王者:オルランド・サリド vs 挑戦者:山口賢一
試合結果:サリド11RTKO勝ち
●所見~サリドの場合~
1~3Rの左の使い方は巧みだった。
肘を上げ、力を込めた単発左フックは戻り時、軸がグラつく事があるがこの選手のそれは戻りの威力
そのままに左アッパーを打っている。
左フック連打から左アッパーと、コンビネーションの終わりは横のパンチよりも縦のパンチの方が
バランスが戻りやすい ( 以前どこかの記事で書いたが ) 。
そのパンチで痛めつけ、相手の注意を上に持って行き、そのバランスからの左ボディアッパーにも繋ぎ、
3R、ダウンを奪った。
その時点で相手の力量を感じ取ったのか、その後は動きに余裕が表れ、意図的にロープを背にし、
パンチに緩急をつけて無駄打ちせずと、まるでスパーで自身の動きを確認するかの様なものとなった。
しかし、なかなか相手が倒れなく、諦めないので終盤は雑になったがそれでも相手が弱ったと見るや
一気に仕留める事が出来るのはキャリアと自信と絶対的な力量差による所。
この試合は圧倒的勝利だがまだ判らない。
ファンマとの再戦が地力と今後の価値を計るものになるだろう。
しかし、リングサイドのファンマのデブり具合は ..。
●所見~山口の場合~
骨格、体格、上体の筋肉量がそのままラッシングパワー、パンチングパワーとなりフィジカルにおける
明らかな劣勢が感じられた。
その条件下でも距離を置いた所からトリッキーなフェイントから体ごと打つ右スト、左フックで肉薄し、
相手の攻撃には膝を折り過ぎる程の低いダック、ウィービングで結構かわしていた。
3Rにボディを効かされダウンを食ってからは一気に動きが落ち、雑になったが、その状況でも冷静に
自身がその時出来る事、すべき事を考えながら戦っている様に見えた。
終盤もカエル跳びを出したが ( これには笑った ) 、脚力が残っている事を判っているから出来るもの。
単発パンチを打つ際、軸がグラグラしたり、連打の際、パンチが真直ぐ戻らず一旦下がってから戻る
( 水泳の ” 犬掻き ” の様な動き ) 、等の雑な動きはボディが効き、スタミナロスの表れだが、
日本人の上体のひ弱さでは致し方無い所。
国内のネット等で酷評されている様だがそれ程醜いものには見えなかったが。