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ぶらりドリブルの旅

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DAZN観戦 2024年J2リーグ第36節 ザスパ群馬vs徳島ヴォルティス

2024-10-31 16:01:03 | サッカー視聴記(2024年J2)

※前回の群馬の記事はこちら(33節・熊本戦、2-3)
※前回の徳島の記事はこちら(30節・山口戦、2-1)

<群馬スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • 細貝が今季限りでの引退を発表。それを受けてこの日が今季初スタメン、並びに引退セレモニーと送り出しモードに。
  • 佐藤の負傷が発表されるも、発生日・治癒期間ともに未発表。(26節以降ベンチ外)

<徳島スタメン>

降格決定後も、依然として勝利が遠い群馬。
シーズン通算3勝とあっては、テールエンドからの脱却は夢のまた夢であり、そのままとうとう今季もホーム最終戦を迎え。
相手が前半戦唯一の勝利を挙げた徳島(7節、1-0)という縁起の良さと、細貝引退への花道というモチベーションを盾に、何とかしたい試合となりました。

その群馬戦での敗戦が、(監督交代という)チーム再建への一つの切欠となった徳島。
後半戦に怒涛の巻き返しを図ったものの、叶わず前節(藤枝戦、3-0)をもって昇格の可能性が消滅の運びとなり。
誰が見ても序盤の出遅れがこの結果を招いた、という所ですが後悔先に立たず。
建て直して挑んだ昇格争いでは、やはり清水戦での逆転負け(順延29節、1-2)が重く響いたでしょうか。
ターゲットを活かす攻めへと切り替えた清水の前に、失点を重ねての敗戦。
そんな露呈した弱点を引き摺るかのように、いわき・秋田とパワー系クラブに連敗を喫するという具合にダメージは根深いものとなりました。
群馬同様に残された試合をどう挑むかが、当面の課題となり。

徳島のボール保持に対し、前線の守備はどう立ち回るか、といったこの日の群馬。
前半2分に樺山が敵陣でボール奪取に成功、キープする所を鹿沼に倒され反則と、ショートカウンターへの期待感が膨らむ入りだったため尚更であり。

2トップ(守備時)が相手ボランチをチェックする体勢から、最終ラインで繋ぐ所に前に出ていく群馬のファーストディフェンス。
しかし徳島は動じず、その2トップをピン止めするかのように児玉がアンカーの位置にほぼ固定。
最終ラインの繋ぎにGK田中が加わり、2トップの間を通して児玉がボールに触れる事も容易となり、そんな守備を無効化させていきます。

それでも素人目には、「保持しているが攻められない」という光景に映る徳島。
相手のエンジンの掛かりが遅いうちに何とかしたいと思ったでしょうか、8分の群馬は逆に自身が地上でのビルドアップ、自陣中央で細貝縦パス→平松ポストプレイからの繋ぎがディフェンスに遭うも何とか確保に成功。
そして右サイドでのパスワークから細貝がサイドチェンジと、ラストダンスに相応しい細貝の組み立てを経て、左サイドでの繋ぎの中で天笠が渡に反則を受け。
これによるフリーキックでの放り込みから、コーナーキックへ移行とセットプレー攻勢の流れに入ります。
この右CK、キッカー仙波は中央へクロスを送り、カイケのクリアが平松に当たり足下にこぼれるという絶好機に。
すかさずシュートした平松ですが、巧くミート出来ずゴール左へ外してしまい、シーズンの成績を象徴するような悔やまれる逃し方となりました。

徳島は児玉を中心としたパスの出し入れを軸としつつ、彼へのチェックが厳しい時はエウシーニョのボールキープでカバーするという具合に、多彩な保持の方法を見せ。
次第に、自陣での守備からのカウンター狙いへの移行を余儀なくされる群馬。
しかし15分そのカウンターで、左サイドでのボール奪取から、仙波のスルーパス一本で完全に裏を取る事に成功。
平松が中央をドリブルで持ち運ぶ絶好機も、エリア手前での切り返しから横パスを選択し、上がってきた川本がシュートするも枠外に終わり。

ゴールを脅かすという点では相手を凌駕したここまでの流れ。
それ故に欲が出たのか、ここから徳島がボール保持から好機、つまりは最終ラインで巧く群馬のプレッシングを呼び込み前進に成功する絵図を膨らませ。
群馬の狙いとしては、徳島の青木が左サイドバックとなり2センターバック化した所に詰めにいくというイメージ。
カイケと森での繋ぎで、視野の面で難があるカイケの方を獲り所としていたようであり。
しかし前半戦と違い、味方のサポート(鹿沼やGK田中など、常時逃げ道を持たせるポジショニング)もあって冷静にパスを出すカイケの前に実りは殆ど無く終わります。

試合が動く切欠となったのは24分、ここも森とカイケの繋ぎから、青木とのパス交換を経て森が間を通す縦パスで渡井に渡り。
渡井ドリブル→西野左奥へ切り込みと好機を作り、入れられたマイナスのクロスを渡ポストプレイ→渡井シュート(GK櫛引キャッチ)と、徳島のファーストシュートを齎します。
しかし同時に、クロスを入れた西野が、エドオジョンのスライディングを受けながらの無理な体勢で入れたためか足を捻ってしまい。
続行不可能で交代の運びとなってしまいます。

ジョーカー的存在の、高田颯を早めに投入せざるを得なくなった徳島。(26分)
しかしアクシデントにも気負いせず、普段通り果敢に仕掛け続ける高田颯の前に窮地に陥る群馬。
30分、ここは3CBのままビルドアップを見せる徳島、鹿沼→青木と経由して受けた高田颯が左サイドを疾走。
そしてクロスに辿り着き、合わせにいった渡がディフェンスに遭い、そのままラインアウトで右CKに。
キッカー渡井はニアにクロス、そして渡がフリックと定番の流れを選択すると、ゾーン守備の隙を突かれ続ける群馬を尻目にファーで青木折り返し→中央で鹿沼シュートとやりきり。
そしてゴールネットが揺れる光景を、鹿沼のハンドをアピールする事しか出来ない群馬ディフェンス。
膝で合わせる格好でゴールに入れた鹿沼は右腕を伸ばしていたものの、映像を見る限りでは触れておらず。
守勢に追い込んだ末の、先制点に辿り着きました。

この日もリードされてしまった群馬。
戦力差もあり毎試合守勢になるのは仕方無いですが、その強度自体が足りずにセットプレーでの失点を繰り返す今シーズン。

これを隠すには、やはり攻撃のターンを増やすしか無く。
35分最終ラインでマイボールとし、徳島のゲーゲンプレスを川本のミドルパスでいなし、繋ぎを経て仙波のスルーパスが最終ライン裏へ。
樺山が抜け出して受ける、再び決定機という絵図が生まれましたが、そのまま右ポケット奥まで切り込んで放たれた樺山のシュートは枠外に終わります。

その後、ボール保持からの攻めでどうにかしようとする群馬。
しかし41分にパスミスからの徳島の好機が生まれた(敵陣アタッキングサードまで運ぶも、児玉→エウシーニョのパスがズレて終了)事で、その試みも途切れ。
そして繰り広げられる徳島のボールポゼッションによる好機、43分にはGK田中からの繋ぎを経て、再度高田颯がドリブルからクロス。
そして渡が合わせヘディングシュート(ゴール右へ外れる)と、立ち上がりの「ボールを持たされる」絵図はすっかり雲散霧消に。

その流れのまま突入したアディショナルタイム、群馬が押し返さんとした所を、縦パスをカットした児玉からカウンターに持ち込む徳島。
またも高田颯のドリブルシーンに繋げると、今度は自ら左ポケットへ切り込みシュートチャンスを迎え。
しかし櫛引のセーブに阻まれて追加点はならず。
その後のCKで、ショートコーナーからの返しがオフサイドになるという、情けない絵図を経て前半終了となりました。

迎えた後半、群馬にとっては何処まで細貝を引っ張るかも頭に入れながらの戦いに。
しかしキックオフからのボールを失ったのち、徳島の攻撃となりブラウンノアが右サイドを持ち運んでアタッキングサードでの展開に。
そして戻しを経て、ミドルパスを交えながら両ワイドを突いて揺さぶる攻めを繰り広げた末に、何度目かの左ワイド→中央への展開を経てエウシーニョの1タッチパスでついにエリア内を突き。
トラップで浮かせた渡の落としを経て、ブラウンノアがディフェンスを背負いながら放ったシュートこそ小柳がブロックするも、こぼれ球を拾った渡井が追撃。
GK櫛引がセーブとこれも防ぎましたが、跳ね返りが渡に当たりこぼれた所をブラウンノアが詰め、3度目の正直でゴールにねじ入れます。
前半の流れそのままという事を、得点で証明する結果となりました。

立ち上がりで主導権を握るどころか、痛い追加点となってしまった群馬。
その後もひとしきり徳島の攻撃を浴びる状況となり、後半6分に最終ラインでのプレス回避からまたも高田颯の左サイドでドリブルからのクロス。
クリアされるも小さく、左ポケットで拾った渡井のクロスもブロックされるも、渡が拾ってシュート(GK櫛引セーブ)と執拗に続けられる徳島のゴールへのベクトル。
最後はエウシーニョの右からのシュートがサイドネット外に終わるも、一向に反撃の機運を高められず。

そんな状況で、直後に細貝の交代を選択した武藤覚監督。
すると徳島サイドも協力し、花道を作っての送り出しとなります。
感涙を浮かべながら、サッカー選手としての歩みを終える事となった細貝。

彼に代えて和田を投入し、仙波がボランチに回って挑み直す群馬。
徳島の方も、花道形成というブレイクで良い流れを途切れさせる事となったようで、ここから巻き返しの流れに突入します。
9分右サイドでエドオジョンが、(古巣という事で)徳島サポーターのブーイングを浴びながらもパス交換から前進に入り。
そして樺山のスルーパスに抜け出して辿り着いたクロス、これが高い軌道でファーを突くボールになると、川本が足下で合わせ。(枠外)
これが切欠となり、徳島はそれに負けじとボール保持の体勢を維持せんとするも、11分にパスミスで失うなど不穏な空気に包まれてしまい。

そんな相手の状況もあり、この時間帯で1点取りたい群馬。
投入された和田が降りてビルドアップの出口役を務める、前年の長倉(現新潟)のような役所を得たのもあり流動性が増したパスワーク。
前半とは打って変わって徳島を専守に追い込みますが、その中でどう崩すかも問われる状態に。
14分に全員敵陣へ入り込んだ状態で、左サイドで中塩の縦パスを受けた和田がそのまま奥へ切り込んでクロス。
これを大外でエドオジョンが跳び込んでヘディングシュートも、枠には飛ばず。

20分にCKからの二次攻撃という局面で、敵陣浅めでのパスワークで徳島ディフェンスを引き付けたのち前進。
まるで相手の徳島のような崩しが図られるも、スルーパスを供給した和田が渡井のアフターチャージで倒された事で、この好機は直接FKに託されます。
左ハーフレーンの位置で、樺山・天笠・川本のうちだれが蹴るのかという絵図になりましたが、出した選択は直接では無くフェイントを交え。
樺山蹴り出し→天笠止める→川本シュートという流れを描くも、これにより前に出る余裕が出来た徳島の壁に阻まれ実りません。

直後に双方選手交代。
徳島が渡井・渡→杉本太・坪井へ2枚替えを敢行し、群馬は樺山・平松→山中・佐川へと2枚替え。(川本が右サイドハーフに回る)

劣勢に陥った徳島ですが、こうした状況で頼りになるのがエウシーニョ。
選手交代で落ち着きが図られ、最終ラインで保持する余裕が生まれたのち再度攻勢に入り。
26分後方での繋ぎのなか、児玉のロングパス一本で裏を取ったのがエウシーニョで、そのまま右ポケットからマイナスのクロス。
合わせた坪井のシュートは枠外に終わるも、後方待機で組み立てに拘る事の多かった存在が、急に最前線で脅かすという方策で流れを変えに掛かり。

狙いは的中し、その後諦めずにボール保持から前進を試みる群馬を遮断するなど相手に何もさせない時間に。
32分にはゲーゲンプレスでエウシーニョがボールカットし、アタッキングサードで保持する状況と、崩しとともに時間を奪っていく局面に突入。
ここから14本パスを繋いだ末に、児玉のスルーパスが送られるもここはエウシーニョは反応できずに終わり。
しかしここで、群馬のチャージを受けながらのパスとなった児玉が異議を唱えた事で、警告を受けるという好循環を切りかねない絵図を作ってしまった徳島。

その通りに以降、佐川が立て続けにシュートを放つ(35分に2本)という具合にペースは反転し。
36分に再び両ベンチが動き、徳島は青木・エウシーニョ→永木・柳澤。
群馬は仙波・川本→風間・河田と、またも双方2枚替え。

以降も佐川にフィニッシュを撃たせる攻めで巻き返しを図る群馬ですが、その佐川がミドルパスを収めた所ハンドを取られる(42分)など、完全にモノに出来ず。
その佐川を反則で止めた鹿沼が警告を受けるなど、カードの被害が膨らんできた徳島。
痛み分けのような展開と化す中、それでもベテラン・永木の投入(青木と同じ左CB)で落ち着きを取り戻し、オープンになりかねない時間帯を締めに掛かります。

そして2点差のまま迎えたAT。
敗色濃厚となってきた群馬ですが、その中で河田を狙ったGK櫛引のロングフィードから、セカンドボールを繋いでの好機。
左ワイドから河田がエリア内へ浮き球を送った所に、山中が走り込んで受けるという細い所を繋ぎ、ディフェンスに掻き出されるも中央で拾った佐川。
再度エリア内へ切り込むという所で永木に倒されて反則の笛が鳴り、一瞬PKかと思ってしまう際どい位置ながら、外という判定で直接FKに。
ペナルティアークという近距離でのキックで、徳島サイドは壁を作るのに難儀し距離を巡って主審と一悶着を見せ。
しかし狙う側の群馬も、曲げるなどの工夫をし辛く、小細工無しで撃つしか無い状況。
そして直接シュートを放ったのは、この日ゴールへの運気を持っているであろう佐川でしたが、放たれたシュートは壁を直撃してしまい万事休す。

その後徳島の攻めで杉本太のシュート(中塩がブロック)まで持ち込んだ、という所で試合終了を告げる笛が鳴り。
結局ホーム最終戦でも、勝利を挙げられなかった群馬。

当然試合後のセレモニー(細貝の引退セレモニーとは別)は重苦しいものとなりましたが、前年の大宮のそれに比べると、何処と無く緩い雰囲気を感じたのは確か。
社長に対するブーイング(批判の断幕も数多出ていたとの事)は恒例行事のようなもので、それ以外は温かい雰囲気であり、キャプテン櫛引のコメントも評価のし辛いものに。(口下手?という要素もあるでしょうが)
大宮の際の全方位ブーイング一色というのは決して良くは無いものの、これを引き摺る事で、一層厳しさを増しているJ3の戦いを勝ち抜けるのかが今後問われていくでしょう。。

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DAZN観戦 2024年J2リーグ第36節 ブラウブリッツ秋田vs大分トリニータ

2024-10-30 16:48:55 | サッカー視聴記(2024年J2)

※前回の秋田の記事はこちら(30節・岡山戦、1-0)
※前回の大分の記事はこちら(34節・長崎戦、1-4)

<秋田スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • GK猪瀬の負傷が発表され、9/30に発生して全治約12週間との事。

<大分スタメン>

  • 前節(水戸戦、0-0)は弓場アンカーの3-3-2-2(3-1-4-2)との事で、今季も同メンバーで挑むものの、守備時は5-4-1の絵図が多いので3-4-2-1と判断。
  • 30節(山形戦、0-3)で負傷交代した伊佐の詳細が発表されるも、治癒期間は未発表。

前節で、昇格への道は完全に閉ざされる事となった秋田。
パワーサッカー一辺倒ながら、ここまで善戦して来たのは天晴れという他無く。
昇格せずにしても、ここまで4年間J2中位を維持する事となり、持続可能なクラブという面も合格点。

そんな訳で残り3試合、その独特のスタイルを貫いて戦い抜くのみとなりましたが、この日は目の前に鏡が現れたかのような試合となり。
つまりは、自分達と同様のスタイルで挑まれた時の想定をしていたかどうかが試される事に。

大分は周知の通り降格圏から一つ上の17位で、残留争いの行方を最も左右するクラブ。
長崎戦での大敗がよほど応えたか、前節はガラリとスタイルを変え、ひたすらロングボールを裏へ送る攻撃に終始。
その姿は秋田のパワーサッカーそのもので、残留に向けて失点リスクを減らしたうえで、手数を掛けずにゴールを狙う戦いへと変貌を見せ。

そして今節も同様の姿勢で挑む大分により、奇しくも同じスタイルでのぶつかり合う事となりましたが、やはり秋田サイドはそれに慣れていなかったようであり。
これまで散々秋田相手に苦戦を強いられたチームの亡霊が、自分達に襲い掛かって来る事となりました。

ひたすら縦に速い攻めでアタッキングサードを突き、タッチラインを割れば(屋敷が)ロングスローを繰り返すという、まさに自分達がやって来た事をやられる一日となり。
そんな大分の姿に度肝を抜かれたのは、前半13分まで一度も攻撃機会を得られないという内容にもしっかり表れ。(ロングスローに対しては、佐藤大が手前の位置で跳ぶという対策を採っていたが)
11分にこの日初のコーナーキック(右CK)を得た大分、キッカー野村はグラウンダーのクロスを選択、走り込んだペレイラがシュートと意表を突くもここは岡﨑のブロックに阻まれ。

秋田は何とか意識を建て直し、スローインからの組み立てでファイティングポーズを取り戻しに掛かり。
15分に自陣から左スローイン→小松フリック→梶谷収めてバイシクルで裏へ送るという流れで、縦に速い攻めに持ち込み。
その流れで16分、再び左スローイン→小松フリック→梶谷収めで決定機を迎え、左奥からの横パスを受けた小野原がシュート。
しかしGKムンキョンゴンのセーブに阻まれ、同じサッカーで先輩格を発揮するべくのリードは奪えず。

お互いにペースを掴んだ事で、サッカーの内容と相成って乱戦気味の展開に。
しかしそれが珍妙な絵図を生み出す事にも繋がり、22分に大分は中盤で素早いパスワークから秋田のプレッシャーをいなすも、パスを出した野村が小野原にアフターチャージを受けた事による反則の笛で途切れさせられ。
一応小野原に警告が出されたものの、折角の好機をフイにされる形は消えず納得出来ない一幕に。
26分には大分の自陣での左スローインという局面で、投げ入れようとしたデルランが、眼前に位置取る畑に困惑するという絵図が。
スローイン対策で限界まで寄せる秋田の体制が招いたものなのは当然として、デルランも長い助走から飛距離を飛ばすスタイルなため、助走距離を加味しての位置取りに対しジャッジする方も難儀という印象を受けました。

そんな空気が引き摺られたのが拙かったでしょうか。
30分、例によって大分の裏へ送るロングボールに対し、岡﨑がヘッドでGKへバックパス。
しかしこれをGK山田はまさかのファンブルを犯してしまい、追ってきた鮎川に掻っ攫われる事態を招く痛恨のミスに。
当然無人のゴールに蹴り込む鮎川により、スコアが動く事となりました。

これでリードを奪った大分、ますます秋田と瓜二つのスタイルに拍車が掛かり。
32分に秋田の攻撃を凌いだのち、こぼれ球をデルランがバイシクルで前に送る事で縦に速い攻めを開始、左サイド奥をドリブルで突いた鮎川がクロスに辿り着いてCKに持ち込むという具合。

33分に小野原がデルランとの交錯で倒れるも、笛は鳴らずプレーは継続。
ボールキープする屋敷を佐藤大が反則で止めて途切れるなど、秋田は得意だったはずのパワー・デュエルの面でも押され気味なのは否めなくなり。
小野原は無事に起き上がるも、これで大分の中盤からのフリーキックで再開となり、当然放り込みを選択する「秋田もどき」の大分。
このセカンドボールを右サイドで拾った屋敷、中央へ縦パスを打ち込むと、ニアで鮎川が脚でフリックしたボールがペレイラに収まる絶好機に。
これを小さくエリア内へ送ったペレイラ、裏抜けした鮎川の前で反応したデルランが保持の体勢から身を倒してボレーシュートを放つと、ゴール右へと突き刺さります。
鮎川に蜂須賀が釣られて下がった事でオフサイドにもならず、セットプレーからの混戦という相手のお株を奪う追加点を得た大分。

秋田はホーム(ソユースタジアム)でその秩序立った戦いぶりを見せ付けるはずが、逆に相手にそれを見せ付けられての2点ビハインドとなり。
その後何とか反撃に転じ、先程の決定機のようにサイドでの前進から、長身の小野原がターゲットとしてエリア内に入り込むという攻撃に活路を見出し。
しかしフィジカル重視で選ばれた大分ディフェンスにより中央も堅く、ゴールには至りません。

そして迎えたアディショナルタイム、攻めあぐねているうちに大分にカウンターを許し決定機という痛恨の展開が再び。
ここも左サイドから切り込むも戻して作り直しと、普段の秋田らしくない姿勢が招いたもので、攻め直しのロングパスが跳ね返されたのち野村に渡り。
野村は浮かせてのボールキープでゲーゲンプレスをいなし、そして送られたスルーパスで完全に裏を取った鮎川が左ポケットへ切り込み。
これで3点目かと思われましたが、放たれた鮎川のシュートはゴール左へ僅かに外れ。
しかもこの際に軸足を捻ってしまい倒れ込む鮎川、それにより治療と担架が入る事態にまで発展してしまい。
鮎川は起き上がり自力でピッチ外に出るも、そのまま前半終了の時を迎え、そしてハーフタイムで交代とこの決定機逸が高くついた格好となりました。

0-2で後半の開始を待つのみとなり、大分は鮎川に代えて渡邉と動く事を強いられたハーフタイム。
これでホームの秋田は流れの変化を期待したかったですが、現実は非情という事を思い知らされます。

入りの後半1分、大分は秋田の攻撃を切って自陣で保持の体勢に入ると、冷静に野村バックパス→野嶽左⇒右へのサイドチェンジでゲーゲンプレスを回避。
そして茂スルーパス→保田走り込んでクロスと、やはり展開される縦に速い攻撃。
2点リードもあり、大分に保持+リトリートの意識も加わった事で、秋田はますます攻撃機会の減少を強いられる状況に。
マイボールとなっても、最終ラインでボールを持たされ地上でのパスワークを余儀なくされる、秋田にとって屈辱的ともいえる時間も増え始めます。

躍起になってプレスを掛ける秋田に対し、大分は前述のようなサイドチェンジなど、左右に大きな展開を繰り広げるようになり。
10分に得た右ワイドでのFK、キッカー野村のクロスが流れたのち、左奥で拾った渡邉から再度上がるクロス。
これが高くファーに上がり、大分選手全員を越えてまたも流れるか……と思った所に、大外に走り込んで折り返したのは先程クロスを入れた野村。
結局シュートには繋がらずも、リードと余裕を得た事で本来のスタイルを取り入れる柔軟性も見せ付けていきます。

秋田は後半の立ち上がりも攻撃機会を得られない時間が続き、最初に得たのは13分と前半と全く同じな展開に。
そして珍妙な展開は引き継がれ、15分に再び自陣でデルランがスローインをする所、助走を付けて投げ入れたのちに事案が発生。
フォロースルーした腕が例によって近場に位置取っていた畑にぶち当たるという絵図が生まれると、デルランの反則が取られて秋田のFKと、レアシーンへと繋がってしまいます。
これは前半のうちに、主審が両名に注意を与えておいて欲しかった所であり。

一向に反撃の機運を高められない秋田、18分にベンチも動き才藤・畑→水谷・河村慶へ2枚替えを敢行。
しかし効果は現れず、20分に発動される大分のカウンター。
右ポケットへのスルーパスに走り込んだ保田がクロス、クリアされた事でCKに持ち込むと、時間を使うようにCK攻勢に。
この日は入りから、セットプレーになると時間を掛けてセットに入る事を貫いていた大分、出来るだけアクチュアリープレイングタイムを減らす事に努め。
ここから3度CKを続けたのち、屋敷のロングスローも2本続けるなど、狙い通りに時計を進めていき。

しかしこの2度目のロングスローで、クリアした秋田のカウンターが発動。(26分)
それもスルーパスに蓋をした茂に対し、スピードで追い抜いた梶谷が受けてエリア内に持ち込むという身体能力を発揮しての好機。
左ポケットでシュートチャンスが訪れた梶谷ですが、追走してきた茂を切り返しでいなす事を選択した結果、野嶽にこぼされて撃てずに終わってしまいます。

直後に大分ベンチも動き、野嶽・屋敷→吉田真・宇津元へと2枚替え。
すると秋田も28分に再度交代、小野原・小松→大石・中村へと2枚替え。
ボランチを1枚退かせた事でポジションチェンジを予想し、実際その通りに水谷がボランチに入り。
しかしもっと大胆に動いて来たようで、今季になって時折行われる3バック(3-4-2-1)への布陣変更を敢行してきました。
即ち3バックは蜂須賀・岡﨑・河野で、ウイングバックは右に河村慶・左に大石という後方の布陣となり。
それでも攻撃時は蜂須賀が上がりっぱなしになるなど、あくまでサイドの駒を増やした結果という思惑が見て取れました。

実際右サイドに、それまで両ワイドだった河村慶と佐藤大が縦に並ぶ見慣れない状態となり。
大分サイドが惑わされているうちに何とか得点に辿り着きたい秋田、32分に左→右へのサイドチェンジを受けた河村慶、奥に切り込まずにカットインからのアーリークロスを選択。
これがファーサイド奥に上がるボールとなり、大外から大石が走り込んでくる布陣変更の効果が現れかかりましたが、その手前で梶谷がヘッドで合わせた結果撃ちきれずに終わってしまいます。

結局この機会を活かせず、停滞感が露わとなる秋田。
最後の手は40分で佐藤→喜岡に交代、DFの喜岡を入れた事で岡﨑が最前線にシフトと、ターゲットを増やす策を採ります。
大分も同時に野村→池田へ交代し。

直後の41分に左CKに辿り着くと、まだ時間が残っているにもかかわらず、GK山田が上がってきてエリア内へ入り込み。
2点差をどうにかしたいという意思の表れ(あるいは自身のミスを取り返したいという山田の独断か)なのは当然で、その効果が現れたか、二次攻撃で左サイドを突破して大石が奥からクロス。
これを中央で河野がフリック気味に落とした所、中村が足で跳び込んで合わせましたがシュートは右ゴールポストに当たり跳ね返り。
ディフェンスがクリア出来ずこぼれたボールに、岡﨑が追撃し強烈なシュートが放たれるも、今度は左ポストを直撃。
クリアボールを水谷がミドルシュートに持ち込みましたが、これもデルランのブロックでラインアウトと、ついに訪れた決定機に叩き込み続けましたがゴールは奪えず。
この際ペレイラと交錯して痛んだ岡﨑ですが根性で継続、再度のCKからシュートを放つ(ブロック)など、緊急FWに恥じない働きを見せ。

しかし無情にもゴールに辿り着けない秋田。
ATでは散発的にクロスを送るものの、途切れると大分の時間稼ぎのターンに持ち込まれるなど、最後まで本領を発揮できなかったこの日の攻撃。
大分の最後の交代は弓場→藤原(43分)で、徹底的に中央をフィジカルで固めて守りきる体制を築き。

そして試合終了の笛が鳴り、0-2で勝利したのは大分。
スタイル変更が実を結んでの勝ち点3で、これにより19位・鹿児島の降格が決定。
これに加え、もう一つの降格圏・18位に位置する栃木も、敗戦した(清水戦、0-1)事で降格決定の運びとなり。
即ち、目出度く残留を決定させる勝利となりました。
残り2試合は、来季への道筋のため、無理矢理気味に変更されたスタイルにどう落とし所を付けるのかの戦いとなるでしょうか。それが果たされなければ今季序盤の徳島のようになりそう

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DAZN観戦 2024年J2リーグ第36節 いわきFCvs水戸ホーリーホック

2024-10-28 16:21:21 | サッカー視聴記(2024年J2)

※前回のいわきの記事はこちら(34節・藤枝戦、1-1)
※前回の水戸の記事はこちら(33節・鹿児島戦、0-3)

<いわきスタメン> ※()内は前節のスタメン

  • GK田中が今季限りでの引退を発表。
  • 負傷離脱していた生駒が前節(岡山戦、1-2)スタメンで復帰。
  • 近藤の負傷が発表され、10/9に発生して翌日に手術実施、全治約3ヶ月との事。

<水戸スタメン>

  • 梅田の負傷が発表され、10/4に手術実施したとの事で、発生日・全治ともに未発表。

シーズン最終盤の局面で組まれた「常磐線ダービー」。
それはお互い、この勝敗で何かが決まる立場となっての対決と化し。

いわきは昇格争いに加わっての戦いを繰り広げるものの、立ち位置は既に崖っぷちで勝利出来なければプレーオフ圏への浮上、即ち昇格の可能性がほぼ消える一戦。
対する水戸は苦難の残留争いも、窮地を脱した末にこの日引き分け以上に持ち込めれば、残留決定という所までやって来ました。

お互い基本フォーメーションは同じ(といっても、いわきはアンカーシステムとの流動性ある布陣ですが)ながら、そのスタイルは真逆に映り。
とにかく前進する姿勢が凄まじいいわきと、カウンターの意識を持ち併せる水戸が組み合った結果、予想通りいわきの攻勢という入りになりました。

前半2分に早々にコーナーキックを得て、そこからミドルシュート2連発(加瀬と柴田が撃つ、共にブロック)とゴールを狙う意識も旺盛ないわき。
そして続く前半3分、空中戦で水戸・大崎がクリア出来ずに流れた所を拾う形で好機が生まれると、西川がドリブルでその裏を突きに掛かり。
しかしエリア手前で新井のスライディングに倒され、完全に足にいってしまったように見えたものの反則の笛は鳴らず。
思わぬ形で阻まれ、ホーム(ハワイアンズスタジアムいわき)のスタンドにヘイトを貯めるのみに終わってしまい。

しかし水戸もその後5分の攻撃で、ラフなロングパスをヘッドで合わせ収めた久保が、そのまま右ポケットを突いてシュート。
フィニッシュ自体はループの軌道で可能性を感じさせた(GK立川キャッチ)ものの、浮き球のまま撃ちにいった反動か、着地の際に足を痛めてしまった久保。
ここは痛みを堪えて起き上がるも不穏な空気を残しての継続となり、結果無事では無かったようで。

その後も、いわきは1タッチパスを交えながらの縦に速い攻めを繰り返す事で攻撃権を支配する展開。
その流れを切りたい水戸は12分、自陣左サイドでクリアボールを拾った草野がプレッシャーをいなすように浮き球を送ると、走り込んだ新井が堂鼻を追い抜く強烈なスピードで拾い攻撃に繋げます。
そのまま敵陣に切り込んだ所を追走する堂鼻に倒されて反則・警告と、猛スピードという個の力でそれを果たしに掛かり。
これで得たフリーキックから、キッカー櫻井のファーに上げたクロスを、長澤が叩き付けるヘディングシュートを放ちましたがワンバウンドを経てゴール右へと外れ。

しかしいわきも、17分に今度は山口が中央→左へと向かうドリブルで、山本を剥がしたのちにクロスと個人技で好機を生み出し。
この跳ね返りを拾った山下が再度同サイドからクロス、これを谷村が合わせヘディングシュート(GK松原セーブ)と、新井の脅威にも物怖じしない姿勢を見せ。
20分には水戸同様にセットプレーからで、左からのFKで山下から上がったクロスに、今度は有馬が合わせるもディフェンスを掠めてラインアウト。
これで右CKに移ると、キッカー山下のニアへのクロスをまたも有馬が合わせ、決定的なヘディングシュートが放たれるもGK松原のファインセーブに阻まれます。

そのいわきの圧力はまさにフィジカル集団の本領発揮という所で、次第に防戦一方となる水戸。
25分にいわきがゲーゲンプレスで(有馬が)ボール奪取ののち好機、敵陣でのポゼッションを経て、堂鼻右ポケットへスルーパス→山口奥からマイナスのクロス→有馬シュート(山田がブロック)とここでもフィニッシュに繋げ。
何とか防いで切った水戸でしたが、このタイミングで久保が先程の負傷で限界を迎えてしまい、倒れ込んで交代を強いられます。
同ポジションの駒という事で、ジョーカー的存在の中島を早くも投入せざるを得ず。

劣勢の水戸ですが、先程新井という強烈な槍を見せた事もあり、いわきの攻撃は左サイドが中心に。
即ち加瀬が彼の突破への意識を強めなければならず、その推進力は消される格好となったためやや単調化していたでしょうか。

それでも好機を繰り返すいわき故に、その単調ぶりが伸びきった所を突きたい状況。
30分を迎えた辺りから、徐々にボール保持で攻撃を形にする時間が出来、いわきのプレッシャーに負けないという機運を高め。
ボランチの片割れが最終ラインに降りる「ミシャ式」の形での繋ぎを基本線としながら、降りて来るシャドーを使った前進で好機に持ち込み。
1トップが中島に代わり、彼のポストワークは基本的に「ロングボールを合わせる」のみしか期待出来ないため、逆に地上での繋ぎをと腹が据わった感がありました。
またそのロングボールでは、中島へ蹴り込むと見せかけて、長身ボランチの碇の落としを交える事で単調化を防ぎ。

そんな水戸の主体的な攻撃を受けても、相変わらずマイペースにいわきは好機を作り続け。
展開的には押し気味ながら、前半最後の好機は水戸で45分、そのいわきの素早い攻めを象徴する縦パスの先で牛澤が奪い。
そしてこちらも大崎→草野への縦パスを通して前線へと運びましたが、その後中島のポストプレイがズレて途切れ。
その後長めのアディショナルタイム(目安3分)になるも、お互い粗雑ぶりが目立つのみに終わり、前半終了の運びとなりました。

共に交代無く、流れを掴むのはどちらかという状況で迎えた後半戦。
やはり前半最後で、いわきの流れを断ち切るかのような好機を作った水戸へと振れる結果となります。
早々の後半1分に、こぼれ球を碇が1タッチで縦パスと、いわきの素早い攻めのお株を奪うように前進に成功。
右サイドで山本が石田に遮断されるも、すぐさま奪い返して継続させ、中央へのパスワークを経て中島がペナルティアークからシュート。
堂鼻がブロックするもこぼれ球を長澤が左ポケットへスルーパス、反応した新井が奥からマイナスのクロスと決定的な流れを演出するも、誰にも合わずという結果に終わってしまい。

しかし流れを構築した水戸に対し、あくまでマイペースな応戦姿勢のいわき。
これが拙かったでしょうか、5分に再びこぼれ球を繋いで左サイドから攻める水戸に対し、いわきディフェンスは前掛かりで奪いにいくも(碇のポストワークもあって)果たせずサイドにセンターバック2人も釣り出される事態を招き。
ドリブルに入る新井に堂鼻が剥がされ、大森が立ちはだかりにいくも事態はさらに悪化し、草野へと送られるラストパス。
そしてエリア内を突いて放たれたシュートがゴールネットを揺らし、先制点に辿り着きます。
膠着しながらも押され気味だった展開のなか、自分が観に行った試合(24節・横浜FC戦、2-2)と同様に逆境を跳ね返すゴールを奪った草野。

これで追う立場を強いられ、昇格への灯火が危機となるいわき。
それを振り払うには攻め上がるのみで、7分にはスローインから投げ入れられたボールをラフに柴田がロングパス、これが直接エリア内へ届くボールに。
走り込んだ谷村のポストプレイを経て山口がシュート(ミートせず)と、あくまで少ないタッチでの勝負を挑みます。
対する水戸は11分、いわきのプレッシングに対し地上での繋ぎを挑み、牛澤→櫻井への間を抜く縦パスで突破。
地上でのビルドアップならびに保持の色を濃くする、リードを活かさんとする立ち回りを強め。

先にベンチが動いたのはいわき(水戸の前半の交代を除く)で12分、西川→棚田へと交代。
流れを変えんとした直後の13分、水戸が左スローインで直接裏を突いた草野がワイドからポケットへ侵入と、それに冷水をぶっかけるような好機。
ボールキープがディフェンスに遭い、拾った中島もこぼされた所を、反応した草野が再びシュート。(GK立川セーブ)
いわきの狙いが浸透する前に決めきりたかった所ですが、その役割を担った草野が16分に交代となり。(落合と交代、同時に山本→齋藤へと交代)

ここから防戦一方の状態に陥る水戸、それもいわきが投入した棚田を掴まえられずという形で好機を作られ続け。
20分に棚田がパスを出し入れしながら左へとサイドを移したのち、柴田がポケットを突くパスを入れる状況となり。
最初の谷村を走らせるミドルパスはクリアされるも、尚も繋いで棚田へと縦パスが入ると、カットインからのミドルシュート(GK松原キャッチ)でゴールを脅かします。

ひとしきり押し込まれた水戸は、その後ロングボールでの攻撃で陣地回復ののち、23分に右スローインからポケットを突く落合。
しかしそのカットインが大森に倒され、チャージが完全に足に入ったように見えましたが、反則ならびにPKを告げる笛は吹かれず。
全体的に不安定な印象のジャッジが、今度は水戸の側に牙を向く形になり。
その後、キッカーの位置に2人(大崎・櫻井)が立つという変則的なCKを連続させ、何とか時間と余裕を確保するという立ち回りへと移り変わり。

それも一匙の安堵といった風に、断ち切られると再開されるいわきの攻撃。
29分に今度は右から仕掛ける棚田、有馬とのパス交換からカットインに入ってシュート(ゴール上へ外れる)と、痛烈に脅かされる水戸ゴール。
この直後に加瀬・有馬→五十嵐・ブワニカへ2枚替えと、駒を代えてさらに攻め上がるいわき。

そしてその直後、いわきの方がGK立川から攻める体制を取り、水戸がプレッシングを掛けるという逆の図式で始まり。
これが良かったか、堂鼻縦パス→棚田ポストプレイ→柴田間を通すパス→山口で、プレス回避から中央突破に入る好機を迎え。
右ポケットへのスルーパスに走り込んだ五十嵐のクロスが上がると、ファーサイドで谷村がドンピシャで合わせヘディングシュート。
さしものGK松原も弾くのみが精一杯でゴール上へと突き刺さり、いわきがとうとう攻勢を結実させて同点となります。

それでも勝利以外は不要であり、2点目は不可欠のいわき。
尚も果敢に攻め込みますが、そこに落とし穴が待ち受けていました。

34分、ロングパスを左サイドで新井がカットした水戸は、(バックパスで)保持に入ると見せかけて大崎縦パス→落合ポストプレイで、再び前への意識が高いいわきディフェンスの裏を突くように前進開始。
これが嵌ってまたも好機を迎え、大崎のスルーパスを受けた中島が、その勢いのまま左ポケットへ進入してシュート。
GK立川がセーブするも、ボールの勢いもそのまま勝ってゴールイン。
前線の守備もポストプレイも甘々な、純正リアルストライカーの神髄が発揮されて再度リードを奪った水戸。

またも2点が必要となってしまったいわき。
攻撃の最中でロストが目立つようになる、言わば焦りが顔を出す状態に。
それを尻目に水戸は38分、新井→飯泉へと交代(大崎が左ウイングバックに回る)して守備固めに入り。
その直後に、ボールと無関係な所での反則で警告を貰った飯泉ですが、彼を中央とする5バックで粛々とリードを守りきりに掛かります。

何とかしたいいわきは、40分に最後の交代。(柴田・谷村→大西・熊田)
直後の41分、五十嵐が落合の腕でのチャージを受けながらもキープ、そこから右→中央→左とサイドを移したのち山下のミドルパスが左ポケットへ。
受けた山口が、ワントラップでそのまま前を向きに掛かりましたが、櫻井に身体を入れられて倒れた事でラインアウトで終了。(反則無し)
その際に猛然と追い掛けたブワニカが櫻井を倒してしまう、ボディコンタクトの部分で苛立ちを露わにするという具合に、やはり焦りから良くない流れを強いられ。

それでも終盤を迎えた事で、いわきが猛然と仕掛ける攻撃に、途切れたのちも堂鼻の果敢なボール奪取も加わり継続性も高まり。
五十嵐の右からのクロスを、足を延ばしてヒールで合わせる技巧を見せたのは熊田ですが、枠には飛ばず。(45分)
そうして1点差のままアディショナルタイムに突入、流石にターゲットへのロングボールのみと、パワープレイの色を強めるしか無く。
その中でとうとう決定機が訪れ、堂鼻ロングパス→ブワニカフリックで、左ポケットで拾った山下がカットインを経て中央からシュート。
牛澤がブロックし、掻き出されたボールを山口が追撃、地を這うミドルシュートが間を縫うもGK松原がセーブ。
この跳ね返りを棚田が詰めましたが右へ外れてしまい決められずと、怒涛の3連撃を放ってもゴールを奪えなかったいわき。
仮に決めても時間的に厳しかったでしょうが、結果的に運気は残っていないという事を示すシーンとなりました。

結局1-2のまま試合終了。
残留決定の水戸と、昇格の可能性消滅といういわき。
最終盤らしい、明暗分かれた試合後の光景となったダービーマッチでしたが、来年以降も開催される環境(双方J2のまま)を維持できるでしょうか。
栃木の降格が決まり「北関東ダービー」がJ2から無くなるだけに

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DAZN観戦 2024年J2リーグ第35節 ロアッソ熊本vsレノファ山口FC

2024-10-25 16:32:18 | サッカー視聴記(2024年J2)

※前回の熊本の記事はこちら(33節・群馬戦、3-2)
※前回の山口の記事はこちら(32節・千葉戦、1-4)

<熊本スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • 32節(甲府戦、4-2)で負傷交代し、以降離脱していた唐山が復帰しスタメン出場。
  • 神代の負傷が発表され、9/16に発生して全治約5か月との事。
  • 前節(徳島戦、1-2)負傷した藤井の詳細が発表され、全治約6週間との事。

<山口スタメン>

  • 相田が累積警告により出場停止。
  • 32節の試合前に負傷し、以降離脱していたGK関が復帰しスタメン出場。
  • その関が今季限りでの引退を発表。
  • 32節で負傷交代した河野の詳細が発表され、全治約8ヶ月との事。
  • 酒井の負傷が発表され、発生日不明で全治約3週間との事。

前節で連勝が途切れたチームと、連敗が未だ続いているチームとの対戦。
勢いは前者の熊本に分がありそうですが、順位は後者の山口の方が上(10位)というねじれ現象。

それをさらにややこしくしたのが自然環境で、(メインスタンドから見て)左から右への強風が吹き荒れる一戦となり。
何処からどう見ても難儀という試合が幕を開けました。

コイントスでコートチェンジが行われ、前半は向かい風となった熊本。
しかし放送席(解説=松岡康暢氏)によると、熊本サイドがそれを選んだとの事であり。
あえて向かい風の方を選ぶのは後半勝負の思惑の表れ、というのが一般的ですが、熊本の強風での試合といえばこの試合(14節・アウェイ水戸戦、0-2)の事を思い出し。
この日も後半追い風だったものの、その試合運びがあまりにも拙く、攻め手を掴めないまま失点を重ねての敗戦。
この内容が熊本サイドの脳内に印象付いていた、という邪推を生んだこのコートチェンジ。

かくして向かい風となった前半、その3分に自陣でのこぼれ球に対し、GK田代は地を這うフィードを選択する事で風を無効化させて前へ送り。
石川→唐山と経由し、唐山のドリブルで左サイド奥を突き、逆風にも負けない攻撃で得たコーナーキック。
しかしここでも容赦の無い逆風、それを嫌がるかのようにショートコーナーを選ぶも、山口の出足の良いプレスを受けGKまでの戻しを強いられて終わります。

この弱気な姿勢が山口ペースを生む事となり、以降空中戦を中心にゲームを支配しに掛かる山口。
5分に浮き球での攻防から、吉岡足下でフリック→若月右奥へ運んだ所で(江﨑に)反則を受け、右ワイド深めからのフリーキックに。
これをキッカー新保は、追い風をフルに活用するように直接ゴールへ向かうボールを蹴り込み、ヘナンも跳び込む前でGK田代がパンチングと何とか防ぐ熊本。
直後に得た右スローインでは、相田が不在ななか佐藤謙がその代役を務める体制となり。
ヘナンや下堂もボックス内に入った事で、ロングスロー……と見せかけて近場に送り、受け直しからクロスを入れるも風の影響で精度を欠き。
佐藤謙がロングスローを投げられるのか?という疑問と、普段の残像を活かしての立ち回りを見せ。

ペースを掴んだ山口は、地上でゲームを作りたい熊本の思惑を封じ込めに掛かり。
つまりはハイプレスで、風に影響されにくい地上でのショートパス攻勢に活路を見出さんとする熊本への対抗策としては当然のものであり。
これが良く嵌り、熊本は3バックが右肩上がりとなり、前に出る大西を利用して運ばんとするもこれが悉く裏目に。
上村周にもキッチリマークが付く事でアンカーも経由できずに、次々とパスを遮断され窮地に陥ります。
9分には田邉がパスカットすると、その勢いのまま遠目から放ったシュートがブロックを掠めてゴールバーを直撃と、冷や汗を掻かせ。

この流れを打開できない熊本。
迎えた14分、ここも右サイドで詰まらされた末の縦パスを末永にカットされ、山口のショートカウンター。
そのままエリア内へパスを送り、受けた若月がカットインの姿勢からシュートを放つと、岩下のブロックを掠めてゴールに突き刺さります。
得意手のハイプレスが最大限に活かされ、先制点に辿り着きました。

スコアが動いた後も、強風が目立つ試合絵図。
16分に再び山口が右スローイン、佐藤謙は先程と同様の手口で短く入れ、その後の繋ぎを経て新保がこれまた先程と同様に風を利用したクロス気味のシュート。(枠外)
この後熊本が反撃し左CKに持ち込むと、向かい風なのもありアウトスイングを選択。
そのキッカーは豊田で、ニアに低いボールを入れ、収めた江﨑が中央へ横パスと変化を付けましたが実らず。
ここも、この環境下ではとてもファーへと届ける事は不可能という思惑での、弱気にも見える選択だったでしょうか。

しかし20分、GK田代のフィードが伸びずにバウンドするも、石川の落としから繋いで左奥へ運んで好機。
そして逆サイドに張り出してボールを持った大本がカットインしてエリア手前中央まで流れ、右へ展開ののち(豊田の)クロスが上がり。
クリアが小さくなった所を唐山がボレーシュートを撃ちにいき、これがミートせず前方へこぼれますが、丁度そこに居た石川がさらにダイレクトでシュート。
まさかのミスからのジャストヒットに、山口ディフェンスも虚を突かれた格好となってゴールへと突き刺さります。
ビハインドを引き摺る事無く、同点に追い付いた熊本。

かくして1-1となったものの、依然として展開は山口の方が有利。
熊本が攻め手の無い状態を強いられるのを尻目に、風を利用しながら幾度も好機に辿り着き。
29分に熊本最終ラインのロングパスをブロックした末永、これがエリア方向へ転がった所に、すかさず走り込んだ若月がシュート。
しかしGK田代がこれを何とかセーブし、持ち込まれたCK攻勢の2本目で、ショートコーナーからの繋ぎを経て左から新保のクロスがニアに低く入り。
これを下堂が身を倒しながらヘディングで合わせるも、枠を捉えられず決められません。

熊本は相変わらず右サイドで詰まるのを受け、24分に一度左サイドでのショートパス攻勢で山口のプレスを打開し。(奥へのスルーパスに唐山が走り込んでCKに持ち込み)
それでも根本的な解決とならず、以降修正を施します。
大本が下がり目でボールを受け、出口にならんする動きを取り始め。
それに伴い豊田がボランチ寄りになる、可変……というよりは、守備時は大本が最終ラインに降りて守る絵図となり。
即ち大本がウイングバックで、豊田・上村周のドイスボランチと化したようでした。
つまりは今季前半に取り入れていた、3-4-1-2のシステムへと先祖返りするかのような布陣に。(トップ下は石川とはならず小長谷のまま)

これにより右で大本のキープを利用しながら、山口サイドを寄せたのち中央→左へと展開してから前進という道筋が出来上がり。
しかし肝心のフィニッシュには繋げられずに時間が進み。
そして終盤、再び山口が押し込みから右スローインを獲得という運びになり、今度こそ佐藤謙はロングスローを放り込み。
ここからアディショナルタイムにかけ、スローインの連続で揺さぶり続ける山口。
最後は新保のミドルシュートが唐山にブロックされ、こちらも結局モノに出来ず終わります。

1-1のまま後半開始……の前に山口は選手交代。
前→板倉へ交代と、後半向かい風になるのを受けて後方の高さを補填しに掛かったでしょうか。

一転追い風となった熊本ですが、水戸戦を彷彿とさせるように、この日も後方からのロングパスが伸びすぎて繋がらない絵図が目立ち。
相手がそんな慣れなさを見せているうちに、立ち上がりから攻め上がる山口。
しかし獲得した右CK(後半5分)では、キッカー新保はニアに低いクロスを選択と、やはり前半とは違う環境での攻めを強いられます。
それでも直後の右スローインからの繋ぎで、クロスが跳ね返されたのちも尚も左サイドで細かいパスワークに入り。
この局面での、バックパスを交えて熊本ディフェンスを引き付けながらの崩しは山口の十八番といった所で、ここも例に漏れず田邉バックパス→板倉1タッチパス→田邉受け直して持ち運びからパス→吉岡スルーでディフェンスを外し。
受けた若月がカットインした所に、上がっていた田邉がスイッチ気味にダイレクトで強烈なシュートを放ちましたが、GK田代のセーブに阻まれ勝ち越しならず。

風向きが変わっても(風自体が変わった訳では無いが)、劣勢ぶりは変わらないといった熊本。
しかし9分、山口はGK関のフィードが風で戻され、慌ててヘナンがヘッドで送った所をカットして攻撃開始に。
ここはフィニッシュには繋げられずも、これで風を味方に付ける機運が高まったでしょうか。
10分、中盤での空中戦を制したのち三島の縦パスを受けた石川、そのまま遠目からロングシュートを狙い。
これが風にも乗り、ゴール右を襲うボールとなりましたがGK関が辛うじてセーブ。
続く右CKでは、前半のアウトスイング一辺倒から一転して豊田がインスイングでゴールへ向かうクロスを入れる(ゴール上部に突き刺さる枠外)という具合に、徹底して風を使いに掛かります。

山口は板倉投入により、新保を前に上げた3センターバックの色が高まり。
ヘナンが左ワイドに開いて持ち上がるといった積極性を見せ、それにより新保を中心とした攻めの威力も強まります。
人数を掛けて繋ぐなか、やはりバックパス→スルーパスで熊本ディフェンスを釣り出してスペースを作る組み立ては秀逸であり。

熊本は布陣変更の影響もあり、守備時に右サイドを押し込まれる所為ですっかり大本が突破力を生かす余地が無くなり。
そのためか18分にベンチも動き、その大本に代えて東山を投入します。(同時に唐山→松岡へと交代)

その直後山口に決定機(19分)、ヘナンの左ワイドの突破から、中央→右へと展開されたのち野寄のアーリークロス。
これに裏抜けのように跳び込んだ末永がヘディングシュートを放ち、ゴールネットを揺らしたものの、オフサイド判定に引っ掛かり惜しくも勝ち越しは幻に終わります。

その後も山口の前線の動きは勢いを増し、21分には若月が出足良くロングパスをブロック、そしてこぼれ球を拾いにいく(江﨑がカバーして防ぐ)という圧力を見せ。
しかし熊本も追い風でフィードを利用できる環境にあり、24分岩下がプレッシャーを受けるや、戻しからGK田代がロングフィードを一気に左サイド奥へと届け脱出。
ここから細かい繋ぎを経て左ポケット奥を突きCKに持ち込むと、今度は小長谷がゴールへ向かうクロスであわよくば……という場面を作り。
良い攻めは見せる熊本ですが、こうしたシュート以外での好機に終始した結果、公式記録上シュート数は前後半通じて2本という少なさだったこの試合。

25分に山口ベンチも動き、野寄・若月→奥山・小林へと2枚替え。
投入された2人での2トップとなり、末永が右サイドハーフに回ります。

その後も山口は押し込みますが、27分にはそのポジションを移した末永が右奥へ持ち込んでクロス。
これがブロックに阻まれたのち跳ね返されると、その上村周のクリアボールは狙っていたかのように一気に最終ライン裏に渡り、走り込んだ石川に繋がるカウンターと化してしまいます。
そのままドリブルでエリア内でGKと一対一に持ち込んだ石川、前に出て来たGK関を左にかわし、後は中央から撃つだけという局面に。
しかしコントロールに難儀した所に、下堂のタックルを浴びてしまい結局撃てず、決定機を逃してしまいました。

32分に熊本は小長谷→大崎へと交代。(石川がトップ下に回る?)
明確なターゲットを入れた事で、この後彼にロングボールを届ける意識が高まり。
それでも、本来の姿では無いその熊本は、さして主導権を握る事が出来ません。
35分に山口は、再び右スローインで佐藤謙が短く入れるフェイクから、その佐藤謙のクロスを末永が合わせヘディングシュート。(ゴール左へと外れる)

この後、山口の攻め疲れもあり中々局面が動き辛い展開に。
38分に熊本が最後方で作り直しという絵図になると、前に出てパスを受けた江﨑がロングパス。
これが田邉のブロックを掠めると、あろう事か新保の鳩尾に入ってしまうボールとなり、痛んで倒れ込む新保によりブレイクとなる試合。
こうしたハプニングが目立った事も、その試合の動かなさを証明するに至ってしまったでしょうか。(新保は無事にプレー続行)

終盤を迎えた事で、大崎狙いを中心として、ロングボール攻勢へと本格的に舵を切る熊本。
体力が落ちてきた山口は、それを跳ね返し自身のターンにする余裕は既に無く。
42分に佐藤謙→ユーイェンに、ATに末永→平瀬へ交代するも、流れを変えるには至りません。
尚、平瀬はお馴染みの最前線では無く、そのまま末永の居た右SHに入る形に。

結局試合はそのまま動かず。
熊本はやはりロングボール攻勢に慣れておらず、度々放り込むもフィニッシュに繋げられずに時間を潰してしまい。
そのまま1-1で引き分けとなり、改めて難しい試合だったという事を実感した一日となりました。

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DAZN観戦 2024年J2リーグ第35節 清水エスパルスvsモンテディオ山形

2024-10-24 16:00:35 | サッカー視聴記(2024年J2)

※前回の清水の記事はこちら(27節・甲府戦、3-0)
※前回の山形の記事はこちら(33節・甲府戦、2-1)

<清水スタメン>

  • 前節から昇格リーチで、今節はさらに条件緩和となり勝利で無条件で確定。引き分けの場合は3位・長崎が引き分け以下、敗戦の場合は長崎も敗戦で昇格確定。
  • 森重が謹慎ののち契約解除(社会規範・チーム規律に違反したとの事)となり、今節をもって登録抹消。

<山形スタメン>

  • 菊地は清水からのレンタル選手なため出場不可。
  • 西村の負傷が発表され、10/3に発生して全治約3ヶ月との事。

首位の座を巡って、横浜FCと激しい鍔迫り合いを繰り広げている清水。
その成果は、2チームとも同時に昇格リーチを掛けるという顛末に表れ。
残念ながら前節(水戸戦、2-2)では決められず、同時に首位を明け渡す格好となりましたが、ホームに戻り改めて悲願達成といきたい所。

相手は山形で、目下5連勝中でプレーオフ圏に向けて邁進している最中の強敵。
その相手に対し立ち上がりから地上での繋ぎを軸とした攻勢、高い位置を取る右サイドバックの原へとパスを繋げ。
そしてクロスをチラつかせながらゴールを窺う(前半2分に右ハーフレーンからクロス気味にシュート、枠外)という、ストロングポイントを押し出し。
6分に最終ラインからパスを受けた原、ポケットへのスルーパスを選択すると、裏に抜けた北川が走り込むシュートチャンスの絵図に。
しかしGK後藤雅が前に出て、シュートするというまさにジャストのタイミングでブロックを敢行、キッチリと防ぎます。

そんな清水の攻勢は10分程続き、順位・クラブ規模が示す通りの力量差を感じる事となった山形。
しかし目標達成のためには、何処が相手であろうと負けられない立場であり。
強力な布陣に対抗できる手段の組織力を発揮し、互角の展開に持ち込まんとします。

山形の布陣は常時4-2-1-3と紹介されているものの、実態は4-2-3-1と大差無いものといっても良く。
即ち清水に対しミラーゲームに持ち込むのが容易であり、守備時に4-4-2へと可変するのもお互いに同じ。
そんな状況で、両ウイングを下げ気味にして相手SBに付かせる意識を高め、跳梁を防ぎに掛かりました。

それによりマンツーマンの色が濃くなる試合展開。
それを避けようと、清水・山形とともにボランチ1人が降りて3枚での最終ラインによる繋ぎを試みる場面が増えていき。

18分の清水のボール保持、左に開いた乾がパスを受けるも、高江の執拗なプレッシャーを浴びてラインアウト。
するとスローインを素早く投げ入れる山形、裏を突く事に成功し、土居がエリア手前からカットインシュート。(GK権田セーブ)
プレス回避をさせない事で、次第に山形へと針が振れる流れ。
23分にもハイプレスでパスミスを呼び込み、中央で拾ったディサロが前進を経てエリア内からシュート。(高橋祐のブロックを掠め枠外)

一転して苦戦の色を表した清水ですが、それにより山形の保持の色が高まると、こちらも前線の守備が嵌り始め。
27分、最終ラインから左へ展開した山田に対し、内切りから寄せた乾はバックパスを防ぎに山田の後方へ回り。
それを見た山田がバックパスから横パスへ切り替えるも、この咄嗟の判断がズレを呼び、中央へ転がったボールを北川がダイレクトでシュート(GK後藤雅キャッチ)と後方を脅かしに成功します。

地上での攻防が見応えある一方で、浮き球即ちロングボールによる攻めは、風の影響(前半は山形が追い風)もあり難儀する展開に。
31分の山形、GK後藤雅はその風を利用するように高いフィードを送ると、合わせられずバウンドした所にイサカが走り込み。
クリアされるもセカンドボールの回収で保持に入り、左サイドで高い位置を取った山田に渡り。
しかしその後パスを受けた土居がカットインに入った所、北川を倒してしまい反則を取られて途切れてしまい。
このフリーキックで清水もGK権田がロングフィードを選択し、逆風を物ともせず最前線の北川の上空へ。
そしてこちらもクリアボールを拾って攻撃に入ると、カルリーニョスが中央突破から間を抜くパス、ブラガのポストプレイがディフェンスに遭うもこぼれ球がエリア内左に転がる好機に。
走り込んだ乾の柔らかいクロスを頭で合わせたのは宮本で、伏兵的なボランチのヘディングシュートが決定的なフィニッシュと化しましたが、これをGK後藤雅が片手一本でセーブ。
この完璧なフィニッシュに守護神が立ちはだかった事で、以降清水はシュートを量産しそれを崩すという流れが組み上がったでしょうか。

序盤とは逆に左から、カルリーニョスの突破力をフルに生かし攻め掛かる清水。
時には、先程の決定機のように中央から強引に突破も見せるなど、ボックス内への進入を重ねて脅かすカルリーニョス。
43分には住吉のボール奪取からのカウンターで中央突破し、右への展開ののちブラガ→乾と経由、その乾の1タッチパスをエリア内で受ける状況に。
しかしディフェンスに遭い撃てずに終わったカルリーニョス。
結局狙いとは裏腹に、チーム全体もフィニッシュを撃つ事無く前半を終える事となりました。

共にハーフタイムでの交代は行わず。
そして始まった後半、やはり展開は変わらず、清水がカルリーニョスを活かす立ち回りで流れを掴まんとします。

後半2分、右→中央→左とサイドを移すパスワークを経て、ワイドで受けたカルリーニョスがカットイン。
そして中央まで流れシュート(枠外)と、早速のフィニッシュで膠着状態を打ち破りに掛かり。
続く3分には、最後方での繋ぎも、左に開いた吉田豊を飛ばしてカルリーニョスに直接届けるセンターバック。
すると前方の乾の突破を利用し、スルーパスに走り込む役割となったカルリーニョス、送られた乾のパスに走り込んでポケット奥から低いクロス。
中央に北川が走り込むも、その手前でGK後藤雅が反応しキャッチと、やはり守護神の壁は厚く。

当然ながら、山形もそれだけで怯む様子は見せず。
しかし対抗してボール保持から前進を図る所、襲い掛かる清水のプレッシング。
特に右へと追い込まれ、城和・山田・高江の3人によるパスワークで脱出せんとするも、果たせず遮断されるシーンを膨らませてしまいます。

これで攻撃権を確保した清水は、9分に左での前進姿勢で、住吉がライナーで縦パス→乾が収めるという変節で山形のハイプレスを怯ませ。
ここからエリア内へミドルパスが送られ、走り込んだカルリーニョスが左奥で受け、切り返しからのキープを経てクロス。
この低いボールにニアで北川が跳び込むも合わず、その奥のブラガも山田に倒された(反則無し)事で撃てず。
しかしすかさず山形は清水の背後を突く攻め、高江の縦パスを受けたイサカが斜めに切り込んで右ポケットへ侵入。
そしてカットインからシュートが放たれるも、ブロックを掠めてゴール左へ外れ。
折られても対抗姿勢は崩さない山形。

11分にはGK後藤雅に対しプレッシャーを掛けた北川が、フィードののちのアフターチャージで反則・警告を受ける事態に。
しかし続く12分、再びプレッシングを機能させて苦し紛れのミドルパスを宮本がカットしてショートカウンター(右に展開ののち原がクロス)と、清水サイドも一つの失敗では怯みを見せず。

意地同士のぶつかり合いという絵図ですが、山形はプレス回避がままならない状態をどうにかしたい所。
ディサロが降りてミドルパスを受けにいくという立ち回りを見せ、それを果たさんとします。
15分にその形(小西のミドルパスを収める)で持ったディサロがディフェンスに遭うも、こぼれ球を繋いで左から前進。
土居が山田とのワンツーでポケットに進入成功しますが、宮本との競り合いで倒してしまった事で反則を取られ、その後クロス→(ディサロの)シュートでネットが揺れたもののフイとなってしまい。

ここから再度清水のターンへ。
17分に乾がカルリーニョスとのコンビネーションで左奥を取り、カットインでGKの眼前まで切り込んでクロス気味のシュート。(GK後藤雅がセーブ)
その後のCKからも高橋祐のヘディングシュートを連続で放つ(最初は安部がブロック、二次攻撃を経ての次弾はGK後藤雅がキャッチ)など、フィニッシュを膨らませて相手の守護神粉砕に努めます。
(20分に宇野→中村へと交代)

一気に劣勢となった山形、自身でのボール保持も良い所がなく、ロングボールでの打開も向かい風により冴えずに終わるという悪循環。
22分、その狭い間隙を突くように、最終ラインから右への展開ののち國分(清水のセットプレーに対する守備でサイドを移していた)のアーリークロスが低いボールで入り。
これにディサロが足から跳び込んで合わせますが、ジャストミートせず右サイドネット外に終わり。
そして再び始まる清水の攻勢に、反抗を試みるものの屈する場面(つまり自陣で前進を阻まれる)が多く。
25分にはロングパスで打開を図るも前に出た住吉がカット、そのまま斜めの縦パスを乾に送り、その乾の横パスからブラガがエリア内へ切り込み。
山形サイドが前に出たため、そこにスペースがポッカリ空いているという絶好機となりましたが、山田のスライディングでのカバーで何とか撃たせずに防ぎます。
好機を続けるも、肝心の得点は奪えない清水は直後のCKの前にブラガ→矢島へと交代。
これによりキッカーはその矢島が務める事となり、変化を付けて守備網を破らんとします。(このCKからは、クリアボールを乾が撃ちにいくもミートせず)

28分、再び劣勢のなかの一刺しという感じでディサロに好機が生まれた山形。
中央を安部ミドルパス→ディサロ→イサカと浮き球で繋ぎ突破し、そのイサカのスルーパスで左への展開ののち、土居のクロスがファーサイドへ。
これを走り込んだディサロが脚で合わせましたが、これも枠を捉えられず。
それと同時に山形ベンチが動いた事で、お役御免となるディサロ。
彼に代えて高橋潤を投入、それに併せ土居・國分→後藤優・坂本亘と、合計3枚替えを敢行する事となりました。

しかし直後の30分、ついに屈する事となり。
清水は左スローインからの繋ぎを経て、乾のサイドチェンジにより逆の右サイドで攻撃。
浅い位置でのパスワークから矢島のアーリークロスが選択されると、クリアが小さくなった所を拾ったカルリーニョスがシュート。
エリア内からのフィニッシュで、これもGK後藤雅がセーブしますが、反応良くこぼれを詰めた北川がついにゴールネットを揺らします。
念願の昇格決定を齎すべくの、先制点に辿り着いた清水。

尚も33分、左スローインからサイドを変えるという同パターンを経て、右から入った原の低いクロスをカルリーニョスが合わせシュート。(枠外)
追い掛けたい相手に攻撃させないという、理想形を描く事で昇格を現実のものにせんとする清水。

それだけに、予想外の出来事には極端に弱くなってしまったでしょうか。
35分の山形、安部が一気に裏へロングパスを送ると、逆風を突いて伸びたボールを走り込んだ坂本亘が収め左ポケットへ侵入成功。
そして溜めを作り上がってきた高橋潤に託すと、その勢いのまま切り込んで奥からシュートを放った高橋潤。
角度の小さい場所ながら、GK権田のニアサイドを破りゴールに突き刺さります。
可能性の低い所を通した、清水サイドにとってはまさかの連続といった同点弾となりました。
直後に山形ベンチは川井→岡本へと交代。

山形サイドも、得点の後は城和のロングパスで後藤優を走らせるという、それと同一パターンによる攻めを見せ。
改めてお互い勝ち越しに向けての勝負となった終盤戦。

地上でのパスワークを冴え渡らせる清水ですが、思わぬ失点で余裕が失われたか、立ち上がりのような右の原を押し出す攻撃へと傾倒。
39分にその原の奥からのクロスでCKを獲得すると、このタイミングで3枚替えを敢行します。
吉田豊・カルリーニョス・北川→高木・西澤・タンキへと交代すると、この右CKから、投入されたタンキがいきなりヘディングシュート。(枠外)
徳島戦(順延29節、2-1)で機能した、彼の長身とパワーを活かしての攻めに振りきったでしょうか。

しかしその直後、山形は速攻でイサカが右サイドを突破するところ、交代で入った高木が反則で止めてしまい警告を受け。
これにより右ワイドからのFKへ移行すると、高江・小西のボランチコンビがキッカーに立った山形、高江のフェイクを経て上げられた小西のクロスが外から巻いてファーサイドへ。
清水ディフェンス全てを越えたその奥で、合わせてヘディングシュートを放ったのは元清水の後藤優。
1点目と似たような角度から放たれたフィニッシュがまたも狭い所を破り、逆転に成功します。

奈落に突き落とされるような「恩返し弾」に、笑えない状況となってきた清水。
先程の交代により、原と高木のどちらかが最終ラインに降りる3-4-2-1への変更も脳裏を掠めたものの、結局は変更無くその後を戦い。

リードを守る立ち回りへ入る山形により、ボール保持に活路を見出すしか無く。
何度もボックス内を突かんとしますが、守備意識を高めた山形の前に、これまでの流れのようにいかずフィニッシュに繋げられません。
その過程で、山形は山田と小西が同時に足を攣らせて倒れ込む事態が発生。
山田はすかさず坂本稀に交代させたものの、これで交代枠を使いきったため小西は続行となり、ピッチ外→復帰で戦列に戻ります。

そして突入したアディショナルタイム。
押し込み続ける清水、何でも良いから同点弾が欲しい状況に。
CKから、クロスの跳ね返りを拾った乾のミドルシュートが左ハーフレーンから放たれるも、サイドネット外に終わり果たせません。

最後はやはりCKで、GK権田も上がって総動員でゴールを狙う清水。
矢島はその権田に向けてクロスを送るも、越えた奥で高橋祐が足下でのポストプレイの形でエリア外へ流し。
そしてまたも乾がミドルシュートを放ちましたが、枠を捉えられず。

直後に試合終了を告げる笛が鳴り、ファイナルスコアは1-2。
勝利した山形は6連勝と、果敢な追い込みを見せるもののプレーオフ圏にはまだ届かず。

一方の清水、残り3試合あるとはいえ、引き分けに終わった前節に続き後味悪く終わり。
前年の悪夢に捕まるか、それを断ち切るかの二択という状態ですが、無事に後者で関係者を安心させる事が出来るでしょうか。

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