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DAZN観戦 2024年J1リーグ第21節 北海道コンサドーレ札幌vsアルビレックス新潟

2024-07-01 16:00:34 | サッカー視聴記(2024年J1)

<両軍スタメン>

  • 札幌は、岡村が累積警告により出場停止。また先日獲得して登録された大﨑が即ベンチ入り。
  • 札幌は例によってオールコートマンツーマン戦術なため、守備時は馬場・小林が一列降りて4-4-2(実際には新潟・奥村がトップ下のため馬場がそれに合わせて動く)を形成。

暫く空けていたJ1、という事で選ぶのはやはり新潟の試合。
我が地元・札幌の地に、中2日かつアウェイ連戦のため広島から乗り込むというキツイ旅程を経てやって来ました。

前年のアウェイ・札幌戦では、内容はともかく……という言葉が相応しい勝利。(1-0)
折りしも厚別(札幌厚別公園競技場)で、かつ豪雨の中での試合を強いられ、その中で退場による数的不利にも陥り。
守勢に次ぐ守勢・ロングボール戦術と、本来の持ち味とは逆のサッカーを駆使して何とか勝ち点3を拾った、別の意味で強烈に印象が残る試合となりました。
今年はしっかり札幌ドームで開催と、気象面での不安は無いなかでストロングポイントは発揮できるかどうか。

一方、誰が見てもこのままでは降格待った無しというホットな状況に陥っている札幌。
故障者続出を嘆く声が数多挙がっており、ミシャ監督の続投が表明されたとあり内外ともにもうしようも無いという諦めの雰囲気も感じられ。
とはいえ、新潟サイドも特別指定の稲村を重要なポジション(センターバック)に抜擢するなど苦しいやり繰りを強いられており、それと対峙して勝ち点を得る事で化学反応を起こせるか祈るばかりです。

新潟のキックオフで始まると、そのボール保持で地上での繋ぎから、藤原の間を通す縦パスなどを駆使しアタッキングサードまで持っていく立ち回り。(シュートまではいけず)
いきなりらしさを発揮する相手に対し、札幌は小林が「オールコートマンツーマン」に従うように、秋山に対し強烈なプレッシャー。
それによる敵陣でのボールゲインを数度達成するなど、腰の引けていない姿勢を見せ。

流れを変えたのは前半6分からの攻防でしょうか。
舞行龍が右サイドで札幌ディフェンスに詰められるも、その間を通す浮き球の横パスで脱出と技を見せたのち、稲村のスルーパスを受けた小見が左ポケット進入と好機を迎えた新潟。
そして奥からマイナスのクロスを入れ、中央の谷口に……となりましたが合わせきれず。
クリアにより右コーナーキックとなりますが、(ショートコーナーを挟んでの)クロスが跳ね返されて二次攻撃、という所で秋山が浮き球を収められず奪われて札幌のカウンターに。
小林→長谷川竜へのスルーパスは遮断されるも、拾った中村が猛烈にドリブル、前に出て来た堀米をかわして左ポケット進入とこちらも新潟と同じ形を作り。
そして入れられるマイナスのクロス、と同じ流れになったものの、ターゲットは全員奥に入り過ぎたため誰にも合わずというある意味喜劇的な絵図に至ります。

これで新潟へと針が傾き、小林のマークをかわすように秋山が裏抜け、というパターンで好機を作り。
9分に左スローインからその流れに持ち込み、左奥からカットインを経てマイナスのクロスを入れる秋山。
そして谷口→奥村と経由して放たれる松田のシュート、これが右ゴールポストを直撃(跳ね返りを拾った秋山が追撃もブロック)と決定機を迎えましたが先制ならず。

その後札幌は例によって、右ウイングバックにボールを届ける事を第一とする姿勢へと移行。
それを堀米が何度も遮断する事によって機能不全に陥り、早くも優劣が明らかとなる試合展開。
しかし新潟サイドもペースを握る中でゴールは奪えず。
11分にフリーキックから、谷口がヘディングシュートに繋げたもののGK菅野がセーブ。
27分には右ワイドから舞行龍がパス&ゴーにより受け直し、後方から一気にボックス内を突くという流れを作ったものの、放ったシュートは再びGK菅野に防がれキャッチ。

スコアレスを保つ事で、札幌にもチャンスが生まれるという状況に。
31分後方でのパスワークから高い位置を取った中村にミドルパスが通ると、小林とのワンツーでの前進を経てバックパス、受けた長谷川竜が対角線のロングパス。
右ポケットの田中宏へと届けるボールとなり、その田中宏のダイレクトでの折り返しはミートせずに終わったものの、やりたい事を形にしたという絵図で肩の荷を降ろせたでしょうか。
37分に中央から長谷川竜がミドルシュート(枠外)と、ようやく初のフィニッシュにも辿り着き。

しかしその長谷川竜に対し、ベンチは直後に交代の措置を採ります。
映像で見る限りでは不可解としか思えないその交代は、試合後に長谷川竜の軽い故障という事が発表されるも、当の長谷川竜は不満げな色を隠せずにピッチを去り。
恐らく本人的にはハーフタイムまで持たせてカード消費を避ける腹積もりだったのでしょうが、故障者続出という状況故に、被害が甚大となる前にとの判断が下された結果でしょうか。

鈴木武蔵が同ポジションで投入され、これにより前線のプレッシャーは良化してさらに好循環を固める札幌。
怪我の功名な感は否めませんが、チーム成績故にそんな事は言っておられず。
40分にはその前線の守備により(新潟に長いパス→落としを強いたうえで)家泉が前に出てカット成功し、そのまま攻撃に加わる家泉。
ドリブルで左ポケットを突いた菅のマイナスのクロスを、ボックスに入り込んでシュートまで放つという具合に決定機に絡みます。
しかしこの渾身の家泉のフィニッシュも、ゴール左へと外れて実りません。

その後も札幌は攻撃権を独占し、高尾が右サイド奥を突くなど後方の選手の押し上げにより幾度も生み出される好機。
しかし結局ゴールには繋がらず、スコアレスのまま折り返しとなります。

共に交代の無かったハーフタイム。
後半は札幌のキックオフでスタートすると、家泉ロングパス→鈴木武フリックと、新潟とは手法が違うもののこちらもいきなり好機に持ち込み。
そしてこぼれ球を小林がミドルシュート、これはエリア内の大森に当たって実らずも、跳ね返りを拾った駒井が再度ミドルシュート。(GK阿部キャッチ)
前半はシュート2本という少なさだったため、遠目でも果敢に狙う姿勢へ意識を切り替えた感があり。
その後後半2分にも、またもこぼれ球となった所を小林がミドルシュートに持っていきますが、これも味方の鈴木武に当たって枠の外へ逸れ。

前半終盤と、この後半の立ち上がりにより、ややもすると逆に劣勢感が露わとなってきた新潟。
しかしゴール前の守備を固め、「遠目からなら良い」という姿勢でやり過ごし。
6分、自陣でのボール奪取から秋山→谷口ポストプレイ→秋山ワンタッチでスルーパスという流れで松田を走らせる攻撃。
このシーンに限らず、前半から秋山が自ら組み立てる際は、松田の走力を活かす姿勢が目立っていたこの日。
札幌相手という事で、松田のその走力が福森(現横浜FC)を散々に翻弄させたこの試合(2020年のマリノスvs札幌、4-1)を思い起こさせるようでもあったそのゲームメイク。
ここではそのパスを受けた松田が右奥へ切り込んでマイナスのクロスを送るも、フィニッシュには繋がらず。

しかしゴールは別の所からで、札幌ペースかと思われた矢先の7分、鈴木武の拙いボールタッチからカウンターに持ち込む新潟。
奪った堀米のスルーパスを受けた谷口、そのまま持ち運んで左ポケットを突き、カットインから放たれたシュートが豪快にゴールに突き刺さります。
札幌のミドルシュート攻勢のお株を奪うような先制弾に、相手に傾きかけた流れの遮断に成功した新潟。

ここまで3試合連続でノーゴールという現状の札幌ですが、ホームの場故にへたれ込む事は許されず。
10分にまたもミドルシュートを放った小林、今度はブロックされて右CKとなると、すかさず位置に着いて素早いリスタートでのクロスを入れる小林。
何としても1点取るという姿勢を見せると、続く11分には敵陣での馬場のボール奪取からショートカウンター、ボール確保した鈴木武がドリブルで突き進み。
舞行龍を剥がして左ポケットへ持ち込む、遠目でのフィニッシュから一転した好機を迎えましたが、奥へ切り込んでからというワンテンポ遅らせてのシュートは稲村のブロックが間に合い防がれ。
これまで無得点と流れの悪いシーズンを余儀なくされている鈴木武、ここでもその暗雲が頭を過ってしまったでしょうか。

20分に交代カードを切る新潟、一挙に3枚替え。
特に堀米に代わってトーマス・デンを投入し、稲村を左サイドバックへシフトさせた事が目立った動き。(その他は松田・奥村→長谷川元希・小野に交代、小見が右サイドハーフに回る)

その後、後方からデンや稲村のフィードを活かし、前線で谷口がポストワーク。
そして小野のキープ力も加えるという、ボール保持を高める采配となり。

一方の札幌は、リードされた以上必然的にボール保持からの攻撃に活路を見出さなくてはならない状態。
GK菅野からの組み立てでビルドアップの流れを作らんとしますが、パスを繋いでも何も起こらない状態が続き。
新潟が構える姿勢でも、CBの持ち運びも無いため前に運べる手段自体が乏しく。
主に大森・鈴木武へのロングボールを警戒しておけばいいという、相手にとって楽な状況へと陥っていた感があり。

新潟はボックス内を突き、シュートにはいけずもキープから戻して作り直しというペース配分も考慮しての立ち回り。
次第に好機も減ってきた札幌、25分にこちらも3枚替えを敢行。(高尾・大森・田中宏→田中克幸・大﨑・原)
フリーからの入団なため、7/14を待たずに即登録可能な大﨑を早速投入する事となりました。

しかし直後の26分に新潟が決定機、小見が右からカットインで中央へ渡し、長谷川元のエリア内へのパスを小野が入れ替わりで前を向き。
そして放たれたシュートが右ゴールポストを直撃と、前半に続きまたも枠に嫌われる格好に。
それどころか、阻止のため前に出たGK菅野のスパイクを足に受ける事態となり倒れ込んでしまう小野。
出血もあったためそのままピッチ内で治療が行われ、ピッチ外→復帰と、何とかインアウトは避けられます。

一方札幌も、30分にスライディングを敢行した中村が足を痛めて動けなくなる事態に。
筋肉系トラブルか、という危惧が過るシーンでしたが、ピッチ外に出た中村は無事が判明して復帰とこちらも負傷交代は避けられ。

原のドリブルを盾として、何とか好機を作らんとする札幌。
しかし後方でも、大﨑が加わった事で組み立ての流れが生まれて来たでしょうか。
36分、駒井が家泉とのパス交換で新潟のプレスを誘ったうえでGKへと戻し、そして菅野が縦パスでFWの間を通すという具合にポゼッションスタイルらしいパスワーク。
受けた田中克の裏へロングパスからの攻防を経て、菅が左奥を突いてクロスと、相手を引き付けての攻撃を形にします。
直後の37分に、先程痛めた中村に代えて岡田を投入。

前へ向かう道筋は見えてきた札幌ですが、それが好循環に繋がるとは限らず。
38分、むしろそれによる前掛かりな姿勢を新潟のワンタッチでの繋ぎで突かれ、小野の前への落としを裏で受けた秋山がエリア内へスルーパス。
そして受けた小見とのGKの一対一が生まれる決定機に。
しかしこの小見と菅野との攻防は、菅野がスリップ→何とか立ちはだかる→小見がキープの最中にスリップ→菅野抑えるという、何とも締まらないものに終わってしまい。
気象コンディションは問題無いものの、春先からの札幌ドームの芝の状態の悪さは依然として残ったまま、という事が伺えるシーンにもなりました。

とにかく前へ向かわなければならない札幌。
39分には浮き球の攻防で、後ろから島田に激しく当たった大﨑が反則・警告を受けるなど、球際への圧も強めなければ如何ともし難い状況なのは明白であり。
その喰い付きぶりを突かんとする新潟、41分に敵陣左サイドで深めから戻りながらの細かなパスワークにより、相手全体を引き付けたうえで長谷川元のスルーパスでエリア内を突くというマンマークの相手の崩しの明利に尽きるシーン。
しかし走り込んだ島田のシュートはゴール右へ惜しくも外れと、崖っぷちの敵に対し止めはさせずという流れに。

札幌は43分、大﨑の縦パスを受けた小林が新潟2人を引き付けてのレイオフ、これをさらに大﨑が1タッチで縦パス。
駒井のスルーを経て受けた田中克がシュート(GK阿部キャッチ)と、大﨑のその才覚も徐々にチーム力に還元させながら攻め込みますが、如何せん時間が足りなく。

そして迎えたアディショナルタイムは、新潟のボールキープによる時間稼ぎが存分に発揮されるという、札幌サイドにとっては見るも無残な光景が続き。(新潟は44分に谷口→高木へと交代)
右コーナーに持ち込んで次々と時間を使う小野・高木の前に中々脱出させられない札幌。
何とかその流れを断ち切ったものの、結局7分あった目安時間で好機を生み出す事は出来ず。
そのまま0-1でタイムアップとなり、これで7連敗と最下位脱出すらままならない状況は打開できずとなりました。

一方アウェイ連戦で勝ち点を積み上げる運びとなった新潟。
ボール支配率では上回られ(札幌54・新潟46)、少なくなかった決定機から追加点も得られずという試合でしたが、それ以外では盤石な内容だったでしょうか。

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DAZN観戦 2024年J1リーグ第17節 柏レイソルvsアビスパ福岡

2024-06-06 16:00:58 | サッカー視聴記(2024年J1)

<両軍スタメン>

  • 柏ホームだが、↓とは逆のコートで前半スタート。
  • 福岡はドウグラス・グローリが累積警告で、シャハブ・ザヘディがルヴァン杯3回戦(柏戦、1-2)での退場により出場停止。(ザヘディは前節・新潟戦(2-1)も15節の退場により出場停止)

久しぶりに観た福岡の試合、その最終ラインは見慣れないものとなっていた……。
そんな浦島太郎が頭を過る布陣ですが、グローリが出場停止でかつ奈良・宮が負傷が目立つ状況ならば仕方無いものがあり。
田代は今季全試合スタメン出場と序列を上げる事に成功していますが、堅固なディフェンスを維持できているのか、ないしはそれが綻びに繋がっているのかはまだ不透明。
そんな状況故に、この日は本来サイドの選手である亀川が左センターバックでスタメンに。

前年のルヴァン杯制覇でクラブとしての地位は上がった感があるとはいえ、もっと上の地位にいるクラブにより主力選手がオフに抜かれる立場なのは変わらず。
それを踏まえながら堅守を保つのは一苦労であり、前年見せていた4-4-2と3-4-2-1の使い分けをする余裕など無くなり、今季はほぼ3-4-2-1で固定化。
J1に居続けるための手段とはいえ、純正4-4-2による組織的守備を売りとするチームが数少なくなる状況に、物寂しさを覚えてしまうものです。
この日は、その4-4-2での守備により前年辛うじて残留を果たした柏が相手。

それでもあいにくの天候で、かつ水曜(5/29)に挟まれた9節・マリノス戦で大量失点してしまった柏。(0-4)
守備を押し出すには分が悪いと感じたのか、立ち上がりから攻勢を掛けにいき。
ボール争いを悉く制した結果、右スローインからの押し込みを連続させ、フリーキック・コーナーキックの獲得に繋げ。
つまりはセットプレー攻勢で、悪コンディションに相応しいといえる入りだったでしょうか。

前半5分の左CK、キッカー三丸のクロスをファーサイドで犬飼が合わせましたが、このヘディングシュートはゴール上へと外れ。
福岡は粘りのディフェンスを見せるも、クリアボールを拾って継続する事で息を継がせない柏。
6分にはその流れから二次攻撃を掛け、左奥でスルーパスを受けた細谷、戸嶋とのワンツーからのカットインの末にシュート。
ブロックされるも関根がエリア外で拾い継続し、サヴィオがペナルティアークからシュート(ブロックされCK)という具合にフィニッシュを重ねます。

ホーム・三協フロンテア柏スタジアムの、距離感の近い観衆の盛り上がりを助長するかのようなフィニッシュ攻勢。
11分には福岡の攻撃を切ってすかさず裏へ送り、クリアされて左スローインとなった所で素早くリスタート、福岡サイドが戻りきらないうちにアタッキングサードで仕掛け。
そして中央への戻しを経て関根がミドルシュートを放つも、ゴール左へ外れ。
13分には古賀のロングパスのセカンドボールを拾ってからの攻撃、右ワイドから鵜木のパスを細谷がスルーしてサヴィオの下へ。
ディフェンスに遭うもエリア内へこぼれた所を反応良く細谷が抜け出して拾い、すかさず前に出て来たGK村上を見てのループシュートを放ち。
しかし村上の伸ばす腕を越すには至らず、キャッチされて先制はなりません。

快調といった流れの柏ですが、それだけに決められない事による反動が怖くなる展開でもあり。
特にコンディションの悪さを受け、福岡がシンプルに裏に送るという攻撃を見せると、セーフティなラインアウトのクリアを選ばなければならず。
20分、田代ロングパス→ウェリントンフリックという定番の流れを経て、拾った佐藤の左ポケットへのスルーパスから紺野のシュートにまで繋げ。
オフサイドで無効となったものの、こうしてシンプル・イズ・ザ・ベストの思考に落ち着いた相手は怖い。
最前線で橋頭堡を務めるウェリントンが、かつて井原正巳監督自身の誇る(福岡監督時代)強力な駒だっただけに尚更であり。

そして26分、GK守田のフィードを跳ね返したウェリントンから攻撃開始する福岡。
前の落としを受け直したウェリントンがすかさず左→右へサイドチェンジ、受けた小田も間髪入れずのアーリークロスを選択。
走り込む佐藤に対し、防ぎにいった犬飼が接触で転倒してしまいボールは佐藤の下へ。
関根がクリアするも跳ね返りが佐藤に当たり、さらにそのボールが関根に当たる、ピンボールのような動きの末にゴールへ吸い込まれます。
その危惧の通りに、少ない攻撃機会で先制点に辿り着いた福岡。(記録はオウンゴール)

さらに柏は、倒れた犬飼が足を痛めた事で続行不能に陥るというダブルパンチに襲われ。
一度は起き上がるも再び倒れ込み、痛々しく担架で運ばれる事となった犬飼。
同ポジションに立田が投入され、立て直しを図る事となりました。

しかし乱されたペースを取り戻すのは難しく、以降は福岡がクロス攻勢に。
スルーパスに走り込んだ紺野の右からのクロスをウェリントンが合わせる(31分、ジャストミートせず枠外)など、危ないシーンを描き続ける結果となり。
35分には佐藤が「ストーミング」的に、GK村上のロングフィードを回収した古賀に対しアタックしてエリア内で奪い返し、そのまま中央へ流れてのシュートでゴールネットを揺らし。
しかし古賀に対する反則を取られノーゴール、判定にも助けられる一幕で更なる劣勢感を醸し出してしまいます。

そしてとうとう耐えられず、38分に右スローインから繋ぐ福岡に対し、三丸が紺野のボールキープに反則を犯してしまい。
これで右ワイドからのFKとなった福岡、中央にターゲットを集めた中、キッカーの前はその手前のニアへのクロスを選択。
これを小田が跳び込んで合わせてのヘディングシュートで、ゴールネットを揺らす事に成功します。
長所のヘッドの強さを、ウェリントン・田代の存在を囮にしたうえで活かしきり、リードを広げた福岡。

先制されて以降、まるで良い所の無い柏。
その後も福岡の縦に速い攻撃と、ピッチコンディションの悪さに苦しめられ、自陣で反則を量産。
42分には土屋がトラップミスした所を佐藤に拾われ、すかさず倒してしまった土屋が反則・警告。
これで左ハーフレーンからの直接FKとなると、キッカーの位置に立ち直接シュートにいったのはウェリントン。
普段はターゲットのイメージが強い彼が放ったシュートがゴール左を襲うも、GK守田が正面でキャッチして何とか防ぎます。

そのまま突入したアディショナルタイム、流れを反転させたい柏は関根のパスカットから素早く攻めかかり、細谷のスルーパスを受けたサヴィオ。
しかしドリブルに入ろうとした所スリップしてしまいボールが付かずに終わるなど、ピッチも敵に回る事となり。
その後エリア内でワントラップからのボレーシュートを放つ(小田がブロック)など、攻撃の橋頭堡として働いたサヴィオでしたが、肝心のゴールは奪えず。

0-2で終えた前半。
既にアクシデントでカードを使っていた柏でしたが、ハーフタイムでも動き(むしろHTで動く方が交代機会の消費がされないためお得であるが)土屋→木下に交代。
細谷・木下の2トップとなり、サヴィオが本来の左サイドハーフへシフトし、戸嶋が土屋の抜けたボランチに回って後半に臨みました。

そのサヴィオの左ワイドでの仕掛けを軸として反撃を試みる柏。
しかし中々実にする事が出来ず、逆に福岡の攻撃の際には、前述したラフな裏へのロングパスにより流れを切られる事で攻勢を作り上げられません。

逆にビハインド故に、柏の攻撃は必然的に地上での組み立てが必須となったのも重くのしかかり。
パスが減速するという悪コンディションとの戦いも強いられ、それを突くように仕掛けられる福岡のハイプレスが襲い掛かります。
後半7分、左サイド深めで人数を掛けた末にウェリントンがカットに成功、そのまま狭い距離間を浮き球を交えて繋ぐ福岡。
紺野が奥へ切り込んでクロス、クリアされるも拾って継続し、再度奥で受けた紺野がカットインと繰り返して攻めるも関根が奪い何とか断ち切った柏。
追い掛ける方がこうして圧力を受けるとなれば、とてもシュート数の差(試合終了時点で16対3)が示すような優勢感は無く。

バックスタンド側のピッチに水分が多い状態で、それによりサヴィオの仕掛けが中々機能しない状況に陥っており。
そのため逆サイドで、高い位置を取った関根に預けてのクロス攻勢に入りましたが、こちらもフィニッシュに繋がらずと苦しさが滲み出る柏。

これを変えるべくベンチが動くのは当然の事で、16分に三丸・鵜木→ジエゴ・島村へと2枚替え。
どちらも同ポジションでの交代ながら、これによりジエゴが最初から高い位置を取る事で、サヴィオが中央でプレーする体勢となり。
そしてここから、サヴィオが福岡の前線五角形の中でパスを受けるという、5-4-1の相手を崩すための手がかりの役を務めます。

19分、その状態でパスを受けたサヴィオが右奥へ対角線のロングパスを関根へ通し、敵陣でのパスワークに入り。
そして戻しを経て再度受け直したサヴィオが左ポケットへパスを送り、ジエゴがダイレクトでクロスを入れる(シュート?)も精度を欠いて実らず。
21分には中央で持ち運ぶサヴィオから、パスを受けた島村がエリア内へスルーパスを通さんとしましたが細谷には繋がらず。
崩しの体勢は整ったものの、悪天候もあり枝葉の部分での精度を欠いてフィニッシュを放てません。

結局完全な攻勢を作り上げられなかった柏。
24分には逆に福岡の攻撃で、紺野のスルーパスが水分で止まるという状況が齎されながら、拾った柏もパスミスでウェリントンに拾われて継続。
そしてエリア内に送られた佐藤へのパスを遮断した後も、GK守田のクリアがDFに当たって跳ね返るなど流れの悪さを露呈するような絵図を描いてしまいます。(結局シュートは撃てず)

時計が進み、福岡サイドもベンチが動き始め。
29分に佐藤→金森へ交代し、まずは前線の運動量を確保する采配を見せると、その通りに以降も守勢には入らずプレッシャーを掛け続けます。
そして31分、その姿勢から柏の縦パスを亀川が前に出てカット、そのままカウンターに持ち込んで金森がドリブルで左ポケットを突き。
そして入れたクロスはブロックされるも、こぼれ球を上がっていた亀川が折り返し、クリアされてCKに繋げるなど圧力は未だ旺盛であり。
33分にも井上が前に出てカットしそのまま持ち上がるという具合に、ここに来て最終ラインの積極性も表れ始め柏サイドを苦しめます。

34分に双方交代。
福岡は亀川→宮で、柏は白井→高嶺。

直後に好機を掴んだのは柏で、古賀のロングパスの跳ね返りをサヴィオが繋ぎ、島村が持ち運びからポケットへスルーパス。
そして走り込んだサヴィオのクロスがファーに上がり、木下がヘディングで完璧に合わせたものの、シュートはゴールバーを直撃し決められず。
その後35分の右スローインからも、島村のボールキープを経てサヴィオのクロスが上がると、大外でジエゴが合わせヘディングシュート。
しかしこれもGK村上のセーブに阻まれ、立て続けの決定的なフィニッシュもモノに出来ませんでした。

この時間帯は、既に柏サイドもまともな崩しは無理と判断してか、木下狙いのロングパスが中心となり。
その変節がこうした決定機に繋がったものの、その効果は長くは続かず。

逆に41分の福岡の攻撃で、ルーズボールに走り込んだウェリントンが高嶺に反則を受け。
一向に得点出来ない焦りが、さらに福岡に時間を使われて増幅する状況となり。
この左サイド遠目でのFK、その柏の隙を突くように、キッカー前は放り込みでは無くポケットへのスルーパスを選択。
そして走り込んだ金森がGKとDFの間へグラウンダーでクロスと、際どい流れを作ったものの合わずに終わり。

44分に最後の交代を使う福岡、紺野→重見へと交代。
ウェリントンを最後まで残し、あくまで最前線のターゲットを押し出す姿勢を保ち。
リードを守りきるというイメージの強い福岡ですが、この日は柏の不安定ぶり(かつ2点差という要素)もあり最後まで積極性を出しに掛かりました。

そして投入したATでも、ウェリントンのボールキープからの保持で敵陣でサッカーを展開する福岡。
そのウェリントンのパスを受けた重見がエリア内へ切り込むも、これは遮断されてこぼれ球を拾った戸嶋により柏のカウンター。
追い掛ける側が後半ATでカウンターという真新しい絵図が生まれると、サヴィオが中央突破を経て右ポケットへスルーパス、そして細谷が走り込み。
何とかフィニッシャーとして意地を見せたい細谷でしたが、走りながら放ったシュートは右へ逸れてしまい決められずに終わりました。

結局この後柏は攻撃機会を得る事無く、そのまま0-2で試合終了。
前節に続く逃げきり勝ちと、メンバーが揃わないなかでも持ち味をしっかり発揮する事となった福岡。
J1の地位固めに余念は無いようで、これが何処まで維持されるか。

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DAZN観戦 2024年J1リーグ第17節 FC町田ゼルビアvsアルビレックス新潟

2024-06-03 16:02:56 | サッカー視聴記(2024年J1)

<両軍スタメン>

  • 町田ホームだが、↓とは逆のコートで前半スタート。

前年初の昇格を成し遂げた町田。
しかしその戦いぶりは、とうとう夢のJ1の舞台でその初々しさを前面に……とは真逆の状況となっており。
まあ成績的には首位を快走しているという、前途洋々なものなのですが。

何しろ開幕戦(ガンバ戦、1-1)から、そのホームのアクセスの悪さがJ1という土俵によって可視される事で、大いに物議を醸す入りとなり。
その後はパワーサッカーを前面に押し出し、並み居る強豪をなぎ倒しながらあっという間に頂点に最も近い位置に登り詰め。
それによりラフプレーとも異なる、「審判に見えない部分での接触」「試合が止まればすかさず時間を使おうとする姿勢」といった事象が(悪い意味で)話題となり。
そうした新興勢力の跳梁を許す既存クラブ、という要素もあり一層混迷を極めている今季のJ1リーグ。

さて、この日そんなクラブと相対する事となった新潟。
開幕前には町田・黒田剛監督が「足元でチャカチャカやるサッカー」と、ポゼッションスタイルを全否定するかのような発言をしたとの事で、俄然注目の的となった感のあるこの試合。

しかし目下降格圏の方が近い状況となっている今の新潟では、まともにぶつかっては黒田監督の思う壺となるのは自明の理であり。
前半1分のゴールキック、普段の短く繋ぐ姿勢から、蹴り出しを受けたGK小島はロングフィードを選択。
そのフィードも鈴木孝をターゲットとするもので、続く2分にも秋山のラフな蹴り出しを鈴木孝が収め、デュエルを強いられながらキープを果たし。
まずは1トップ(yahooスポーツナビでは、長倉との2トップという表記)のポストワークを前面に出し、神戸戦のような「スタイルを封じられて何も出来ない状態」の回避に努めました。

そんな相手の変節を見ても、町田は4分に早速(林が)ロングスローを放り込むなど普段のスタイルを貫く構えを取り。
しかし5分には敵陣でボール確保したのち、チャンミンギュのサイドチェンジも絡めながら繋ぐも、結局戻して作り直しといったポゼッションサッカーの姿勢に。
慎重な姿勢の新潟に合わせるというシーンが、今後の様相を暗示するものとなってしまったでしょうか。

それでも、8分にはGK谷のロングフィードがオセフンを越えて藤尾に渡り、左奥を突く好機。
ここからロングスローを2本続け、2本目の二次攻撃から生まれた混戦で、平河の中央からのシュート(小見がブロック)にまで持っていき。
得点は奪えずも、こうした神経戦のような立ち回りで、相手へのダメージを蓄積させていく。
その徹底ぶりがこれまでの成績に繋がっており、この日もその効果は見られ。
16分新潟が自陣でボールを持つも、例によって町田のプレッシャーを受けた事で左→右へと苦し紛れのサイドチェンジ。
これを藤原が(鈴木孝と?)お見合いしてしまう格好となり、受けられず仙頭に拾われた末に彼を倒してしまい反則、町田にフリーキックを与える事に。
このFKからはフィニッシュに持ち込めずも、失点に直結するミスが生まれる危惧が高まり始めます。

しかし直後の17分、右サイドから奥を突かんとした平河、タッチを割ったのちも勢いが余った末にコーナーフラッグと激突。
その結果無残にも根本から破壊されてしまったフラッグを受け、交換のため試合が中断される事となりました。
いかにも町田のサッカーが織り成す絵図だな……と考えさせられるとともに、相手にも余裕を与える結果に繋がったでしょうか。

新潟の自陣深めでのスローインで再開(20分)すると、町田のプレッシャーを受けながらもデンがキープからのミドルパスでそれを脱出。
これを収めた長倉からの繋ぎも、町田の素早い寄せを受けながらのものながらでしたが、こぼれ球も巧く拾って前進を果たした末に谷口が(鈴木準に)反則を受け。
(その後のFKからも)好機にはならずも、町田のサッカーに対する耐性を見せ始めた事で試合が動く切欠となり。

24分こぼれ球を拾った藤原から前進を始めると、秋山はここもポストの姿勢から浮き球のパスと変化を付け。
受けた小見が持ち運び、長倉にパスを出したボールを林がクリアするも、これが逆方向へ流れてスルーパスのようになってしまい。
走りを止めなかった小見がこれを拾った事で、エリア内でGKと一対一に近い状態へ持ち込んだ末にゴールネットを揺らし。
あろう事か自身のミスも絡んで先制を許すという、町田の目論見とは真逆の結果となりました。

先制した新潟は、尚もその直後に決定機。
ここも中盤でのボール争いから、秋山のダイレクトパスでの脱出を経て、跳ね返りを拾った小見が右奥を突く状況に。
そして上げられたファーへのクロスに、動揺を隠せない町田はGK谷が跳び出すも、遅れてしまい谷口のヘディングシュートを許し。
無人のゴールに吸い込まれる……と思われましたが、ゴール前に戻った昌子がカバーし、辛うじて追加点は防ぎます。

コーナーキックを得て一気呵成といきたかった新潟ですが、その意識が仇となり。
キッカー秋山はライナーでファーへのクロスと変化を付けるも、早川折り返し→長倉のポストプレイが繋がらずにカウンターを招いてしまい。
藤本のドリブルは小見が遮断するも、拾った鈴木準を経由し平河がドリブルに入った事で一気に数的優位の状態で敵陣へ。
そしてエリア内へ切り込んで右へと横パスが出されると、藤尾がワンタッチでゴールへ蹴り込んで完遂させます。
綺麗なロングカウンターで、同点に追い付いた町田。

一方新潟サイドは、中盤でデンが主審(川俣秀氏)と交錯したために鈴木準のカバーを遮断出来ずとなったため不満を露わにする結果に。(判定は覆らず)
30分には自陣で柴戸に奪われてのショートカウンターで、またもエリア内での横パスから藤尾のシュートに繋げられ。(右サイドネット外)
折角奪ったリードも直ぐにフイとなり、再度精神面からの建て直しを余儀なくされます。

しかし町田サイドも、普段とは違う新潟のスタイルにリズムを掴めなかったか。
35分に新潟のゴールキック、蹴り出す前に藤尾がエリア内に入ってしまったためやり直しという珍しいシーンを招き。
短く繋ぐ相手にハイプレス、という格好のシチュエーションに中々入れず。
全体としてアンカーの位置取りをする秋山に対し、2トップが切るという姿勢に落ち着く事となります。

自身のストロングスタイルを見失ったような町田は、結果最終ラインからの繋ぎによる攻めに入らざるを得なくなり。
そして新潟がそれを遮断して攻撃権を掴むという、逆の展開が発生。
その末の45分、早川のパスカットから攻める新潟、谷口のスルーパスを左ワイドで受けた長倉が溜めを作りながらカットイン。
そして中央への戻しを経て放たれた谷口のシュート、鈴木準がブロックするもエリア内へこぼれた所を詰めたのは藤原。
長倉・谷口の2名に引き付けられた結果防ぐ手段は町田に無く、ゴールネットが揺れて新潟が勝ち越し点に辿り着き。
本来のスタイルでは無い、相手のペースを捻じ曲げる立ち回りの末に前半リードに成功しました。

1-2で迎えたハーフタイム。
今季の新潟が前半でリードする事はこれが2試合目(HTの時点では初)と、普段のサッカーの残像を利用するのは予想以上に有用となり。
逆に前半ビハインドはこれが3試合目の町田、過去2試合はいずれも敗戦に終わっており。
手を打たざるを得ないと言わんばかりに、このHTで藤本→ナサンホへと交代して後半に臨みました。

ペースを確保したい町田は後半2分、藤尾のドリブルが舞行龍にこぼされるも、その際交錯して動けなくなった舞行龍を余所にナサンホが拾って継続。
そして舞行龍不在の隙を突いて前進し、再度藤尾の持ち運びからエリア内へラストパス、平河がダイレクトでシュートを放ちましたがGK小島がセーブ。
マリーシア染みた町田の姿勢が発揮されたような好機となりましたが、舞行龍はその後4分、報復と言わんばかりに藤尾に対し激しいチャージを敢行。
藤尾は頭部を痛めて倒れ込むも反則の笛は鳴らずと、やられたらやり返すといった姿勢(もちろん偶然でしょうが)で、この日の新潟は対抗姿勢を示します。

そんな相手に対し町田はペースを握るどころか、逆に傷口を広げる事となり。
6分敵陣でボールポゼッションと久々に本来の姿勢を発揮する新潟、左サイドで繰り広げるパスワークに対し、町田は谷口に対し鈴木準が反則を犯してしまい。
これで得た左ワイドからのFK、キッカー秋山は(前半の失点に繋がったCKを踏まえてか)素直に右足でゴールに向かうようなクロスをニアへと上げ。
合わせにいった谷口との競り合いを経て、チャンミンギュのヘッドでのクリアがゴールへと向かう事となってしまい、ネットを揺らす結末に。
偶発的故に誰も責められないオウンゴールで、リードが2点に広がります。

これで積極性が必要なくなった新潟により、町田は一層主体的な攻撃を余儀なくされる状況に。
守備を固める相手の前に、必然的にパス主体での崩しを迫られるという具合に、皮肉にも自身が「足元でチャカチャカやるサッカー」をしなければならない事となりました。

それでも11分、新潟のパスミスを鈴木準がダイレクトで繋いだ事で、薄い守備を突ける状態に。
左からの林のクロスがクリアされて左CKとなるも、ショートコーナーで変化を付けた末に入れられた鈴木準のグラウンダーのクロスがカットされて新潟のカウンターと、前半とは真逆のシーンを生む結果となってしまいます。
長倉のドリブルを遅らせて何とかフィニッシュには持ち込ませずも、既にそのアイデンティティは喪失状態に。

状況打破のためベンチも動き、14分に3枚替えを敢行。
鈴木準・仙頭・オセフン→望月ヘンリー海輝・荒木・エリキへと交代します。
以降、類まれな身体能力を有するサイドバック・ヘンリー(J2では、長崎のモヨマルコム強志に類似か)を前面に押し出すスタイルで反撃体制に掛かる町田。
それに合わせるように、柴戸が最終ラインに降りる事で右肩上がりとなるビルドアップの形。

決定機は18分に訪れ、後方でのパスワークから中央での繋ぎを経て、ナサンホのミドルパスが直接エリア内を突くものとなり。
右寄りで受けた平河が放ったシュート、GK小島を抜いたものの左ポストを直撃。
跳ね返りをすかさず荒木が詰め、決まったかと思われたものの早川のブロックに阻まれ。
さらにエリキが詰めにいった結果、スライディング同士の激突で早川を削る格好に。(反則無し)
ゴールまであと一息という状況も、結局はその攻撃性によるラフプレーで終わる事となってしまいました。(早川は何とか無事でピッチ外→復帰)

一方の新潟は、ポゼッション能力を守備面で発揮するなど2点リードを存分に活かす立ち回り。
こうした状況にどうやって持ち込むか(つまり如何に先にリードを奪うか)の課題と向き合う、あくまで最初からその立ち回りを押し出すガンバとは違うチームだな……という事を認識させられる流れにもなります。
町田のボール保持に対してはリトリートの構えも見せるものの、24分には右ワイドで受けた柴戸に対し奥村が釣り出されるなど、その練度は未熟であり。

何とか突破口を開きたい町田、27分例によって高い位置でミドルパスを受けたヘンリーから好機を作り、平河のエリア内中央へのパスを荒木がスルーして左のナサンホに渡り。
切り返しからのシュートを狙ったナサンホでしたが、読みきった藤原に切り返す所で奪われ、折角の地上からの崩しもモノに出来ません。
この直後に藤尾→ミッチェル・デュークに交代と、早くも5枚のカードを使いきったのに対し、新潟サイドはこの時点で交代無しとこの面でも苦しさが滲み出る事となり。

しかしその新潟も蓄積ダメージは隠せず、32分には秋山が足を攣らせてしまい、担架で運ばれる事となりベンチワークの堰が切られ。
秋山・早川→島田・堀米へと2枚替えし、その後守備重視の立ち回りの色はさらに強まります。
それでも40分に敵陣深めでの右スローインから、長倉が浮かせたままのボールキープによるカットインでポケット奥に切り込む(そのままゴールラインを割る)という具合に、要所で発揮される技も勝利へのムードを高めるのに一役買う事に。
さらに41分には鈴木孝→ダニーロへ交代し、谷口がFWへシフト。

敵陣でボール保持する事で、時間と攻撃機会を町田から奪うのに成功する新潟。
45分に得た左CKでは、ダニーロがコーナーでキープの体勢に入り、掻き出しを長倉が拾った事で好機。
奥村が左ポケット奥で持つ状況となり、そのままシュートが放たれるも流石に角度が足りずサイドネット外に終わり。
売り出し中といった奥村でしたが、この日はゴールを奪う事が出来ず。

町田はこの直後のゴールキックで、GK谷のロングフィードを収めにいったデューク、マーカーのデンを軽く押した事で外した末に確保するという具合にその姿勢自体にブレは見られず。
ここから攻撃権を支配する状態となった町田でしたが、既に時間もアディショナルタイム。
唯一のフィニッシュは、左サイドからの前進で林がクロスを上げ、ファーサイドで合わせたヘンリーのヘディングシュート。
ターゲット型SBの本領発揮といったフィニッシュでしたが、これもGK小島のセーブで防がれどうしても2点目を奪えません。

一方相手が相手だけに、そのプレッシャーで最後まで気が抜けないという新潟。
ATに入り、アウェイ側スタンドに詰め掛けたサポーターによる、ホーム側を凌駕するその声援で勝利への実感を強めるといった絵図に。

その後押しを受けながら1-3で試合終了の時を迎え、ようやく5勝目を挙げる運びとなりました。
相手に合わせるようなスタイルでもぎ取ったその勝利は、窮地での一時凌ぎという色も強いものとなりましたが、その姿勢が浮上のためには不可欠なのも確かであり。
この後の中断期間を経て、両面をミックスさせた進化を遂げる……なんて事はあるかどうか。

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DAZN観戦 2024年J1リーグ第16節 FC東京vsガンバ大阪

2024-05-31 16:16:28 | サッカー視聴記(2024年J1)

<両軍スタメン>

  • FC東京は、原川がルヴァン杯3回戦(鳥栖戦、1-1・PK5-4)で退場(警告2度)となったためこの試合出場停止。

目下、ガンバの守備力が凄いと聞いたので視聴。
そうでなくとも、現在リーグ最少失点という成績面で残っている事実に疑いようは無く。

守備というファクターで真っ先に思い浮かぶのが、今季チームに戻ってきた松田浩氏。(肩書はフットボール本部本部長)
オフにこの一報を聞いた時は失礼ながら、ダニエル・ポヤトス監督の後釜ならびに保険としての人事かな……というぐらいにしか思わなかったのですが、その影響力はまだまだ健在だったようで。
そうしてチームの波長を合わせた結果、開幕から複数失点試合は2つのみで、現在は5試合で失点僅か2という凄まじいスコアを残しており。
この日は、反対に得点数リーグトップのFC東京が相手と、その実力を見せるのに相応しい試合となりました

その入り、ボール争いを経て確保に成功したガンバ。
1トップという立場ながら、下がり目の位置でボールキープする宇佐美を中心としたボールポゼッションを展開。
前半2~3分に、スルーパスで左奥を取ってもクロスは上げずに戻しを選択するという具合に徹底してパスを回し。
再び左奥を取った黒川のクロスが流れ、逆サイドで拾い直して戻し→中谷から攻め直しと、前年から実に洗練されたパスワークを披露します。

そしてこのボール保持が、相手に攻撃させないという効用に繋がるのは現代においてとても重要なファクターで。
攻撃サッカーとして採られ易いポゼッションスタイルですが、その本質はペース確保にあり。
確かにポヤトス氏のスタイルを極めたうえで、松田氏の思想がガッチリとハマれば、最強の守備組織が出来上がるのも頷けるものでした。

そんなガンバの攻撃権も、8分には相手に移り変わり。
最終ラインでボール確保して攻めるFC東京、まずは相手の4-4-2のラインの裏を積極的に狙い。
スルーパスにより裏抜けする俵積田や荒木に対しても、中谷の対応でしっかりと防ぐガンバ。
しかし9分、3度目の裏へのスルーパスにディエゴが走り込むと、今度はスライディングでの対応を余儀なくされた福岡が防げず好機に。
そのまま奥を取ってのカットインでGK一森と正対するディエゴ、意識を引き付けたのちマイナスのクロスを入れると、逆サイドから走り込んでいた俵積田がニアで合わせシュート。
しかし一森は惑わされずこれをセーブと、守備網が崩されながらも最後の砦で凌ぎます。

14分には縦パスに入れ替わった安斎に対し、かわされかけた黒川が引っ掛けてしまい反則・警告。
こうしたシーンを見るに、新加入の中谷は流石に安定感が光るも、その他のメンバーにやや脆弱さを感じてしまうといった所でしょうか。
それでも、宇佐美が積極的にプレスバックを掛け、時には自陣深めでボール奪取するなど守備面での意識改革の成果は随所で発揮され。

チャンスがあれば先制点を取るに越した事は無い状況で、16分にガンバの好機。
黒川縦パス→宇佐美フリックで裏へ転がったボールを、走り込んだウェルトンがマーカー長友をショルダーで吹っ飛ばして確保。
そしてそのまま中央で溜めたのちエリア内の山下へラストパスを送るも、ズレてしまい右に流れ。
山下はすかさず走り込んでシュートに持っていきましたが、この影響で角度が足りなくなり枠外で逃してしまいました。

その後はガンバのポゼッションに対しハイプレスを掛けるFC東京。
綺麗には奪えずも、その保持が途切れた所で反撃に入るという立ち回り。
しかしディエゴ・荒木に縦パスを通さんとしても、ゾーンディフェンスが織り成すコンパクトな布陣からの素早い寄せに苦戦。
中々ボールを確保できない両名を受け、結局は俵積田の裏抜けに賭けるという状態に。

そんな状況で迎えた26分、ガンバは最終ラインから繋ぎに掛かるも、GK一森の縦パスがズレてしまい俵積田の下へ。
ここはダワンがすかさず奪って難を逃れましたが、その直後にもパスミスを犯し、高が直接荒木に縦パスを通してカウンターに。
ようやくスペースを得た状態となった荒木、細かいタッチでのドリブルを経てディエゴにスルーパスを通さんとしますが、中谷が巧くコースに立ちはだかってカットして防ぎ。
ペース維持に成功しているだけに、前年序盤に数多見られた、こうした下らないミスからの失点は避けたい所であり。

気を取り直し、再びボール保持の色を高めるガンバ。
特に30分台に入り、落ち着いてボールを上下動させながらGK一森の元までボールを戻したのが33分。
傍らから見れば攻める気が無いように映るそのサッカーに、ホーム(味の素スタジアム)のFC東京サポーターからブーイングも一部上がるという具合に、スタイルのぶつかり合いといった要素も高まる試合展開。
そしてここから中谷の縦パスを起点に前進するガンバ、道中カットに遭いながらも繋ぎ、坂本がペナルティアークでキープする状況に。
結局囲い込まれて撃てず、その後の攻撃も実らなかったものの、クリアの跳ね返りが小泉の腕に当たってハンドの反則に。
これで中央からの直接フリーキックとなり、キッカー宇佐美が当然直接シュートを狙ったものの、ゴール上へ外れて惜しくも実らず。
相手サポーターからの不満も浴びながら、一発で仕留めるという戦いを貫きます。

その一発が再び訪れたのが41分、FC東京のコーナーキックから。
ショートコーナーを経てのクロスが跳ね返されるも、拾ったのち長友のミドルシュートが放たれ。
しかし半田のブロックで防いだガンバ、最終ライン裏へ跳ね返った所へ、山下が猛スピードで追い抜いて拾った事でカウンターを発動します。
そのままドリブルで一気にエリア内へ切り込む山下、必死に追いかける高・バングーナガンデを尻目に、ほぼGKと一対一状態で放たれるシュート。
しかし野澤大は冷静に、前に出ず構えて見極めこのシュートをセーブと、1点もののシーンを見事に防いでみせました。

結局前半はそのままスコアレスで終わり。
FC東京はリーグ最多得点といっても他クラブとは僅差であり(実際今節終了後、鹿島と町田に抜かされる)、強固なディフェンスを破れるほど盤石なものでは無い。
そんな一言寸評が頭を過る展開でしたが、挽回できるかどうか。

しかし後半の立ち上がりもガンバペースに。
後半3分、縦パスを受ける荒木を半田が潰し、奪ったのち鈴木の縦パスでカウンター気味に好機。
そして宇佐美のミドルシュートが放たれましたが、これもGK野澤大がセーブ。
このシーン然り、続く4分にはディエゴが福岡のチャージで倒れ込むという具合に、やはりディエゴ・荒木へのチェックの激しさが止まない状況。

それを受けてか、その後荒木がサイドに開いてパスを受ける事で逸らしに掛かり。
8分、左サイドで小泉のカットから矢印を反転させ、ディエゴの縦パスを受けた荒木が俵積田へスルーパスを通し。
そして縦突破からの斜めのカットインでポケットを突く俵積田、そのままシュートを放ちましたが惜しくも枠を捉えられず。

強烈なサイドアタッカーという位置付けの俵積田ですが、この直前の6分に気になるシーンが見られ。
小泉のスルーパスを受け、薄い左サイドを突破する状況となったものの、ここではカットインを選ばずアーリー気味にクロス。
そして誰にも合わず流れるという具合に、ガンバの守備網を受けて「早く攻めきらなくては」という思惑に陥っていた感があり。
しかしこのシーンを反面教師とし、以降は積極的にフィニッシュへのプレーを選択します。
12分、再び荒木のパスを受けたのち左サイドを突破し、カットインを経てハーフレーンからミドルシュート。
GK一森にセーブされて実らずも、苦境を剥がさんとその威力を発揮し始め。

しかし14分、ガンバは山下が右サイドをドリブルに入ると、かわされたバングーナガンデが腕で倒してしまい反則・警告。
これで左サイドに被害が出ると、以降俵積田の見せ場も無くなりそのまま18分に交代となり。
遠藤と交代(同時に荒木→仲川へと交代)し、巻き直しを余儀なくされるFC東京。

そして再度ガンバのペースとなると、今度はセットプレー攻勢で時間を使いながら……という攻撃に。
20分から右CKを2本続け、その2本目から二次攻撃で左奥を取ってのパスワーク。
遮断されるも山下が奪い返し、奥へ切り込む所小泉に倒されて反則となり、今度は左からのFKに。
キッカー宇佐美のクロスをニアでダワンがフリックで合わせ、ゴールを狙いましたがGK野澤大がセーブ。
狙い通りに作り上げた決定機も、相手GKのビッグセーブでモノに出来ないという流れを強いられます。

それでも、左サイドの推進力を失ったFC東京は以降殆ど攻撃が形にならず。
単純な裏狙いが通用しない以上、どうにか主体的な攻めで好機を作りたい所でしたが、ガンバのコンパクトな守備隊形によりままならずという展開は続き。
そして守備では、前述のバングーナガンデの警告以降、山下の跳梁を許す結果となり。
29分にはまたも彼のドリブルに対し反則を犯してしまったバングーナガンデ、
すかさずガンバサイドは警告(ならびに2枚目による退場)をアピールするも、注意のみに留まり何とか命拾い。

流石にこれでは苦しいというように、33分にベンチが動くFC東京。
バングーナガンデを退かせジャジャ・シルバを投入、同時にディエゴ→松木と2枚替えを敢行。
仲川がセンターフォワード・遠藤が右ウイング・安斎が左サイドバックとそれぞれ移り、ジャジャが左WG・松木がトップ下に入り再起を図ります。
(ガンバは27分にダワン→ネタ・ラヴィへと交代)

そろそろ体力面も気になりだす時間帯で、相手ディフェンスに綻びが生まれる所を狙いたいFC東京。
実際、交代を経て縦パスの入り具合も良くなり、そこから運ぶ事に何度か成功しており。
しかし水を差すように、判定の面で運が転ばず。
36分に高が鈴木に倒されてボールロストするも、反則の笛は吹かれず逆に中谷が拾ってガンバの攻撃に。(その後右ポケット奥から山下がクロスも合わず)

ガンバも再三サイドを脅かした山下が39分に交代となり(倉田と交代・同時に坂本→山田に交代、ウェルトンが右に回る)、このまま泥仕合の様相を交えながら終盤を戦う。
そんな予感を孕ませた矢先の40分でした。
またも黒川の反則気味のアタックで小泉からボールを奪い、笛は吹かれずそのまま攻撃に入るガンバ。
ラヴィのミドルパスに抜け出したウェルトンが右奥に進入し、溜めたのち入れられたマイナスのクロスが山田の下へ。
そしてワントラップを経て放たれたシュートが、狭い守備網を掻い潜って左サイドネットに突き刺さります。
とうとう均衡を破ったガンバに対し、反則をアピールして猛然と異議を唱えるFC東京サイド。
当然VARも黙らない訳は無く、反則→ウェルトンのオフサイドと二重のチェックを行ったものの、どちらも無しに終わり。

ゲームプラン通り、堅守で失点を防ぎ、ピンポイントに訪れる好機でリードを奪う展開を描いたガンバ。
一方のFC東京、先程投入されたジャジャの突破力でそれを引き戻しに掛かります。
44分に左サイドを突破して奥からマイナスのカットイン、そして左ポケットからシュート。
中谷にブロックされ、跳ね返りを長友がボレーシュート(ジャストミートせず)と、彼の威力により齎される紛れからも、とにかく1点取りたいという状況に。

突入したアディショナルタイム、左スローインから奥を取って再度ジャジャが切り込むFC東京。
半田と交錯して倒れるもこぼれ球を繋ぎ、仲川の左ポケットからのクロスがニアの遠藤へ。
しかしディフェンスに遭いこぼれ、拾わんとした仲川も福岡との交錯で倒れてしまい、またも反則の笛は鳴らず。
相変わらず判定に運は巡って来ず、万事休すといった流れに。
この後ガンバが最後のカードを使い、ウェルトン・宇佐美→唐山・松田へ2枚替え、最終ライン右に入る松田により5バックシステム(3-4-2-1)へシフトします。

それでもCKを掴んだFC東京、GK野澤大も前線に加わり最後の攻撃に。
クロスの跳ね返りをジャジャが拾って後方から放り込み、こぼれた所を高が繋いで左ポケットのトレヴィザンの下に。
そして放たれたシュートがゴールネットを揺らし、東京ダービーの如く劇的な同点弾か、と思われましたがオフサイドを告げる笛が鳴り。
ジャジャのロビングの時点でガンバサイドは一斉にラインを上げたため、ボールが落ちる所に合わせにいったトレヴィザンがオフサイドの対象となったが故の判定でした。
結局最後まで判定に跳ね返され、FKで再開されたその直後に試合終了の笛が鳴り響きました。

危ないシーンは何度かあったものの、この日も無失点で終わらせたガンバ。
この盤石というべき航海を保ち、辿り着く順位は何処になるでしょうか。

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DAZN観戦 2024年J1リーグ第14節 サガン鳥栖vs川崎フロンターレ

2024-05-17 18:17:04 | サッカー視聴記(2024年J1)

<両軍スタメン>

「Jリーグの日」という事で、無理矢理気味に水曜に開催されたJ1リーグ。
思えば創世記の頃は、ジーコ氏はじめ様々な海外の有名助っ人が跳梁していたピッチ上。
しかし彼らは既にキャリアの晩年で、彼らに踏襲されるぐらいの当時の日本サッカーの低水準ぶりが露呈されるとともに、そこから這い上がるためのバネをせっせと作り上げるべく反発心を溜める時期だったでしょうか。
そんな「年金リーグ」と陰口を叩かれていたのが嘘のように、現代ではまず十分に走れる能力が第一である状況のJリーグ。

その流れに乗れていないのが、数年前は王者の立ち位置だった川崎。
しかし決して「走るサッカー」から距離を置いているという訳では無く、考えられる一因は世代交代の失敗。
かつての主力選手が軒並み高齢化し、かつ三苫はじめ本来次世代を担うべき人材は海外移籍。
そんな課題をカバーすべく必死に補強を重ねているものの、それをチームの実とする作業が巧くいっていないのか。
成績は次第に落ち込み、今季はとうとうボトムハーフで四苦八苦する状態に陥ってしまいました。

前節(札幌戦、3-0)はスコア的には快勝だったものの、既に最晩年で満足に走れないバフェティンビ・ゴミスをセンターフォワードに起用し殴り合うという、前述の創世記が思い起こされるようなスタイルで札幌を沈め。
そこから中3日、さらにこの後も中3日と、体力面に不安を抱えるチームにとっては人一倍キツくなる日程。
そして相手は走行距離リーグトップという対極的な存在の鳥栖(川崎は19位との事)という、逆風を浴びるようなカードとなりました。

その立ち上がり、川崎は鳥栖のプレッシングにも尻込みする事無く、ボール保持から何度も相手陣内へ切り込み。
マルシーニョの裏抜けを加えながら先制点を目指すその立ち回りに、体力面の懸念は感じさせず。

しかし鳥栖も、最終ラインでのボール保持で隙を窺うチーム。
前半8分、右サイドで前進の姿勢から、敵陣中間辺りで原田が中央へ縦パスを打ち込み。
そのパスは横方向で「縦パス」というのは語弊があるものの、しっかりと収めた菊地がミドルシュート、大南にブロックされるも跳ね返りを繋いでコーナーキックに持ち込みます。
するとこの左CKを素早くリスタートし、ショートコーナーを受けた手塚が左ポケット角からシュート(GK上福元セーブ)と意表を突き。
川崎の抱えるチーム事情を突くような、急な変化で仕留めようとします。

それでも川崎は、12分にGK上福元のロングフィードで一気に左ポケットを突き、そこにマルシーニョが走り込むという疑似カウンター。
マルシーニョが入れたグラウンダーのクロスはクリアされるも、その後ボールを確保し全員敵陣に入り込んでのポゼッションに持ち込んだ末に右CKをゲット。
ここから、キッカー瀬古のクロスをニアサイドで高井がドンピシャで合わせ、強烈なヘディングシュートでGK朴の上を破るゴール。
省エネも果たされる(と思われる)、ほぼ理想的な展開で先制点に辿り着きました。

リードした川崎、その後は家長のボールキープ力を存分に使う立ち回り。
家長も既に最晩年という年齢で、その姿はゴミス同様に前述のJリーグ創成期の事が思い出されるようなものでしたが、ペースを保ちたい現状では十分な武器であり。

そんなスローペース、しかし老獪な相手を崩さなければならなくなった鳥栖。
そのビルドアップの形は、原田が前に出る右肩上がりの陣形で、かつ残った3人の最終ラインが幅を広く取るというもの。
17分にはGK朴のロングフィードを、その原田が落とす初手から繋ぐ攻撃。
そして原田のクロスが大外で横山に収まりそのままシュート(ブロックを掠めて左サイドネット外)と、相手側へ突き出した槍を存分に活かさんとします。

そうした状況のなか、20分にあわやアクシデントという危機が。
川崎がパスワークで攻めるも鳥栖陣内深めこぼれ球となり、繋がんとしたマルシーニョが手塚と激突してしまうと、川崎側の反則で途切れ。
しかしダメージが深いのはマルシーニョの方で、腹部辺りを痛めたのか中々起き上がれない事態となります。
その時間は3分程と長くなったものの、何とか起き上がりピッチ外→復帰に。

これによりそれまでの流れが途切れる危惧が生まれ。
それを打破したのは鳥栖の方で、26分に右スローインからの繋ぎで奥を取り、菊地の最初のグラウンダーでのクロスはクリアされるも自ら拾って(原田とのパス交換から)再度クロス。
今度はファーサイドへの浮き球で、ゴール間近という位置で横山の足下に収まり、そのままシュートを叩き込んだ横山。
川崎サイドは大外から入り込んだ横山を(ファンウェルメスケルケンが)見ていなかったのが仇となった格好で、タイスコアとなります。

これで川崎はプランが狂ったでしょうか。
28分、敵陣でパスカットした瀬古が菊地に反則を受けると、素早いリスタートを選択。
縦パスを受けた遠野が中央からエリア内へ切り込みシュートにいくも、長沼のブロックに防がれます。
セットプレーでの変化ながら、ペース配分を脇に置く格好となったその姿に危機感を醸し出し。

鳥栖は序盤のハイプレスから、次第にマルセロが相手アンカーの位置に留まるという姿勢に落ち着く前線の守備。
しかし31分、川崎が最終ラインで繋ぎGKへ戻した所に、プレッシャーを掛けたのはボランチの手塚。
陣形を崩してでも……というその姿勢は裏目となり、蹴られた上福元のロングフィードが一気に裏を突くと、バウンドするボールをセンターバックがお見合いしてしまい山田が抜け出す事態に。
これを胸で落とした山田、スイッチ気味にマルシーニョがダイレクトでシュートを放つ決定機となるも、GK朴がビッグセーブ。
そしてすかさずミスしたDFに檄を飛ばす朴の姿が印象的となったシーンですが、それが冷めやらぬうちにパスをカットされて攻撃継続となるなど、無理なハイプレスが後方にも動揺を生むという危機となりました。

プレスも控えめとなるなか、お互いこうした疑似カウンター気味の姿勢で、隙を生じさせれば万々歳という状態に陥っていた感があり。
そして今度は川崎サイドにその隙が生まれ、37分原田のロングパスでマルセロを走らせ、高井が何とかクリアするも右スローインとなり。
すると鳥栖はこれを素早く始め、裏で受けたマルセロが右奥を取ってグラウンダーでクロス。
ニアに走り込んだ菊地がスルーすると、またもファーに横山がフリーで走り込む状況となり、ダイレクトでのシュートで再度ネットを揺らします。
今度は切り替えの部分で難を見せてしまった川崎により、鳥栖が逆転に至りました。

リードを許した川崎、それが切欠となり弱さを露呈してしまい。
自陣でパスミスが目立つようになり、球際でも劣勢となる厳しい状況に。
39分に鳥栖の攻撃、右ワイドからまたも原田の「横の縦パス」を中央のマルセロが受け、エリア内へラストパスを送る絶好機に。
しかし菊地はこれを収められず。

命拾いした格好の川崎でしたが、依然として反撃体制を整えられず。
決壊は時間の問題という流れで、迎えた44分エアバトルの連続を経てボールを確保した鳥栖、富樫の裏へのミドルパスで裏を取ったマルセロ。
収めてそのままエリア内へ進入し、GKと一対一に近い状態となりループシュートで上福元の上を抜いてゴールゲット。
前半のうちに挙げた追加点で、優勢ぶりを固める鳥栖。

しかしマルシーニョのあわやというシーンが影響し、長くなったアディショナルタイム。
川崎はゴールキックでのロングフィード、セカンドボールを拾ってから長らく敵陣右サイドでポゼッションを展開。
奥でスルーパスを受けた山田、手塚と横山の2人にアタックを受けるも、倒れながらのキープを経て起き上がってカットイン。
そして低いクロスを入れ、ニアで家長が掠めるように合わせると、その奥の木村に当たる格好でゴールに吸い込まれます。
ややもするとオウンゴール、という絵図ながら、家長のゴールとなり1点差に迫った川崎。
そしてそのまま、3-2と一重に点の取り合いといったスコアで終えた前半。

終盤でのゴールで、反撃ムードが高まったに見えた川崎。
しかし最終ラインがそれを台無しにしてしまい、早々の後半1分にビルドアップに入らんとする所、トラップミスで富樫に奪われる事態に。
そしてそのままエリア内を突いた富樫、ディフェンスに遭うも右CKとチャンスを継続させ。
キッカー手塚はニアサイド・密集からやや離れた位置にクロスを送ると、木村がヘディングシュート。
距離がありキャッチを選択したGK上福元でしたがこぼしてしまい、すかさず富樫がこれを詰め。
持ち前の超反応でこの至近距離のシュートを止めた上福元でしたが、尚も混戦となるボールに、確保せんとする山田の後方から原田が突いて追撃。
3度目となるシュートは防げず、鳥栖の4点目が生まれる事となりました。

手痛い後方のミスとなった川崎。
それを引き摺るように、その後は攻撃機会を生み出せない時間が長く続きます。
9分に自陣で家長がボール奪取、こぼれ球を繋いで再度受けた家長がドリブルで持ち運び、ようやく攻撃に入りますが鳥栖の戻りによりポゼッションに入り。
しかしそれは一重に遅攻に持ち込まれるという感じで、今度は2点目とは逆の左サイド深めでの細かい繋ぎ。
そして橘田が後方からポケットへスルーパス、走り込んだ瀬古のグラウンダーのクロスが入ると、ニアで空振りしたマルシーニョを経てフリーで合わせたのはファンウェルメスケルケン。
人数を掛けて最後は逆のサイドバックが仕留める、という流れを築くも、シュートは枠を捉えられません。

その後、CKからのサインプレーで佐々木がボレーシュートを放つ(11分、ゴール右へと外れる)など、一定の反撃の流れは得るものの結果を出せない川崎。
ベンチが状況打開のため動く段階となり、13分にファンウェルメスケルケン・マルシーニョ→ジェジエウ・脇坂へと2枚替え。
それぞれCB・インサイドハーフに入る事により、大南が右SB・遠野が左ウイングに回りました。

その後前線では、左サイドながらフリーで動き回る遠野を軸とし、ボールサイドに人数を掛ける細かなパスワークに活路を見出す川崎。
しかし後方は、実績あるジェジエウが入ったものの依然として不安定で、故障を繰り返していた彼が未だトップコンディションで無い事を改めて痛感させる展開となり。
18分にそのジェジエウが前へ送らんとした所を菊地がブロックし攻守交替(シュートまではいけず)となるなど、ビルドアップ能力の減衰に苛まれる事となります。
一方の鳥栖は15分に動いており、横山→山﨑へと交代
これで山﨑がCB中央に入る事で、3-4-2-1へシフトする守備重視の采配を敢行した川井健太監督。

川崎が敵陣でボールを支配するも、鳥栖ディフェンスの前に細かな繋ぎを繰り返した末の実りは芳しくなく。
24分に両ベンチがともに動き、鳥栖は菊地・富樫→日野・河田に2枚替えと、両シャドーをそっくり交換。(菊地は脳震盪による交代との事でカード消費無し)
一方川崎は家長・瀬古→エリソン・山内へ交代、この2枚替えで山田・エリソンを2トップとした4-4-2へシフト。
サイドハーフは右に遠野・左に山内、ドイスボランチが橘田・脇坂という布陣変更に望みを託します。

それでもその直後(25分)、またも最終ラインに突っかけられ、(鳥栖から見て)右ハーフレーン深めでボールを奪われた末にマルセロがシュート(脇坂がブロックしCKに)と後方の危機は続き。
さらに26分にも日野のパスカットから鳥栖の好機(日野が脇坂に倒されて左奥からのフリーキックに)となり、セットプレーも絡んで時間も使われる事となり、川崎の反撃体制は途切れ。
流石にこれだけミスする流れが続けば……というのは自明の理ですが、結局次の得点までそれが継続する事となります。

それは30分で、左サイド自陣深めに追い込まれる格好となった川崎、何とか脱出せんと繋ぐもまたも右ハーフレーン深めの位置で河原が前に出てボール奪取した鳥栖。
エリア内へこぼれた所をすかさず河田が反応し、ゴールネットが揺れて鳥栖が更なる追加点。
全体押し込まれた末のプレス回避失敗という絵図に、川崎の命運は尽きた、というような5点目が齎されました。

尚もジェジエウが深めで日野にボール奪取される(33分)など、衰運を堰き止められない川崎。
34分に最後の交代を使い、大南→瀬川。

その後も、逆サイドまで張り出す遠野がパスを出し入れしてチャンスメイクせんとしますが、状況は厳しく。
必死にパスを繋ぐ川崎を尻目に、鳥栖は38分に残っていたカードを全て使い。
キムテヒョン・手塚・マルセロ→上夷・藤田にヴィニシウス・アラウージョへ3枚替え、脳震盪の交代と併せて全6人のベンチメンバー(GK除く)を使いきる結果になりました。

スコアを動かせないまま、時間はATへ。
3点差故に、焦り・緊張感とともに諦め・安堵感が交錯する時間帯であり。

その所為か鳥栖サイドにもミスが生まれ始め、そこからこぼれ球を直接佐々木がスルーパス、前線のマリソンに渡り川崎の好機。
しかし鳥栖のトランジションを受けた結果、ミドルシュートを余儀なくされてこれをGK朴がキャッチ。
結局これがAT唯一のフィニッシュとなった川崎。

一度大きく傾いた状態を戻すのは難しい、といった流れで、そのまま試合終了の時を迎え。
5-2で勝利した鳥栖、これが川井監督となってから初の連勝と、意外といった結果が生まれた試合となりました。

一方、見るからに心配な状態となってきた川崎。
最終ラインの不安定ぶりを、背番号一桁の選手が醸し出すようではムードも上がらないのも当然といった試合内容。
汚泥から這い上がり、再び上位を確保する日は来るでしょうか。

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