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ぶらりドリブルの旅

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DAZN観戦 2024年J2リーグ第38節 V・ファーレン長崎vs愛媛FC

2024-11-16 16:01:20 | サッカー視聴記(2024年J2)

※前回の長崎の記事はこちら(37節・千葉戦、2-1)
※前回の愛媛の記事はこちら(34節・栃木戦、1-1)

<長崎スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • 自動昇格の条件は、勝利してかつ2位・横浜FCが敗戦の一点のみ。これで1差の得失点差も逆転出来、2位浮上を果たせる。

<愛媛スタメン>

  • 松田が累積警告により出場停止。
  • 森脇が今季限りでの引退を発表。前節(山口戦、1-1)のホーム最終戦で引退試合が行われスタメン出場し、今節はベンチ外。
  • 今野の負傷が発表され、10/26に発生して11/1に手術実施、全治約4ヶ月との事。

残留は決まったものの、10戦未勝利で最後の試合を迎える事となってしまった愛媛。
順位も降格圏のすぐ上である17位まで転落と、これまでの貯金で食い繋ぐという定型詞を地でいくなかで、(森脇の引退試合も前節終えた事で)何とか勝利で締められるかの一点のみと化した最終戦。

一方の長崎は、「勝利しなければならない」試合。
仮に2位浮上を果たせなくてもプレーオフがありますが、手早く昇格が決まるならばそれに越した事は無いのは言うに及ばず。

愛媛の未勝利試合の軌跡を辿ってみると、昇格を争うクラブには悉く敗れている(横浜FC・岡山・山形・千葉・仙台)のが厳しい所。
シーズン序盤から中位を維持してきたものの、やはり上を目指すには一段も二段も足りないという現実を突きつけられた終盤戦となり。
そしてこの試合も、昇格を目指して戦う長崎とぶつかる事になりました。

前半1分、自陣でのコントロールミスからジェズスに奪われ、すぐさま横パスを受けた名倉がミドルシュートと早くも脅かされる愛媛。
これがブロックを掠めての枠外となった事でコーナーキックと、ひとしきり押し込まれてのスタートを強いられます。

前半は最終ラインからの繋ぎで、ゆったりとした攻撃スタイルが特徴である今季の長崎。
この日も入りで主導権を握った事で、そのサッカーを徹底せんとします。
4分にはGK若原への戻しから右の増山へフィードを通してプレス回避、その増山もサイドチェンジ気味に左へフィードと、長短をふんだんに使って好機を演出。(受けた笠柳から、中央をショートパスで崩さんとするもシュートには繋がらず)

そんな強敵相手に対し、躊躇わずにハイプレスを仕掛ける愛媛。
それは一定の効果を生み出し、6分にパスミスを誘発させて拾ったユイェチャンからショートカウンターを仕掛け。(すぐさま曽根田へ縦パスを送るもカットされる)
続く7分にもパスミスを石浦が拾って速攻を仕掛ける(ドリブルから窪田へパスもカットされる)も、その後の精度の低さもあり有効打とはいきません。

それでもファイティングポーズを保つ愛媛は、さらに13分長崎がヴァウドのコントロールミスを窪田が拾うという絶好機。
しかしタッチが大きくなった所をGK若原が前に出てキャッチと、ここもシュートに結び付けるだけの精度に欠く絵図に。

すると14分、愛媛が最終ラインでやらかしてしまう側となり、右サイドでの繋ぎが短くなった所を名倉が素早い反応でカット。
こぼれ球をエリア内で拾ったジェズスが、慌てて戻る愛媛ディフェンスを尻目にそのままシュートを放ち、ゴールネットを揺らします。
3度のボールゲインでもシュートを打てなかった愛媛と、2度ともシュートに繋げたうえに2度目をしっかりモノにした長崎と、早くも格差が付く事となりました。

苦しくなった愛媛ですが、まだ序盤という事もあり攻撃の形の構築に掛かり。
17分に遠目からのフリーキックで放り込みを選択し、エリア内中央のダンカンを狙うも実らず。
しかし左スローインで継続すると、すかさずユイェチャンがアーリークロスを上げ、これがファーの小川の足下に。
ピンポイントで(小川の)ボレーシュートに繋がるも、枠は捉えられず。

長いボールでの好機に、これを軸とした攻めで打開を図り。
以降もスローインからの組み立てを経てのミドルシュートを連発と、早めの勝負が目立った愛媛の攻撃でしたが、あくまでペース確保のための手段だったでしょうか。
25分にGK徳重からショートパスでの前進が試みられると、サイドを振りながらの繋ぎを経て左サイドから窪田がカットイン。
そのまま中央へパスを送り、中に絞っていた尾崎ポストプレイ→窪田1タッチパスでエリア内を突き、崩しきったと思われましたがダンカンがこれを収められずに終了となり。

これを機に、その後もショートパス主体で攻撃機会を確保し、かつ長崎に攻撃させないという時間を作り。
つまりは主導権を握る事に成功した愛媛、その成果はすぐに表れます。
31分最終ライン→右サイドでの繋ぎでプレス回避に成功してそのままパスワークで前進し、アタッキングサードで石浦スルー→ダンカンを経て中央からの崩し。
そのまま2人のパス交換でボックス内を突いた末にダンカンがシュート(ゴール右へ外れる)と、良いリズムでフィニッシュまで持っていく流れを構築。
すると34分にも右サイドでの繋ぎから、中央→左ポケットとサイドを変えつつチャンスエリアを突き。
ユイェチャンのグラウンダーのクロスをニアで受けたダンカンがシュート、安部のブロックに阻まれるも、尚も拾って逆サイドからの崩し。
そして同様に右ポケットを突いて尾崎のクロスが入り、ニアで田中がブロックに入るも、軌道が変わる形でそのまま左サイドネットに突き刺さり。
鋭い崩しにより誘発したオウンゴールで、同点に追い付きました。

これで愛媛は精神的に優位に立ったでしょうか。
38分、最終ラインでのボール奪取からの繋ぎを経て、尾崎の縦パスを受けた曽根田がすかさず中央へミドルパス。
最終ラインで繋いでいた事で長崎が前に出たのもあり、中で絞っていた窪田はそのまま1タッチで裏を突くパス、これにダンカンが抜け出すという絶妙な好機を生み出します。
しかし前に出たGK若原・クリアにいったヴァウドと縺れ合ってシュートは打てず、逆に痛み長らく倒れ込んでしまう(GK若原も)絵図となり。

何とか無事だったダンカンは、40分に自陣左サイドでパスを受けるとそのまま長距離をドリブル。
中央を伺いながら最後はスルーパスを選択し、これがカットに遭うもエリア内へこぼれた所を、走り込みを止めなかった曽根田がシュートと決定機。
しかしGK若原が脚でセーブ、こぼれ球を深澤が追撃するもゴール左へ外れと、守護神に立ちはだかられたのもありモノに出来ません。

すると落ち着きを取り戻した長崎が襲い掛かり。
アディショナルタイムに突入し、GK若原からの繋ぎでプレッシングをいなし、サイドを振りながら前進と愛媛のお株を奪う地上での組み立て。
そして左から笠柳がカットインで中央へ流れた末に右ポケットへラストパスを送ると、受けたギリェルメのシュートが狭い所を抜いてゴールに突き刺さり。
プレスが実らなかった愛媛は戻って中央を固めていたものの、その外側から崩される格好となり、これがその後1点以上の効果を生んでしまったでしょうか。

ともかく再度リードした長崎、その後もジェズスが2本シュートを放って愛媛ゴールを脅かした末に前半を終わらせます。

共に交代無く、迎えた後半戦。
巻き返したい愛媛、再び最終ラインからショートパスでの前進を重視し、人数を掛けて崩さんと図り。
その意識が試合を動かすも、それが有利に働くとは限りません。

後半4分、森下の縦パスを石浦が反則を受けながらポストプレイ(アドバンテージ)、さらに深澤縦パス→ダンカンポストプレイと中央から縦に繋ぎ。
そして敵陣に入ると、倒された石浦も加わっての人数を掛けた攻撃に入り、森下左ワイド奥へミドルパス→窪田ポケットへポストプレイでエリア内での展開に。
ダンカンが中央でのキープを経てシュート、ブロックされた跳ね返りを谷本がミドルシュート(田中がブロック)と、連撃を放つも崩しきれません。

すると、尚も攻め続けんとした愛媛に対し、断ち切ったのちのクリアボールを右ワイドで納めたジェズスによりカウンターに入る長崎。
強靭な収めとドリブルにより深澤が振りきられ、攻めに人数を掛けていたためセンターバック2枚のみでの対処を強いられる愛媛、それをあざ笑うかのように右ポケット手前で切り返して2人を引き付けたジェズスが横パス。
完全フリーで走り込んでシュートしたのはギリェルメと、助っ人のパワーで完遂させた長崎がゴールに辿り着きました。
愛媛にとっては中央を固めての守備が通用しなかった2失点目を受け、多少のリスクを冒してでも攻撃に人数を掛ける事を選んだようでしたが、結局少人数ではジェズスのパワーに太刀打ちできず失点を重ねる格好に。

以降、リードを保つ事を重視する長崎により、この傾向は留まる所を知らず。
つまりは愛媛が長崎のカウンターの恐怖に晒されながらも、人数を掛けて何とか崩さんと攻め続けるという試合展開に。
サイドバックは、前半何度か見られていた「偽SB」の動きを、両サイドとも取り入れて目線を変えての崩しが試みられ。
それは2点差を跳ね返さなければいけないという開き直りか、ないしは2CB+ユイェチャンを中に絞らせてカウンターに備えるというリスク管理の思惑か。

後方待機するユイェチャンにより、3枚の最終ラインでの繋ぎが図られるビルドアップ。
これによりドイスボランチが、長崎2トップの背後で受ける状況が増え、そこからの前進に精を出す愛媛。
谷本・深澤の2人での組み立てに、石浦が係る事でトライアングルを形成してのパスワークと、本来の持ち味を発揮して攻撃権を確保します。

カウンター狙いへ移ったものの、押し込まれる流れとなった長崎。
先んじてベンチが動いたのが18分で、安部・笠柳→山田・松澤へと2枚替え。
安部よりも守備力の高い(と思われる)山田を投入する事で中盤の底を固めに掛かり。

しかしそれを見た愛媛は、石浦が降り気味にパスを受ける事で、下がり気味となった山田・秋野により出来たスペースを容易に突けるようになり。
1アンカー+2シャドーへと変形する深澤・谷本・石浦の3人により、そのスペースをふんだんに利用し執拗に中央からの崩しが図られます。
20分にターゲットとなるダンカンを退けた(藤原と交代、同時に曽根田→曽田へと交代)事で、地上で繋ぐ覚悟が据わったのも後押しし。

次々に縦パスで長崎ディフェンスの間を通し、チャンスエリアを突き続ける愛媛。
迎えた27分、ここも中央から森下を起点として縦パス攻勢、深澤→谷本→石浦と渡りエリア内を突き。
そして左寄りから放たれた石浦のシュートがゴールに突き刺さり。
理想形を貫き通した得点で、1点差に詰め寄ります。

勢いに乗る愛媛、尚も29分に再び森下縦パス→谷本前進からミドルパスと類似したパターンで中央から崩し。
受けた藤原がエリア内に進入してシュートするも、ここはジャストミートせずGK若原に抑えられ。

しかし怒涛の攻勢も、裏を返せば弱点を隠すものに他ならず。
直後の30分、自陣で山田がパスカットしたこぼれ球をジェズスが拾うと、またも襲い掛かるカウンター。
ドリブルで引き付けた末のスルーパスと、先程と同様の攻撃で完全に崩され、走り込んだ松澤のシュートでゴールネットが揺れ。
どうしてもジェズスを止められず、またも2点差とされてしまいました。
キックオフの前に、リードを広げた長崎はギリェルメ・名倉→中村・エジガルへと2枚替え。(ジェズスがインサイドハーフに回る)

まだやれるという姿勢を見せたい愛媛、33分に期待の若手である行友を投入(窪田と交代)し、その肥やしにせんとします。
その行友は、強度の高い長崎相手故に自慢の突破力は中々見せられずも、組み立てにしっかり加わる事でアピール。
37分に降りて谷本の縦パスをポストプレイで繋いだのちの前進を経て、谷本のミドルパスを左ポケットで受けた石浦がクロス。
グラウンダーでGKとDFの間を突き、足から跳び込んだ藤原は合わせられずも、逆サイドで繋いだ末に曽田がシュート(GK若原)と攻め切り。
苦しい点差となっても、諦めずに攻撃サッカーを貫きます。

しかしその攻勢も、何度目かの長崎のカウンター炸裂により吹き飛ばされ。
41分に愛媛はCKから何度も攻め直しを図るも、エジガルがパスカットからドリブルに入ると、これを止められずにまたもスルーパスを通され。
今度はジェズスが受けに回った結果GKと一対一が出来上がり、徳重を冷静に右へとかわした末にゴールへと蹴り込んだジェズス。
とどめとなる5点目で、勝利をほぼ確定させるに至ります。

尚も諦めずに攻撃を続ける愛媛ですが、守備意識を高めた長崎の前に、ミドルシュートを打ち続ける以外にフィニッシュの術は無くなり。(長崎は45分に増山→櫛引へと交代、米田が右に回り櫛引が左SBに)
自動昇格への夢を繋がんとする長崎を、阻めずに終わる事となりました。

5-2のまま、試合終了の笛が鳴り響き。
11戦未勝利で終える事となってしまった愛媛、シーズン後にはFWの中心だった松田が契約満了になるなど、新たなサッカーの模索に必死な姿勢を早くも見せ。
血の入れ替えにより、来季はこの不振ぶりを払拭してスタート出来るかどうか。

一方ミッションを完遂した長崎ですが、ほぼ同時に試合終了となった横浜FCが引き分けに終わり。
その結果横浜FCが2位を確定させた事で、残念ながら悲願の自動昇格には届かずとなりました。
勝ち点差1という僅差で、「あの時こうしていれば……」という思いに駆られ易くもなるでしょうが、それでもPOが3週間後に控え。
3位故に常時ホーム開催なのが強みなので、開場とともに常勝伝説を築いた新スタジアム(PEACE STADIUM Connected by SoftBank)の下、挑戦者を振り払い昇格に辿り着けるでしょうか。

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DAZN観戦 2024年J2リーグ第38節 レノファ山口FCvs横浜FC

2024-11-14 16:38:46 | サッカー視聴記(2024年J2)

※前回の山口の記事はこちら(35節・熊本戦、1-1)
※前回の横浜FCの記事はこちら(37節・栃木戦、0-0)

<山口スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • 前節(愛媛戦、1-1)出場停止だったヘナンがスタメンに復帰。

<横浜FCスタメン>

  • 相変わらず昇格リーチから決められない状況。しかし前節の勝ち点1で、引き分けでも昇格決定と僅かながら前進。(敗戦の場合は長崎が引き分け以下で昇格)
  • 前節出場停止だった高橋がスタメンに復帰。
  • その高橋の代役的にスタメンになった櫻川が、累積警告で入れ替わるように出場停止。
  • 今季限りでの引退を表明している武田が、4節(栃木戦、0-1)以来のスタメン出場。

奮戦虚しく、今期の昇格レースからは脱落が決定してしまった山口。
最大の要因である、終盤に喫した6連敗という成績はもどかしいの一言で、その最中にエース河野も負傷離脱と踏んだり蹴ったりとなり。
来季も同様のサッカーによる、同等以上結果を残せるかどうかが試される最終節は、開幕戦と同じカードと折り返しで締められる事になりました。

その相手の横浜FC、昇格寸前の足踏みにより、悪目立ちも甚だしいといった状況に。
そして迎えた最終節は、引退表明している武田をスタメンに組み込む・長らく戦力から外れていた立場の新井がベンチ入りなど、思い切ったメンバー選択を敢行してきました。

そんな風変りのメンバーで行われたサッカーは、一言で言えば堅い(硬い?)というものであり。
「一歩間違えれば……」という意識が強い状況故に仕方ないといえますが、とにかくリスクを排除する事を第一とした立ち回り。
後方からのロングボールを送り、山口のボールとなった所にゲーゲンプレスを掛けるという、「ストーミング」の色を目立たせる事となりました。

硬さが取れないなか、唯一冴え渡るのがその前線の守備。
今節を前に突如坊主頭に変貌した小川を軸としたプレッシングで、相手の山口にも余裕を与えず、ロングボール中心と自身と同様の立ち回りを押し付ける事に成功。

決定機を与えずにやり過ごす事で、次第に自身の主体的な攻撃へと舵を切り始め。
前半10分、ユーリのボール奪取から敵陣でパスワークに入り、サイドを振りながらの保持を経て最終ラインへ戻して作り直し。
立ち上がりの様子見は終わりか……と思われた刹那、ンドカの低いロングパスで右奥を突き、山口のクリアが逆方向へ流れた事でコーナーキックとやはり長いボールを軸とした攻めは変わらず。
そして福森の左足を活かしたセットプレーと、リスクを抑えたまま先制点を狙いにいく横浜FC。
しかしこのCKからは、エリア内での空中戦でカプリーニがヘナンを倒してしまい反則・警告と、今後このサッカーを駆使するには辛くなるカードの被害が出てしまい。

結局その後も横浜FCの慎重ぶりは続き。
前節積極性を目立たせた山根も、切り込みを選ばずアーリークロスという、本来?の姿へ逆戻り。
しかしこの日はこれが正解という雰囲気も伺えました。
スタメンに抜擢された左の武田も、攻撃の際はボールキープから戻し→福森のアーリークロスと、あくまで潤滑油に徹するような立ち回り。

そんな相手の姿勢に、攻めっ気を反らされた感のある山口。
18分、横浜FCが最終ラインでボール確保した所にプレッシャーを掛け、左サイドで山根を追い込む末永。
そして苦し紛れのミドルパスを新保がカットしてショートカウンターの体勢に入るも、佐藤謙のボールキープが反則気味に奪われて終了となり。
それでも、相手の思惑と立ち回りを掴んだ事で、ここからポゼッションの姿勢を高めに掛かります。
佐藤謙が最終ラインに降りる3枚でのボール保持により、ワイドに開く両センターバックという具合に、普段通りのスタイルを見せ始め。
そして前がボランチの位置に回り、野寄が下がって受けにいく可変を軸に前進を図ります。
この辺りは、武田の起用でイレギュラーな陣容である横浜FCの左サイドに対し、こうした可変の色を強める事で惑わせる狙いが出ていたでしょうか。

しかし22分の決定機は可変せずに、左から新保が対角線のロングパスを、高めの野寄に通さんとする手法から。
クリアボールを右ワイドで拾った前がカットインと、普通のサイドバックとしての振る舞いを経て放たれたミドルシュート。
これがゴールバーを掠める際どいフィニッシュとなり、昇格を決めたい横浜FCに冷や汗を掻かせ。

そんな状況もあり横浜FCは一層硬さに覆われてしまったか、流れの中で好機を生み出せずに時間を潰し。
31分にGK関のロングフィードを跳ね返しての好機、ユーリのスルーパスを受けたカプリーニがエリア内を突くも、ディフェンスに遭い撃てず。
しかし山口の後方からのロングパスを遮断という同パターンで継続すると、今度は直接カットしたガブリエウが前進を経てカプリーニに託し。
そしてやや遠目ながらミドルシュート(枠外)と、ハイプレスで蹴らせるという姿勢のみは一貫させ。
その先はカプリーニの才覚に任せるという、単純さが強いながらも間違いの無い選択を採ります。

これが奏功し、終盤まで攻撃機会を確保した横浜FCでしたが、フィニッシュは中々生み出せず。
期待を一身に受けたカプリーニは、ポストワークからのサイドチェンジありワンツーでの切り込みありと、多彩な手法による崩しで存在を輝かせるもののあと一歩届かず。

再びリスク回避を図りながら……という立ち回りの色が強まるも、45分にふとした隙から山口が新保の持ち運びで抜け出さんとした所を、ユーリが反則で阻止。
カードは出ず命拾いも、これによるフリーキックから、前半の最後は山口の攻撃ターンとなり。
一度はクロスを跳ね返すも最後方からの作り直しとなった山口は、佐藤謙が左へ展開するや、すかさず新保に掛けられたプレッシャーの背後を取ってリターンを受け。
ここから前進していき奥一歩手前でキープする新保が、ディフェンスの間を通してハーフレーンの佐藤謙に渡し、最後はその佐藤謙がミドルシュート。(ガブリエウがブロック)
今季の山口の特徴である、要所での相手のプレッシャーを利用した崩しが炸裂した末に前半終了となり。
何とか凌いだ格好の横浜FCですが、後半も我慢の展開を続けるのか選択を迫られます。

ハーフタイムでの交代は共に無く、今季最後となる(横浜FCサイドは「したい」でしょうが)残り45分。
その采配の通りに、後半も横浜FCの立ち回りは大きく変わらず、後半2分に縦パスを受けたカプリーニがボールを出し入れしての好機。
裏へのミドルパスを受けてポケットへ進入、切り返しでヘナンをかわした末にクロスと、攻撃の橋頭保の役割を果たし続けるカプリーニ。
そのカプリーニが受けた反則で得たFK(5分)から、福森の左足によるクロスで脅かすという具合に、あくまでシンプルかつベストな攻めを続けていきます。
それに合わせて山口もロングボール中心の攻めに傾倒と、前半の立ち上がりのような様相となってきた試合。

こうした展開により、間違いは許されなくなるのが厄介であり。
6分の山口のゴールキック、ロングフィードに末永が合わせられずも、流れたボールを若月が拾う形で好機。
そのまま追い越した末永へのスルーパスは遮断するも、拾った野寄に右奥を突かれてクロス(クリアされてCKに)と厚い攻めを許し。
相変わらず硬さが健在ななか、その間違いが起こる確率を減らさなければならないのが横浜FCサイド。
気になる他会場でも、3位・長崎がリードを保つ状態が続くだけに尚更であり。

10分、またも小倉の縦パスを受けたカプリーニが中央からエリア内へ突撃、ディフェンスに遭いこぼれたボールを小川→武田と繋いで左ワイドへ。
ベテラン武田の採った選択は1タッチクロスをチラつかせての中央への戻しで、小川を経由して受けた小倉がミドルシュート(佐藤謙がブロック)と、ラストダンスにより齎される味を加え。
尚も繋いで武田クロス→高橋利ヘディングシュートと攻め立て、CKに持ち込む攻勢を作ったものの、試合を楽にする先制点は奪えません。

その後もこの立ち回りを続ける横浜FC、引き分けOKという条件の下、意思統一はブレません。
しかし18分に再び間違いが起き、クリアボールを合わせたユーリのヘディングが逆方向に向かってしまい、拾った若月がンドカと競争に。
そのままドリブルで左奥まで持ち運んだところ、何とかンドカが遮断して撃たせず。
失点はせずも、こうした戻りを強いられる事で消費する体力面も気になる局面に。
ベンチはやはり最初に動き、21分にその体力面で不安のある小川を退け、室井を投入します。
これを受けて山口ベンチも動き、野寄→小林へと交代。(末永が右サイドハーフへ回る)

最早ボールポゼッションは、乱戦模様を避けるべくの手段というような展開に。
25分にその体勢に最終ラインで入った山口ですが、降りて受けた小林が小倉に詰められ、ボール奪取と同時に倒してしまい反則・警告。
これにより再度セットプレーからゴールを狙う横浜FC、ここからの攻めは実らずも、セカンドボールを確保して左サイド奥を突き。
細かい繋ぎのなか、高橋利の浮き球パスを腕でブロックする形となった下堂によりハンドの反則で、再びのFKと量産されるセットプレー。
左ワイドFKという位置でのこのFKから、キッカー福森ニアにクロス→ユーリ跳び込むも合わず→その奥で高橋利がヘッドと、電光石火的に繋げたものの枠を捉えられず。

こうした横浜FCの立ち回り(ならびに、普段のルーティーンともいえる福森のセットのゆっくりぶり)により、極端に少なくなるアクチュアリープレイングタイム。
山口も記録上は下位なため、望む所という思惑が絡んだのでしょうが、この日はそれが好循環を齎す事は無く。
ホーム故に攻勢の流れを作りたいのは当然で、31分に一挙3枚替え。
佐藤謙・吉岡・若月→田邉・山本・奥山へと交代。
カードを1枚残した事で、最後はパワープレイで平瀬投入か……と、シンプルに予想し易いものとなった采配。

尚も続けられる横浜FCのセットプレー攻勢でしたが、33分の左CKから、クロスの跳ね返りを拾った室井が奥山に奪われてカウンターに。
そのまま短期突撃で敵陣に切り込んだ所を、戻った山根が反則で阻止して警告と、何とか決定機だけは作らせないという必死な姿勢の横浜FCディフェンス。

そして36分、横浜FCは武田がラストダンスのお役御免となり中村と交代。(同時にカプリーニ→パウロへと交代、山根が左へ回る)
昇格へのレールを保つ、最後の仕事を無事に終えました。
すると山口も直後に平瀬を投入、末永と交代でやはり最前線に。(奥山が右SHに回る)

交代で流れを掴みたかった山口ですが、その後は前進の際にパスミスが目立つなどでロクに攻撃機会を掴めず。
その隙を突きたいといった横浜FCですが、無理に攻め上がる事はせず。
こうした、ややもすると低次元なぶつかり合いにより、極端に好機が減る流れで終盤に突入しました。
その最中に高橋利が足を攣らせた事で、最後の交代を敢行する横浜FCベンチ。(高橋利→伊藤、44分)

得点への期待は一向に膨らまずも、時間が押し迫った事で昇格への雰囲気は高まりを見せ。
それを阻止せんとする山口、ロングパス→平瀬落としという強引な手法を経て、アディショナルタイムに攻勢を掛けんとします。
それでも目立つのは相田のロングスローと、後方からのフィードのみ。
完全にアバウトな姿勢へと全振りになり、横浜FCもミス無く跳ね返せばいいというATに。

そして最後の山口の中盤からのFK、キッカー新保が平瀬を狙ったボールをクリア。
次の瞬間、試合終了を告げる笛が鳴り響き。
引き分けで勝ち点1を得た結果、横浜FCが念願の昇格へと辿り着きました。

その姿は苦しかったという一言が良く似合いますが、シーズン通して貫いた堅守が、最後の最後で最大の武器となったのも確かであり。
2年ぶりのJ1で、その時のメンバーも多く残る中、今度こそリベンジを果たせるか注目となるでしょう。
この終盤の失速ぶりでフロントがまた「これではJ1は戦えない」と乱心を起さなければ良いが

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DAZN観戦 2024年J2リーグ第37節 横浜FCvs栃木SC

2024-11-07 16:00:16 | サッカー視聴記(2024年J2)

※前回の横浜FCの記事はこちら(35節・仙台戦、0-3)
※前回の栃木の記事はこちら(34節・愛媛戦、1-1)

<横浜FCスタメン> ※()内は前節のスタメン

  • 35節から「あと1勝、ないしは相手(3位の長崎)が勝利できず」という昇格リーチだが、今節まで決められず。
  • 前節(岡山戦、2-4)出場停止だったガブリエウがスタメンに復帰。
  • 高橋が累積警告により出場停止。
  • 武田が今季限りでの引退を発表。
  • 負傷離脱から復帰の室井は、24節(水戸戦、2-2)以来の出場。

<栃木スタメン>

  • 前節(清水戦、0-1)の結果により降格が確定。
  • 長期離脱していた福森健が前節復帰して途中出場、今節スタメンに。

奮戦及ばず降格という結果になってしまった栃木。
それでも戦績を見れば、夏場の中断明けからは2勝(5分5敗)のみというものなので納得感もあり。

「J2・J3を往復するクラブ」の割合も近年膨れ上がっているJリーグ。
今季降格が決まった栃木や群馬も、2度目のJ3に足を踏み入れる事となりますが、昇格後の歩みから見ても依然として「J3に定着しても可笑しくない規模のクラブ」であり。
J2→J1への昇格と違い、それ自体が大したブーストにならないのは一目瞭然であり、定着のためには知恵と工夫そして手段が必要なのは明白。
補強と、それに掛けられる費用の面で苦しさがにじみ出る立場な以上、この段階でコケてしまえば低迷は避けられず。
来季は逆に這い上がるための努力をするシーズンですが、仮に1年で昇格を果たしても、復権には長期的視野が不可欠でしょう。

さて、この日の相手は昇格リーチの横浜FC。
といっても足踏み続きという、栃木とは逆の立場で藻掻いている状態を強いられているクラブ。
そしてこの日はスタメンを5人変更と、「あと一つ」をつかみ取るための采配が功を奏すか、それとも試行錯誤地獄に嵌るかの分水点の試合となったでしょうか。

櫻川が1トップに入った事で、アバウトなボールを前へ送るスタイル(ターゲット・裏抜け双方を使う)で入った横浜FC。
硬さが内容に表れるのが明らかな状況で、それを少しでも和らげる手法を取り。

言わずと知れた、そのフィードの中心となるのは福森晃ですが、この日は栃木も同姓の福森健がスタメンに復帰。
そして彼もプレースキッカーを務める、同等の立場となり。
10分に左サイドからの攻めでスルーパスを供給する福森健、すると櫻川のアフターチャージを受けて反則並びに警告対象となり。
これで得た遠目からのフリーキック、福森健は当然というべきか放り込みを選択し、中央へ上がったクロスに大谷が合わせにいくもGK市川がパンチングで掻き出し。
その姿に発奮を見せたか、福森晃の方も17分に左サイド中盤からのFKで放り込みを選択……と見せかけ、短く繋いだのちにンドカの放り込みと変化を付けます。

この「相手の上位互換を見せ付ける」ような立ち回りが奏功したか、その後栃木陣内で空中戦に持ち込まれると、クリアにいった福島のハンドを誘発。
これで中央やや左の、絶好の位置で直接FKを得た横浜FC。
当然キッカーは福森晃で、その「悪魔の左足」を炸裂させる舞台が整います。
そして満を持して放たれた直接シュート、外から巻く軌道で壁を越えたものの、ゴール左へ外れてしまいモノにならず。

流石にアバウトな立ち回りの一辺倒では苦しくなるのは明白で、20分が過ぎると、地上での繋ぎも選択肢に入れ始める横浜FC。
しかし室井や中野が裏抜けで良い所を見せていたため、これがズレを生んでしまったでしょうか。
23分にパスミスをラファエルに拾われて栃木が矢印を反転、左サイドを運んでいき、スルーパスに走り込んだ福森健が奥からクロス。
跳ね返されるも、拾った玄のミドルシュートがゴールを襲い、エリア内で(ンドカが)ブロックと何とか防ぎます。

この日の横浜FCは、やはり長いボールを使っていくのが費用対効果の面では有効で、29分に福森晃が対角線のロングパスを山根に通し。
その後カプリーニを走らせる浮き球パスは遮断されるも、繋ぎ直したのち自ら右奥へ切り込む山根。
クロスはブロックされるもコーナーに持ち込み、キッカー福森晃のクロスをガブリエウが合わせヘディングシュート(GK丹野キャッチ)と、クロス攻勢に舵を振っていき。
この日の山根は「大して切り込まず、精度の低いアーリークロスを連射する」という以前のイメージとはほぼ決別し、度々奥へドリブルしては、入れられるクロスの質も多種多様と変化を付け。
過去2試合の不調ぶりから脱却させたい、という意欲が如実に表れていた1人だったでしょうか。

後方から福森晃を中心とした組み立てと、前線で威力を発揮する山根・中野・室井というスピードアタッカーにより、再三ゴールに迫る横浜FCですが1点が遠く。
一方栃木の攻撃機会は散発的で、ターゲット(矢野)狙いのロングボールが(横浜FCディフェンスの強度により)全く有効打にならず。
そしてサイドからの攻めでたまにアタッキングサードに持ち込める、という流れで、一言で言えば不発。
45分に久々の攻撃チャンスが訪れ、横浜FCのプレッシングを引き付けて中央から運ぶ状況となるも、組み立てのためにボールキープする玄がプレスバックを受け奪われてしまい。
この試合ならびに現代サッカーにおけるスピードの重要性に、やや置いていかれた感じがするプレイメーカータイプの選手、という絵図に。
これのいなし方を発揮出来なければ、徳島ではレギュラーは難しいといった印象を残しました。

結局スコアレスのまま前半が終了。
膠着している故に動き辛く、ハーフタイムでの交代は無く後半開始。

長崎の結果をアテにする訳にはいかない横浜FCが、立ち上がりからロングボール中心で果敢に仕掛け。
後半3分に前線でカプリーニが反則を受け、右サイドからのFKでキッカー福森晃のクロスを、櫻川が中央で合わせヘディングシュート。(ゴール右へ外れる)
5分には小倉が右ワイドの山根へロングパスを通し、そのまま奥へ切り込んでクロスと、前半の攻めの流れを保ちます。

しかし栃木も、ボックス内の守備で何とかやらせず、無失点を保ち。
11分に一瞬の隙を突き、中盤でパスカットした福森健のドリブルが(山根に)反則で止められ、このFKで福森健がクロスを入れるという具合に同じ体制で応戦。

このぶつかり合いが副作用も生んでしまい、12分には室井のドリブルを反則で阻止した玄が警告を受け。
続く13分にはスルーパスを受けた石田が小倉のスライディングにより倒れた事で反則・警告と、お互いカードの量産体制に表れてしまい。
これがお互い、その後の展開を難しくしてしまった感があり。

先にベンチが動いたのは栃木で15分、カードを貰った玄を退ける采配を見せ大森を投入。(同時に石田→森俊に交代)
しかし尚も横浜FCが攻め上がる流れで、17分に長短のパスで中盤で動かした末に、右サイドで山根が裏へロングパス。
走り込んだ櫻川のクロスはブロックされるも、こぼれ球に対し素早く駆け込んだ山根が再度クロス。
低い軌道でニアを突いた所、ラファエルのクリアが入りましたがこれがあろう事かゴールへ向かってしまい、GK丹野がキャッチと危機一髪の場面に。

難しい展開と化した事で、このまま守りきるのも困難と判断した栃木。
その後右スローインの連続で深めまで押し込み、何とかこじ開けを狙う意識を見せるも実りは少なく。

そんな前掛かりになってきた相手に対し、横浜FCは22分のカウンター発動(左サイドでスルーパスに走り込んだカプリーニがクロス)を切欠に背後を突きに掛かり。
29分には右サイド奥でロングパスを受けたカプリーニ、切り返しから上げたクロスは実らずも、こぼれ球を繋げて再び彼の下へ。
今度は中央寄りという位置で、躊躇わずミドルシュートを選択したカプリーニでしたがゴール右へと外れ、どうしても先制点を挙げられません。
次第に燃料切れも露わになり、25分に中野・室井→村田・パウロへ2枚替え。
そして30分にカプリーニ→伊藤と、交代カードを切っていく四方田修平監督。

栃木ベンチも、31分に福森健・大島→高嶋・山本へと2枚替え。
これにより福島がウイングバックへと上がり、右に入った事で森俊が左WBと、ポジションチェンジが絡み。

時間も進み、お互い前への意識は強まるも、疲労感には勝てず。
そのため間延びした布陣となり、相手がそこでボールを持つと、撤退のみを早くしてリトリートに入るという具合に一変するサッカーの絵面。
前半からずっと、ボール保持で落ち着く時間が殆ど無い展開だった故に、その分消耗も早まってしまったでしょうか。

こうなると、これまで押され気味だった栃木にも勝つチャンスが生まれ。
投入された高嶋の長い飛距離のスローインにより陣地回復、そして敵陣でロングスローに繋げるという具合に、無理矢理気味ながらその風穴を広げんとします。

39分、ガブリエウのロングパスに詰めた山本がブロックし、ラインぎりぎりで拾い直した事でディフェンスに遭って左からその高嶋のロングスローに。
これが中央まで跳ぶボールとなり、矢野がフリックで合わせファーに流れた所に、足から跳び込んだ福島。
合わせれば1点という場面でしたが、ミートしきれずそのままラインアウト。
おまけにその福島が足を攣らせてしまい起き上がれない事態にまで繋がり、決定機逸の代償はあまりにも……と言いたくなるシーンに。
結局倒れたままピッチ外に移され、その後交代の運びとなります。(川名を投入、森俊が再度右WBに回る・42分)
同時に横浜FCも、小倉→井上へと交代。

昇格を決めたい横浜FCですが、ゴールどころか攻勢を保つ事すら叶わずに44分再度栃木の決定機。
またもロングスローで、今度は右から投げ入れた高嶋のボールが先程と変わらず中央まで届き、ラファエルが合わせヘディングシュート。
……と見せかけて実際はガブリエウのクリアがゴールに向かったもので、これが右隅を突く強烈なフィニッシュと化した所にGK市川が横っ飛びでセーブ、しかし容赦なく襲い掛かる大谷の追撃のシュート。
これもGK市川が倒れたままキャッチと防ぎきり、守護神ぶりを最大限に発揮。

この奮起を攻撃に繋げたい横浜FC。
45分に村田が左ワイドから切り込むも、栃木の堅守ぶりも依然として健在なためカットインに切り替え中央へ。
そしてミドルシュートと、何とかこじ開けんとするフィニッシュも高嶋のブロックで防がれ、試合はアディショナルタイムを残すのみとなります。

何とか1点が欲しい横浜FC、そのホーム(ニッパツ三ツ沢球技場)のスタンドの声援も悲壮感漂うものに。
中盤からのFKで福森晃が放り込み、そこからまたも村田が左からカットインを経てミドルシュートを放ち。
森俊のブロックに阻まれ、尚も繋がんとした所を奪われて栃木のカウンターと、疲労感は誰の目にも隠せない状態。
しかしその栃木の攻撃も、撃てずに切られたのちGK市川のフィードから逆に横浜FCがカウンターと、試合終盤らしいオープン極まれりの展開に。

それでも最後は、栃木のリトリートに対し横浜FCがボール保持から崩しを図る状況に持ち込まれ。
しかし結局果たせず、ガブリエウの手前からのクロスに終わった所で、試合終了を告げる笛が鳴り響きました。

最悪の結果にはならずも、またも勝てなかった横浜FC。
その後長崎勝利(千葉戦、2-1)の一報を受けた事で、最終節にまで伸びる事となった自動昇格。
勝ち点差は3ながら、得失点差は僅か1なので、(横浜FCが)敗戦・(長崎が)勝利で入れ替わりが必至という状態にまで持ち込まれてしまいました。
それでも、まだ有利な状況には変わらず。
この日取り戻した無失点サッカーを保てれば良く、決して慌てぶりが露わとなる試合は見せたくない所でしょう。

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DAZN観戦 2024年J2リーグ第37節 ジェフユナイテッド千葉vsV・ファーレン長崎

2024-11-06 16:19:36 | サッカー視聴記(2024年J2)

※前回の千葉の記事はこちら(32節・山口戦、4-1)
※前回の長崎の記事はこちら(34節・大分戦、4-1)

<千葉スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • 品田が累積警告により出場停止。
  • 31節(秋田戦、0-1)で負傷交代した風間の詳細が発表され、9/17に手術実施して全治約6か月との事。
  • 35節(甲府戦、2-1)で負傷交代した田口は以降ベンチ外。

<長崎スタメン>

  • 35節(秋田戦、2-1)で負傷交代した秋野は、前節(鹿児島戦、4-1)の欠場を経て復帰・ベンチ入り。

プレーオフ圏内に居るクラブ同士の、熾烈な戦いというカード。

3位・長崎は、上位2クラブ(清水・横浜FC)に昇格リーチが掛かり、一つ負ければ終わり(あくまで自動昇格ですが)という瀬戸際で発奮。
破竹の3連勝で、その甲斐あって足踏みが続く横浜FCの昇格を阻み続けているという、逆にプレッシャーを与える状況と化しています。(なお清水は無事昇格)
とにかく勝つしかない、背水の陣の強さをここに来て発揮。

一方の千葉は、PO圏確定に向けて最終節の戦いを楽にしたい一戦で、その最終節がライバル・山形との直接対決であり尚更です。
山形の他、岡山・仙台とほぼ横一線な状態で、渦中の4クラブがいずれも過去2戦揃って連勝という説明不要な白熱ぶり。
その中で残り2戦が強豪揃いと、カードの面では不利な立場ですがやるしかない。

そんな思いが溢れる、千葉のホーム・フクダ電子アリーナでの試合。
日差しを気にしてかコートチェンジが行われるなど、この一戦に賭ける思いは画面からでも伝わって来ましたが、残念ながらそれが空回りした立ち上がりだったでしょうか。

前半1分に早くも横山がエリア内からシュート(右サイドネット外)と有効打を放った千葉。
しかし直後の長崎、右サイドで増山が浮き球を確保すると、ギリェルメに託したのち彼のスルーパスを追い越して受け奥からカットインで抉る好機に。
右サイド2人の黄金のコンビネーションが発揮されると、ポケット最奥から入れられたクロスに対し、佐々木がスライディングでブロック。
しかし勢い余って通り過ぎた所、クロスが腕にぶちあがる格好となってしまい、すかさず(副審の刹那の判定を受けて)ハンドを告げる笛が鳴り響きます。
意気込みとは裏腹に、開始2分で早くもPK献上という形になってしまった千葉。
このPKは、チャンスメイクしたギリェルメがキッカーになると、右足で左へと蹴り込んで確実にゴールネットを揺らし。
早々にリードを得た長崎、試合を優位に運ばんとします。

気を取り直して反撃に掛かる千葉は、キックオフ直後の攻撃で右サイド深めでまで運んでスローイン。
当然ながら田中和のロングスローを使い、クリアボールを小林がダイレクトでミドルシュート。(ヴァウドがブロック)
速攻で追い付かんとする流れもさる事ながら、弾かれるやいなやヴァウドのハンドを一斉にアピールするなど、勝利への執念という絵図は留まる所を知らず。

長崎は優位性を発揮せんと、ボール保持の色を高め。
GK若原からのショートパス攻勢を貫く所に、千葉はこれも当然の如くハイプレスを掛けにいき。
しかしサイドを揺さぶる事でズレを生み出し、田中隼に対しサイドハーフの田中和がプレッシャーにいく状況になると、冷静に米田→笠柳と経由しての前進。
すると相手サイドバックにSB(高橋)・ウイングにセンターバック(松田)が連動して前に出る、ハイプレスも極まれりという対応となる千葉。
これで前進を阻めれば良いものの、当然中央が薄くなるという懸念を抱えるため、傍らからでも不安を感じるものであり。

また最終ラインへ果敢に2トップが規制を掛ける事により、空いたアンカー(山田)がボールに触れる事も容易に。
ドイスボランチ(エドゥアルド・小林)は長崎インサイドハーフに付くのが基本なため、この時も中央から通される隙が生まれる事となり。
綻び塗れの状態が、致命傷となる前に何とか追い付くという、後の無いような守備対応に見えました。

一方千葉自身の保持も、小林がアンカー的な立ち位置となる、長崎と似た形からの前進を図り。
しかし11分に松田→小林へのパスがズレ、名倉のカットを経てジェズスがミドルシュート(GK鈴木椋セーブ)と、質の面では相手よりかなり見劣りするといったアンカーを利用したビルドアップ。

そんな攻守のシステムにより、千葉は自身で前進出来ず、長崎の前進は左サイド(千葉の右サイド)から一気にアタッキングサードまで運ばれるという流れが続き。
そこから変節を見せたのが19分、千葉は椿のパスカットからカウンターに持ち込み、自らドリブルで奥を突く攻め。
ここは実らず攻守交替も、長崎の縦パスを前に出た山越がカットして継続させる(フィニッシュには持ち込めず)という具合に、総員前掛かりな姿勢が奏功する絵図を生み出し。

24分、再び長崎の縦パスに対し小林が前に出て奪取、拾った田中和の前進が名倉に倒されて反則。
これで右ワイドからのフリーキックを得ると、キッカー横山のニアサイドへのクロスを合わせたのはエドゥアルド。
ヘディングというよりは左肩で合わせた格好となりましたが、フリックのような軌道でゴール左へ突き刺す事に成功。
試合展開を変貌させた末に、タイスコアへと戻しました。

ペースを奪った千葉は、長崎同様にボール保持を下地としながら、松田・佐々木のフィードを利用して前線に運ぶのが主な攻撃方法に。
故障者塗れで最終ラインが安定しないなか、その代役のストロングポイントを活かさんという立ち回り。

千葉の攻撃が活性化する一方で、次第に衰えが目立つ長崎も攻撃法を切り替え。
30分、ゴールキックでロングフィードを選択し、ジェズスが収めたのちの展開で左から前進に入り。
そして名倉がポケットへ切り込んでシュート(ブロック)、尚もコーナーキックに持ち込み、キッカー・ギリェルメのニアへのクロスをヴァウドが合わせヘディングシュート(ゴール右へ外れる)と効率良くフィニッシュを重ねる体制に。

お互い得点の機運を持つなか、勢いに乗って逆転したい千葉の思いが溢れ。
35分ここも山越が縦パスをカットし、こぼれ球をエドゥアルドが倒されながらも繋いだ事で好機。
アドバンテージという判定で、その勢いのまま田中和の1タッチのスルーパスを足下で受けた小森が、エリア内で決定機を迎えます。
しかし放たれたシュートはGK若原が左手一本でセーブと、守護神に立ちはだかられ。

終盤も近くなり、千葉の攻撃は熾烈を極め。
40分にエドゥアルドのミドルシュートが再びGK若原にセーブされ、尚もCKで継続。
一度は途切れるも高橋のパスカットで継続すると、右から田中和がカットインで自身で撃つと見せかけながら中央へ戻し、佐々木がミドルシュートという絵図に。
これがミートせずエリア内へこぼれた所に、横山が追撃のシュートを放ちましたがこれもGK若原がセーブ、しかし尚も拾って継続。
右からクロス→ファーで小森ヘディングシュートもGK若原がセーブし、そのこぼれに追撃せんとした田中和が山田に倒されますが、笛は鳴らずに継続。
浮き球の争いとなった末に米田と横山が頭部同士激突した事で終了と、判定面で揉める事態も招く、お互いに後には退けない立場が形となって現れる試合絵図。
(その後44分にヴァウドの反則の際、安部が遅延行為まがいの仕草(ボールを離さない)を見せたため千葉サイドがヒートアップというシーンもあり)

千葉の決定機が頻発するなか、長崎も45分に一瞬の隙を突き、名倉のボール奪取から前進していき(山田の)スルーパスが中央でギリェルメに通り。
そして放たれたシュートはGK鈴木椋がセーブと、こちらも守護神の好守備が光る事となり。

結局1-1のまま前半が終了。
千葉の、立ち上がりの不安定な出来からの巻き返しが目立つ事となりました。

しかしハーフタイムを経て賽が振られた後半。
その入りの後半2分、長崎は前半のように最終ラインでボール保持し、例によって田中隼に対し田中和が出てくる状況に。
すると田中隼は直接左WGの笠柳へミドルパスを届け、米田に付かんとする高橋の裏を突いて好機を迎え。
そして左奥を突いてのカットインでポケットを取る笠柳、放たれたシュートこそ小林のブロックで防がれますが、前半からの微調整で再度千葉の弱点を突けた事で試合が動く予感を膨らませます。

長崎が執拗に左サイドから攻める展開が続いたものの、それを断ち切った千葉。
それぞれ寄せを早める事で、後方からのフィードの抑制に成功するという、何とも千葉らしい対応でしたがどんな手法でも結果に繋げれば良く。
そのハイテンションぶりは縦パスあり、SHの突破ありと攻撃面でも発揮され、あらゆる手段でゴールに迫らんとするもフィニッシュには繋げられず。

攻撃機会を失う長崎と、果敢に仕掛けるも逃し続ける事で終盤において体力面の不安が過る千葉。
お互いジリ貧での膠着となってきた所で、先にベンチが動いたのは長崎。
名倉→エジガルへと交代し、彼がCFに入る事でジェズスが2列目・名倉の居た位置へ回ります。

その後も攻め続けるも、エリア内でボールロストと成果を上げられない千葉という流れは継続。
対する長崎は21分、千葉の中盤でのパスミスをエジガルが拾い、スルーパスを受けたギリェルメが奥を抉る姿勢を見せたのち中央へと戻し。
そしてエジガルがミドルシュート(GK鈴木椋)と、新たに投入された駒を活かし少ない好機をモノにせんとします。

直後に千葉は、椿の左サイドの突破を経てエドゥアルドのミドルシュート(GK若原セーブ)とようやくフィニッシュへと繋げ。
清涼感を生み出すと、それが相手へと押し流されたのが23分。
CKからの二次攻撃で、左ワイドから佐々木がパス&ゴーで、エドゥアルドのスルーパスをポケットで受けにいく好機。
そこへ対応にいった山田が、スライディングで佐々木を引っ掛けて倒してしまうと、反則並びにPKを告げる笛が鳴り響きます。
度々判定面でホームサイドにヘイトを齎してきた審判団も、これは流石にというような絵図に。

尚ここでもヴァウドがボールを抱えて離さない事で田中和のヒートアップを招くなど、その勝負への思いが醜悪なシーンをも生み出す格好となり。
これに加え、長崎ベンチが蹴る前に交代カードを使った(安部・笠柳→秋野・松澤)事で、長いインターバルとなった末に迎えたこのPK。
キッカーは当然、エースストライカーの小森で、自らの手でPO圏並びに得点王を決定付けたいキックとなり。
そして満を持してゴール右へと放たれたシュートですが、これをGK若原が読みきってキャッチと、完璧に防ぎきります。

大局を左右する大興奮の瞬間も、喜びも見せる事無くすかさずパントキックを送り、カウンターを展開させる若原。
そのセカンドボールを繋げ、米田が左サイドを持ち運ぶ所を、逆上気味にプレスバックしてきた田中和が倒してしまい。
そして反則・警告と、元々荒れ気味の展開に拍車を掛けるのみに終わったような千葉のPKだったでしょうか。

暗雲に覆われつつある千葉、振り払うべくベンチが動いたのが30分。
佐々木・椿→小川・杉山へと2枚替え、左サイドを2枚揃って入れ替えます。(杉山は右SHで、田中和が左に回る)

しかしその直後、千葉のサイドからのFKで再開も、放り込みをクリアした長崎のカウンターに繋がり。
増山が左サイドを持ち運ぶ所、またも反則で阻止した高橋が警告と、我武者羅ぶりが負の方向へ傾倒するのを阻止できません。

それでも積極的な姿勢は止めない千葉。
何とかショートパス攻勢でエリア内の小森に繋げんとするも、横山のスルーが繋がらなかったり、小森自身もトラップミスなどで精彩を欠きフィニッシュを生み出せず。
PK失敗もあり、「この日は彼の日では無かった」事を示す結果となり。

37分に両ベンチが動き、千葉は横山→林へと交代。
長崎は山田・ギリェルメ→中村・青木義へ2枚替え(増山が右WGへ・秋野がアンカーへ回る)と、微妙に形を変えて勝負の終盤を迎えんとします。

しかし結果が表れたのは直後でした。
38分の長崎、敵陣でジェズスがキープする所を松田に反則を受け、左ハーフレーンからのFKに。
遠目からで放り込みかと思わせた刹那、中村が素早いリスタートを選択して左へ縦パス、受けた松澤の奥へ切り込んでのクロスがエリア内へ。
そして中央のヴァウドのすぐ奥でエジガルが合わせるという、予測困難な形(実際、ヴァウドはエジガルと交錯してその後倒れ込んだ)でシュートが放たれると、田中和のブロックを掠めてゴールへ吸い込まれるボール。
勝負所で得た勝ち越し点に、湧き上がる長崎サイド。
ヴァウドも無事に起き上がり、後は勝利へ突き進むのみとなります。

残された時間で、何とか1点入れなければならない千葉。
43分、左サイドで溜めを作った小森がスルーパス、田中和が受ける所をヴァウドに倒されて反則・警告。
長崎ディフェンスもその必死ぶりが悪い形で噴出し、そのうちに得点したい所。

しかしこのFKからのクロスも繋がらず、さらに繰り出される長崎のカウンター。
ここも遅攻に切り替わったのち、杉山の反則で止めざるを得なかった千葉サイド。
44分の最後の交代(小林→ドゥドゥ)以降、エドゥアルドのアンカーシステム(4-1-3-2?)としてアタッカーを増やす布陣に全てを賭け。
その結果、薄くなった中盤で中継役を務める存在が居なくなり、攻勢に入りたい最終盤で勢いを失う事となりました。

8分という目安のアディショナルタイムも、長崎がアタッキングサードでパスワークを展開し、時間を使う立ち回りが繰り広げられ。
その中でまたも反則を受け、今度はキッカー中村が直接シュートを狙い(GK鈴木椋キャッチ)、あわよくば追加点をという姿勢も見せ。

完全に出遅れ、好機を作れない千葉。
何度かの中断(高橋が鼻血を出すなど)もあり、既に+10分という所でやっと攻撃の形が出来。
田中和が左サイドを突破してのクロス、クリアボールを自ら拾い直して奥から再度クロスと、どう見てもこれがラストチャンス。
そしてファーサイドでエドゥアルドがヘディングで合わせましたが、シュートは無情にもゴール右へと外れ。
次の瞬間、試合終了を告げる笛が鳴り響き。
昇格サバイバルを制し、勝ち点3を積み上げたのは長崎となりました。

結果、昇格リーチの横浜FCがこの日も勝てなかった(栃木戦、0-0)事で、最終節に昇格の可能性を残した長崎。
勝ち点差は3ながら、得失点差は1しか無いので逆転可能と、逆リーチを掛ける状態に持ち込みました。
新スタジアムの開場から全勝という、運気も十分持ち合わせての最終決戦で、奇跡の完成はなるでしょうか。

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DAZN観戦 2024年J2リーグ第37節 ファジアーノ岡山vs藤枝MYFC

2024-11-05 16:01:23 | サッカー視聴記(2024年J2)

※前回の岡山の記事はこちら(30節・秋田戦、0-1)
※前回の藤枝の記事はこちら(34節・いわき戦、1-1)
※前回の両クラブの対戦はこちら(4節、藤枝 0-1 岡山)

<岡山スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • 今節がプレーオフ圏確定リーチとの事で、但し条件がややこしい。勝利の場合は千葉・山形のどちらかが引き分け以下・引き分けの場合は山形が敗戦。これにより(最終節で山形vs千葉なため)千葉・山形のどちらかに勝ち点差2以上の条件が生まれれば確定となる。
  • 前節(横浜FC戦、4-2)コンディション不良により欠場(放送席の談)した藤田息がスタメンに復帰。

<藤枝スタメン>

  • DAZNの予想、yahooスポーツナビともにフォーメーションは、新井アンカーの3-3-2-2(3-1-4-2)。
  • GK岡西が今季限りでの引退を発表。

もしかしたら昇格も……と思わせた藤枝ですが、そこから急転直下。
5戦未勝利と沼に嵌り、儚い夢に終わってしまいました。

厳しい状況を強いられるなか、今後も独自のスタイルを貫く事でJ2の座を維持できれば……という事を見せてシーズンを終わりたい。
この5戦は、撃ち合いも守勢での脆さが露呈(清水戦・千葉戦)・カウンターに嵌って撃沈(大分戦)・前線の守備に苦戦(徳島戦)と、多種多様な敗戦を喫したため原因の特定も難しく。
この日も、未来に繋げる勝利を挙げたい所でしたが、やはりまだ目標が残っているクラブの強さに屈する流れとなりました。

その岡山は目下PO圏に位置しており、この日がホーム最終戦。
ライバルクラブが全て連勝を果たした過去2戦と、プレッシャーも半端無い状況の下、早期に勝利への道筋を作れるかどうか。

そんな意気込みが勝り、立ち上がりから攻勢に入る岡山。
特異なスタイルを貫く藤枝への対策としては、ハイプレスで前進を阻みにいくという徳島型。
一美がアンカー的に位置取る新井に付き、その他のメンバーで最終ラインをチェイスするというのが基本スタイル。

その積極性は、鈴木喜まで果敢に敵陣でプレッシャーを与えにいく絵図も見られる程で、昇格への執念を伺わせるものであり。
しかし実際には、高めに位置取るモヨマルコムに同じウイングバックの末吉が付くため、その分空きがちになる久富への対応というシステム上の噛み合わせを埋めるために前への意識を高め。
両シャドーが、GK北村を含めた最終ラインに出ていく所をカバーするという、よく練られたであろう対策が顔を出した結果となりました。

前目の鈴木喜が攻守に躍動し、前半10分に藤枝の後方からの縦パスがズレた所を逆に鈴木喜が縦パスを送り返し。
受けた岩渕のポストワークを経て、本山がミドルシュート。(枠外)
11分には千葉が前進する所を反則気味に止めた鈴木喜からカウンターが展開され、左サイドから素早い前進を経て末吉がカットイン(ポケットで奪われて終了)と、対策の成果というべきペースを確保します。

藤枝サイドは、そんな岡山の激しい寄せに難儀してボールを運べない状態に。
アンカー経由での前進が出来ない所へ仕掛けられるハイプレスに対し、サイドでの前進を余儀なくされるしかない地上でのビルドアップ。
そのため逃げのロングボールの割合が増える、らしくない戦いを強いられます。
24分にハイプレスを嵌められ奪われかけるも、こぼれ球を梶川が拾って何とか確保、左へ展開しシマブクのドリブルにまで繋げるもフィニッシュは打てず。

岡山はハイプレスの際、時にはGK含めた3枚に対し一美も加わって数を合わせてくる事もあり。
この際に間を通して新井に繋げれば……という所でしたが、その機会を試せぬままズルズルと時間を浪費してしまいました。

上記の24分の際に、モヨマルコムから奪いかけた鈴木喜が交錯により痛み倒れ込んでしまう岡山。
良い存在感を発揮していただけに、交代となれば危機という所でしたが、無事に起き上がりピッチ外→復帰。
すると依然として岡山ペースは保たれ、30分には阿部が最終ラインから持ち運びを経て左サイドへロングパス、受けた岩渕がサイドチェンジと大きな展開。
これを受けた本山のクロスが中央に入り、岩渕がヘディングシュート(GK北村キャッチ)と、相手を守勢に追い込む流れも出来上がりつつあり。

その片翼を担ったのがセットプレー。
ロングパス中心に立ち回る岡山の主体的な攻撃に、藤枝はデイフェンス面での弱さは依然として健在なのか、ラインアウトで逃げる事を余儀なくされます。
これによりスローイン・コーナーキックが膨れ上がり、一層自身がボールを握る時間が減っていく藤枝、リズムを掴む事すらままならず。

そんな展開で、24分以降藤枝は攻撃機会を全く得られず、終盤まで来てしまい。
45分、岡山の右CKに対し、クロスをクリアした新井が一美にのしかかられるような形で痛んで倒れ込み。
長い時間を掛けてようやく起き上がり、続行の運びとなりましたが、この影響かハーフタイムで交代を余儀なくされる事となりました。

その絵図のまま突入したアディショナルタイム、やっと岡山陣内で展開する機会を得た藤枝。
左スローインにも拘わらず、逆サイドからモヨマルコムがやって来てロングスローを選択。
さらにCKに持ち込んで3本続けるという具合に、こちらもセットプレー攻勢の色を高めます。
このCKでのポジション取りで、マンマーク中心の岡山と激しくやり合った事で一悶着。
それを利用せんと、2本目でキッカー梶川はエリア手前へのクロスを選択すると、後方待機の矢村がボレーシュート(ブロックされCKに)と変化を付け。
それでもモノに出来ず、3本目が終わった所で前半終了となります。

前述の通り、藤枝が新井を退かせた(世瀬を投入)HT。
結果的に、アンカー的な役割を務めながらも果たせずにいた新井に代える事となり、局面変更が期待される後半戦に。

しかし後半も、岡山のセットプレー攻勢に難儀する流れは継続。
いきなりキックオフでの初手で、ロングパスを収めた一美から敵陣で展開する岡山に対し、鈴木翔が木村を倒してしまい反則。
これによる右サイドからのフリーキックで、キッカー岩渕のニアへのクロスを鈴木喜がフリック気味でのヘディングシュート。(GK北村キャッチ)
後半3分には右スローインを直接ポケットで受けた一美、そのままカットインを経てシュート(GK北村キャッチ)と、前半とは打って変わってフィニッシュまで繋げてくる岡山に対し四苦八苦。

苦戦したビルドアップの面は世瀬が入った事で、浅倉と梶川が降りて受ける局面を増やすという、手段を増やしての対抗策。
それに加え、右サイドではモヨマルコムが低目に位置取り、久富が追い越すというポジションチェンジを何度も慣行。
前に出てくる鈴木喜に対するピン止めという、対策の対策の表れだったでしょうか。

そのため、敵陣でのボール奪取からの好機はあまり期待出来なくなった岡山。
それでも果敢に寄せるものの、7分にはスライディング同士の激突で梶川を削ってしまった一美が警告を受けるなど、副産物のカードも齎されてしまい。
9分、最終ラインの田上からパスワークで前進と、これにより自らも地上で繋がなくてはならないという思惑が表れた好機。
左サイドでの前進から、末吉中央へ縦パス→一美ヒールでポストプレイ→鈴木喜エリア内へスルーパス→木村走り込んでポストプレイと、1タッチも交えた鮮やかな繋ぎを経て一美がシュート。
しかしゴール右へと外れてしまい先制ならず。

徐々にボールを持てるようになってきた藤枝、14分に川島の縦パスを受けた千葉が中央から前進を仕掛け、藤田息に倒された事で反則。
これにより得た直接FKで、キッカー矢村が果敢に直接ゴールを狙うと、GKブローダーセンの左を抜き。
決まったかと思われたシュートは、ポストを叩いてしまい跳ね返り。
劣勢を掻い潜っての先制弾は生まれずと、お互いゴールに迫るもスコアは動きません。

膠着の雰囲気が高まる中、先に動いたのは岡山サイド(既にHTで藤枝が動いていますが)で17分。
木村・一美→神谷・ルカオへ2枚替えと、前線の顔ぶれを変更。
これで一美よりも果敢に最終ラインにチェイスを掛けるルカオと、プレッシングの色も変更となりました。

結果的に、その変節への対応に疑問符が付く格好となった藤枝。
19分にその最終ラインへのプレッシャーから、縦パスを受けた浅倉がトラップミスでルカオに奪われるなど、再び慌ただしくなる後方の繋ぎ。

そして22分、川島が最終ラインでボールを持っている所に、ルカオがその背面から追い掛け。
2列目の世瀬・梶川を岡山のドイスボランチが見ている状況で、どう出すのか迷いを見せているうちに、ルカオの後方からのアタックでロストしてしまいます。
そして両センターバックは例によって大きく開いていたため、拾った岩渕は必然的にGKと一対一へ持ち込むのが容易となり。
そのままドリブルでエリア内へまで運び、その状況が生まれた末にループシュートをゴール内に放り込み。
前線の守備を蘇らせた岡山が、どうしても欲しかった先制点に辿り着きました。

ホームの雰囲気にも後押しされ、その勢いのまま試合を動かしにかかる岡山。
何とか落ち着かせたい藤枝ですが、24分に再び最後方で持った所、今度はGK北村のフィードがカットされて岡山の攻撃開始。
藤田息のスルーパスを受けた神谷がエリア内へ進入し、ディフェンスに遭った事で得た右CK。
キッカー神谷は中央へクロスを送り、ニアに走り込むターゲットの奥で合わせる格好となった田部井がヘディングシュート。
これがゴール右へと突き刺さった事で、追加点は何度も得ていたセットプレーをモノにしてもぎ取りました。

一気に2点取られてしまった藤枝。
何とか巻き返したいのは言うに及ばずで、27分に再びプレッシャーを浴びた川島、今度はミドルパスを選ぶと中央で矢村がポストプレイで繋ぎ。
ここからボランチのパス交換を経て中央から浅倉が持ち運び、ミドルシュートを放ちますがGKブローダーセンがキャッチ。
30分にベンチも動き、一挙に3枚替え。
川島・梶川・千葉→山原・前田・中川風へと交代します。

岡山は、その後ルカオが攻撃面でも威力を発揮。
フィジカルを活かしてのボールキープで溜めを作り、敵陣でのポゼッションを増やしていく事で藤枝から反撃の機会を奪いに掛かり。
そして前掛かりになってきた所を突くという、リードした展開での定番の流れで勝利へと向かいます。(33分に鈴木喜・田部井→柳育・竹内へと2枚替え)
36分に藤枝のロングパスを跳ね返してからの好機、溜めを作ったのち竹内のミドルパスで右サイド裏を突く絶好機に。
岩渕が持ち運んで右ポケットへ進入し、入れられたグラウンダーのクロスに神谷が合わせるも、このシュートはGK北村がキャッチ。

藤枝は37分、ボールキープするルカオに対し、デュエルに勝つ形で山原がボール奪取。
ここから好機に繋げたかったですが、中川風のドリブルが藤田息に反則気味に止められた事で、(その後逆に反則を取られたのもあり)ヘイトを溜めるのみとなってしまい。
岡山のモチベーション溢れるデュエル勝負に、最後まで難儀する事となりました。(39分に久富→河上へと交代)

41分に最後のカードを使った岡山(岩渕→太田)は、以降サイド奥までボールを運ぶ事を重視。
ボール保持に徹し、ディフェンスに遭ってもCKに繋げるという逃げきり体制を築き上げます。
ここまで来れば、2点差という余裕も危険なスコアという概念も既に無く手伝い、ただ時間が経過するのみとなり。
再び全く攻撃機会を得れない時間帯に陥った藤枝、まさに成す術無いという状況に。

結局2-0のまま迎えた試合終了の時間。
この日唯一の13時開催なため、勝ち点3を積み上げて他会場の結果を待つ体制に入った(と思われる)岡山。

そしてその結果、千葉が敗戦したためPO圏内が確定する運びとなりました。
2年ぶりの出場に血沸き肉躍るという岡山ですが、同じ指揮官(木山隆之氏)故に今度は結果のみが求められる戦いでもあり。
石にかじりついてでも這い上がり、J1への道を完遂できるかどうか。その前にホーム開催の権利(4位)を確保する事が大切でしょうが

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