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DAZN観戦 2020年J1リーグ第29節(前倒) 横浜F・マリノスvs北海道コンサドーレ札幌

2020-08-29 15:07:20 | サッカー視聴記(2020年以前)

ACLの関係で、この日に代替して行われた試合。(26節と29節が混在しており解りづらい)
折り返しの前に同カードを2試合とも消化する事となりました。

札幌が最近戦術として取り入れているのが「0トップシステム」。
前回のマリノス戦(7節)から導入し、10節・清水戦以外は全てこれでスタート。
果たしてこれがミハイロ・ペトロヴィッチ監督の理想形なのか、ないしは鈴木武蔵の海外移籍と前後しての苦肉の策なのかは不明な所。

7節で快勝した事により好意的に取り上げられたこの新システムですが、結局これが唯一の勝利となってしまい、以降引き分け1つのみであとは全敗。
特に川崎戦での大敗(1-6)は当事者達にとって堪えるものがあったでしょうが、後半頭からジェイをFWにしての普通のシステムにシフトしており、前半だけはまだ良い勝負(0-1)であり評価は分かれる所でした。
かくして前回対戦で通用した相手のマリノスと早い段階で再び対戦となり、一度結果が出たこのカードでも手詰まりとなるようなら、完全に手仕舞う事も考えられます。

新システムによりジョーカー的な役割となっていたジェイですが、この日はベンチ外に。
代わりにベンチに控えるFWがアンデルソン・ロペスとドウグラス・オリヴェイラの2人で、後半で投入されると思われます。
しかし0トップなのにこれ程FWが控えているというアンバランスぶりで、この編成も「急遽取り入れた」感を加速させています。

開幕ダッシュには失敗したものの、調子を取り戻し王者としての強さ(主に攻撃力の高さ)を発揮しつつあるマリノス。
試合が始まると、やはりその威力を発揮して何度も攻撃機会を作ります。

マリノスのサッカーと言えばポゼッションスタイルが第一に浮かびますが、実際に試合を観てみると、それはあくまでも下地である事を思い知らされます。
長短織り交ぜたパスを素早く回し、動き続ける事でパスコースを作る攻撃を常時行っている。
後方からのスルーパスによる素早い攻撃も積極的に織り交ぜる、相手守備の頭の中を掻き回していくスタイル。
果たして人に付く守備が基調の札幌は簡単にスペースを与えてしまい、対応するのに四苦八苦という感が序盤から見え始めます。

そして、前半8分という早い段階でスコアが動きます。
センターバック(チアゴ・マルチンス、畠中)からボールを繋いだマリノス、一旦右サイドに振るも戻され、左サイドからの前進を選択したのち扇原のポストプレイで中央へ。
受けた高野が前進しジュニオール・サントスに送ると、サントスはペナルティアークから強烈なシュート。
GK菅野が触るも跳ね返せず、「ぶち抜く」という表現がピッタリのゴールとなり、マリノスが先制。

反撃に出たい札幌ですが、ここ数試合の傾向としては、右ウイングバックのルーカス・フェルナンデスの突破力に全てを賭けているようでもあり。
同じく突破力豊かなチャナティップが、昨今の活躍で常時相手にマークされる存在であるため、0トップである以上攻め手を増やすには彼と同等の存在が逆サイドに欲しい。
そのためルーカスにスポットライトが当たり、前節(厳密には違うけど)・大分戦では土壇場で彼の同点ゴールが生まれて引き分けに持ち込む事に成功しています。

しかしこの日の前半ルーカスは殆ど目立たず、マリノスの、いやサッカーにおける相手の対策の速さを思い知らされます。
20分、ようやく右からの攻めが実り、ルーカスから受けた駒井が細かいタッチでエリア内右へ切り込み。
そしてクロスが上がり、クリアボールを荒野がシュートするもブロックに阻まれます。
飲水タイムを挟んだ25分には、福森のロングパスを受けたルーカス自身がエリア内に持ち込みシュートする(ブロック)場面も。

札幌の攻撃機会が増えていく中、マリノスには新たな戦力が実力を見せ付け始めます。
右ウイングとしてJ1初スタメンを飾った松田で、この度の移籍期間でJ3・相模原から急遽レンタルバックという手段で再加入した選手。

序盤から積極的にドリブルを仕掛けていきましたが、飲水タイム後にはさらにその存在感を輝かせます。
27分、クリアボールを拾いにいった松田、トラップで浮かせてボールキープに成功した後右サイドをドリブルで疾走。
そしてグラウンダーでクロスを上げるも、前田とマルコス・ジュニオールの間にいってしまい合わず。(こんな記事もあったので見間違えたか?)
31分にはマルコスが右奥へとスルーパス、これを受けに走り込む松田、札幌・福森を一気に追い抜いてボールタッチ。(その後こぼされコーナーキックに)
スピード溢れる動きを見せ、攻撃に活力を与えていきます。

そして40分、攻め続けた結晶ともいうべき追加点が。
右からのスローイン、直接エリア内に入ったボールを和田がダイレクトで中央へ送り、GK菅野が弾いたボールをサントスが詰めてゴール。
これでこの日2点目、加入後5点目とハイペースぶりが止まらないサントス。

2点ビハインドとなった札幌、その後も右サイド重視に攻撃。
ルーカスと駒井を中心にアタッキングサードに迫るものの、シュートは42分の深井のミドルシュート(枠外)ぐらいに終わり、反撃の狼煙は上げられず。

そして前半終了し、後半を迎えるにあたって札幌は体制変更。
ロペスとドウグラスを同時投入(同時に中野も投入、福森・宮澤・深井と交代)し、2トップへと体勢を切り替えます。
しかし退いたのが後ろ目の選手という事で、代わってディフェンスラインに入るのが菅・駒井・荒野。
前後半でスタイルを変えるのは悪くは無いですが、それに伴い主力選手の配置までガラリと変わってしまうのが、現在の札幌の安定しないチーム状況の一因となってしまっている風に思えます。(この動きは、最近「トータルフットボールを目指す」という趣があるらしいので、その一環として意図的に攻守両方のポジションを務めさせているのかも)
ちなみにマリノス側も、マルコス→天野へと交代。

しかしマリノスの勢いは止まらず。
いきなり後半2分、扇原のミドルシュートが襲うもGK菅野がセーブ。
その後も前掛かりになる隙を突かれ何度もスルーパスが裏に出され、GK菅野が飛び出して難を逃れる場面が。

そして7分のマリノスのCK。
マリノスはCKを得ても、クロスを上げずに一旦後方まで戻すという手法を多く採るチームですが、この場面ではキッカー・天野がクロスを選択。
ニアサイドに上げたボールはクリアされたものの、松田がヘディングで再びエリア内へ送ると、畠中がエリア内で収める絶好機に。
そして畠中は落ち着いて札幌・進藤をかわしてシュート、決定的な3点目が入りました。

今夏の移籍期間も、積極的な動きを見せているマリノス。
前年はエリキ・マテウス(現名古屋)といった助っ人の加入で勢い付かせ、リーグ戦を逆転優勝で締めくくったのは記憶に新しい所です。

そして今季、海外から天野(出戻り)・小池・前田が加入(天野と小池は特例により移籍期間前に獲得したとの事)。
派手な動きの一方で、国内からもサントス・松田と獲得。
しかも早期から戦力に組み込み、存分な活躍を魅せています。
天野・松田はユース出身で再加入と、生え抜き選手を活かすという事も忘却しておらず。

全方面をくまなく探索し戦力を搔き集めるという、他者が羨むような方策を根付かせている現在のマリノス。
そのバックボーンには2014年から少数株主となっているCFG(シティフットボールグループ)の存在があり、これを基にビッグクラブへの階段を昇り始めている、といった現在の状況でしょうか。
そんな評価を完全に定着させるためにも、今季はリーグ連覇が欲しい所ですが、果たして序盤の遅れは取り戻せるのか。

その後は札幌の反撃も受けますが、決して守りに入る事の無いマリノス。
試合内容は非常にオープンなものとなりました。

札幌はロペス・ドウグラスの2トップにボールを集め、2人の突破力に期待する攻撃を新たに見せていきます。
ボールを収める事も可能なドウグラスのおかげか、個の力を発揮して攻めかかる事が出来るようになりますが、そこに組織力が感じられたかというと疑問が残る攻撃となりました。
相手守備陣、特にチアゴとの戦いを制すればチャンスが生まれるが……という感じの散発の攻め。
14分、中野のパスを受けたドウグラス、そのままドリブルで突き進んでエリア手前左からシュート。
しかしゴールバーを直撃してしまい得点は奪えず。
フィジカル・身体能力は非凡なものを発揮しているこれまでのドウグラスですが、決定力という点では運にも見放されて今一つなようです。

マリノスの攻撃は相変わらず続きます。
3点リードしてから、従来の主力であるエリキ・仲川を投入。(サントス・前田と交代、10分)
13分には天野がエリア内で札幌のビルドアップを遮断し、そのままGK菅野をかわしてシュートするも枠を捉えられず。
その後もGK菅野を脅かすシュートを撃ち続けていきます。
37分はGK朴一圭(パクイルギュ)のエリア外でのボールキープから攻撃、彼のパスを天野がダイレクトで左サイド裏へ送り、走り込んだ高野(25分・ティーラトンの投入で左ウイングへシフト)がグラウンダーでクロス。
これをエリア内でエリキが受け、GK菅野をかわしにかかったのち左へパス、高野が受けるもオフサイドに。
何点入っても驚かないような試合展開を作り上げます。

そして40分、4点目を挙げたのは前年MVPの仲川でした。
高野の左サイドのドリブルから中央へパス、エリキ→仲川と渡り、そのままエリア内に進入しシュート。
見事ネットに突き刺し、得点王だった男がようやくの今季初ゴールとなりました。

4-0のままアディショナルタイムに突入し、その後もセンターバックのはずのチアゴがドリブルで一気にエリア手前まで進む(仲川にラストパスを送るもオフサイド)など、やりたい放題感が満載になって来たマリノス。
成す術ない札幌でしたが、ようやく最後の攻撃をゴールに結び付けます。
後方からの縦パスを菅がスルー、これを裏抜けの状態でドウグラスが受け、そのままドリブルでエリア内へ。
GK朴の飛び出しを横パスでかわし、並走したロペスが受けてそのまま流し込みゴール。
らしさは見せ付けたドウグラスですが、やはりゴールの運が無い。

結局4-1でマリノスが勝利。
交代選手もしっかり結果を出し、「2チーム分の戦力」という言葉が謙遜無い状態になって来ました。


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