王者:ニコライ・ワルーエフ vs 挑戦者:イベンダー・ホリフィールド
試合結果:ワルーエフ判定勝ち
●分析~ワルーエフの場合~
当然ながら下に向かって打つパンチは腰が落ち、体重が乗る。
この体格により全てのパンチがそうなるが、打つ際、前方に掛かる体重に対し、それを
支えるだけの脚の強さが足りないので ( ていうか上半身が重すぎ ) ジャブは単発になり、
右は体の捻りを余したままとなる。
いかに長身でリーチが長くとも前後の動きが伴わなければ相手にとって距離を掴み潰す事
が容易となる。ましてやホリフィールドのような優れた選手ならば。
クリチコ兄弟のように体格が大きくても、骨格及び筋肉の付き方にバランスが取れていれば
ミドル級のようなボクシングも出来るが、
見た目にも異形なこの体型はレスリングの方が向いているのではと思う。
今後、誰に快勝し、誰に苦戦するか予想がつかない。
●分析~ホリフィールドの場合~
前記とは逆に上に向かって打つパンチは体が伸び上がり、体重が乗らない。
それは身長差が大きくなる程顕著になるが、それはあくまで理論的であり、実際の戦いでは
当てはまらない事が多い。
身長は公称188cmだが実際には185cm程度。
( 以前にラスベガスのマダムタッソーで確認した )
身長差の大きい相手の顔面に打つパンチにおいて踏み込んだジャブはそれなりに当たるが、
続く右は当てにくい。
しかし両足で飛び込むフック ( いわゆるガゼルパンチ ) は有効で、
またジャブから体を密着し、相手の体を這うような軌道で打つフックも有効となる。
それらが巧みなのは、R・ボウ、L・ルイスらと幾度も戦ってきたキャリアの裏づけでもある。
フォアマンがホリフィールドに挑んだ試合のセンチメンタリズム、モーラーを倒した歴史上
の時間を止めたパンチと、どれもこの選手は持たない。
数年後には偉大な王者として評されるだろうが哀しいかな伝説として崇拝される事はない。