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Scientific Boxing

国内、海外のボクシング界の状況や試合の観戦記などを絶対的主観で書き綴るブログ

観戦記~WBCウェルター級~

2011年12月03日 | BOXING

王者:ビクター・オルティス vs 挑戦者:フロイド・メイウェザーJr
試合結果:メイウェザー4RKO勝ち

●所見~オルティスの場合~
戦略戦法を陣営としっかりと練り上げ、この日のリングに合わせてきた意図が感じられた。
この相手とボックスしても不利は明らかなのでガードを固めたフォームだったが、
ディフェンスにおいて、スピードのある相手にダック、スリップではパンチの方が速い為、
ブロッキングがベターとなる。
打つ時の距離はかなり近かったが、これも相手のスピード対策だろう。
踏み込みが短い程、スピード差が少なくなるから。
その際、前述のブロッキングが有効となる。

攻撃は距離を詰め、ロープに押し込み下から上へと打ち込むシンプルな戦法だったが、
この相手にはそれが最も有効なのだろう。
実際、この相手が過去にてこずった対戦相手はその戦法が多かった。
( JL・カスティージョ、O・デラホーヤ、R・ハットン )
3R以降攻めきれなかったのは距離を詰めれなく ( 相手が距離を掴んだ ) 、
自身の攻撃パターンの少なさと言ったところか。

ヘッディングについて、間違いなく戦略のひとつ。
トレーニングでトレーナーが 「 ガンガンガンガン、ドゥンッ ( ヘッド ) 」 とかの連呼で嗾ける光景が
目に浮かぶ。
「 相手はフラストレーションがたまる。 ロープを背にするからそこが勝機だ。 だがやり過ぎるな 」 とかも。
実際、1、2Rからヘディングは軽いながら入れていた。
4Rは自らのフラストレーションから自制が利かず、力が入り過ぎてしまった様だ。

●所見~メイウェザーの場合~
サウスポー相手には突然の右ストが有効と言われるが、それを明白に実践した。
但し、このパンチは左右のコンビにならず、右の連発になりがちで、それはジャブの連発よりも体が
開くのでリターンを狙われ易い。
それを意識してか、1、2Rは単発右ストの打ち終わり、前に屈む様なダッキングで相手のリターン
を交わしていた。
3、4Rは相手のタイミングと自身のバランスを確信したのか、更に多く打ち、面白い様にヒットした。

WOWOW解説の小泉氏は 「 メイウェザーには左フックがある 」 と言っていたが、
この選手の左フックはサウスポーには当たり難いと思う。
何故かと言うとこの選手の左フックは左半身を後ろに引かず、肘を上げず、小さい弧でコンパクトに
打つもので、その軌道は相手の両グローブの隙間にナチュラルに入っていくものだからだ。
JM・マルケスからダウンを取った左フックはその典型。
vsサウスポーの場合、相手の前腕が自身の左の前にあるので通常よりも肘を上げ、弧を大きく
しなければならない。
それはこの選手のスピード、タイミングを損なうものとなる。

実際、左フック一発KO試合はオーソドックス同士が多く、
M・タイソンvsC・ウィリアムス、N・ドネアvsF・モンティエル、V・ペットウェイvsS・ブラウン等。
逆にオーソドックスがサウスポーを左フック一発KOした試合は余り記憶に無い。 ( 有るだろうが .. )

4R、KOした右ストレート。
この選手のあの打ち方はなかなか見られるものではない。
右足を蹴り、腰を転させ、完全にウェイトをバランスの前方に預け、上体は胸を張り、
左腕を引いたフォーム。
これは威力が増大する利はあるが、続く左が真直ぐ出なくなり、外した場合、死に体 ( 相撲用語? )
となるリスクがある。
例えば過去には高橋ナオト氏はその右の威力で神憑り的なKOを演出したが、
自らのKO負けも演出した。
この打ち方は現代では少なくなったが、日本の昔気質のトレーナーなど、
未だ教える人がいるのではないだろうか。

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