入れた初瀬、跳ね返りを中央で山口が拾ったのち、大﨑のポストプレイを経てまさかのシュートまで放ちます。(粟飯原がブロック)
当然ながら撃った後に倒れ込む初瀬、そのチームへの献身性は涙せずにはいられず。

何とか時間内に決めたい神戸ですが、熊本も最終ラインは6人が降りるという決死の防御態勢に。(両ワイドは大本と東山が守る)
15分に一瞬の隙を突き、左からの前進で武藤がカットインでのレーンチェンジからスルーパス、これでエリア内に大迫と井出が走り込む決定機を生み出します。
しかしシュートを放った井出、ゴールネットを揺らしたものの飛び出した位置はオフサイドであり、VARチェックが挟まれるも判定は変わらず無念のノーゴールに。
大迫が撃ちにいっていれば……と悔やんでも時既に遅く。

そして時間は過ぎ。
終了のホイッスルを告げる直前、熊本はさらに道脇が肩を痛めてしまう事態となり続行不可能に。
これで9人となってしまいますが、幸いすぐに延長後半終了となりPK戦に入ります。
こうなると数的不利は最早関係無く。

神戸側ゴール裏の前でのPK戦となり、1本目を務めるのは大迫と、ここでも早めに勝負を決めたい思惑を前面に押し出す神戸。
その大迫が右足でゴール右へと決めると、熊本の1本目は黒木と、任せられるストライカー不在という苦しい台所事象。
しかし黒木も右足でゴール右へと決めて喰らい付きます。

迎えた2本目、神戸は武藤と出し惜しみせず。
しかし大迫とは逆に左へと蹴った結果、GK田代が読み切ってセーブと防がれてしまいます。
一方の熊本は東山が務め、初めて左利きのキッカーが登場。
しかし右を狙ったボールはGK前川が跳び付いてセーブ、リードを奪う事は出来ず。

ともに利き足方向へのシュートは決まり、その逆方向のシュートは止められるという流れを描き。
3本目、神戸・山口はその流れに従い右へシュートし、GK田代は反応するも届かずゴール上部に突き刺さり。
そしてここで変節を齎したのは熊本の3本目で、キッカーにはGKの田代が。
キックに自信があり、かつ2人もフィールドプレイヤーを欠く中では納得感もある選択。
そしてその通り、放たれた強烈なシュートがゴール上部に突き刺さります。

4本目、神戸は大﨑が務め。
一転してゴール上部へのシュートが続いたためか、大﨑もその例に漏れず上を狙ってシュート。
しかし狙いすぎたか、外してしまい痛恨の失敗に。
そして粟飯原が左足で右を狙いGKの逆を突き、この日初めて利き足と逆方向へのシュートを決めます。

後が無い神戸の5本目、井出が放ったシュートは真ん中を選択。
無事に決め、勝負の行方は熊本の5本目次第となり、キッカーはキャプテン平川。
そして左上、GKの届かない所へとシュートを突き刺した事で、歓喜の瞬間が訪れた熊本。

ベスト4進出を果たしたものの、負傷者も複数出してしまい。
選手層の薄い中では(リーグ戦も含めて)より一層厳しい戦いを強いられそうですが、昨年の甲府の再現は果たす事が出来るでしょうか。

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